何も見えない森の中を慎重に進む。進む度に増える光の数。その光を撃ちながら着々と進む。
何分がたっただろうか。弾が切れかかっていた。ショットガンはまだ残っている。作戦のために温存していたものだ。いつの間にか黄緑色の光は見えなくなっていた。
「なぁ、改」
隣で歩いていた海斗が突然話しかけてきた。
「俺たちは本当に生きて帰れるのか?」
おれは驚いた。
「……帰れますよ。きっと」
おれはそれだけしか言えなかった。
「……そっか。そうだよな」
それだけを言うと海斗はポケットから何かを取り出す。
「それは?」
「俺の宝物さ。小さい頃からずっと持っていた」
それは小さなバッチだった。青い背景の中心に黄色い花が咲いた可愛らしいバッチだ。どう考えても男のものではない。
「実はな、俺と彩は幼馴染だったんだ。小さい頃に初めて誕生日プレゼントで彩から貰ったのがこれだ」
俺は地面を見ながら聞いていた。
「誕生日プレゼントで貰ったこのバッチが最初で最後だった。喧嘩して疎遠になったからな。高校三年の卒業式のあとに彩からごめんと言ってきた。俺に謝りたくて、俺と一緒の学校に行きたくて、頑張っていたらしい。」
後ろでついてきている元希たちもこの話を聞いているのだろうか。海斗の話し声だけが辺りに響く。
「俺と彩はまた幼馴染の頃のように仲良くしてた。周りからはカップルに見られたようだが」
海斗は力なく笑う。
なんでこんな話をするのだろうか。
「実際俺は彩のことが好きだった。だがもうその彩はいない。俺は決意したんだ」
俺ははっと息を呑む。
「改、これを預かっててくれ」
その小さなバッチは俺の手の中に入った。
俺は何も言えなかった。
「海斗さん……彩さんのために活きるんでしょ?」
真紀がそう問う。
「……」
海斗は何も答えなかった。
目の前に一際大きい光が見える。ファイヤフライだろう。
「作戦通りガスボンベを投げる。ここは力がある純が投げてくれ。俺がガスボンベが落ちた瞬間にショットガンを撃つ。弾が一発でも当たれば爆発するだろう」
純はうなずく。
「そのあとは周りの奴らと恐らく生きているであろうファイヤフライに向かって乱射だ。いいか?」
みんながうなずく。
純はガスボンベを投げ飛ばす体勢をとった。準備が終わったようだ。
3、2、1の合図とともにガスボンベが宙を舞う。ガスボンベが落ちた瞬間に海斗がショットガンを撃った。
ドオオオオオン!
爆発音とともに爆風が襲う。
グギャアアアア!!
耳を貫くような悲鳴が辺りに響き渡る。
その音に反応したように辺りに光が現れる。
「撃て!!」
爆風が止んだと同時に海斗が叫ぶ。辺りに銃声がなり始め、その度にグギャアアアアという悲鳴が増えていく。
炎からファイヤフライが体を燃やしながら海斗に飛びかかる。
「危ない!」
俺の声より早く海斗は振り向き、ファイヤフライにショットガンを撃ち込む。……海斗の目には復讐の色しか映っていなかった。
グギャアアアアア!!
大きな悲鳴とともに吹き飛ぶファイヤフライ。地面に落ち、そのまま動かなくなった。
動かなくなったファイヤフライに何度もショットガンを撃ち込む海斗。
「海斗さん!もうそいつは死んでいます!」
俺の声が聞こえたのか、銃を撃つ手が止まる。
辺りの光はほとんど消えていた。
投稿遅いのはもはや当たり前、Firefly1122です。またも遅れてすみません。
いよいよ終盤。あと2話くらいかな?ぜひ最後まで見ていってください。
最後に閲覧ありがとうございました。次回も見てくださる方は気長に待っててください。