蛍の森   作:Firefly1122

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体を蝕まれた研究者

背後から聞こえた声に驚き、振り向く。

「ば、化物!!」

元希は悲鳴を上げながら腰を抜かす。

「おいおい。初対面の人間に化け物なんてひどいじゃないか。わたしは人間だよ」

「そんなの信じられるわけないじゃない!そんな姿の人間がこの世にいるわけないじゃない!」

その姿は半分人間で半分怪物であった。右半身は黒く、つやがある。まるで虫の甲殻が体についているようだ。

手は5本の指から伸びる黒光りする爪。鋭くとがっていて、針のような感じになっている。腕には棘のようなものがいくつもついている。

頭部は角のようなものが生えている。目は赤く光っている。

まるで鬼のようだ。

「もしかして、この日記を書いた人ですか?」

海斗が恐る恐る尋ねる。

「ああ、本当はあの研究所で死ぬつもりだったんだが、死のうにも死にきれなくてな」

「あの研究所……ってことは、あの記録もあなたが!?」

俺は研究所にあった記録を出す。

「ああ。それを読んだならわかるだろうが、わたしは自分にXプロテクスをうったんだ。怪物になって行く自分を見て嫌になってな。Xプロテクスの解毒薬をうったんだ。その結果、毒が回りきった右半分は怪物になってしまったわけだ」

「なるほど……まだいろいろ聞きたいことはあるのですが、一つだけ一番聞きたいものがあります」

「なんだ?」

海斗は少し間をあけて口を開く。

「Xプロテクスはなんなんですか?」

俺たちが一番知りたかった、この現象の原因でもあるこの薬の謎を聞いた。

「その記録を読んだのだろう?ならわかるはずだ」

「読んだのは俺一人だけです。それにまだ途中までしか読んでいません」

「なるほど、ではXプロテクスについて話そう。立ち話もなんだから、ここに座って話そう。中は狭いからな」

 

俺たちは円になるように座り、彼に注目する。

「Xプロテクスの実験をしていたのは知っているであろう。わたしは上の者から毒だと聞かされていた。」

「毒じゃ……なかったんですか?」

「ああ。摂取したものを怪物に変える毒があったらたまらないだろう?」

「それもそうですね。では記録に書いてあった幻覚というものは?この森から出られない理由は?」

おれは立て続けに聞く。

「まずわたしが見ていた幻覚についてだが、怪物となった者を制御するために幻覚を見せ、催眠術にかかった状態に陥れることが目的だった。その成分がXプロトコル。次にここから出られないのはこの森自体が意思を持ち、我々を迷わせているんだ」

元希と真紀は理解できずに激しく瞬きしながらこちらを見ている。

おれはそれを無視して質問を繰り返す。

「何のためにそんなことを?森が意思を持ったのもXプロテクスのせいですか?」

「ひとつづつ説明する。このことについてはその記録に書いているはずだからな。知らないってことは読んでいないのだろう」

おれはうなずく。

「Xプロテクス、これは生物兵器だ。日本軍が戦争に勝つために極秘に開発を進めていた。戦後もXプロテクスに興味を持った学者が極秘に作っていた。それが近年完成したのだ」

「海斗さんはXプロテクスについて知ってましたよね?たしか最新医療に使われていると」

海斗はうなずく。

「あれは開発し、改良したXプロテクスだ。Xプロトコルと変化成分を抜いた安全なものだ」

「確かXプロテクスを摂取したら、活性化すると言ってましたよね?」

「ああ、確かに活性化する。それと同時に傷の治りもかなりはやくなる」

彼は感心したような顔をした。

「ほぉ。よく知っているね。でも、それはいまのXプロテクス。万能の薬と言われ、医学賞も受賞した成分。だが、完全な薬というものはこの世にはない。Xプロテクスを摂取したその日は軽い頭痛におかされる。Xプロテインの効果だ」

「Xプロテイン?」

「Xプロテインは激しい頭痛におかされるが、身体能力を底上げするいわば強化剤だ」

「なるほど……そういえば自己紹介していませんでしたね。俺は改と言います。こっちは元希です」

「よろしく!おっちゃん!」

「ちょっと!博士に向かっておっちゃんなんて失礼でしょ!あ、わたしはこの元希の幼馴染の真紀です」

「ぼくは純です。よろしくおねがいします……」

「わたしは玲奈です」

「おれは海斗です。ここに大学のサークルで来たんですが、あの怪物にみんなやられてしまって、大学生は俺一人です」

「そうか……それは大変だったな……この現象を引き起こしたのはわたしが原因だ。謝って済むことではないが、謝罪させてくれ。わたしは時博という。改めてよろしくな」




夏休みオワタ。なんてこった。まだ6日目である。最近謝ってばっかりのような気がしなくもないfirefly1122です。
まさかのここにきて新キャラ登場とは誰も予想はしなかったでしょう。これが俺の物語を書くセンスだ!……え?センスないって?すみません。できるだけ面白いものに仕上げていきますのでご了承ください。なにせこの蛍の森は2本目の作品ですから!まだまだ経験が浅いので面白いのが書けるものかと!……言い訳でした。
最後に閲覧ありがとうございました。次回も見てくださる方は気長にお待ちください。
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