今回、勢いとノリで新作を投稿してみました。僕の大好きな矢澤にこちゃんのお話です。
不定期更新ではありますが、がんばって書いていくのでよろしくお願いします。
それでは…どうぞ!
引越しの用のトラックに揺られながら僕こと
秋葉原
僕の新居はそこにある。といっても初めての街、という訳ではなく随分と前に此処に住んでいたことがある。
数年間離れていた街は僕がここに住んでいた頃と余り変わっていなかった。
「懐かしいなぁ」
思い出に浸りながらポツリと1人呟く。
鮮明に思い出される1人の少女との思い出。
一体、彼女は今何をしているのだろうか。
キキッ
「ほら、着いたわよ」
隣に座る母に声をかけられる。どうやら新居へと着いたようだ。
僕は狭苦しい車内から逃げるように外へとでる。まったく、トラックの硬い座席はどうにかならないものか。
「はぁ、お尻がカチカチだよ……」
「勇気がトラックに乗るって言ったんじゃない……お父さんの車に乗ってもよかったのに」
「やだよ。父さんの運転は荒いから怖いんだ」
「だぁ〜れの運転が荒いって??」
「わわっ!」
不意に後ろから声を掛けられる。ビックリして後ろを振り向くとそこには僕の父さんがいた。
「な、何でもないよ!」
「あ、そ。ほら、ちゃっちゃと家具運ぶぞ!」
「は〜い……」
父さん、不機嫌になっちゃったよ……
僕の愚痴を運悪く聞いてしまった父さんは不機嫌になり荒々しい手付きで家具を運んで行く。
「あっ!!父さん!!それ僕の地球儀!!丁寧に扱ってぇぇぇぇ!!!」
「ふぅ…やっと終わった……」
ある程度家に家具を入れ終わり僕はリビングで一息付いていた。
「はい、お疲れ様。お茶でも飲みなさい」
コトリ、と母さんがテーブルにお茶を置く。僕の喉はカラカラに渇いていて冷たい麦茶はとても嬉しい。
「あ、ありがと。……ってもうこんな時間か。」
コクコクと喉を鳴らしながら麦茶を飲む。ふと、時計を見るともう5時を過ぎていた。
「せっかく此処に戻って来たんだしあの娘会ってくれば?」
台所から声を掛けてくる母さん。あの娘、とは僕の幼馴染みの事だ。もう、数年間会っていない。
「うん……そうしようかな」
そうして僕は彼女の家へと足を運ぶ。
コツコツコツと無機質な音を立てながらアスファルトの上を歩く僕。僕は今、幼馴染みの家へと向かっていた。
「もう4年も経つのか……元気にしてるのかなぁ…」
ぽつり、と独り言を零す。彼女とは4年前、街を出てから1度も会っていない。それに加えてこの街を離れる時、ケータイ電話を持っていなかった事もあり、連絡も一切取れないでいた。
「懐かしいなぁ……」
我ながらジジ臭い事を言ってるなぁと思ってしまう。でも、彼女の事を思い出すとそう言わずにはいられなかった。
彼女とは赤ん坊からの仲でいわゆる腐れ縁という奴だった。
彼女とは何時も、と言ってもいいほど一緒にいて何をする時でも一緒だった。多分彼女の両親を抜いて1番彼女の事を分かっていたし知っていたと思う。
笑顔が眩しい事。
意地っ張りな所。
アイドルが大好きで、それを目指している事。
強気な事。でも、実は弱い事。
そして何より、人を笑顔にさせる事に全力な事。
僕はそんな彼女にずっと笑っていて欲しいと思っていた。
そして彼女の眩しい笑顔を守ってみせると誓う。
しかし、その誓いも呆気なく意味のないものになってしまった。
『うぅっ……うっ……ぱぱ……!ぱぱぁ……!!』
過去の光景が鮮明に思い出される。
『ねぇ……!起きてよ!ねぇ!ぱぱ!』
白く、冷たくなった“ぱぱ”に抱きつき揺する彼女。そして彼女は大粒の涙を零しながら床に崩れ落ちる。
その時、僕は……
「何も出来なかったんだ」
あの時。泣き崩れる彼女を見て僕の脚は凍りついた。
本当は彼女を慰めたかったんだ。
でも、どうやって?彼女は肉親である父親を亡くしてしまった。その深い悲しみは両親が健在の僕には到底分からない。そんな僕が下手に慰めた所で逆に彼女を傷つけてしまうのではないか。
そう考えてしまうと僕は動けなかったんだ。
そしてその数週間後に引越しを控えていた僕は彼女と顔を合わせること無くこの街を離れた。
「1番辛い時期に離れちゃったからなぁ…怒ってる、かな」
考え過ぎて心配になってくる。もしかしたら僕と会ってくれないかもしれない。
「あ、どうしよう。行くのが恐くなってきたよ……」
だめだ……考えれば考える程悪いイメージしか浮かんでこない。彼女の家に行ったのに帰れと言われてしまった時の事を考えると脚が竦む。
「そ、そうだよ!もう夕食時だしさ!迷惑だよ!それに一応はここにずっと住むらしいし、タイミングは何時でもあるからね。うんうん。よし、帰ろう!」
自分で自分を納得させる。
あぁ……こんなんじゃお父さんに「名前は勇気なのに意気地無しかよ!!」って馬鹿にされちゃうよ……
そうして僕はトボトボと来た道を引き返そうと振り向く。と————
ドスン!
「きゃっ!」
「わわっ!」
胸に軽い衝撃が走り、女の子の短い悲鳴が聴こえる。
マズイ。人とぶつかってしまった。
慌てて女の子の方を向く。怪我をしていたら大変だ。ど、どうしよう。
「だ、大丈夫ですか?!」
「いったーい!ちょっと!!どこ見て歩いてんの————」
女の子は僕を睨みつけ立ち上がる。そして怒鳴り付けようとしてくるが何故か途中で怒鳴るのを止め、口をあんぐりと開けたまま僕を見る。
結構小柄な体型で多分、小学生か中学生位に見えるそう言えば僕の幼馴染みもこんな感じだ。顔もよく似て—————
いや、違う似てるんじゃない。
小柄な体型
白い肌
黒髪のツインテール
僕の中で幼馴染みの彼女と今ここで僕を睨む彼女が重なる。
一緒じゃないか全部
もしかして、もしかして、もしかして、この娘は—————
「にこ……だよね?」
「勇気?!勇気なの?!」
こうして僕達の止まっていた歯車はギシギシと音を立てながら動き出す。
果たして錆び付いた歯車はうまく噛み合うことは出来るのか
まだ、僕には、僕達には分からない。
いかがでしたでしょうか?
この作品が初めてという訳ではないので案外すらすらと書けました。
もともとにこがヒロインの小説を書きたかったので投稿出来てとても嬉しいです!
この小説で私のことを知ったよ!っという人は是非、私のもう一つの作品も読んでみてください!
よろしくお願いします!
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