この作品はソウルシリーズ寄りの内容になっています、ですのでデモンズ、ダクソⅠ ダクソⅡ ダクソⅢ 等の要素が含まれます。
第二話 へっぽこ魔導師
俺がミッドチルダに住み着いて半年、例のへっぽこ魔導師に付きまとわれる事以外は概ね平和な時を過ごしている。
アレから自分なりに己の状態を調べて見たが、胸のダークリングは相変わらず存在し、亡者化はしないものの死なない体に変わりは無かった、自決すら出来ねぇのかよ。
何度目になるのかわからんため息の後、テレビの電源を入れる。 特に見たい番組はねぇんだが、ニュースくらいは確認しとかねーと、世の中の動きが分からん。
普段は何の他愛もないニュースばかりなんだが、この日ばかりはどの番組も同じニュースを流していた。
『相次ぐ辻斬り。犠牲者は語る、黒い騎士に襲われた』
『現代に蘇る黒騎士、その目的は復讐か!?』
「黒騎士……ねぇ」
殆ど生存者は残っておらず、瀕死の犠牲者が死の間際に呟いた黒騎士と言う単語を拾っただけに過ぎんのだが、俺は如何にもその黒騎士と言う単語が気に掛かった。
単に見た目が黒いから、嘗ての黒騎士のコスプレをしているだけなど、色々考えられるんだが、何と無く引っかかりを覚えちまった。
(黒騎士……、ニュースの内容からして大体俺がこの世界に来た頃と同じタイミングで辻斬りが起こっている、偶然か?)
「おっじゃましまーっす!! 相変わらず日当たりの悪い部屋に住んでますねぇ旅人さん」
「余計なお世話だへっぽこ魔導師、つーか何の用だ」
「うーっ、今回はへっぽこ呼ばわりには目を瞑ります……」
「ほーん、その様子じゃあ本当に用があるみてぇだな、話してみ」
「あっはい、実は最近巷を騒がせている黒騎士事件なのですが、時空管理局が本腰を入れて捜査する事になりましてですね、夜間の外出は危険なので控えて欲しいと言う話をしに来ました」
管理局……確か世界を仕切ってる警察みてぇなもんだったか。 よく見るとへっぽこ魔導師の服装も管理局の制服だ、普段私服姿でしかあわねぇから意外だな。
取り敢えず適当な返事を返してへっぽこを部屋から締め出した後、ベッドに座りながら過去に黒騎士が出現したエリアを纏めて行く。
ニュースや新聞等の情報媒体から得た情報だからか割とばらつきがあったものの、この街を取り囲む様に点在しているらしく、出現帯もある程度絞り込む事が出来た。
黒騎士は必ず夜中に現れる。 被害者が切られた時間が毎度毎度午前2時頃であり、他の時間帯には一切現れないんだと。
ソウルからシミターを取り出し、刃を指先でなぞる。 赤い線が指の腹にうっすらと入り其処から血が滲み出している、長い間使わなかったが切れ味に関しては問題無しの様だな。 せめて竜狩りの大弓が残ってりゃ楽なんだが、王のソウルに焼かれた所為で灰になっちまってるからなぁ。
(まっ、ないものねだりをしても仕方ねーや、それよりも今は黒騎士が本物かどうかを調べる方が先決、上手くやれば連中の得物の一本や二本手に入るだろうしな)
それにもし黒騎士が本物だった場合、あのへっぽこじゃあ歯が立たん、連中魔法耐性はそれほど高くは無かったはずだが、それでも女子供が勝てる様な相手でもねぇ。
そう考えて、俺はすっかり甘くなった自分に呆れながら夜までの暇つぶしをしに街へと繰り出していった。
街に出るとあちこちで管理局員が黒騎士についての聞き込みをしている姿が見える、聞き耳を立てながらその情報を聞きいてみたが、そう簡単に黒騎士は尻尾を出さねぇようで、碌な情報は手に入らなかった。
(まっ、あのトラブルメーカーをさがしゃあ黒騎士に逢えるだろうさ)
–––––その日の午前2時、プレシア・テスタロッサは夜間の見回りに回されていた。
元々は研究職を志望していたのだが、生まれ持つ魔力量を見込まれた所為で、研究者兼魔導師と言う立ち位置になってしまっていたためだ。
「はぁ、私まだ花も恥じらう14なのに……なんでこんな夜中の見回りに駆り出されてるんでしょう、人手不足過ぎませんか? そんなに人手が欲しいならヒトデに手を借りれば良いんです、ヒトデだけに」
眠さと見回りの退屈さ、二人一組にも関わらず相方が早々に彼氏とのデートがあるからと言う理由で帰ってしまった苛立ちが彼女を襲っていた。
そんな時である。
「––––––––あれっ? 前の方に誰か居ますね」
この時、彼女はその人物に対して何の警戒心も懐いていなかった。 そもそも黒騎士事件と呼ばれるこの騒動も、所詮は愉快犯の仕業だろうと高を括っていた為だ。
故にその騎士と対峙した際に、彼女は固まってしまった。
身の丈を越える大剣、黒ずくめの鎧、その全身から溢れる覇気、彼女は直感的にこの騎士が黒騎士であると理解し、同時に自分の死を悟る。
(あっ、これは私死にましたね)
現実離れした感覚、しかしそれは死の前の恐怖を麻痺させていただけであり、その証拠に彼女の体は震えていた。
ゆっくりと迫る黒騎士、その手に持つ大剣は既に血に濡れている、よく見るとその足元には早々に帰った相方とその恋人らしき男性が転がっている、胴を両断された状態でだが。
気が付けば目の前に立つ黒騎士、その振り上げた刃は今まさに振り下ろされる寸前であり、彼女は固く目を閉ざし、来るはずの自分の死に向けて覚悟を決めていた。
「敵を前にして簡単に諦めてんじゃねぇよ、だーからテメェはへっぽこなんだよ」
黒騎士出現、マラソンしなきゃ(使命感