あきらめ
あれから無言で歩き続けた俺たち。虫の声も風の音も何も聞こえなくなり、完全な静寂に包まれた。
疲労により頭も動かない。ただひたすらに歩き続けた。
「もういいや」
不意に真紀が口を開く。みんなはその声ではっと我に返った。
「どうしたんだ?真紀」
元希が尋ねる。
「このままこんな森の中から出られないなら、いっそのこと死んだ方がましじゃない!」
その声ははっきりとしていた。
「そんなこと……」
俺はそれから言葉をつなげられなかった。
「みんなも一緒に死のうよ……あの怪物に食べられる前にさ……」
真紀の顔には影がおちていた。
「……そうだな……おれももう疲れたよ」
元希が口を開く。
「おい待てよ!いままで死んだみんなのためにも俺たちは生き残るって約束しただろ!?」
海斗が止めに入る。
「でもここから抜けられないんじゃいつか死ぬよ!?飢えて、苦しんで、もがいて、恐怖におびえながら死ぬより、今死んだ方がいいに決まってる!」
「じゃあいままでの苦労は何だったんだ!無駄だったっていうのか!?」
「そうよ!全部無駄だったのよ!結局研究所でもなにも手がかりを見つけられなかったじゃないの!」
「それは……」
海斗は真紀の迫力に気圧されてしまい、それ以上何も言わなくなった。
真紀は海斗が何も言わないのを見て、元希から槍を受け取る。
「おい……よせよ……」
俺もそれ以上言えなかった。
「みんなさよなら……いままでありがとう……」
真紀は自分の喉をめがけて槍を刺す。
その瞬間に玲奈に止められる。
「何……するのよ……」
真紀は玲奈を睨む。
「まだ、死んだらダメ。もうすぐだから」
「はぁ?何がもうすぐだっていうのよ……」
玲奈は木々の隙間から見える空を指さす。
「空が……なんだっていうのよ……」
俺たちもその方向を見る。
木々の狭苦しい隙間から、満天の星空が広がっていた。
(ああ……真っ暗な世界で見る星はなんて美しいのだろう…)
おれはそんなことを想った。
(この星の話を家族みんなにしてあげたかったな……)
俺も心のどこかであきらめがあるようだ。
チラッと真紀を見る。俺と同じく満天の星空に見とれているようだ。俺も再び空に視線を映す。
(俺もこの狭苦しい空間からあの大きな宇宙に飛び出したいな……)
そこで気づく。
(もしかして高いところから見渡せば、何かがわかるのかも)
俺は海斗に視線を映す。海斗もこちらに気付き、微笑む。どうやら同じことを考えていたようだ。
「みんな、聞いてくれ!いまから山の頂上に向かう!」
「はぁ!?こんなに疲れている体で山の頂上に!?何考えているのよ!」
「山の頂上から周りを見渡すんだ。そしたらどこにいるかがわかるはずだ!」
真紀は何も言わなかった。助かる希望を見出したからかもしれない。
「そして気づいたことがある。俺たちはいつの間にか高いところに来ている」
みんな「えっ」って顔をしていた。……玲奈以外は。
「玲奈、お前ずっと俺たちを誘導していたのか?」
玲奈はうなずく。もうすぐってのは頂上がもうすぐだということだろう。
「すまないな。一番しっかりしていないといけない俺があきらめの境地に達していたようだ」
玲奈は無言だ。だが少しばかり微笑んだように見える。
「よし!行くぞ!」
「おおー!」
みんなは元気を取り戻し、再び歩みだした。目的の場所へ。
誰か~誰か俺を責めてくれ!夏休みに新しい小説をかくとか言っておきながら、もう後半に入ってもなおこの小説が終わっていない俺を……あ、firefly1122です。
投稿遅くなってすみませんでしたぁ!!できるだけ早く出すようにしますので、もうちょっと待っててください!
最後に閲覧ありがとうございました。次回も見てくださる方は気長にお待ちください。