D.Gray-man 少年元帥の物語   作:亀さん

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初任務

 

ガヤガヤと騒がしい食堂でドンドン運ばれてくる料理とそれをドンドン腹の中に詰め込んでいく少年が一際目を引いた。

「おいしぃです!!」

少年は口いっぱいに料理を頬張りながら声を上げ、隣に立っていた女?を目を輝かせてみる。

 

「さすがですジェリーさん」

「で、どうしたのよジョーカーちゃん?今度はアレンなんて名前を変えて」

「いえ、アレンが僕の本名なんです。前回は師匠が勝手に偽名で登録して、それをみんなに説明する前に定着しちゃって・・・・・・・・」

恥ずかしかったです、とドヨ~ンと暗い空気を背負って行くアレンにガッチリとした体形のオカマ、ジェリーはまた厨房に入ってどんどんアレンの為に料理を作っていく。

 

「ざるそば一つ」

ジェリーがアレンのために料理を作り続けているとき神田ユウ、前日アレンに切りかかった男が注文を出した。

 

「あ、そばですか。ジェリーさん、僕も一つお願いします!!」

「は~い、分かったわ~」

素人目で見ても手際がいいジェリーと厨房の料理人たちによってすぐに二つのざるそばが完成し、二つを持って神田はアレンの目の前にドカッと座る。

 

「おい。一体何の目的があってここに来た?」

 

猛禽類を思わせる鋭い視線をアレンに向けて、低く、小さな声でアレンに喋りかけて来た。

「なんでって、僕はエクソシストになりに来たんですが」

「そんな建前はどうだっていい。なんでお前は戦い慣れてやがる?」

前日突発的に起きた数秒の殺し合い、そこで書類に乗っていたように元帥のもとでたった三年修行しただけの人間からは感じられない、一つ間違えば死に至る戦場を潜りぬけて来たような熟練の兵士のような印象を目の前で料理を頬張っている少年に神田は感じ取ったのだ。

 

「ちぇ、神田にはばれちゃいましたか」

「さっさと話せ」

生来あんまり気が長くない神田に催促されてアレンはやれやれと首をすくめる。

 

「神田、教団に所属してどれくらいになります?」

「・・・・・・九年くらいか?」

誕生から数えてそれぐらいだと答えるとアレンがふと笑みを浮かべた。

「ならジョーカーという名前はご存知ですか?」

「なっ・・・・・・・!?」

この教団内で語られている伝説、五人の元帥のほかにもう一人存在していると言われている。

 

 

 

「それが答えです」

 

 

驚きで固まっている神田にニコリと笑いながら、「ほかの人には言わないでくださいね」と釘を刺してアレンはまた料理を食べ始めた。

 

固まっていた神田がようやくそばを食べ始めてすぐにアレンの姿を見つけたリーバーが声を掛けてきた。

「お~い、アレン!!」

「あ、はいっ!!」

「わりいが五分で食って指令室まで来てくれ、初任務だ。」

「了解です」

アレンはスピードを上げ、一気に料理を平らげると指令室まで走っていった。

 

 

「やぁアレン君。君に初任務を頼みたいんだ」

「ええ、で何処です?」

「マテールと呼ばれる古代都市だよ。そこにかなりの数のアクマが集まってる」

 

「・・・・・それはイノセンスがある可能性が高いという事ですか?」

「ああ、で君に行って貰いたいんだが・・・・・・」

「新人である僕のために手助けの為に誰かを付けるってことですよね?」

「そうなんだよね~」

「どうしたの兄さん?」

どうしようかと頭を悩ませているコムイにちょうど書類を運んできたリナリーが声をかけた。

 

「今度のアレン君の初任務に誰を付けるか迷っててね」

「あのマテールに集まってるっていうアクマの破壊?」

「うん、まだ新人のアレン君だけじゃちょっと心細いから、教団の中でも特に腕の立つエクソシストを一人以上付けようと思ってるんだ・・・・・・・」

「それはもう誰か決めたの?」

「ううん、まだだけど・・・・・」

コムイが首を振るとリナリーは何かを決心したように頷く。

 

「じゃあ私が行くわ」

「ええ~~~~っ!?ダメだよリナリーッ!!年頃の男の子と二人だけ(ファインダーは勘定に入れていない)で一緒に行くなんて~~~!!」

リナリーのアレンお目付け役立候補に悲鳴を上げるシスコンにアレンは相変わらずだな~と思いながら何とかおさめようと努力していると指令室の扉が蹴破られた。

 

「あ、神田」

「どうしたのドアを蹴破って?」

「おい、そいつの同行者はまだ決まってねえんだよな?なら俺が行く」

「「え・・・・・・」」

さっきまで何時ものやり取りをしていた兄妹はそろって固まった。

まさか一匹狼で同じ門下のマリやデイシャとも必要になった時しか組まなかった男が自ら立候補してくるとは思っていなかったのだ。

 

ここはチャンスとばかりにコムイが資料を神田に渡して上機嫌に踊りまわる。

「じゃあ神田君にけって~い」

「もうっ兄さん!!」

せっかく後輩(実はかなりの大先輩)の面倒を見る事に内心ワクワクしていたリナリーはまるで目の前でトンビに油揚げを盗まれたかのようにショックを受け、リナリーとは対照的に機嫌がいいコムイに文句を言う。

それを軽く聞き流してコムイは二人に手を振って送り出す。

 

「じゃ、お願いね~」

「次は私の番だからね~!!」

「覚えてたらね~」

妹に同じ年頃の男の子(男なら誰でも関係ないが)が付いて行かなくなったのがよほどうれしいのかスキップを踏み、リナリーから逃げ続けているコムイが手を振っているのにアレンは苦笑しながらなんであの人を推薦しちゃったんだろ、と思いながら扉を閉めた。

 

 

「行くぞっ」

「はいっ」

二人はトマという名のファインダーと共に走り始めている汽車に飛び乗る。

そこから汽車の中に入ると、慌てて飛んできた車掌に教団のローズクロスを見せ、一室を貸してもらったアレンと神田は受け取った書類に目を通した。

 

ある程度読み終えたのか、神田が意見を求める。

「で、今回はどうすんだ?」

 

「ええ、この情報を見るに多分イノセンスは地下都市の中にあると思います。だからファインダーと連携を取りつつ僕等がイノセンスを取りに行けばいい。イノセンス適合者でなくては普通の人間では剥きだしのイノセンスには近づくことすらできませんからね」

「アクマは?」

「それは僕が引き受けます。新人の振りして彼らの気を引きますから君はファインダーと共に地下都市の捜索を。途中にアクマがいたらそれの破壊もお願いします」

「分かった」

元々結構な実力を持つ二人はそれだけを話し終えるとおのおの到着までくつろぎ始めた。

 

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