暗殺教室verβ   作:サクソウ

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ビッチの時間

おいちょっと待て。

思わず声が漏れそうになる。いやだってあの変装で店員が騙されるんだぜ、気前よすぎだろあんちゃん!

ていうか普通に町中にいるのね。「まちじゅう」じゃないよ、「まちなか」だよ?町中にいるとか怖すぎるんだけど(今のはどちらでも可)。

 

現状報告:コンビニに来たら先生が変装していた。

 

ていうかとっさに隠れちゃったよ、ストーカーみたいじゃん!いや、この前本物のストーカーしたからもういいか。よし!ころせんせーの私生活を覗くぞ!

7:05 コンビニを出る

7:06 ごろつきに絡まれてる金髪巨乳美人を発見

7:07 ごろつきの車をリボンでお飾り♪

いやなんだよこの私生活!どんだけ普通じゃないんだよ!

なんだ、あの金髪、暗殺者か…。まぁ俺も気付くぐらいだからころせんせーも気付いてるだろ。

…なんであの人先生やってるの?めっちゃボインな二つのメロンゼリー見てますけど!?

 

「ありがとうございます、この御恩は一生忘れません♡ところで、椚ヶ丘中学園の行き方をご存じですか?」

 

うわぁ、ビッチだ、もう見るからにビッチ。外見だけで決めるのは失礼と言うかもしれんが、外見だけじゃなく雰囲気もまさにビッチ。もう名前にビッチ入ってんじゃねーの?

 

***

 

「あー今日から来た、外国語の臨時教師を紹介する。」

 

「イリーナ・イエラビッチと申します♡みなさんよろしく♡」

 

入ってたよ、怖い、俺の勘怖すぎ。今日は家帰ろうかな…。

 

「すげぇ美人。」「おっぱいやべぇなぁ。」

 

おいおい(汗)。

 

「裕何か知ってるでしょ。」

 

「なんで俺はいつも知ってる前提なの!?」

 

「だって、そんなに驚いてないみたいだし。」

 

これは俺が悪い。今度からオーバーリアクションとってやる。えぇ!嘘!信じられなーい!!

言わなかったらそれはそれで面倒なので、手短に今朝の三分間を話す。手短すぎて一回目は怒られたのは内緒。

 

「本格的な外国語に触れさせたいとの学校の希望だ、英語の半分は彼女の受け持ちで問題ないだろう。」

 

え!何、この人に英語教えてもらうの!?やだ、信じられなーい!!

 

***

 

「へいパス!」

「へい暗殺!」

 

何この独特すぎる掛け声。もちろん俺は壁打ち…と思ったがここ壁ないじゃん。ボッチに優しくない!

 

「ころせんせー♡烏間先生から聞きましたわぁ、すっごく足がお速いんですって?」

 

「いやぁ、それほどでもないですねぇ。」

 

「お願いがあるの♡一度本場のベトナムコーヒーを飲んでみたくって♡私が英語教えてる間に買ってきてくださらない?♡♡♡」

 

何この会話。ハートだらけじゃん。斬新すぎる。

 

「お安い御用です。ベトナムにいい店を知ってますから!」

 

あ、行っちゃった。当分は帰ってこないなこりゃ。

 

「ん、で…イリーナ…先生、授業始まるし、教室戻ります。」

 

「授業?はぁ?各自適当に自習でもしてなさい。」

 

ま、そうなるわな。こいつはころせんせーの首さえ獲れればいいのだから。

その程度の暗殺者にまともな授業をしてもらえないのは想定内だ。

だが、問題はその後!タバコを吸うな、タバコを!

 

「ふぅ…、それとファーストネームで気安く呼ぶのやめてくれる?あのタコの前以外では先生を演じるつもりもないし、イエラビッチお姉さまと呼びなさい。」

 

ビッチ姉さんですね。了解です。

 

「で、どうするの?ビッチ姉さん。」

 

「略すな!」

 

「あんた殺し屋なんでしょう?クラス全員で殺せないモンスター、ビッチ姉さん一人でやれんの?」

 

「ガキが、大人にはね、大人のやり方があるのよ。潮田渚ってあんたよね?」

 

チュウウウウ…。渚、ノックアウト!!

純粋な少年よ、これが世界だ。

 

「後で教員室にいらっしゃい、あんたが調べたやつの情報、聞いてみたいわ。…それと、あんた。」

 

は?俺?

 

「今朝、コンビニにいたやつよね?あんたも渚と一緒に来なさい…少し聞きたいことがあるから。」

 

「は、はぁ。」

 

俺に聞きたいことってなんだ?訳が分からん。ボッチの極意とか?俺より適任がいると思うよ、別作品に。

 

「その他も有力な情報を持ってるやつは話に来なさい。いいことしてあげるわ。

女子には男だって貸してあげるし、技術も人脈も全てあるのがプロの仕事よ!

ガキは外野でおとなしく拝んでなさい。あ、そうそう、あと…少しでも私の暗殺の邪魔したら、殺すわよ。」

 

暗殺者としてはプロだな…殺気が違う。ていうか後ろのおっさん今朝のごろつきか、まぁ分かってたけどね。お車大丈夫でしたでしょうか?

 

***

 

「自習」

 

黒板に書かれたその二文字は目の前にふんぞり返って座っている女のクラス評価を下げるには十分すぎるものだった。

クラスの嫌悪感が増してるなぁ、ビッチ姉さんまじで気づかないの?

俺なんかこの空気吸っただけで死にそうになるんだけど。

殺すだか未知だがなんか知らんがブツブツ言ってる。集中しているのか、はたまたただのバカなのか。

後者であってほしいかな。

 

「なぁ、ビッチ姉さん。授業してくれよ。」

 

「そうだよ、ビッチ姉さん。」

 

「一応ここじゃ先生なんだろ?ビッチ姉さん。」

 

「な!ビッチビッチうるさいわね!まず!明確な発音が違う!あんたら日本人はVとBの区別もつかないのね!

正しいVの発音を教えてあげるわ。まず、歯で下唇を少し噛む!ほら!

そうそう、そのまま一時間過ごしていれば静かでいいわ。」

 

なんだ、ただのバカだったか。

 

***

 

昼休み。

 

「ね、どんな話だったの?」

 

「何が?」

 

「ビッチ先生の話だよ!」

 

「あぁ…。忘れた。」

 

「教えてよー。」

 

「はぁ、分かったよ…。先にあそこに行ってる。」

 

「了解!」

 

周りにあまり聞かれたくない内容だった。俺の個人的な話だったからな。

 

 

しかし、ここか居心地がいい…。

風がそよぎ、草木が揺れる…いいとこだ。

ここは俺がよくいる場所。矢田さんにしかバレてない。

矢田さん万能すぎだろ!

 

「待った?」

 

「めちゃくちゃ待った。」

 

俺は先人に倣ってこう返す。

 

「さて、何を聞かれたのかな?」

 

無視ですかそうですか。

 

「…俺は人の心を読む力が人一倍あると自負している。本気出せば相手が何を考え、何をしようとしているかまで分かる。それが…バレた。」

 

「へぇ…初耳だなぁ。」

 

「言うほどでもないからな、普段は心の色が分かる程度だし。」

 

「んで、どうなったの?」

 

「暗殺の手助けをしろと言われた。『めんどくさいから嫌です。』って断ったが。」

 

「断る理由が…、裕は変わらないね…。」

 

「人なんてそう簡単に変わってたまるか。それだけだった。」

 

「ふーん、そっか。よかった、手助けするなんて言わなくて、色仕掛けされたら言っちゃいそうだし。」

 

「あなたは俺をなんだと思ってるんですか…。」

 

「冗談だよ♪」

 

***

 

次の時間、ビッチ姉さんの暗殺が実行されたみたいだ。

え?珍しく関わってないって?いや、なんかめんどくさそうだったし。

別に失敗するのは目に見えてたから興味もないし。

実際、暗殺は失敗、ビッチ姉さんは見事に手入れされていた。

 

午後の授業。なぜか英語がもう一コマ入っていた。お察しの通り、自習だ。

たいそうお怒りのご様子。ちょっと読んでみようかな?

 

(やっぱり夜舞を引き入れられなかったのが痛かったわね…。色仕掛けしとけばよかったかしら…?

ていうかめんどくさいって何よ!あいつは暗殺をなんだと思ってるの!?タコを殺したらあいつを殺す…。)

 

聞かなきゃヨカッター。

謎の暗殺宣告を聞いてしまった…。もうやだ、裕おうちに帰る!

俺のせいもあってか、かなりご乱心だ。

 

「あぁ!もう!なんでWi-Fi入んないのよ!このボロ校舎!」

 

なぜフリーWi-Fiがあると思ったのか…、どっちかというとLTEじゃね?

 

「必至だね、ビッチ姉さん。あんなことされちゃ、プライドずたずただろうね。」

 

「先生。」「何よ?」

 

「授業してくれないなら、ころせんせーと交代してくれませんか?俺ら今年受験なんで。」

 

「はっ!あの凶悪生物に教わりたいのー?

地球の危機と受験を比べられるなんて、ガキは平和でいいわねー。

それに、聞けばあんたたちE組ってこの学校の落ちこぼれだそうじゃないの。勉強なんて今更しても意味ないでしょ?

そーだ、じゃあこうしましょ?私が暗殺に成功したら、一人500万円分けてあげる。無駄な勉強するよりずっと有益でしょ?」

 

結構です、あなたが暗殺に成功したとき俺の人生タイムアップなんで。

 

「だから、黙って私にした…。」

 

他の生徒も同意見だったようだ、理由は違うが。

誰かが、出て行けとつぶやいた。

そうなると後はドミノ倒しだ、教室で思い思いの罵声が飛び交う。

 

「出ていけ!くそビッチ!」「ころせんせーと代わってよ!!」「そうだそうだ!巨乳なんて要らない!!」

 

ここまでいっても、俺の興味は湧かなかったので、ビッチ姉さんのことは、ころせんせーか烏間先生に任せるとしよう。烏間先生なら大丈夫だ。

 

***

 

俺の読み通り、次ビッチ先生が教室に入ってきたときは、もうすっかり変わっていた。

 

「You are incredible in bed.Repeat!ほら。」

 

「ゆ、ユーアーインクレディブルインベッド。」

 

「アメリカでとあるVIPを暗殺したとき、まずそいつのボディガードに色仕掛けで接近したわ。そのとき彼が私に行った言葉よ。意味は『ベッドでの、君は…すごいよ』。」

 

ちょおま…。

 

「外国語を短い時間で習得するにはその国の恋人を作るのが手っ取り早いとよく言われるわ。相手の気持ちをよく知りたいと必死で言葉を理解しようとするのね。

私は仕事上必要なとき、そのやり方で新たな言語を身に付けてきた。

たから私の授業では、外国人の口説き方を教えてあげる。プロの暗殺者直伝の仲良くなる会話のコツ、身に付ければ実際外国人に会ったときに必ず役に立つわ。

受験に必要な勉強なんてあのタコに教わりなさい。私が教えてあげられるのはあくまで実践的な会話術だけ、もし、それでもあんたたちが私を先生と思えなかったら、その時は暗殺をあきらめて出ていく。

そ、それなら文句ないでしょう。

 

あと、悪かったわよ、色々…。」

 

一瞬の沈黙…。すると生徒が笑い出した。

 

「何びくびくしてんのさ、さっきまで殺すとか言ってたくせに。」

 

「なんか普通に先生になっちゃったな。」「もうビッチ姉さんなんて呼べないね。」

 

「あんたたち…分かってくれたのね。」

 

「考えてみれば先生に向かって失礼な呼び方だったよね。」

 

「うん、呼び方、変えないとね。」

 

「じゃあ、ビッチ先生で。」

 

「え…と、せっかくだからビッチから離れてみない?ほら、気安くファーストネームで呼んでくれて構わないのよ?」

 

無理だろ、ビッチだし。

他の生徒も同意見だった。

つまり、満場一致で「ビッチ先生」に決定!やったね!

 

「やっぱあんたたち嫌いよーーーーーー!!」

 

今日もにぎやかな3年E組だ。

 

 

「あんたには謝っておかないといけないわ…。」

 

「何が…ですか?」

 

「暗殺を断られたとき、殺してやるって思ったことよ。」

 

「あーそれですか、気にしてないとは言いませんが、まぁ別にいいですよ。」

 

「そう、ならよかった…え?ちょっと待って、私今のこと前に言ったかしら?」

 

あ、これヤバいやつや。

 

「え、ひ、いや、は、初耳だなぁ、ままままじすか、こ、殺され…。」

 

「殺す。」

 

俺は必至で帰路を走った。明日には忘れてくれないかなぁ…。

 

 

そして、俺は…初めてころせんせーと対面する。

 




お読みいただきありがとうございました。

ビッチの時間です。夜舞は何もしてないんですが…。もっと頑張れよ!出番減らすぞ!
語り部なので減らそうと思っても減らせません…。
次回は夜舞オリジナルでいこうと思います。(矢田さんの出番も増えるかも…?)
ていうかもっとラブコメした感じでもいいと思います。二人のなれそめはまた別の機会に書きますが、一応あの二人、付き合ってません。リア充だけどリア充じゃない。
俺の爆破対象にするかどうか悩んで春休みを過ごしています。

では次回もよろしくお願いします。
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