暗殺教室verβ   作:サクソウ

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答えの時間

「要するに、怖がらせて吊り橋効果でカップル成立を狙ってたと?」

 

殺せんせーによる肝試し(カップル成立大作戦)が幕を閉じた。

吊り橋効果で成立するようなカップルろくなもんじゃないと思うぞ…?

大体、男女で吊り橋行ってカップルになるなら、『リア充爆ぜろ団体』なんか結成されないっての!

そこらじゅうリア充ばっかになるからね!マジリア充爆ぜろ。

 

「だ、だってみたかったんだもん!手ぇつないで照れる二人を見てニヤニヤしたいじゃないですか!!」

 

「殺せんせー…諦めろ。」

 

「にゅう…夜舞君ひどいです…先生から見れば一番手っ取り早そうな君にそう言われるとは…。」

 

なにそれ俺安すぎない?

 

「何よ!結局誰もいないじゃない!怖がって歩いて損したわ!!」

 

「だからくっつくだけ無駄だと言ったろ。徹夜明けにはいい荷物だ。」

 

「うるさいわね!!男でしょ!

美女がいたら優しくエスコートしなさいよ!!」

 

ビッチ先生は小声でstupidとつぶやいた。

やだなぁ、すげえデレデレじゃん!

 

「「「くっつけちゃいますか!」」」

 

誰もがそう思った。

ほんと、人間って好きよねこういうの。

だって楽しいんだもん!!

 

***

 

なるほどなるほど、聞けば堅物を落とそうと躍起になっている内に段々惚れていったらしい。

いやちょっと非日常すぎてよくわかんない!

しっかし、ビッチ先生って意外と純情なんだよなぁ…。

 

「俺らに任せろって!二人のためにセッティングしてやんぜ!」

 

前原…お前良いやつだったの?(困惑)

ということで、夕食の時間に『堅物烏間を落とせ大作戦』が決行された。

 

まずは、二人を上手く外に連れ出す。

 

「烏間先生の席ありませーん!」「E組名物先生いびりでーす!」

 

さすが中村さんと岡野さんだ。

俺なんてちょっと睨まれたら土下座して謝っちゃうまである。

土下座選手権金賞狙えるんじゃねーの?無理?すいませんっ!!

 

烏間先生は渋々外にセッティングしてある席へと向かった。

 

「なんで俺たちだけ追い出された?」「さぁ…?」

 

やだ、ビッチ先生すげぇ嬉しそう!

 

「…色々あったな、この旅行は。

だが収穫もあった、基礎が生徒に身についているのが分かった。

この調子で二学期中に必ず殺す!イリーナ、お前の力も頼りにしてるぞ。」

 

「…。」

 

ビッチ先生の空気が変わった。

 

「…?どうした?」

 

「…昔話をしてもいい?

私が始めて人を殺した時の話。12の時よ。

 

うちの国は民族紛争が激化しててね。

ある日私の家にも敵の民兵が略奪に来た。

親は問答無用で殺されて…敵は私の隠れたドアを開けた。

『殺さなければ殺される』父親の拳銃を至近距離から迷わず撃ったわ。

敵の死体を地下の蔵に押し込んで…奴等が去るまで死体とスシ詰めになって難を逃れた。

一晩かけてぬるくなっていく死体のぬくもり、今もはっきり覚えているわ。

 

ねぇ烏間…『殺す』ってどういうことか、本当に分かってる?

 

湿っぽい話しちゃったわね、それとナプキン適当につけすぎよ。」

 

そう言うとビッチ先生は烏間先生のナプキンに口をつけ、そのまま烏間先生の口に持って行った。

 

「好きよ烏間、おやすみ。」

 

 

 

「何よ今の中途半端な間接キスは!!」「いつもみたいに舌入れろ!舌!!」

 

「あーもーやかましいわガキども!!大人には大人の事情ってもんがあんのよ!!」

 

それはそれでビッチ先生らしいな。

さて、俺はちょっと海を眺めてから寝ますかね…。

 

***

 

「あら夜舞、こんなとこにいたの。」

 

「…どうしたんすか?」

 

「あからさまに嫌な顔するわね…。少し話があるのよ。」

 

「それじゃ俺もう寝ますんで…。」「ちょっと!?」

 

「はぁ…で、なんなんですか、話って?」

 

「あんたも相当鈍感なのかしら?もちろん桃花のことよ。

気付いてんでしょ?あの子が何かを抱えてるってことに。」

 

「…。」

 

「告白ってもんは女子からじゃダメなのよ、あんたがビシッと…。」

 

「そういうのじゃ…ないと思います。」

 

「は?」

 

「矢田さんが今抱えてる問題。それじゃないと思います。」

 

「そう…。」

 

 

 

「クソね。」「は!?」

 

「私が言うのもなんだけど、何うじうじしてんの!

ばっかじゃないの!?今更何悩んでるってのよ。」

 

「話の意図が見えないんですが…。」

 

「余計アホだわ。あのね!恋愛なんて自分のことだけ考えときゃいいのよ!!

本当に好きなら相手に迷惑かける覚悟をしなさい!」

 

「いや何か変な方向に行ってません!?

ていうかよく言いますよ…ビッチ先生の方が重症じゃないですか。」

 

「あーら、私はさっき告白したわよぉ?」

 

「ありゃ告白じゃなくて暗殺宣言じゃないすか。」

 

「う、うるさいっ!いいのよあれで!とにかく!!うじうじしないこと!いいわね?

まったく、人を落とすプロが教えてやってんだから素直に聞きなさいっての!」

 

「はいはい。んじゃ俺寝ますんで。おやすみなさい。」

 

「不安だわ…おやすみ。」

 

正直な話、ビッチ先生と話して結構気分が軽くなった。

俺はまだ迷っているけど、それでも前に進めた気がした。

さすがプロ!自分のこともしっかりしてくださいよ!

 

***

 

「ストーカーじゃねえか…。」

 

俺は船の中で見せられた矢田さん宛のメールの数に絶句した。

しかも内容が『愛しているよ』だの『僕は君とハッピーエンドを迎えられそうだよ』だのマジやべぇ…ほんと勝手にエンドしといてもらえませんかね…?

 

「いや、ストーカーって訳じゃないんだけどね…。まぁその…なんていうか…勝手に話が進められてるというか…。」

 

矢田さんに話があると言われ聞いてみると、どうもややこしい事態になっているらしい。

 

「それでこの坊ちゃんが、うちのA組で、しかも矢田さんの父親の上司の息子…だと。」

 

「そうなの…なんかお父さんも『仲良くしろ』って言ってくるし…。」

 

いやこのメール見る限り『仲良く』というレベルじゃないと思うんですが…。

 

「しかし…これは家庭的な問題も含まれてるから、正直俺どうすればいいのかわかんないんだけど…。」

 

「うん、それは分かってる。相談っていうのはね、今度この人とお祭りに行くらしくて…。」

 

なるほど、言い方から察するに向こうが勝手に決めたのだろう。

意識高い系ってやっぱ怖いわ。あの手の人種は悪気という言葉を知らないからなぁ。

謝るような失敗でさえ、自分のポテンシャルをサルベージするのにリメイクされるからね!今の俺的に意識高い!

相談ってのはあれか、どうやって断ればいいか、みたいな話ですかね。

それなら俺の得意分野!絶望的なまでの卑屈さにお任せを!

 

「裕も一緒に行ってほしいの!」

 

「は!?いやいやいや待て待て、そもそも俺が行っても根本的な解決にはならんだろ。

こんなに意識高い奴だからきっと『良いフレンドシップを築いていこう!でも僕のワイフをロブっちゃだめだよ?』とか言うぞ絶対!」

 

いや落ち着け俺、言ってることが訳分からん。

矢田さんちょっと引いちゃってるじゃん。

 

「別にあの人を追い払ってくれって言ってるわけじゃないんだよ。ただ、裕が近くにいてくれた方が何かと安心するの…。ダメ…?」

 

「…。反則だぞ、それ…。」

 

「ありがとっ!!明後日7時、椚ヶ丘駅の近くのお祭りで♪」

 

え、今の肯定ってことにされてる?

あーもう!どうにでもなれっ!!

 

***

 

午後6:45分。

結果的に矢田さんの誘いに乗らなくても強制的に殺せんせーに連れてこさされていただろう。帰宅直後、唐突にうちに来て夏祭りの話を持ち掛けられたのだ。

運命って理不尽ね。

 

さすがに人が多い。この中から矢田さんを探すのは至難の業だぞ…。

 

「あっ、裕!」

 

はえー。なんであの人分かるんだよ…。

 

「おう…まだそいつは来てないのか?」

 

「うん、まだみたい。」

 

「良かった。んじゃ俺はちょっと離れとくから。」

 

「えっ、裕も一緒に回ってくれるんじゃないの!?」

 

「ダメだ、俺がいたら雰囲気が悪くなる。大丈夫、それなりに近くにいとくから。

せっかくの夏祭りだ、楽しめよ。」

 

「う…うん、分かった。」

 

さて、これで良し。

いくら相手が意識高い系でも知らない男がいたら微妙だろ…。

とは言え、本日はE組の皆さんも来ていらっしゃる。

なんとか矢田さんと遠ざけねば…彼女もわざわざ会いたくはないだろう。

こっちが本当の理由だ、相手の男のことなんて知らん。

 

「あれっ?夜舞君?」

 

はーい、噂をすれば何とやらってやつですね本当にありがとうございます。

 

「な、渚…。」

 

「一人なんだ、てっきり矢田さんもいると思ったんだけど…。」

 

「そ、そうだ、ほら向こうにイカ焼きあったぞ?」

 

「え?あ、うん。ありがとう。夜舞君は行かないの?」

 

「あー行きたいのは山々なんだが、まぁなんだ、少し用事があって…。」

 

「そっか、それじゃまた後で!」

 

「おう!またな。」

 

ふいーっ。ダメだこりゃ。

一人じゃなんともならん…。

仲間を少し増やした方がいいかもな…。

かと言ってもなーそんなことやってくれる人なんて…。

 

「ふーん、夜舞君も大変だね。」

 

「!?」

 

びっくりしたー。

片岡さん…ん?片岡さんなら…いいんじゃね?

ていうかなんか知ってそうだし…。

 

「手伝ってあげようか?」

 

「えーっと…一応聞きますが、何を?」

 

「そんなんで誤魔化せると思ってんの?矢田さんのことでしょ?

大体話は分かったから。手伝ってあげるよ。」

 

「神様…いやイケメグさま…。」

 

「ちょ!?止めて!それ公共の場で言わないで!!

とにかく、任せなさい。カルマ君とかには絶対悟らせないから!」

 

「ありがたい…。」

 

「うん!それじゃ!」

 

いやーマジ頼りになりますわ…。恐ろしいですわ…。

ということで俺は合法ストーカーを続けることにした。

いやまぁ仕方ないでしょ…これぐらい合法にしてくださいお願いします。

あ、気休め程度だがお面でも被っとこうかね。

E組を避けつつ、祭りは過ぎていく。

店をたたむところが多くなってきていた。

もうそろそろ終わりかな。

 

***

 

祭りの賑やかさが少し落ち着いた場所。

夏の夜はまだ暑く、汗を拭う。

彼らはそれなりに楽しんでいたと思う。

頑張った甲斐があったってもんだ。

 

「桃花、僕は君を愛してる。」

 

「…そ、そっか。」

 

そう矢田さんが答えると奴は顔を彼女に近づけた。

おかしい、この後の展開が容易に想像できる。

 

…いいのか?

 

俺は自分に問いかける。今までずっと避けていた問いを。

このままでいいのだろうか…。

矢田さんが笑っていられるなら俺はそれでいい。

そう結論付けた問題に、自分の欲が抵抗しているように感じた。

 

『本当に好きなら相手に迷惑かける覚悟をしなさい!』

 

ビッチ先生の言葉が重く伸し掛かる。

好き…ねぇ。どうなのだろうか…?

俺は未だに答えを持たない…?

 

いや、違う。

俺はもう答えを知っている。

とっくに…何か月も前…悩んでいた期間、俺はすでに答えを得ていながら、迷っていたのだ。

俺は卑屈でネガティブで…怖がりなのだから。

 

「行ってきなよ、夜舞君。」

 

「渚…?」

 

「僕でさえなんとなく分かるよ。夜舞君は大丈夫だ。」

 

渚は笑いを浮かべた。

嘲笑でも苦笑でもない、純粋な笑顔。

…まさか渚に励まされるとは。

 

彼は強く俺の背中を押した。

その勢いで俺は彼らの間に割って入った。

 

「誰だ…君は?」

 

「裕!!」

 

「矢田さんから、離れろ。」

 

「それは君の方だ、僕の桃花の前から消えてくれないか?」

 

「断る。」

 

「おいおい、待てよ。僕が先に勝ち取ったんだよ?邪魔だ、どいてくれ。」

 

「勝ち取ったって表現はおかしいと思うが…。」

 

「ふんっ、表現なんてどうでもいいさ。そもそも君は彼女の何だ?」

 

「…。」

 

「ほらな!この世は早いもん勝ちさ!僕が先に桃花に目を付けた!そうだろ?

君は、ただの負け犬だ。」

 

言葉を返せない。

そうだ、俺はこの男に負けた。

それは変えることが出来ない事実。

もう取り戻すことは出来ない現実。

 

そもそも矢田さんは高根の花。

健気で、はかなく、強く生きる花。

俺程度がとれるような人ではなかった。

ダメだ…打つ手なし…か。

 

「ねぇ裕…。」

 

矢田さんが俺のパーカーの袖を引っ張る。

 

「裕の答えを教えて…?」

 

小さい、小さい一言。だがはっきりと聞こえる。

結局矢田さんに答えを聞いてもらう形になってしまった。

情けない。

自分がどうしようもなく嫌いになる。

こんなことになってまで彼女の情にすがろうとした。

ここで決断しなければならない。

自分で歩かなきゃいけないんだ。もう、十分すぎるほど迷惑をかけただろう?

 

「俺は…矢田さんが苦手だ。

いつも俺なんかに構ってくる。

お願いとか言って半強制的だし…なんだんだよあれ…。」

 

俺はそっと被っていた仮面を外した。

ずっと自分を隠し、自分を偽っていた『それ』は少し湿っている。

俺は…泣いているのか。考えてみれば、ずっと、泣いていた。

苦しくて、どうしようもなくて…。

言いたくて、伝えたくて…。

どうしようもない思いを俺はずっと偽り続けてきた。

 

避けて、悩み、隠し、偽るのはもう終わりだ。

地面に仮面を置く、二度と被ることはない。

これは自己満足だ、傲慢で強欲。

俺らしくもない。

それでも…嘘じゃない。

ずっと否定し続けた本心。

それを打ち明けるチャンスを彼女はくれた。

 

全部、言うんだ。

彼女に拒絶され壊れてしまっても構わない。

この機会を無駄にすることは破壊することよりも残酷だ。

無駄な思考を停止させて、

 

ただ一言…。

 

「それでも好きだ…。

どうしようもないくらい!

俺は…ずっと矢田さんと一緒にいたい!」

 

もう自分が何を言っているのかさえ分からない。

その曖昧な何かは、俺の肩を軽くした気がした。

一瞬の沈黙。そして、彼女は頬を緩めた。

 

「ふふ、テンプレートだね?

でも…やっと言ってくれた。」

 

矢田さんは彼女の額を俺の額に当てた。

 

「もう、離さないよ♪」

 

最近一番の笑顔だった。

こいつ…俺の言葉も全部分かってたような顔しやがって…。

 

あざと小悪魔め。

 

「おいおい、待てよ。どういうことだ、桃花?」

 

あっちゃー、完全に忘れてた。

矢田さんも同意見のようだ。

 

「ごめんね、というか私別にあなたのこと許可した記憶はないんだけどなぁ…。

勝手に話進められただけなんだよねー…。」

 

いやなんというか、ちょっと可哀想になってきた。

 

「…ふふふふふはははははは!!そうか!君はE組の思考に侵されてしまっているんだね。

可哀想に!待っていて、僕がその暗闇から君を救ってあげるから!」

 

「ちょ!?」

 

「ではまたね!桃花。」

 

「行っちゃった…。」

 

「『ずっと一緒にいたい』ですか~、定番と言えば定番ですねぇ。」

 

「殺せんせー!?

…まぁそりゃそうか…。」

 

「ばっちり撮影させてもらったよー?」

 

「カルマ!?」「ごめん、夜舞君…さすがに止めれなかった…。」

 

「いやぁ、ラブラブだねぇ?」

 

「え、そなの?」

 

「ちょ!矢田さん、夜舞のやつ気づいてないみたいだよ?ちゃんと言ってあげたらぁ?」

 

「えっ!?い、いや、それはちょっと…。」

 

赤くなりすぎだろ、それどこの何はすトマト味?

 

「矢田さん、私も言ってあげた方がいいと思うよ?

夜舞君って意外と烏間先生レベルに鈍感だし。」

 

「う、うーん、そうかなぁ…?」

 

「そうですよ!夜舞君、他人の心情を読むのは得意ですが、自身に対しての感情を読むのは大の苦手ですからね!」

 

二人とも聞こえてるからね!?

烏間先生よりは敏感だと思うんだけど!?

 

「ほら!早く!」

 

「え!?あ、ちょっと!!」

 

矢田さんが俺の前に突き出された。

正直な話、今すごく困惑してるんですが…。

 

「え、えっと…。うん。

 

 

裕、私も…好き…だよ?」

 

え…あ、あぁ、そっかー…ってえぇ!?

ヤバい今絶対超赤くなってる!!

 

「そうそうそれそれ!」「夜舞君いつも反応薄いからねー。」

 

「いひゃ、ま、待って、ちょちょっとやばい…。」

 

もうダメだ思考回路と呂律が回ってない。

 

この後、数十分に渡ってからかわれた…。

こうして俺らはクラス公認の恋人となった。

おいなんでクラス公認なんだよ、誰だよ広めたやつ

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 




お読みいただきありがとうございました。

さて、とうとう一区切りついたって感じですかね。
ちなみに今日、あらすじを色々変えて遊んでました。
まぁなんというか…しっくりくるものがないんですねぇ。
『恋愛小説』かと言われると首をかしげるし、『日常』かと言われると目を背けたくなる。
なんかいいあらすじ、考えときますわ…。
そんなことより、挿絵入れてみました。
塗りはどうも苦手なんでこれから挿絵入れるにしても線画だけだったりかもね。

では次回もよろしくお願いします。
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