暗殺教室verβ   作:サクソウ

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カルマの時間

赤羽業。

俺とは似て非なる存在。

少なくとも頭の回転の速さはあいつの方が一枚上手であり、さらに喧嘩経験はこのクラスの中で一、二を争う多さだ。

その赤羽が、今日、久しぶりに学校にやってきた。

 

***

 

「体育の時間は今日から俺の受け持ちだ。」

 

「ちょっと寂しいですねー…。」

 

「この時間はどっかに行ってろと言っただろ。そこの砂場で遊んでろ。」

 

「ひどいですよぉ、烏間先生。私の体育は評判良かったのに…。」

 

嘘つけ。

 

「嘘つけよ、ころせんせー身体能力が違いすぎなんだよ。」

 

代弁ありがと。

この前の体育の反復横とびはひどかったなぁ、だってほとんど体を動かさず横移動してんだもん。…糸ひっかけたら転ぶのかな。

 

「よし、授業を続けるぞ。」

 

「でも烏間先生、こんな訓練意味あるんすか?しかも、当のターゲットがいる前でさー。」

 

「勉強も暗殺も同じだ、基礎を身に着けるほど役に立つ。

磯貝君、前原君、前へ。そのナイフを俺に当ててみろ。」

 

「え、いいんですか?」「二人がかりで?」

 

「そのナイフなら俺たち人間にけがはない。

かすりでもすれば今日の授業は終わりでいい。」

 

無理だろ。こんなこと言うのならそれなりに自信がある。

そして俺らは素人、結果は見えている。早く帰りたかったなぁ…。

圧倒的だった、二人で襲い掛かっても難なくいなす。プロってこんなレベルなのか。

あところせんせー、何大阪城作ってんの。それどこの千利休?秀吉に殺されるよ?

 

体育の授業はこれから暗殺の授業になるらしい。ま、集団スポーツはもともと得意ではないし、少し嬉しいかもしれない。

 

「嬉しいの?」

 

だからなんでそう簡単に俺の考えが分かるんだよ。

 

「プロ直々にナイフ捌き教えてもらえるんだ。そりゃ嬉しい。」

 

「魚捌けるね。」「違うだろ。」

 

ていうか授業終わってる、さっきの戦闘の意味は…?

教室に戻ろうとしたとき

 

「よぉ、渚君。久しぶり。」

 

「カルマ君…帰ってきたんだ。」

 

憎たらしい声で、渚を呼ぶものがいた。

あいつ…学校来たのか。めんどくさいな…。

 

「あれっ?夜舞もいるじゃん、珍しー。」

 

「別に珍しくねぇよ、俺は毎日来てる。」

 

「そうだっけ?君も結構休んでたような気がしたんだけど。」

 

「お前ほどじゃない、一緒にするな。」

 

「つれないなぁ。相変わらず。」

 

その声やめろ、憎たらしくて鬱になりそうだ。

 

「へぇ、あれが噂のころせんせー?すっげほんとにタコみたいだ。」

 

「赤羽業君、今日から停学明けと聞いていましたが、初日から遅刻はいけませんねー。」

 

「生活のリズムが戻らなくて、下の名前で気軽に呼んでよ。とりあえず、よろしくせんせー。」

 

「こちらこそ、楽しい一年にしていきましょう。」

 

ころせんせーが差し出された手をにぎった瞬間、ゼリーのように触手が溶けた。

手に対先生物質を仕込んだか。カルマの追撃をころせんせーは危うくかわした。

 

「へぇ、ほんとに早いし、ほんとに効くんだ、このナイフ。」

 

***

 

「ねぇ、カルマ君ってどんな人?」

 

あ、そうか、矢田さんはあいつのこと知らないのか…。

 

「めんどくさいやつ。」

 

「説明雑っ!もうちょっとボキャブラリーないの?ボキャ貧?」

 

「…頭の回転が速い、俺よりはるかに。あと、だまし討ち・毒舌・皮肉が得意だ。でも悪いやつじゃない、小悪魔って感じだな。」

 

少なくとも前までは…だが。

 

「ふーん、なんだちゃんと言えるじゃん。私は心配したよ。」

 

「へいへい、それはどうもすいませんでした。」

 

「仕方ないから許してあげよう。」

 

こいつ…。その笑顔は反則だと思います。

 

***

 

カルマは頭の回転が速い、そのせいかあまり人の心を読もうとしない。

 

確かに最初はカルマがころせんせーに罠を仕掛け、それに上手いことひっかかっていた。

しかし、徐々に躱されはじめている、当のカルマは気づいてないみたいだが…。

俺が見る限り、本当にころせんせーが焦っていたのは最初の一回だけ。カルマの罠に殺傷力がないのを見極めると、罠に引っかかっても特に焦ってはいなかった。それどころか楽しんでいた、カルマの更生を。

 

***

 

昼休み、俺がコンビニのおにぎりを開けようとしたとき矢田さんが珍しく真面目な顔をして聞いてきた。

 

「カルマ君ってさ、何かあったの?」

 

「さぁな、知らない。」

 

「…。嘘だ。」

 

「うぐ…。なんで何かあったと思うんだ?」

 

「だって、先生ってものを極度に疎んでる気がする。」

 

矢田さんはそういうの見抜くの得意ですね、ほんと。

 

「ころせんせーが停学って言ってたのは聞いただろ?あいつ、二年の終わりごろ、ほかの優等生と殴り合って、停学食らってんだよ。」

 

「それが何か関係あるの?」

 

「大ありだ。カルマは優秀だったから、ある程度の喧嘩は許容されてたんだ。だが、成績底辺者を助けるために、成績優秀者を病院送りにした。その際、今まで味方だと思ってた先生が、手のひら返しでもしたんだろ。たぶんそれでああなってる。」

 

「そうなんだ…。手助けしてあげないの?」

 

「なんで俺がやるみたいなノリになってんの?しないよ、あれは…ころせんせーがやるべきだ。」

 

「とか言って気になってるくせに。」

 

「…矢田さん怖い。見ているだけ、手を出す気はないよ。」

 

矢田さんの言う通り、かなり気になっていた。カルマは一見、前と変わらないようで全然違う。

…つまらないやつに成り下がったもんだ。

 

 

次の日、タコが机に刺さっていた。犯人は言わずもがなカルマだ。

 

「おはようございます。ん?どうしましたか、みなさ…!?」

 

「あ、ごっめーん。ころせんせーと間違えて殺しちゃったー。捨てとくから持ってきてよー。」

 

「わかりました。」

 

さて、どうでるかな…。

 

「見せてあげましょう、カルマ君。このドリル触手の威力と自衛隊から奪っておいたミサイルの火力を!」

 

ころせんせーの触手には、青のりかつお節小麦粉天かす卵マヨネーズソース、そして、タコ!

こ、これは…ま、まさか…。

 

「先生は暗殺者を決して無事では帰さない!」

 

カルマの口に、超高速で作ったアメージングなタコ焼きを放り込む。

うまそう…。(確信)

 

「その顔色では、朝食を食べていないでしょう。マッハでタコ焼きを作りました。これを食べれば健康優良児に近づけますね、はいあーん。

カルマ君、先生は手入れをするのです、錆びてしまった暗殺者の刃を。今日一日、本気で殺しにくるがいい…そのたびに先生は君を手入れする。」

 

あはは、やっぱこの人面白れぇわ。

 

「放課後までに君の心と体をピカピカに磨いてあげよう。」

 

***

 

結果から言うと、カルマの完敗だ。

もはや途中から普通の暗殺になるほど万策尽きたみたい。

暗殺→手入れ、暗殺→手入れ、暗殺→手入れ…。やだ、カルマ君ピッカピカ!

さてと…あとは…心、どう手入れするよ?ころせんせー?

 

「カルマ君、焦らないでみんなと一緒にやっていこうよ。ころせんせーにマークされちゃったらどんな手を使っても一人じゃ倒せない。普通の先生とは違うんだから。」

 

放課後、カルマと渚は学校横の崖にいた。

一方俺はやぶの中でストーカーしていた…認めちゃったよ!いやだって気になるし、どんな結末か見ないで引き下がれるかっての。

 

「先生…ね…。」

 

カルマが何かを思い出すように小声で言う。

 

「やだね、俺がヤりたいんだ。変なとこで死なれるのが一番むかつく。」

 

「カルマ君?今日はたくさん先生に手入れされましたねぇ。まだまだ殺しに来てもいいですよ?もっとピカピカに磨いてあげます。」

 

「…確認したいんだけど、ころせんせーって先生だよね?」

 

「はい。」

 

「先生ってさ?命を懸けて生徒を守ってくれる人…。」

 

「もちろん、先生ですから。」

 

「そっか、良かった、なら…殺せるよ。確実に。」

 

そう言うとカルマはころせんせーにエアガンを向けながら崖を落ちていった。

…なるほどな、カルマは選択肢を与えたのだ。自分を助けてころせんせーが死ぬか、自分を助けず「先生」として死ぬか…。どちらにせよ、先生は死ぬ。

無意味なことを…。

カルマは、まだ理解していない、あの先生のことを。

…ていうかここから見えない。移動しよう。

 

 

ネット…?

 

「カルマ君、自らを使った計算ずくの暗殺、お見事です。音速で助ければ君の肉体は耐えられない、かと言ってゆっくり動けばその間に打たれる。そこで先生、ちょっとネバネバしてみました♪」

 

なにそれ何納豆?

 

「くっそ、なんでもありかよこの触手!」

 

「これでは打てませんねぇ。ヌルフフフフ…。あぁ、ちなみに。」

 

「見捨てるという選択肢は先生にはない。いつでも信じて飛び降りてください。」

 

 

「カルマ君、平然と無茶したね…。」

 

「別にぃ、今のが考えてた限りじゃ、一番殺せると思ったんだけど。」

 

「おやぁ、もうネタ切れですか?報復用の手入れ道具はまだたくさんありますよ?君も案外、ちょろいですねぇ?」

 

「殺すよ、明日にでも!」

 

「健康的でさわやかな殺意、もう手入れる必要はなさそうですね。」

 

「帰ろうぜ、渚君。帰りに飯食っていこうよ。」

 

これ以上見るのは野暮だな…。俺も帰ろう。

 

「それと…夜舞!」

 

げ、見つかった…。

 

「なーに見てたのかなぁ?」

 

「夜舞君?どうしたの?」

 

「い、いあや、俺はこの近くを、と、お通っただけで…。」

 

「牛丼大盛♪」

 

「おごらせていただきます…。」

 

「やっぱいいや、今は気分もいいし、これがあるし。」

 

「ちょ!それ!先生の財布!」

 

「だから、職員室に無防備に置いとくなって。」

 

「か、返しなさい!!」

 

平和そのものだ…。ちなみになぜか俺もその中にいる…。いやだ、絶対後でカルマに何かされるって!

逃げた方がいいと本能的に察知したが、カルマはそれを察知して逃がしてはくれなかった…あの小悪魔め。

 

 

誰かと関わることで、人は知らないうちに他人を傷つける。ただ、それなら人は知らないうちに他人を癒しているということもあるのだろうか…?

 




お読みいただきありがとうございました。

だんだん文字数が増えていってます。ていうか地味に毎日更新してるんですよね。
三日坊主を得意とする僕なので、まぁ明日辺りにはもう諦めてるでしょう。(確信)
アニメのセリフ全部写して小説書くのって簡単なようで結構難しかったりします。
オリジナル主人公なので矛盾がないようにしないと…。
そういえば、主人公の名前覚えてます?僕は忘れてました、夜舞です、夜舞裕(14)ね。
まぁ必要はないかもしれないけど、一応覚えてください、後生のお願いです。

では次回もよろしくお願いします。
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