やはり、俺がもう一人の天災なのは間違ってる(凍結中、リメイク版を作成中)   作:形右

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 それでは食蜂操祈のヒロイン回です。

 ちょっとどういう感じにしようか悩んだ結果、こんな感じにしてみました。


出会ったのは金色《クイーン》

「そういえば……あの人はどうしてるかしらねぇ?」

 

 これは、もう一人のヒーローに救われた少女の昔話。

 そのヒーローは、正義の味方なんて柄ではなかったけれど……それであっても救われてしまったのだ。

 

 あの、目つきの悪い顔立ちだけは無駄にいいヒーローさんに……。

 

 

 学び舎の園の片隅で、そんなことを考えている彼女の名は――――――――――

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 今から少しだけ昔の話。

 

 

 とある交差点で、どんくさい彼女と彼は偶然出会った。

 

 

「何してんだ?お前」

 

「べべべ、べつに今のはそういうのじゃなくてぇ!た、単によそ見してただけだからぁ!!」

 

「……それで肉塊になりに行こうとしてるんじゃ世話ねぇな」

 

「なっ……!?」

 

 プライドばかり高くて生意気なその中学生に八幡は少々ムキになっていた。(まぁ、一応自分も中学生なのだが…)≪このころからロイヤルニートだが≫

 というか生意気で可愛くない。

 

「まぁいい。次からは精々気を付けるんだな、死ぬんだったら周りに迷惑かけない場所選べよガキンチョ」

 

「ガキンチョぉ!?あ、あなたねぇ!どこの誰に向かってそんな口きいてんのよぉ!?」

 

「知るか、つか別にどうでもいい」

 

「むきぃ~!!私はぁ!この学園都市でも10人しかいない超能力者(レベル5)の一人『心理掌握』(メンタルアウト)の食蜂操祈サマよぉ!!」

 

「メンタルアウト……ああ、常盤台で女王様モドキやってるっていうアレか」

 

「あ、アレって何よぉ!?人サマを物みたいにぃ!!」

 

 この話を聞いてなんとなく合点がいった。なんでこんなに生意気なのか、それとこの舐め腐った態度。

 あとついでになんとなく思い出したことがあるので、それに関する言いたいことだけを言うことにした。

 

「ああ、そうだ。『心理掌握』に会ったら一言言いたいことあったんだった」

 

 唐突にそんなことを言われ驚いて固まる操祈。

 いったい何だというのか?というかなんでいきなりそういう話になるのか理解できない……。

 

「来年、俺の妹が常盤台(お前らんとこ)に通うことになるんだけどな?そこで俺の妹にちょっかいかけたらぶちのめすって忠告しとこうと思ってたんだよ」

 

「なによそれぇ……単なるシスコン力全開なだけじゃない…」

 

「ああ、それがどうかしたか?」

 

「はぁ……妹思いは別にいいケド、あなたも馬鹿ねぇ…そんなことの為に超能力者(レベル5)にケンカ売ろうだなんてぇ~」 

 

 呆れたように言ってくる目の前の少女に八幡は……。

 

「そんなことぉ?俺の妹に手ェ出すなんてことしたら俺は神でも仏でもぶちのめすんだよ。大体、『超能力者』(レベル5)()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……ずいぶん大きく出たわねぇ。ちなみに貴方のレベルはぁ?」

 

()()

 

「……へっ?」

 

「だから、()()()()()()()()

 

 彼女は、その少年から告げられた言葉の意味を理解しかねていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

「思えば随分滅茶苦茶だったわねぇ……あの人」

 

 ガキンチョ呼ばわりにシスコン宣言。挙句の果てには『レベル無し』……。

 許容容量オーバー待った無しの言葉の数々に翻弄されっぱなしだった。

 

「それにしてもぉ、この都市(まち)の【天災】さんはぁ随分と最低だったわねぇ……」

 

 そんなことを思い出しながら、彼女は彼との初めての出会いを思い出していた。

 

 10/203万の超能力者(自分たち)よりもさらに特別。

 

 この都市の『序列外』の能力者。

 言動や態度もだったけれど、全てに置いて『常識外れ』な人。

 

「まさかあんな人に助けられるとはねぇ……」

 

 ヒロインを助けるのはもっと熱い、熱血タイプのヒーローサマが来るものなのでは無いのか?などと世迷言を言ってしまうあたり、いまだに信じ切れていないのかもしれない。

 自らが体験した『あの出来事』を―――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

 結局あの後、なんだかんだと言って八幡に引っ付いて文句を並べ立てていた操祈は、なんだか知らない内に裏道に入っていく八幡に文句を垂れまくっていたいたため気づかずかなり裏道に入ってしまっていた。

 

「あっ」

 

「えっ?」

 

 そんな軽い一言で―――――人の心を読み、掌握することに誰より長けた自分。通常『支配者』側のはずのこの『私』をいとも簡単にあしらってくれやがったあの人。

 というか、自分でもなんであんな手に引っかかったのか未だに謎である。

 

「って、何だったのよぉ……―――って!?いないし!?」

 

 どこ消えた!?とあたりをきょろきょろと見渡しても人影一つありはしない。

 まさか『レベル無し』なんてテキトーなこと言っときながら実は空間移動系の高位能力者だったのか!?

 そんなことを考えながら、しばらくうろちょろと路地裏を見て回っていた。

 いかに優秀な空間移動系でも、あの一瞬でこの狭い路地を抜けてどっかに飛ぶなんてそうそう出来はしないはずだ。

 確か、聞いた話によると……どこかの『上位互換』の空間移動能力者が飛べる距離は約800mくらいで通常仕様の『空間移動』(テレポート)で約80mくらいだと聞いたことがある。

 まさかあの人がその『上位互換』だなんてはずはない(そもそも確か女性という話だったはずだから)。おそらくは『空間移動』だろう。と勝手に検討をつけると80mの範囲に移動できる場所がないかと周りを見回す。(ビルに囲まれているから80m越えの移動ポイントはかぎられる……はずだ)そもそも、高層ビルがあふれかえるこの都市において80m以下で奥行き80m以下はだいぶ少ない。

 この場所的にそのはずだと思っていたのだが……それらしい場所がない。どういうことなのだ?と頭をひねっているとそこへ……。

 

「何だ、テメェ?」

 

 これまたわかりやすく不良に絡まれた。

 

「はぁ~今日は厄日なのかしらぁ……?」

 

 そういって、リモコンを取り出し目の前の不良共を一掃しようと考えた操祈の耳に、急に不快な音が走り頭痛が襲ってくる。

 

「な、な……にぃ……?」

 

「へぇ~やっぱり高位能力者か。こいつも試作品とはいえ結構効くみたいだなぁ?」

 

 このときの操祈が知る由もないが、これはこの後『能力体結晶』にまつわる≪乱雑開放≫(ポルターガイスト)事件において使用され、美琴や黒子といった行為能力者を苦しめることになる『キャパシティダウン』の試作タイプである。

 

 とはいえ、操祈も超能力者。攻撃型ではないとはいえ能力を完全に抑え込むことはできない。

 しかし、元々どんくさいというかまだ幼い、というより拙いというべきか。戦闘タイプでない彼女はまだこういった≪実戦≫の場数が足りていない。ゆえにこういったイレギュラーに弱いのだ。

 そんな彼女に容赦なく不良共は下卑た視線と共に、彼女へ向かってくる。

 焦りばかりが浮かび、どうすればいいか答えの出ないループ思考に入ってしまっている。それに拍車をかけるように、キャパシティダウンによる妨害音波が頭痛を引き起こす。

 

「さぁ~て、じゃあ楽しい遊びの時間と行こうかねぇ?」

 

「つーかコイツ常盤台生じゃねぇ?」

 

「おぉ、あのお嬢様学校のか」

 

「いいねぇ~お嬢様にはまだちょっと早い〝お遊び〟を教えてやろうぜぇ~」

 

(なんで今日はこんな変な連中にばっかり会うのよぉ!ホントに厄日……)

 

 しかし、不良たちが彼女に触れようとしたその時だった。

 

「ったく……お前本当にとろいな。というかこんな奴らも追い払えないくせに超能力者名乗ってんのかよ?実践の経験足りねぇな…いったいいつまで狭い路地で人様の通行を塞いだら気がすむんだ?」

 

「えっ……?」

 

 何故かその人は不良に絡まれ、()()()()()()()()()操祈の横から現れた……。

 

「な、何だテメェ!?どっから湧いて出やがった!?」

 

 不良たちも驚愕している。〝唐突に〟現れたその人物は、音波なんて別にどうってことことないという顔をして立っている。

 

「ど、どうやって出てきたか知らねぇが、この音聞いて平気ってことは『無能力者』(レベル0)…そうでなくても能力者と言えるほどじゃあねぇはずだ!」

 

「そ、そうだ!ヒーロー気取りが痛い目見せてやるぜ!!」

 

 そういって殴りかかった誰もが、一人として触れられなった。それどころか、勝手にボロボロになっていた。

 少年はそれをつまらなそうに見て、こう吐き捨てていた。

 

「詰まんねぇなぁ……もっと面白くして見せろよ。ガキンチョの相手されられてフラストレーションたまりっぱなしなんだよ」

 

「お前、能力者…なのか?だ、だったらなんで≪こいつ≫が効かない!?」

 

 そういってキャパシティダウンの試作機を突き出してくるが、少年はつまらなそうにため息をはくと……相手を見下ろしながら薄ら笑いと共にこう告げた。

 

「そういう『普通』と同じにすんなよ、俺はそういう常識の範囲外だ。そういうサポート(小細工)如きで俺と渡り合おうとするなよ……そんなもんじゃ、本気出しちまったら―――――――1秒も持たねぇじゃねぇか」

 

 ゴオオォ、と音を立てて少年の背中ら『光の翼』が出現しその不良の手に持っていた≪キャパシティダウン≫を弾き飛ばした……いや、通り抜けるようにして〝粉々〟にした。

 

「ほらな?」

 

「ひぃぃぃぃいいいいい!?!?!?」

 

 完全にビビった不良たちはわらわらと逃げ出していく。ただただ、恐怖から逃走したいがために。

 

「おい、まてよ。まだ足りねぇって……行っちまった」

 

 チッ、と舌打ちしてつまらなそうにしている目の前の少年に操祈は驚愕し、恐怖し……そして、非常に――――――そうだ、ひじょぉぉぉおおおおおおおに癪だが……目の前の少年に…見惚れてしまっていた。

 

「貴方……本当に何なのよぉ?」

 

「さっきもいったろうが、『レベル無し』だってよ。もう忘れたのかよ?」

 

「……じゃあ、その『レベル無し』さんに聞くケドぉ。さっきの何?いったい何なの?いきなり現れたりして、あまつさえなんか……えっと、その…なんていうかこう『翼』みたいなの出してたしぃ」

 

「自分でもよく知らん。以上」

 

「はあっ!?」

 

 知りたかった答えが返ってくるかと思いきや、帰って来たのは「知らん」の一刀両断。開いた口のふさがらない操祈はポカンとした表情で固まった。

 

「何だ、その間抜け面は?」

 

「まっ……間抜け面ですってぇええ!?」

 

 立ち上がって反論ついでにひっぱたいてやろうかと思ったが……何故か立てない。

 

「あれ……?」

 

「……まさかとは思うが―――――――立てねぇのか?」

 

「………くぅうううう………!!」

 

「マジかよ……」

 

「結局のところ、お子様ってわけか………」

 

 言い返せない。だから悔しい。腸が煮えくり返る気分というのを、彼女は生まれて初めて体験した。

 

「………しゃあねぇかな。エスコートしてやるよ、ありがたく思え」

 

「………」

 

 えらそうにして……と怒りばかりだが、さすがにこの後路地裏に放置且つ不良と再度エンカウントなどという事態は避けたい――――――というわけで仕方なく、そうなのだ。仕方なぁぁぁあく、エスコートさせて〝あげる〟のだ。

 

「さすがに歩くのも面倒だ。飛ぶけど、暴れんなよ」

 

「ハイ?」

 

 この人、今なんて言ったのかな?、と考え直す暇もなく彼女の体は心を置き去りにしたまま上空に飛翔していった。

 

「うぎゃあああああ!?!?」

 

「……うっせぇな、黙れ。じゃねぇと落とすぞ」

 

「え、エスコートって言葉の意味調べてから女性をエスコートしなさいよぉ!!」

 

「………女性なんて年かよ、まな板」

 

「んなぁっ!?」

 

「いいから黙ってろ。大通りの手前まで送ってやるよ、そこでこの馬鹿気た関わりも終わりだ」

 

「……なんなのよぉもぉ…」

 

 不貞腐れて、何気なく周りを見渡したとき何というか……『凄い』と感じた。

 ここへきて、操祈は……この人が本当に「超能力者なんかに臆する必要なんてあるか」という言葉の通りの存在なのだと感じた。

 

(この人……本当に何者なのかしらぁ?)

 

 ただひとつわかることは、少なくとも自分なんかよりは格段に強い。

 それだけはわかった。その分〝知りたい〟という感情が芽生えるのを感じた。

 

 そんな感じに考え事をしているうちに地上についたようで……ほらよ、と地面に降ろされる。

 

 あと念のために言っておくが、絶対に名残惜しいとか思っていないということだけは言っておく。あくまで念のため、そう念のためだ。

 絶対にそういうのではない。決してカッコいいなと思ったとか、そういう類の感情ではない。

 知りたいと思ったのだって、あくまで『超能力者』(自分たち)よりも強いかもしれない高位能力者に興味がわいただけだ。

 

「(そぉよ~決してこの精神系の頂点であるこの私が、そのぉ……す……kとかそういうのじゃないからぁ!!!)」

 

(何頭抱えて首ふり高速運動をしてるんだ?)

 

 まぁいいか、とさっさと操祈を降ろす少年。

 そして彼はじゃあな、と告げ立ち去ろうとするが、それを少女が引き留める。

 

「……ちょっと待ってくれるかしらぁ」

 

「……んだよ」

 

「名前……」

 

「名前がどうした」

 

「鈍いわねぇ……お名前、教えてくださるかしらぁ?」

 

 何というか妙に丁寧っぽい口調がすごく違和感があるが………まぁ名を教えるくらいいいだろう。

 

「比企谷八幡」

 

「ひきがや……はちまん、ねぇ。覚えたわぁ」

 

「そんなもん覚えている必要ねぇだろうが」

 

「いいのよぉ、ちょっとした気まぐれだからぁ……」

 

「そぉかい」

 

 そういって飛び去る彼を見て驚いたが……それより驚いたのは、周りの人間の〝無関心さ〟だ。

 

「謎ばっかりねぇ~……」

 

 

 結局その少年―――比企谷八幡とは、その次の出会いまでは出会わなかったけれども……なんだかこれまでにない感情を植え付けられてしまったことだけは分かった。

 

 

 

 

 

 ***

 

 

(ホント、最悪なのか美しいのか訳の分からない出会い方だったわねぇ……)

 

 そういって学び舎の園の片隅で少女は笑っている。

 

 とある日の出会いを思い出しながら……。

 

(まぁ、あの人とはそのあとも会っちゃうんだけどぉねぇ……)

 

 

 

 

 

 少女と少年の二つ目の会合の物語は……また次の機会にはなしましょうか。

 

 

 

 

 

 女王(クイーン)天災(イレギュラー)の二人の出会いは少しだけ甘く、そして……少しだけ苦かったりもする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 次話で、八幡との因縁を書きます。

 操祈は過去加えた関係を作るのが難しいです。(というか蜜蟻愛愉との因縁とかどうしよう……) 

 あとほかの俺ガイルヒロインとの関係も書かないと本編が始めづらいので俺ガイルヒロインの立ち位置を早く作らないと……。

 次からも頑張るので今後もよろしくお願いします。
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