黒子のバスケ 日記 作:sil
○月○日 明日不安だなぁ
明日はいよいよ入学式。私もとうとう高校生になる。けど不安でいっぱいだなぁ
誠凛に進学したのは私しかいなくて知り合いもいないし、高校は中学とは全然違うって聞くし
あー、ダメダメ。最初からこんなに暗くなっちゃダメよだね!
よし、頑張るぞー!
○月×日 高校ってすごい
新しい制服に身を包んで迎えた入学式。私と同じように真新しい制服を着た人達と一緒に学校までの道のりを歩いたけど、結構知り合い同士が多いみたいだった
校長先生の挨拶やPTAの偉い人の長い挨拶にはちょーと、うとうとしちゃったけど、ちゃんと最後まで起きてたから大丈夫!
あと、生徒代表で私達新入生に挨拶をした生徒会長の人。1年上なだけなのに、とても大人っぽくて綺麗な人だったなぁ。私もあんな風になれるのかな?
問題はその後だった。入学式を終えた私達を待っていたのはたくさんの部活動の勧誘。もうビックリするくらいいっぱい先輩達がプラカードやチラシを配ったりしていて、ずっと圧倒されっぱなしだったよ
なんとか抜け出した後、疲れた足取りで弟に今日の事を話すと可笑しそうに笑われた。笑いごとじゃないのにー
○月■日 き、緊張した
クラスが決まって、私は1年Dクラスになった。席は真ん中の一番後ろ、一番前とかじゃなくて良かったぁ
それで、問題は私の隣!いや、別に赤い髪の人みたいに怖そうな感じとかじゃないよ!それに問題って言うのも別に悪い意味じゃなくって!(以後、誰に言い訳をしているかよく分からない日本語が続く
とにかく、その私の隣の席の人の翡翠君。名前と同じ色の髪と瞳の、とっーても綺麗な人だった!
男子に綺麗っていうのもおかしな話だけど、翡翠君はホントにそうだったの
それに、なんていうか雰囲気が普通の人とも違って、神秘的とか浮世離れしてる印象で、とても緊張した。多分自己紹介の時以上かも
翡翠君の自己紹介はとても大人な感じがしたし、ホントに私と同い年なのかな?私以外のクラスの女子も皆ざわついていた。しかも帰国子女みたい。うん、とっても似合ってると思う。英語とかもペラペラなのかな?凄いなぁ
特に最後の微笑でやられた子は多いと思う
あれは卑怯だよ~!
○月◇日 話題はやっぱり・・・?
高校に入って一週間が過ぎた。授業の時間割にも慣れて、クラスでも話せる子が出来た。最近はよく昼食を一緒に取ったりするよ
私は入ってないけど、クラスでも半分くらいが部活動に入るみたいで、その話題も時々上がっている。まぁ、一番は翡翠君の事についてだけど
翡翠君は動作や仕草とかも、なんていうか洗練された感じがしてただ座っているだけなのにまるで一枚の絵画を見ているような気分になるほど
お蔭で最近の授業で先生に注意される人が後を絶たない・・・私も含めてだけど
その翡翠君もバスケ部に入ったみたい、マネージャーらしいけど。運動の方は苦手なのかな?
最近では休憩時間や放課後に翡翠君を見に来る人がたくさんいて、中には先輩達の姿も見える。でも、本人は気にした様子はなかった。もしかして慣れっこなのかな?流石にあれだけ注目されて気づいてないって事はないと思うけど
そして今日の放課後、私はクラスの子に誘われて翡翠君の様子を見に行った。誘われたからだからね!
でも、今日はラッキーだったと思う。私達が体育館の傍に来た時、翡翠君が何か紙を持って、二年の先輩と話している所だった。物陰から隠れてその様子を見てると、紙を見た翡翠君が少し驚いた表情になった後、まるでなにか楽しみな事がある子供の様な笑みを浮かべていた
普段は落ち着いた表情の翡翠君のとってもレアな顔だった。一緒に来た子達なんて、腰が抜けたように座り込んじゃってたもん
・・・私は違うからね?顔は熱かったけど
○月▽日 どうしたんだろう?
今日は珍しい事があった。翡翠君が同じクラスの火神君に、なにか弁解というか忠告をされていた。内容はよくわからなかったけど、火神君の恥ずかしい場面を翡翠君が偶々目撃してしまったみたい。翡翠君は相変わらず落ち着いた様子で火神君を宥めてた
そういえば、2人とも同じ部だったから仲とかも良いのかも・・・だめだ、全然想像できないや
最近は弟の調子が良いみたい・・・なのはとてもいいんだけど、翡翠君関係でからかわれる事が多くなった。私、そんなに翡翠君の事話してるかな?
○月□日 ほんとビックリした
なんていうか、その、ビックリした。うん
えっと今日は朝、全校朝会があってグラウンドに集合していたんだけど、翡翠君の姿が見えなかった
てっきり遅刻なのかな?と近くの子と話していると突然、上の方から日本一になる!っていう声が聞こえた。見上げてみると、屋上の手すりに同じく姿が無かった火神君が立っていてビックリした。危ない行為に小さく悲鳴の声が上がっていた
近くに並んでいる2年生の人達はなにか心当たりがあるみたいだったけど、疑問符が消えないでいる私達を他所に、1年生らしき男子が次々と名前とクラス、そして目標?を宣言していった
そして最後に現れたのはなんと翡翠君だった。前の人達と同じようにクラスと名前を言って、曲げた指を顎に当てて何かを考える仕草を取った後、覚悟を決めた表情に変えた。それと一緒に翡翠君の雰囲気も変わって、息を飲む声が聞こえた。それは私だったのかもしれないし、隣の子だったのかもしれない。はたまたあの場にいた全員だったのかもしれない
ざわついていた生徒達全員が静まり返って、翡翠君の声がとても良く響いて聞こえた
「自分の目標は、日本一になる誠凛バスケ部の支えの一つになる事です
自分は、点を取る事も、プレーで皆を引っ張る事も出来ません
だから自分は、プレー以外で皆を支えたいと思います
誠凛はまだ出来て2年の新設校。チームもまだ若い。その為に、色々な部分で他とは劣る所もあるでしょう。ですから選手一人一人がお互いに高め合い、力を合わせるだけでなく、その周りも一丸となって共に挑む。皆、それぞれ自分の目的があるでしょうが、最終目的地は同じ
日本一の座
新参者故、まだまだ不慣れで至らない事は多々ありますが、例えどんな些細な事であっても、自分は誠凛バスケ部のマネージャーとして誠心誠意、自身に出来うる全てで選手達のサポートを務めさせていただきます
誠凛高校、全校生徒の皆さん。誠凛バスケ部は、今年日本一を取ります」
うん、大体こんな感じだと思う。我ながらすごいんじゃないかな。いや、すごいのは翡翠君だね
お蔭で今日の話題は翡翠君の事でもちきり。どこへ行っても皆、今朝の事を話していたし
いつも以上にあからさまにたくさんの視線を受けて、それでも翡翠君はいつもと変わらない様子だった。私ならそんなの絶対耐えられないなー。あ、そもそもあんなこと出来っこないや
この騒ぎはしばらく続きそうだなぁ
○月!日 別次元だった
今日も今日で翡翠君の話で賑わう中、それを助長するような出来事があった
放課後、たくさんの女生徒が体育館に向かって行く姿が見えて、私達も気になって行ってみると有名なモデルの黄瀬君と翡翠君が並んで歩いていた
なんていうか、その2人が一緒にいる光景はとても似合っていて、ずっと見ていたくなってしまった。というか、翡翠君って黄瀬君とも知り合いだったんだ。すごいなぁ
p.s 誰かが、どっちが掛け算の前か後ろかって言っていたけど、2人に聞こえてないのかな?
○月%日 いよいよみたい
今日、弟の手術の日程が来月に決まった。この手術が成功すれば、病気も完治して普通の生活を送れるようになるんだ
心配はないって言われてるけど、万が一っていう事も・・・
あー!ダメダメ!そんな後ろ向きな考えじゃダメだよ!
そうだ、そう言えば明日って
○月$日 王子様みたいだった
イベリコ豚カツサンドパン、三大珍味キャビア・トリュフ・フォアグラのせ。税込み2800円
これを食べれば部活や恋愛、なんでも成功する事間違いなしって言われてるラッキーパン
手術の成功を願って、私も手に入れようと思ったんだけど、よりにもよって今日は委員会の仕事がお昼にブッキングしちゃった
どれだけ早く委員会が終わっても、すごい人気ですぐになくなっちゃうみたいで、しかも競争率が200%って言われてるの
どうしようもなくって、諦めていた所に颯爽と現れたのが翡翠君だった
ものすごい動揺しちゃった私を優しく落ち着かせてくれた翡翠君は訳を聞くと、代わりに買いに行く事を申し出てくれた
すごく申し訳なかったけど、せっかくの翡翠君の提案を断る事が出来なかった私は、翡翠君にお願いする事になった
委員会が終わってすぐに、私が教室に戻るといつもと変わらない翡翠君がラッキーパンをその手に出迎えてくれたの
なんどもなんどもお礼を言っていたら周りの視線がすごい集まって恥ずかしかったぁ。お蔭でみんなに質問攻めになっちゃうし
翡翠君は話しかけちゃうのに気が引けちゃう感じで、みんないつも遠くから見ているだけだったっていうのもあるんだろうなぁ。私もそうだったし
そこから何故か私が代表して翡翠君に色々と質問する事になっちゃった
なんでなのさー!もー!
p.s でも・・・よかった、かな
×月○日
今日は昨日遅くまで病院にいて課題がまだ少し残っていたから、朝早く起きて学校で片付けちゃおう、と思っていつもより早く家を出たんだけど、途中偶然にも同じように登校中の翡翠君を見かけちゃった
慌てて隠れちゃったけど、仕方がないんだよ?なんていうかその時丁度本人の事を考えてたから反射的に体が反応しちゃって
で、その翡翠君は手に財布を持っていたんだけど、明らかに翡翠君のじゃないものだった。多分拾ったのだと思う
そのまま見ていたけど、翡翠君は学校とは反対方向に向かって歩いて行った。気になって付いていってみると、そこは交番だった
やっぱり翡翠君はすごいなぁ
課題はギリギリ間に合ったよ。危なかったー
×月■日 やっちゃったよ~!
翡翠君から逃げちゃった
せっかく弟の手術が成功したことを祝福してくれたのに、その後のあれは卑怯だよぉ!
私はお姉ちゃんとして当然の事をしただけなのに、あんな風に褒められたらすごい恥ずかしくなっちゃった
うー、まだ顔が熱いよー
明日どんな顔して翡翠君に会えばいいの~!
×月#日 なんでだろう?
昨日逃げちゃった事を翡翠君はあっさりと許してくれて、また話せるようになった。よかった
あと、翡翠君が最近バスケ部の監督さんからお菓子をもらってるみたい。今日のお昼休みには態々その相田先輩が教室までどら焼きを持って来てた
本人は理由がわからないって言っていたけど、なんとなくわかった。というかあれをみたクラスの皆は全員わかったんじゃないかな
翡翠君、食べ方が可愛かった。両手ではむはむ、っていう風。なんていうか、胸にきゅんってきちゃった!また翡翠君の新しい一面が見れたのは嬉しいな
それと最近になって色々考えてみたけど、やっぱりそうなのかもしれない
本当の私は後ろ向きだし、まだちゃんと自分の気持ちに整理がついた訳じゃないから、はっきりとはわからないけど
いつかこの気持ちがわかって、今の自分を変える事が出来た時は・・・
「出来た時は・・・ど、どうするの!?」
部屋でわたわたと動揺するその表情は、恋に悩む1人の少女であった
朝会にて
翡翠「(日本一、日本一、日本一・・・)」
先輩達「(ハードル上がった・・・!)」