辺りを確認し動くものもいないとわかったあと、俺は海斗に向き直った。
「海斗さん撃ちすぎです!それじゃあ弾がいくらあっても足りません!」
海斗は俯いたまま口を開かなかった。
「そう言えばさぁ、こいつらってどうやって繁殖してるんだろうな」
元希がどうでもいいことをいい始めた。……と、思っていた。
「そんなの、女王とか何かがいて、そいつが卵を産んで増やしてるんでしょ」
真紀が呆れたように言う。
ん?女王?
俺はひとつの疑問が浮かんだ。
「博士、蛍について詳しいですか?」
時博は一瞬きょとんとして言った。
「ああ、専門ではないがある程度は知ってるよ」
「なら、蛍のメスは光りますか?」
「いや、光らない。光のは雄だけだ」
俺はゾッとした。
どうやら純と玲奈も気づいたようだ。
「メス……クイーンはどこ?」
そう。俺たちが倒したのは大きな雄の蛍だ。
海斗も正気を取り戻し、俺たちに指示を出す。
「今すぐここを離れ……!」
海斗の声が途中で途切れる。
ドサドサと何かが落ちる音。
海斗の視線の先には博士……ではなく、博士だったものがバラバラになって落ちていた。
「ひっ!?」
真紀が小さな悲鳴をあげる。
博士のバラバラ死体の上に影が落ちた……ファイヤフライよりさらに一回り大きな体。
雌の蛍だった。
そいつは、たった一振りでXプロテクスによって硬くなった博士の体をバラバラにしたのだ。
「に、逃げろ!」
海斗が叫ぶ。俺たちは一斉に逃げ出した。
ここまで来た道は一直線、ただ引き返すだけ。
一番後ろになった俺と海斗は銃を後ろに撃ちつつ逃げる。弾はことごとく弾かれているようだ。
(クソッ!なんて硬さだ!)
それでも銃を撃ち続ける。
頭上に円柱の影が見えた。……ガスボンベだ。念のためにと用意していた1本だ。
ガスボンベが奴の足元に落ちた瞬間、俺はすかさずガスボンベを撃つ。
ドオオオオオン!というけたたましい爆発音とともに爆風が襲う。
グギャアアアア!!
悲鳴が上がる。炎に照らされた奴は一瞬怯み、すぐに体勢を立て直し、こちらへ歩み寄る。
(あの爆発でもダメなのか!?)
俺は諦めの境地に達した。このままでは追い付かれるだけだ。
右側を走っていた海斗がふと足を止める。
「海斗さん!?」
俺も足を止めた。
「今までありがとな」
「いったい何を……」
海斗はポケットから丸くて緑色の卵のようなものを取り出した。それの先端には銀色に光るチェーンが付いている。……手榴弾だ。
「俺がこいつを殺る。その間に逃げてくれ」
「そんな!一緒に生きて帰るって言ったじゃないですか!」
「……この手榴弾には核と同じレベルのものが入っている。銃を手にいれたところに説明書と一緒に置いてあった。近くに誰もいない状況でないと使えない」
「そんなもの使う必要なんてないです!」
カチャ。
海斗はチェーンを抜いた。
「すまないな。俺はわがままなんだ」
俺は元希と純に引っ張られながら海斗の背中が遠くなるのを見ていた。
数秒後、今までとは比べものにならないレベルの爆風が襲う。玲奈の指示ですんでのところで物陰に隠れた俺たちは、無事だった。
こちらまで飛んできた虫の鋭い脚。恐らく奴は死んだだろう。
そして、海斗も。
珍しく早い投稿!Firefly1122です。
ゲームが一段落したので小説が捗る!……つまり、暇なだけ。
気分的に小説を書くので最終回が何日後!ってことになるかも。ぜひ最後まで見ていってください。
最後に閲覧ありがとうございました。次回も見てくださる方は気長にお待ちください。