その頃コウの現状はというと目の前にホロウが立っており一歩ずつ近づいており
「このままじゃ、おれは死んじまうな・・・へへっ、一応・・・あいつに伝言・・・頼んどいてよかった・・かな・・・」
コウがそう言い残し気を失ったのであった。
ホロウがコウの近くまで行き、そしてコウに向かって爪を振りかざそうとした時『ズドオーン』と土埃が舞い上がりそこには大きな穴があいていた。
『ギャォォー』とホロウが勝ち誇ったかのように叫び
「弱いものいじめわよくないなー」
「ギャォ?」
「勝ち誇っているところ悪いけど・・・」
そう言ってホロウを一刀両断したのであった。
「七緒ちゃーん、その子大丈夫?」
「はい、気を失っているだけですから」
「それはよかったよ!それよりこの子のすごい霊力(チカラ)あるね」
「そうなんですか。確かにこの子から霊力は感じられますけど」
「七緒ちゃん、まだまだだね」
「いいじゃないですか、私は隊長ほど観察眼よくありまんから」
「まぁ、それはそうと・・・・・後のことは全部七緒ちゃん、よろしくね!」
「京楽隊長!何を言っているんですか!」
「えー、もう、七緒ちゃんのいけずー」
「わがままばっかり言わずにもっと隊長なら隊長らしくしてください。それよりこの子は私が送り届けておきますから報告書のほうお願いしますよ」
「えー」
「わがまま言わない!」
「わかった、わかった。報告書はちゃんと書いておくからさ」
「本当にちゃんとやっておいてくださいよ!」
七緒副隊長は『竹林安』に向かって行った。
「さーてと、ちょっと面倒だけどちゃっちゃと済まして酒でも飲むか」
副隊長はすぐに到着し村人にこの子の身内がどこにいるのか聞いてその村人に案内されて
「あの、あなたがこの子の身内の方ですか?」
「コウ!コウッー」
そう叫びながらコウのそばに近づいていき、抱きしめて号泣したのであった。
「大丈夫です、彼はただ気を失っているだけですから安心してください」
「ありがとう、ありがとうございます。感謝してもしきれません」
「いえいえこれも仕事のうちですから」
そしてコウが寝ている時・・・
「・・・ウよ」
「・・・コウよ」
「・・・導コウよ」
「目覚めよ、先導コウよ」
「うっ、ここは・・・」
起き上がり
「ここはお前の精神の世界だ」
「僕の精神の・・・世界?」
「ああ、そうだ」
「それで僕はどうなったの?」
「お前が気を失ってから死神に助けてもらった」
「死神に?」
「ああ、そうだ」
「ハハッ、それはよかった」
胸をなでおろし
「それより、あんたの名前は・・・」
「■■だ」
「聞いてみたけど、やっぱりまだ聞こえないや」
「次、会うときは私の名が届くといいな」
「そうだな」
コウが目を覚ましたときは三日のことであった。
「んっ・・・あっ・・・ここは・・・?」
目を覚まし近くにいたエミカが
「コウ・・・お兄い・・・ちゃん、コウお兄ちゃん!」
エミナがコウに抱きつき
「えっ、ど、どうしたのエミナ?」
「コウ!」
母親が立っており、その隣にはユリ姉がおり
「母さん・・・ユリ姉・・・」
「よかった、よかったよ」
明美は目から大粒の涙がこぼれ落ちておりコウは状況がつかめずにおりユリが説明し始め
「コーちゃんはこの村に戻ってきてから三日も眠ってたのよ」
「三日も!?」
「そうよ」
「ユリ姉、母さん、エミナ・・・心配かけてごめん」
明美がコウのそばに行き、コウの頬を思いっきり叩いた
「いたっ」
それから明美はそっと抱きしめ
「もう、何が今までありがとうよ、何がずっとそばにいるのよ!母さん・・・あなたのことすっごく心配していたのよ」
「本当にごめん、母さん・・・でもあの時なにがなんでも友達を助けたかったんだよ。だから・・・」
「そのくらいわかってるわよ」
そう言って再び抱きしめた。
しばらくしてから森崎と倉野が入ってきて
「大丈夫なのか、コウ」
「疲れが残ってるくらいだけだからさ」
「倉野お前に心配かけて悪かったな」
コウが謝り
「べつにいいよ、お前が帰ってきてくれただけで俺は嬉しいし」
そう言って笑い
「それもそうだな」
「それより森崎」
「な、なんだよ」
「何お前一人で逃げてるんだよ」
「うっ、お前そのこと根に持ってんのか?」
「根に持ってるとか持ってないとかより勝手に一人で全力疾走して駆け下りるんじゃねぇよ」
そう言って森崎に一発殴った
「いってー!」
「これで水に流してやるからさ!」
「チッしょーがねーな、しかしいってーな、おい」
森崎の発言はスルーされて
「無視すんなよ」
「わりぃ、わりぃ、おれはもうちょいゆっくりしたいから出て行ってくれねえか」
「それは悪かったな」
「それじゃゆっくりしろよ」
森崎と倉野の二人は出ていきすれ違い入ってきた時に
「それよりユリ姉」
「何?」
「どうしてここにいるんだ?」
「どうしてって他の人から竹林安でホロウに襲撃されてるって聞いて駆けつけたかったんだけどそれを聞いたのが二日前なんだけどね」
「そうなんだ。それとさ」
「今度は何?コーちゃん」
「僕を助けてくれたのってユリ姉・・・?」
「コーちゃんを助けてくれたのは八番隊隊長の京楽さんと副隊長の七緒副隊長だよ」
「隊長と副隊長の二人が僕を・・・」
「そうだよ」
「それじゃ『ありがとう』って伝えてくれないかな?」
「・・・・分かったわ」
ユリはその場を後にして瀞霊廷に戻っていく際独り言で
「私・・・一体何のために死神になったんだろう・・・・」
顔をうつむかせたまま考えており
「ユリさん」
「一護君」
「浮かない顔してどうしたんですか」
「実は私の生まれ故郷でホロウに襲われた少年が私の友人というより弟みたいな感じなんですけどそれに昔、ホロウに襲われたことがあるんです」
「それであんたみたいな人たちを増やさないために死神になった」
「そうなのに・・・・なのに私!」
「隊長までなったのに彼を護れなかってところか?」
「ええ、それに私どうしたらいいのかわからなくて」
「隊長になってすべてを護ろうなんて所詮無理なこった」
「・・・・・」
ユリはそのまま一護の胸の中に倒れこみ泣き出して
「俺だって幾度の戦いを経て護れなかった人や助けられなかった人もたくさんいた・・・だけどそんな中でも信じ合える仲間と共にくじけずにやっていくことだな」
ユリは一護から離れて
「ありがとう、一護君なんだかすっきりしちゃった」
すぐさま八番隊隊舎へ向かい屋根の上で昼寝をしていた京楽隊長の隣に座り
「どうも、京楽隊長」
「おやおや、ユリちゃんじゃないか。今日はどうしたんだい?」
「先日起きた例の件なんですけど」
「あれがどうかしたのかい」
「京楽隊長が助けた少年が目を覚まして伝言を頼まれましてね」
「伝言?」
「『助けてくれてありがとう』・・・と」
「ふーん・・・・大したことはしてないのにな」
「でも、あの子からしてみれば大したことじゃないのかもしれませんね」
「それはそうとあの子早く死神としての教育っていうか霊術院に入ったほうがいいかもしれないね」
「京楽隊長もそう思いますか」
「多分ね・・・・遅かれ早かれそのほうがいいかもね」
「そうだ!」
ユリは何かを思い出したかのように両手をパンっと叩き
「次は何だい?」
「七緒さんにバレない様にお礼としてお酒を持ってきたんでいつものところに隠しておいたんでね」
「おお!気が利くね。ユリちゃん」
「やっぱり京楽隊長こんなところで昼寝ばかりして」
「あ、七緒ちゃん、どうしたの」
「どうしたもこうしたもちゃんと仕事してくださいよ。それと臼井隊長はどうしてこちらに」
「彼女はホロウに襲われた少年が目を覚ましてね、それとその子から伝言を聴いていたところさ」
「そうですか、それはそうと早く来てくださいよ」
七緒は立ち去っていき
「さてと私も戻りますかね」
ユリも腰をあげて隊舎へと戻っていったのであった