D.Gray-man 少年元帥の物語   作:亀さん

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少年元帥の不幸と一時的な里帰り

 

バーの中から出て来たアレンは太陽が空の間上でさんさんときらめいているのを見上げる。

「さて、これからどうしようか」

クロスを見付け、借金の請求書を叩き返した事でこの街に来た目的を果たしたアレンは次の目的を探す為にバーの前から歩きだそうとした時だった。

 

「おいアレン」

「げ、師匠・・・・・」

「げっ、て何だ馬鹿弟子」

クロスの眉がつりあがるのが分かったアレンはもしこのまま発砲騒ぎになったらどうしようと焦っていると、珍しくクロスの怒気が収まって行く。

 

「・・・・・まぁいい。近頃、伯爵達が妙な動きをしていてな。ちょっとばかり黒の教団本部の戦力が心配なんだ」

確かに対アクマ軍事機関といえどもアクマを破壊できるエクソシストは本部にたった20人程しか在籍しておらず、その中にはサポートタイプもいる為に、実質戦えるのはわずか十五人強の者たちだけ。

さらにイノセンスは適合者とのシンクロ率が高ければ高い程力を発揮する。

稀にイノセンスとのシンクロ率が100%を超えるエクソシストは元帥に認定され適合者探しの旅に出されることが多い為に今現在、システムの関係で本部にはシンクロ率が100%を超えるエクソシストはいない。

 

「それは知ってますけど、どういう意味・・・・・・」

ですかと言おうとしたアレンはクロスの顔を見て嫌そうな顔をする。

 

「なに嫌そうな顔をしてんだ。さっさと教団に向かいやがれっ!!なぁこの度、教団に所属する事になったクロス元帥の新しい弟子、アレン君?」

「いやですよっ!!何で身分偽って行かなきゃならないんですかっ!!知り合いの人とかにあったら僕どんな顔をすればいいんですかっ!!」

「新顔のエクソシストを演じりゃいいだろ?」

まるで暖簾に腕押しなクロスに上手にかわされ、結局行くことになってしまったアレンはがっくりと肩を落とした。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

久しぶりに自分の私服を着てある村の中を歩いているアレンの背中にはどよ~んとした空気が漂っていた。

たしかに元帥の時の名前はクロスが勝手に『ジョーカー』と名付けて教団に入れられた為に恥ずかしい名前で呼び続けられたのは嫌だったが・・・・・・・。

 

「はぁ・・・・・」

まさか、今度は新人として入団するなんて・・・・・と肩を落としながら湖のほとりに立っている小さな家まで歩いてきたアレンは木で出来た門を開けて中に入っていくと、巨大な体を持った男がアレンに気が付いた。

 

 

「あ、アレンだ~!!」

「ちょ、ま、待ってバーバッ!?」

巨体のタックルは小柄なアレンを簡単に吹き飛ばし放物線を描きながら石垣を超えて行く。

 

 

地面にしたたかに打ちつけられて転がっているアレンにバーバが手を伸ばし不思議そうな顔をする。

「アレン、こんなところで寝てると風邪ひくぞ?」

「あ、あは、あははははははあ」

いつまでも子供のようなバーバにアレンは苦笑いするしかなかった。

 

家に入ってマザーと呼んでいる小柄な老婆と話す為に椅子に座る。

「で、どうしたんだいアレン?」

「実は・・・・・・・」

アレンが事の顛末を話すと、マザーは必死に口元を押さえて笑いをこらえている。

 

「もう、マザーッ!!僕これからの事を思うと食欲がわかないんですよ!!」

そう言っているが、アレンは途中で出されたバーバのシチュー鍋一杯を空にしている。

 

「ごめんごめん・・・・・確かに食欲が落ちてるね。・・・・・・ふむなるほどね、つまり向こうにも顔が割れていない元帥を一人教団に配置することによって本部のエクソシスト達のサポートやら緊急時の本部の防衛の最高責任者やらをやれって事だろうね」

「冗談じゃないですよっ。僕の戦闘方法を見たら知らない人にノアと間違えられるのが目に見えていますっ」

「確かにね・・・・・。お前は少しばかり神様に気に入られてるからね」

少しだけ悲しそうな目でアレンを見るマザーにアレンはため息をつく。

「はぁ・・・・・まぁ行くしかないですよね・・・・・・・・・」

我儘言っていられないとアレンは決心する。

 

そんなアレンにマザーが思い出したかの様に言った。

「あ、そうだ。お前に頼みたい事があった。明日の朝、ちょっと私と散歩に行くよ」

「ちょ、ちょっと!!」

マザーはそう言うと自分の寝室に行ってしまった。

 

次の朝、眠たい目をこすりながらとことことマザーの後ろをついて行く

「頼みたい事?」

「ああ、何やらこの村に奇妙な噂があってね。この半年の内に怪物やら化け物やらが近郊で大量発生してるのを見たってね」

「化け物・・・・・怪物・・・・・・」

そう言えばそんな気もしたとアレンは一人納得する。

 

「その噂の確認と出来れば解決してほしい」

「あ、はい。分かりましたマザー」

「じゃあね、頼むよ」

マザーに頼まれたアレンはいったんマザーの家に帰り、朝食を取ると街に向かった。

 

「たしかに・・・・・。アクマが多いな・・・・・・」

アレンはアクマに内蔵してある魂を見たり彼らの声を聞く事が出来る。

 

彼等は大切な人を嘆きながら自分達の声を聞き取れるアレンの質問に答えてくれた。

「なるほど・・・・・・。ここの村のアクマはほとんどがあそこの病院で亡くなられた大病を患われた人達なんですね」

『そうだ、私はあそこの病院で死んだ。なのに私は天国から引きずり落とされて気が付いたら妻の前にいた』

「そこにデブがいませんでした?耳がとんがった」

『いたとも。妻の横でニコニコしながら私を見ていた。アイツが私に命令すると、私の体が勝手に妻を・・・・・・』

そこでそのアクマは悲鳴を上げ体を卵型に変形させ、アレンに体中に飛び出している砲を向ける。

 

 

「話をありがとう。おやすみ」

しかしその砲が火を噴くよりも速く、アレンの左腕がアクマを真っ二つにしていた。

 

『ありがとう・・・・・・』

魂を束縛していたアクマが壊れ、解放された魂は天に昇って行った。

「どういたしまして。安らかに眠ってください」

胸の前で十字を切り、祈りをささげるとアレンは病院に向かった。

 

 

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