やはり、俺がもう一人の天災なのは間違ってる(凍結中、リメイク版を作成中) 作:形右
とりあえず操祈編終了です。
二人は再開を果たしていた―――――――――――
***
それはまたしても偶然の出会い。
厄介ごとの中で二人は再開を果たした。
「どうしてこうなった?」
「そんなこと聞かれてもぉ…向こうにいる敵さんに聞いたらどうぉ?」
端的に状況を説明しよう。現在の状況――――――――四面楚歌。
以前に会った女王様モドキがどういう因果なのか、俺の通っていた道になんとも迷惑なことに集団の『敵』を連れてきてくれやがったわけだが……。こいつら誰なんだ?
なんでここにくるんだか……。俺とかこの女王様(笑)のところ来るくらいなら第一位のところにでも行って来いよ。その方が面白いんじゃないか?
「お前は何だ?なぜその超能力者を庇う」
別に庇ってるわけではないのだが……。この手の奴は話を聞かない奴が多い。そしてそいつらの来ている―――赤いライダースーツ?のようなものはどうやらこのガキンチョに対する対策のようだが……。車輪がそこら中につけられており、背中にはジェットパックのようなものを背負っている。
まるっきり宇宙服にでも使われてそうなそれは、このお嬢様一人を仕留めるためのもの様だが……。〝こいつ〟相手に『それ』を使うのかと思うとかなり疑問が生じてくる。戦闘力皆無でこれなら、ほかの先頭に長けている超能力者だったらどうするのか、ちょっとばかし気になりもしたが……。それにしても大げさだなと思う。人気がないとはいえここは一応街中なのだから、こんなものを持ち出すほど大げさにすべきなのだろうか?それとも考えなかったのか、なりふり構っていられなかったのかはいったん置いておくとして……。
さてどう反論してやればいいのか。庇っているわけではない、コイツが目の前にいて尚且つ知っている自分よりも戦闘向きの『能力者』に頼ろうとでもしたそれだけの結果だ。
「答えろ!」
向こうは話を聞く気はあまりないようで、こちらに返答とそのあとの行動を早く決めろと迫る。
はぁ、まあいい。掃除して帰る、それだけのことだな……。
「はいはい分かったっての……じゃあ失せろ」
一層してやるという意味をその一言に込め、その通りに一掃してやる。
「た、助かったわぁ…お礼を言っとくわねぇ」
「なんで俺んとこに来るんだよ他のとことこ行けよ、なんでお前は毎度毎度面倒ごとを持ってくるんだ?何損案い面倒ごと好きなの?マゾなの?」
「私だって別に、こんな風に狙われたくて狙われたわけじゃないわよぉ」
「……一応聞くんだが、こいつら誰?」
「たしか『デッドロック』とかいう集団だったと思うけどぉ」
『デッドロック』……聞いたことが無いな。まぁべつにどうでもいいが序列付きの連中は大変だな、いちいちこうやってちょっかいかけてくる連中が多いみたいだし。
「まぁいい、俺は帰る―――――――誰だよお前……?」
その時振り返った先に、先ほどまではいなかった人物が一人立っている。
うっすらと漏れ出している声から、その人物が男性であるのはなんとなくわかる。
その声も、何だろうか。笑って……いるのか、何やら意味深な風に暗がりの中で姿を見せないそいつが発した第一声はこんな言葉だった。
「ふっふっふっ……これが運命のめぐりあわせか……
運命とかめぐり合わせなんて言葉よりも驚いたのは、そいつの口にしたある人物の名前。
『アレイスター』
この都市の最高権力者。学園都市統括理事会の理事長。その人物の名と共に、これが運命のめぐりあわせだといった……。つまりこの人物はアレイスターが何らかの目的で送り出してきた…ということだろうか?
それにしても、なぜ今なのだ?
「いやなに、我は理事長殿からの依頼で参ったのよ」
「依頼?」
「そう!なんでも
プラン……ゼロ?
「そのプランゼロってのは…何だ?」
「教えられんそうだ。むろん我も知らん」
だが、と付け加えてそいつは言った。
「そのために、我らがぶつかり合うことだけは確かなようだ」
「……、」
「とはいえ、そこにいる第五位には退場願いたいものだ。関係ない『序列付き』の貴女らは精々このことを忘れることだ。ちょうどよかろう?―――――『心理掌握』の得意分野だろうて」
「!?」
そいつは手を一振りし、どういう能力だか分からないがその手の先にとらえた食蜂操祈をどこかへ飛ばし退場させた。
飛ばされるとき、信じられない顔を浮かべるしかできなかった彼女はその後のことを何も知らない……。
ただひとつ、確かなことは……『彼』比企谷八幡は彼女のことを〝すっかり忘れていた〟。そのことだけは確かで、彼女には一体何が起こったのか未だに分からない。
ただ、向こうは自分のことを蚊ほどにも警戒していないのか彼女に記憶を消すように催促することも何もなかった。
『零計画』だの【天災】だのと知らない単語だけ並べられて、なにもわからないままに放り出された。
変な事ばかりをたった二回の接触でいろいろと押し付けるだけ押し付けられ、後はご自由にとは……随分なアフターサービスだ。
だが、結局彼女は忘れなかった。本当はまだ知りたかったのも事実で、未知なものにひかれたのも事実だったから。
ごちゃごちゃとかき回されるだけかき回された出会いは、すっきりとしないまま終わった。
***
結局、自分でその後に得てみた情報では特に大きい収穫はなかった。
知りたかったことは分からないまま、自分のことを忘れた少年は思い出しもしないまま。
救ってくれた、救ってもらった、なんていえないけども『手助け』くらいはしてもらった。
どこか暗い所を抱えていたあの人はヒーローなんて柄じゃないけども、もっと話してみたかった。
精神系能力者として色々と心の裏を見てきたから、人生というものに興味を失っていた。人という存在に興味を失っていた。だがそこへ〝訳の分からない力を持った者〟が現れた。
興味深いと思ったのと意外と綺麗だったそれを有したその人は、『手助け』くらいのことはするめんどくさがりだった。
そんな人は今現在も何かに振り回されているんだろう。(丁度この間も妹さんに振り回されていたのを見たばかりだ)
さて彼の抱えていたものっていうのは何なのか、それを知ることはもっと時間が必要だろうけど……。
「次はもう少しちゃんとお話ししてみたいわねぇ……」
甘い思いは最初だけ、助けてもらっただけ。というよりただの成り行きだったが、モヤモヤするものを残していってくれやがった『責任者』とその渦の中心である『彼』にはちゃんと説明をしてもらうと決めた彼女は、消された記憶の中にあるものを次は知ることができるよう生きている。
この都市にある秘密のうちの一つ。それも一番大きなもの。それを知ることができるのはいつなのか、それを知ることはできない。
いつか、気まぐれな道の果てのどこかでその機会があったならその時はゆっくりと聞いてみたいものだ。
どす黒い闇か悲しく切ない物語か、あるいはなんてことないものなのか、それを知るために――――
―――――ゆったりと待っておこう。いづれまた、めぐり合う時までは……。
材木座はこの小説内では敵、あるいはライバル的なポジションに据えてみることにしました。
次話もついでに投稿します、短いですが聖人ともう一人の【天災】とのエンカウントで、八幡をいよいよ本編に絡めようと思います。