D.Gray-man 少年元帥の物語   作:亀さん

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教団 再入団

 

「前も一回登って来たけど、相変わらずキツイなぁ・・・・・・・」

額に浮いた汗をぬぐいながら今登ってきた崖を見降ろすと、下に生えていた何メートルもある木が点にしか見えないほどだった。

「っていうか、平地に建てても良かったんじゃないですか?アクマ達は空を飛べるから意味無いと思いますし」

そんな文句を言いながらアレンは門前まで歩いて行く。

 

「すみませ~ん。誰かいませんか~」

いかにも新人のように装いながら門の前に立つと、アレンは教団の門にこそこそとゴーレムを通じて監視している教団の人間に気がつかれないように話しかけると門は驚いたようにアレンを見た。

 

「(ちょ、元帥なんでこんなところまで。あなたなら下の地下水道から入れたでしょ?)」

「(ある事情で新人として教団入りすることが決まったんですよ・・・・・・・)」

「(なるほど・・・・・。なら私もそう振舞いますね)」

二人?はこれからの事を決め、室長の判断を待つ。

そんな時、この本部の最高責任者の声がゴーレム越しに聞こえてきた。

『あ、門番君?彼を調べちゃって。リナリ~コーヒーちょうだ~い』

「へ・・・・・・・」

ちょっと待て、とアレンは古い記憶を引っ張り出す。

そう言えば前もここで・・・・・・と思いだしたアレンに向けたかどうかは分からないが、レントゲンでアレンを調べる振りをしていた門番がニヤリと笑う。

 

「こいつ、アウトぉおおおおおおおおおお」

「えええええええええええええええ~~~~~~!?」

そういえば数年前もそう叫ばれて大変だったと思い出した時にはすでに遅く、そう門番が叫ぶと同時に教団本部内の空気が一変して殺気が漏れ始める。

「こいつ呪われてやがるっ!!アウト、アウト、アウトぉおおおおおおおおおお!!」

「確かに呪われてますけど、これは人間に呪われたもので伯爵とは一切の関係も無いんですよぉおおおおおおおおおお」

アレンが半分泣きかけの状態で門番を通じて室長に呼び掛けるが向こうは無言を貫いていた。

代わりの回答はわずか数秒で光る刃と共に返ってきた。

それを発動した左腕で受け止めるが、わざとランクを落として武器ですらない原石状態の左腕では、二次解放してないとはいえ人間の手で武器として完成しているイノセンスには勝てず罅が入る。

「クッ・・・・・!?」

寄生型特有の武器損傷による痛みに顔をしかめながらなんとか受け止めると、あるものに目が留まる。

 

「アクマが一匹でのこのことやってきやがって。いい度胸じゃねえか」

刀をグイグイと押し込もうとしている長髪の男は不機嫌そうに言うがアレンの目は違う物を見ていた。

「これは・・・・・・・六幻・・・・・?」

男が使っているイノセンス、その特徴的な形の武器はあるエクソシストが使っていた物の筈だ。

そしてイノセンスの使い手は一つにつき一人。

驚きで漏れた呟きに男が眉間にしわを寄せる。

「・・・・・・・?なんで俺のイノセンスの名前を知ってやがる?」

「あ・・・・・、だ、だって師匠から聞きましたもん」

ばれてはどんなお仕置きが待っていることかと慌てて師匠に擦り付ける。

 

「師匠?」

「ええ、クロス・マリアン元帥からね」

クロスの名前のとこを強調して六幻を押し返す。

 

男は怪訝そうな顔をして

「・・・・・・・。おい、コムイッ!!」

『え、なに神田君?』

「こいつがクロス元帥の弟子だって言い張ってるがどうなんだっ!!」

『え、そんな事は聞いてな・・・・・・・・・』

室長である男は自分のデスクを見て固まる。

こんもりと書類などが山積みになっているのを見て考えていた男は周りに立っている科学者の一人を指名する。

「・・・・・・君っ」

「は、はいっ!?」

「あの山の中にあるかもしれないクロス元帥からの手紙を探して」

そう言われた科学者が山を切り崩し始めているのを男は眺めていると、周りの視線がグサグサと突き刺さってくる。

 

「・・・・・・僕も一緒に探すよ~」

そう言って男がさっきの科学者と一緒に手紙を探し始める。

 

「あ、ありましたっ!!」

「リーバー班長、それ読んでっ」

「わかったっすよ。近々、新米の弟子を一人そっちに送る。クロス」

リーバーがそれを読み終えると男は素早く回線を玄関につなげる。

 

『ごめんね神田君、その子新人みたい。門番君、さっさと開けて』

「開門、開門~」

開いた門の中に入りながらアレンは思う。

 

「コムイさん変わってない・・・・・・・」

無論、トラブルメーカーとしてだ。

ちなみにコムイをスカウトして室長に推薦したのはアレンであるためにのしかかってくる疲労感と落ち込みは人一倍だ。

そんな落ち込んでいるアレンに気が付いたのかエレベーターから先ほど降りて来たツインテールの少女が駆けてくる。

 

「ごめんなさい。兄さんが迷惑をかけて・・・・・・」

「へ、兄さんって?」

「さっきゴーレム使って喋っていたのが私の兄さんよ」

「え、ってことはリナリー?」

ポロっと口から出てしまった言葉にしまったと口をふさぐがもう遅かった。

 

「え、私の事知ってるの?」

「えっと、あ、そうだ。師匠が言ってたんですよ、室長の妹に将来有望な女の子がいるって」

「あ、ありがとう・・・・・・」

なんとかここもクロスの所為にして潜り抜けたアレンは、エレベーターを使ってこの教団本部で一番偉い室長の待つ部屋に案内される。

 

 

「いや~ごめんごめん。ちょっと手違いがあってさ~」

「(あなたはほぼ毎回でしょうが)」

と口には出さず、心の中で男に突っ込む。

 

「ん、僕はこの黒の教団本部室長。コムイ・リーだ。よろしく」

「ええ、僕はアレン。アレン・ウォーカーです」

握手をしながら彼が室長になった時の事を思い出していた。

 

『この度、黒の教団室長に任命されましたコムイ・リーです』

『よろしく。僕は皆にジョーカーと呼ばれてます』

こんなトラブルメーカーになるとは思わなかったと、過去の自分を殴りにいきたい衝動を抑えにっこりと握手を交わす。

 

そのあと久しぶりに黒の教団秘伝のイノセンスの修理法で左腕を直され、激痛に顔をしかめながら何とか最初に見つかったイノセンス、キューブの適合者であるヘブラスカと再開する。

 

「さあ、ヘブラスカ。新しい使徒はお気に召すかな?」

「ふむ、最高シンクロ率は83%というところか」

アレンの事を知っているのにも関わらず、大体の事を把握してごまかしてくれたヘブラスカに皆にばれないように礼を言う。

 

 

「我々が戦争に負けた時、世界は終わる。戦え、それがイノセンスに選ばれたお前の宿命、宿命なのだアレン・ウォーカー」

立体映像に映し出された大元帥達はアレンにそう言った。

 

「分かってますよ、そんな事。養父さんを伯爵に殺された時からね」

アレンは背を向け歩き出す。

 

 

「期待しているぞ、アレン」

大元帥たちは映像が途切れた後、そう呟いた。

 

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