どうしたらいいか教えてください。いや、本当にお願いします。
「それで? 話ってなんだよ?」
「ごめんね、まだだよ。シャルル君が来ないことには始まらない」
「・・・・・・だいぶ、大事な話なんだな」
「・・・・・・自分と一夏、それにシャルル君にとってもね。もしかしたら、話終わったあとに千冬さんか、楯無さんのどちらか、あるいはその両方に頼まないといけなくなるのは必至だね」
「そんなにか」
一夏は少し困惑している。秋磨は明らかに怒っているからだ。理由がわからない分、それだけ怖いのだ。自分にも、シャルルにも関係していて、自身の姉と生徒会長にさえ頼らなければならないというのだから。ただでさえ、それだけ頼らなければならないのだから、最悪もっと多くの人に知られることになる。
「来た」
一夏にとってはかなり気の重い空気だったが、その一言で少し軽くなった気がした。少なくない時間、全く会話のない空間だったのだから。
何の気無しに入ってきたシャルルは、空気が違うことにすぐに気が付いて身構える。
「あ、あれ? どうしたの? 一夏もいるみたいだけど」
「シャルル君・・・・・・いや、君のことはなんて呼べばいいのかな? 名前を教えて欲しい」
「・・・・・・は? 秋磨? 何言ってんだよ、お前」
「な・・・・・・何言ってるの? 僕の名前はシャルル───」
「名前を、教えて欲しい」
この一言でシャルルは動けなくなってしまった。体の芯が急激に冷えていく感覚を覚える。
秋磨の目には、少しの嘘すら赦さないといった意志がこもっているようにも感じる。つまり、秋磨が何らかの理由で自身の秘密に気づいたということだ。
「・・・・・・あは、あははは・・・・・・もう、バレちゃったんだね。せめて、もう少しいたかったな・・・・・・」
「ちょっと待てよ! どういうことだよ秋磨ぁ!」
「一夏、静かにして」
「だけど・・・・・・!」
「ごめんね、何で男の子のフリをしていたのか話してもらえるかな?」
「・・・・・・うん。理由はね、実家の方からそうしろって言われてさ・・・・・・」
「それは所謂、命令ってやつだろ?何でそんな───」
「僕はね、愛人の子なんだ・・・・・・ここまで言えば、大体は察してもらえると思う」
この、1人の子供にしては重すぎるカミングアウトに一夏は、正に開いた口が塞がらないというのを体現していた。
秋磨に至っては、予想していた範囲の中なのか、その言葉を聞いてから少し考え込んだ仕草を見せる。
「引き取られたのが2年前。ちょうど、お母さんが亡くなった時に父の部下の人が来たんだ。『父親に会わせる』って言って。それで、色々と検査するんだけどね、IS適応が高いことが分かって、非公式ではあったけど、デュノア社のテストパイロットをやることになったんだ」
おそらく、とても辛く、苦しく、寂しく、悲しく、虚しいといった具合に色々な感情が混ざり合った結果、今にも泣きそうになっている。それでも、話す。自分のことを理解して欲しい、そういった具合に。
「父に、会ったのは2回だったかな?会話も数回。普段は別邸に住んでるんだけどね、1度だけ、顔を合わせるために本邸に行ったんだ。あの時、父の部屋の前に本妻が立ってて、近づいたら殴られたんだ。『泥棒猫の娘が!』って・・・・・・お母さんも、少しくらい言ってくれたら、あんなに、悲しくならなかったのに・・・・・・」
そこが我慢の限界だったんだろう。涙が頬を濡らし始めた。けれど、それでもやはり、止まらない。
「そこからだったんだ。デュノア社が経営危機に陥ったんだ」
「は? ちょっと待ってくれよ。デュノア社って量産機のシェアって第3位だろ?」
「一夏、今出ているのは第何世代?」
「・・・・・・なるほど」
「ISの開発って言うのは、莫大なお金がかかるんだよ。けど、その分それだけの価値があるって判断してるんだよ」
「うん。それでね、フランスはEU(※)の中心企画、『イグニッション・プラン』から除名されたんだ。だから、今フランスは第三世代のISの開発が急務なんだ。国防の為なんて謳ってはいるけど、実際のところは資本力で負ける国が出遅れると悲惨なんだよ」
「・・・・・・」
一夏は黙って続きを待っている。まだ、話すことがあるのを知っているかのように待つ。心に溜まったものを吐き出させるように。
しかし、秋磨は少し違うようだ。
「元々、ISの開発自体遅れていたんだ。だから、リヴァイヴは第二世代の最後発の機体。そこからすぐに、第三世代機の制作に取り掛れるなんてことは出来なかったんだ。データの不足や、第三世代特有の自立型特殊攻撃とか、なかなかに形にならなかったんだ」
「・・・・・・話はわかった。だけど、それがどうして男装に繋がるんだよ」
「簡単だよ。注目を浴びるための広告塔。それに───」
少し、躊躇う行動を取るが結局言うことにした。
「同じ男子なら、特異ケースと接触しやすいだろう。可能であれば。その使用機体と本人のデータを取れるだろう・・・・・・って」
「スパイってことか・・・・・・」
「うん。でも、話したら少し楽になったよ。聞いてくれてありがとう。それと、ごめんなさい。こうして話していないとこれから先ずっと2人を騙してたことになるから」
言い終わり、少し安堵した雰囲気が流れる。しかし───
「いいのかよ、そんなことで」
「え・・・・・・? それでいいのかよ。親だって言うだけで、子供の自由を奪っていい理由にはならないだろう!」
「一夏、少し静かに」
一夏は秋磨に反論しようかと振り向くが、押し黙る。秋磨が怒っていたからだ。
「幾つか聞いてもいい?」
「え?う、うん」
「何で助けを求めなかったの?」
「・・・・・・え?」
「確かに、フランスでは助けなんて求められなかっただろうね。なにせ、IS学園に送り込んできたんだ。政府絡みでもあるだろうしね。じゃあ、なんでここに来て助けを求めなかったの?」
「そ、それは・・・・・・」
「秋磨・・・・・・」
「もう1つ。君は、どうしたいの? はっきり言ってもいい? 正直に言えば、腹が立つ。そんなに、自分が不幸だって自慢したいだけの様にしか聞こえない」
「秋磨ぁ!お前言い過ぎだぞ!」
「一夏こそうるさいよ。自分の境遇に悲観して、惚れ込んで、人に理解されないと勝手にふさぎこんで! まるで助けを求めようとしていない!他の人は助けないとか、自分だけが不幸であるかのように思い込んで! その割には、更衣室で驚いたところとか、もはや隠そうとすらしていないじゃないか! 何で親に反抗しなかったのさ! その人に! だからそうなんだ! 自分の意思さえ伝えようとしないのは人形と同じだ!」
「・・・・・・」
何も言い返せない。一夏の中には、秋磨の言葉に対する答えが出てこない。言い返せる材料すらないのだ。
「だからこそ腹が立つんだ。もう1度聞こう。君は、どうしたいの?」
「・・・・・・に」
「・・・・・・」
秋磨と一夏は黙る。
シャルルは俯いて、カーペットに涙のシミを作りながら、肩を震わせながら言葉を紡ごうとする。
「そんなに、言うなら、僕を、助けてよぉ!」
シャルルの口から出た言葉は、先の涙とは違い助けを得られたという、純粋な感情のこもった涙とともに漏れだした。
「・・・・・・珍しかったなぁ」
「え?」
今、秋磨の部屋にいるのは俺とシャルル、もとい、シャルロット・デュノアの2人だ。
なぜ、秋磨がいないのかというと、楯無と千冬に話を持って行ったからなんだけど。まぁ、本当のところは、情けないことに言い過ぎたと思い、気まずい空気から逃げるための方便だったのに気づいたのは俺だけだし、シャルロットには言わなくていい、よな?
「秋磨があんなに激しく感情を露わにして怒ることだよ。普通なら、静かに怒るんだけどな」
「そう、なの?」
「まぁな。家族、か。俺と千冬姉にも親がいないんだ。いや、捨てられた」
「あ・・・・・・」
資料で知っていたのだろう。両親不在の意味を理解したらしい。ただ、1つ疑問に思っているみたいだな。俺はそれが何か検討がすぐについた。
「秋磨も捨てられたんだ。だけど、あいつは俺たちよりもっとひどい目にあったのは確かだよ」
「え?」
「知りたいだろうけど、これ以上はあいつ自身から聞かないといけないことだからなぁ。でも、これだけは言える。あいつはそれのせいで極度の人間不信と人間恐怖症になったんだ」
「・・・・・・そう、なんだ」
あいつのそれを知っているのは、俺と千冬姉と箒と束さん、それに孤児院の院長やそこの関係者数人程度。2桁にすら乗らない。
あ、そろそろ来たみたいだな。
「すまない。おそくなった」
「うぅぅ・・・・・・痛い」
「お嬢様が悪いかと」
「」
あれ? どうなってんの・・・・・・? 千冬姉と楯無さんが来るのはまだいい。元よりそのつもりだったからだ。それと、もう1人の大人な雰囲気を醸し出す綺麗な女性はどなたで? ていうか、秋磨どうしたんだよ。
白眼むいて千冬姉に担がれているし、軽く呻き声が聞こえてくるんだけど。
「あ、あれ? し、秋磨くんはどういった・・・・・・」
「この隣にいるバカが過剰なスキンシップを取ったために血を吐いてこの通りだ。織斑、こいつの胃薬常備している胃薬を持ってこい」
「おう。あ、これか。はい」
「えっと、なんでそんなに落ち着いてるのかな?」
「慣れだよ。昔からこんなんだしな。胃薬がなければスイーツで代用可能だから、覚えておけば対処の仕方が増える」
「で?どういった話だ? 肝属が用事があると言ってここに呼びに来たのはいいが、バカがバカな行動とったせいで解らず終いだ」
「あー、その前に、そちらの方は・・・・・・?」
「虚ちゃん? あぁ、大丈夫よ。私の家のメイドさんだから」
「・・・・・・へぇあ!? ということはのほほんさんもっていうことですか?」
「そういうことよ」
「い、一夏、早く話さないと」
「あ、ああ・・・・・・えっと、この話は秋磨が呼んだことが事の発端で───」
俺は数分間、さっきのことを話した。胃薬を飲ませてから数分後のところで、秋磨が目を覚ましたから一緒に説明した。
「それで、どうするつもり?」
「特記事項第二十一の文が適応されると思うんですけど」
「織斑、そういうことじゃない。それは単なる延命措置にしかならない。根本的な解決にはならないからな」
「ぐ・・・・・・」
「・・・・・・とりあえず、シャルロットさんの父親は逃がすためにここに送り込んだ、そう考えた方がいいですね」
「どういうことだよ」
「考えてみてよ、男装として身分を隠そうとしているのに、姓は変わっていないんだよ?真っ先にデュノア社との関わりが疑われるはずなのに、だ。まず、大きな会社の一社長は目先のメリットには囚われない。きっと、シャルロットさんのことが大事だったと思うよ」
確かにそうだ。俺でもすぐにデュノア社のことが頭に浮かんだんだ。それなら普通に他の人が考えていてもおかしくはない。
「ホントに秋磨くんは頭いいわねぇ。じゃあ、どうするつもり?それだけじゃ、私たちは動けないわよ?」
「知ってますよ。情報は随時お渡ししますから」
「・・・・・・どのように情報を得るつもりですか?最悪、フランス自体を敵に回すことになりますよ」
「パソコンがあればいくらでも得られますよ。過去から現在までの情報は」
あぁ、ハッキングかぁ。秋磨ってたしか束さんといい勝負の
楯無さんと虚さん、それにシャルロットもどういうことか理解したのか驚いているようだ。
「肝属、お前そんなことして大丈夫か?」
「バレませんよ。バレるのはフランスの後暗いところだけです」
「ふふっ、じゃあ情報次第で動くわ。よろしくね」
「分かりました」
ふぅ、これで終わりか……おっと、ダン・モロみたいになったな。あのキャラ好きなんだよなぁ……うん。秋磨があのキャラ好きで布教されたんだけど。
「秋磨、何かあれば言ってくれよ。俺も手伝うからさ」
とと、そうだった。忘れてたことがあったぜ。
「俺は織斑一夏、よろしくな。俺のことは一夏でいいぜ。で、隣が」
「き、肝属秋磨・・・・・・です。よ、よろしく」
「あっ・・・・・・うん!僕はシャルロット・デュノア。2人とも改めて、よろしくね」
「まぁ、秋磨のことも呼び捨てでいいぞ」
「え」
「あはははは。うん、そうするね」
「え」
この際、秋磨の反応は無視しよう。シャルロットも慣れてきたみたいだしな。おっと、そろそろねる時間だな。
「じゃあ、また明日な」
「うん、お休み」
まぁ、シャルロットの件は秋磨が関わった時点で解決するだろうし、一安心ってところかな?
「し、秋磨?その、あ、ありがとう」
「っ!?え、あ、う、うん・・・・・・」
「?」
ど、どうたんだろう・・・・・・というか、まず、急に話しかけてこないでください。あの、その、ごめんなさい!
「ふふっ、ホントに資料通りなんだね」
「し、りょう?ど、どんなことが書いてあるの?」
「えっとね、
「ひえっ!?」
き、聞かなければよかった・・・・・・ひ、人って怖い!そ、外に出たくない!
「そ、そそそそれじゃあ、お、おおや、おやすま・・・・・・」
さ、最後に噛んでしまった・・・・・・恥ずかしい、死にたい、だから自分はダメなんだよね。うん、人に不快な思いをさせて迷惑かけるより、足にコンクリくくりつけて海の中に沈んでいって魚とかの餌栄養になる方がまだマシだよね・・・・・・死にたい。
「・・・・・・っあははははは!最後に噛むの、あははは!ご、ごめん、ぷふっ!ああ!ごめんってばぁー!」
・・・・・・もう寝よう。明日になったら死んでることを望みながら。
「ハッハー!まだまだ行けるぜ秋ぅぅぅ磨ぁぁぁぁ!」
また、直線的に突っ込んできたね。何回言っても同じことするんだから。みんなから言われてるのに。
曰く、「違うだろう!そこはヒュッてしてスッ、バーン!だ!」
曰く、「感覚的に予測して避けて突っ込むのよ。え?わからない?」
曰く、「そこは、射撃線から───(30分近く)」
曰く、「一夏は、分かってない。追加ブースターがないからダメ」
いやいや、白式に後付けできないらしいですよ。っていうか、知ってるじゃないですか。
まあ、それは今はどうでもいいよね?一夏がああ言ったんだったらもちろん自分はこう言うべき。
「・・・単純バカが。死んでも治るものでもあるまい・・・」
両背部を
ビーーーー!
ふぅ、これで終わりか。正直に言えば、危なかったなぁ。何回か、発動している零落白夜がかすったからね。正直に言えば、あれはチート武器だね。かすっただけで、シールドエネルギーが飛んでいっちゃうからね。
「ふふっ、お疲れ様。というか、ホントに2人はISを乗り始めて数ヶ月なの?」
「あー、一応ゲームでそれらしい戦い方は・・・・・・なぁ?」
「え?あ、う、うん。そ、そそそそそうだよね。うん」
「落ち着け」
「そうなんだ。射撃武器の特性は結構わかってるみたいだからね。僕、間合い詰められた時びっくりしたからなぁ」
「あ、一夏、これ使っみてよ。これ、追加ブースター。テストよろしくね」
「分かったー。・・・・・・ってワンオフアビリティーのせいで容量ないんだけど」
「ああ、それはね、所有者が
「え?あ、う、うん。そう、だよ?」
「いいなぁ。僕も使ってみたいなぁ」
「そう言えば、しゃるろ・・・・・・シャルルはどんな武器が好きなんだ?」
「自分はいろいろあるけどなぁ・・・・・・あ、でもあれは好きだな。パイルバンカー」
「あ」
一夏はそれを聞いて声を漏らす。シャルロットはそう答えてしまったからだ。何故か。それはもちろん、ACfaをしている人ならみんな知っている、一撃必殺
まず、あれはおかしい。ブレードと言うには、あまりにも異様な形状をしている。もう、パイルバンカーと言っても差し支えないだろう。
そして───
「KIKUを使いたいの?いいよ!すぐにアンロックをしよう!使った感想を言ってみて。今から的を出してくるからね。かなり硬いヤツ!」
ISを解除して、階段を駆け上がり操作室へ消えていく。その姿を2人で見送る。
「あいつは生粋の
「・・・・・・これ、形状からしてヤバそうだね。いきなりテンション上がったし、一緒にいて楽しいね」
『的出すからねー。行きます!ポチッとな』
すると、どこからか出てきたのは『いかにも』といった硬そうなものだ。アリーナに使われているバリアの技術を使って、その装備の威力などを調べる器具である。
『使い方は分かるよね?じゃ、行こうか』
「よし、行くよ。ハアァァァァァァ!」
シャルロットはKIKUを的に当てる。すると、普通はありえないことが起こったのだ。
的が
一夏に至っては、ああやっぱり。と、すぐに諦めたのだが。
「ひぇぇぇ・・・・・・」
『ね!ね!どう!?どうだったかな!?』
その声に、簪と共にいた鈴とセシリアがハンガーから出てきたようだ。
「どうしたの?」
「あ、ああいや、秋磨がこれを作ったんだけどね。テストしてくれっていうから・・・・・・」
「・・・・・・私もしたい」
「2人だけなんてずるいですわ」
「え〜!装備もしゅうまんがつくってるの〜!?」
「え?ホントに!?私もテストしたいなー」
などと、簪たちだけに留まらず本音を中心とした1組の割と接しやすい人たちも来たようだ。
『一夏も早くやってみて。それ、高速起動用のパッケージだからね。あともう1つ高速
そう言って、次々とアンロックして一夏に送り込む秋磨。『スペックデータね』と送られてきたそれには、ISの装備として破格もいいところの性能だった。
「これを1人で・・・・・・」
と1人が、いや、その場にいたみんなが開いた口が塞がらないの文字通りになっている。
「ま、まあ、やってみるか」
その場にいた、専用機を持たない子たちを移動させて、よし!と気合を入れて意気込み
「うお!?うおおおおおおおおおお!?」
余りにも速すぎたためか、一夏は驚いたようだ。
すると、前方にはISを纏いながら『葵』を素振りをしている箒がいた。そして箒もその声に気づき一夏の方を見る。
「きゃあっ!?」
「うわぁ!!」
ドカーーーーン!
と大きな音を立てて転がる2人。そして、いつの間にか戻ってきていた秋磨と一緒に遠くから見るみんな。
すると、以前の真耶の時同様に絡み合ったこの時、胸を揉んだようだ。箒のちょっとした嬌声は完全にそれだった。
一夏は一夏で馬鹿なことを言ったのか、箒が急に怒ってから『葵』でぶっ叩かれてしまった。
「相変わらずねー」
「箒さん、ここでそのような行為は」
「私と秋磨・・・・・・」
え!?何!?簪さんと自分が何ですか!?も、もしかして、こ、殺される、とか?ひぃ!?せ、せめて、殺すのは世界のスイーツを食べてカラにしてもらっていいですか・・・・・・?
その後も、数十分を掛けて装備のテストを行った。いずれも、ISの装備にしては破格もいいところなようだ。
曰く、この威力でこの連射速度
曰く、バカみたいな威力と爆炎のグレネードキャノンがえぐい
曰く、その威力でEN装備のシールドエネルギーを食う量が少ない
などと言う感想をもらった。これにはもう、秋磨は喜びで飛び跳ねる勢いだ。
「こうなったら、悪いことが怒らない限り数日このままかもしれないなー」
「え?本当に?」
「喜びに満ち溢れるしゅうまん・・・・・・」
「・・・・・・かわいい」
すると、アリーナの席で秋磨たちの模擬戦から見ていた人達の声が聞こえてきた。
「・・・・・・ねぇ、あれって」
「うそ・・・・・・トライアル段階のはず、だよね?」
などと言う声が聞こえてきた。
その言葉通りに数秒後には自分たちの前に
「おい」
「ひいっ!?」
「」
すると、何人か一夏や他の数人が自分の前に出て守ろうとする。あれ、シャルロットさんもいる・・・・・・こ、今度、普通に喋ってみよう。こ、怖いけどそうしよう。しゃべる時、噛まなければいいなぁ・・・・・・
反対にあまりにも秋磨がビビりすぎるためか、ラウラは今にもくじけそうになってしまっている。
「・・・・・・おい」
一夏は少し嫌そうな顔をして振り向いた。一夏、そんなに嫌な顔したらダメだよ。・・・・・・目の前で怖がってる自分がいう言葉じゃないね。
聞くところによると自分が倒れたあとに一夏にビンタしたそうな。それはもう思いっきり。かなりいい音だったらしい。その際に「仕切り直しだ」と言って、殴ったそうな。
自分、豆腐メンタルな自分にはできない。正直に言えばすごいと思う。うん。
「なんだよ」
「貴様ら、専用機持ちだそうだな。ならば話が早い。私と戦え」
ひ、ひえぇぇぇぇ!?こ、こんなに人が沢山いるところで態々注目を集めて戦おうとするなんて。
「イヤだ、理由がねえし。それは秋磨も同じだ」
「ふん、貴様らにはなくとも私にはある」
なるほど。彼女が、か。千冬さんの話にちょこちょこ出てたのはラウラさんのことなんだろう。
けど、それは一夏が一番理解しているし悔しいはずだ。それを当事者でもない自分たちが言うべきではないと思うけど。
一夏が第2回『モンド・グロッソ』の開催時、誘拐された時の話だ。一夏が攫われたことを千冬さんに伝えて最悪な事態になることは無かったけど、結果千冬さんは優勝を逃した。
自分はそのことに責任を感じてるのは自覚している。なぜなら、自分が伝えなければ優勝できていたことは確実なのだから。けど、それ以上に千冬さんが一夏のことをとても大事にしていたことを知っている。2人は互いに唯一の家族なのだからそれも当然だろう。
「貴様らがいなければ、教官が大会二連覇の偉業を成し得ただろうことは容易く想像できる。だから私は、
その時、秋磨はラウラの中に何かドス暗いところを見た気がした。
きっと、千冬さんの強さに惚れ込んでいるのだろう。だから、秋磨たちが千冬の経歴に傷をつけたことを憎んでいるのだろう。そう、当たりをつける。
けど、それはただの自己満足の以外のものはないんだけどね。
「また今度な」
「ふん、ならば───戦わざるを得ないようにしてやる!」
そういうのと同時に戦闘状態へとシフトさせる。並行して左肩に装備していた大型実弾砲が火を噴いた。
一緒にいたISを纏っていない生徒たちがいるところに、だ。
その場にいた者の全員は奇しくも、皆全く同じ最悪の結末を思い浮かべた。声にならない悲鳴を上げるが、意味もなく無惨な姿に成り果てるであろうことは創造に易かった。しかし───
っぱじゅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・
瞬時にISを纏った秋磨が生徒の前に割込んでいた。それに飽き足らず、レーザーブレードで切り払う。
今、辺りはレーザーブレードの高熱により実弾が溶かされた音が流れるだけ。
次第にその音は消える。
「・・・・・・どうせ、確信犯なんでしょ?話しても仕方ないね。所詮は獣、人の言葉も解さないよね?」
「貴様っ!私を愚弄する気か」
「なんの意味もなく、ただの自己満足のために人を殺すか。生き易いね、うやらましいよ」
「きっさまぁぁぁぁぁ!!」
その怒気とともにラウラは片手のプラズマ手刀を展開して秋磨に突っ込んでくる。しかし、秋磨は動こうとしない。
『そこの生徒、何をやっている!学年、クラス、それと名前を言え!』
突然、アリーナのスピーカーから担当の教師の怒号が聞こえた。騒ぎが騒ぎなだけに当然なのだが、今回は度が過ぎている。
「・・・・・・ふん、今日は引こう」
そう言ってアリーナを去っていく。まるで、いつでもお前らなぞすぐに殺せるとでも言いたげに。
あまりの展開に皆、唖然とする中で知ってか知らずか空気を読まず秋磨は溜め込めていた息を吐き出す。
「・・・・・・こ、ここここ怖かったぁぁぁぁぁぁ」
そう言いながら、秋磨はISを解除する。
それをきっかけに、皆気を取り戻したようで、歓声が上がる。
「す、すげぇ!秋磨すげぇよ!」
「ドイツの子との会話もかっこよかった・・・・・・」
などめいめいが秋磨を褒め称えていて、いろいろと聞こえるが秋磨はと言うと・・・・・・
「────────────!!!?!?」
と、ラウラに放ったセリフを思い出して顔を真っ赤にして恥ずかしがり、地面を転がり、蹲り、声にならない叫び声を上げていたのだった。
「はぁ・・・・・・疲れた」
「はははは、お疲れ様。でも、良かったじゃんすぐに終わったし」
「身体的な疲れじゃないよ。精神的な疲れだよ」
あの後、秋磨は庇った数人の生徒───布仏本音を始めどもりはするが、幾らか話しやすいメンバー───に安否を聞いたら、庇った全員がお礼をしたいだのなんだの煩くなり、結局収拾がついたのは30分後となったのだ。
その時、秋磨に好意を寄せている簪、鈴、セシリアは言わずもがな何故かシャルロットまで機嫌が悪くなってしまうのだった。その際に秋磨は自分が迷惑を掛けたから死を以て償う旨の言葉を口にして場は収まったのだが。
簪曰く、「秋磨は一夏のこと言えない」
鈴曰く、「また増えた・・・・・・」
セシリア曰く、「そこが美徳ではあるけれど」
まあ、後の祭りということでどうすることも出来ないので置いておくとしよう。今、秋磨たちは騒ぎから逃れるために書類は自分たちで片付けると言ったのだ。ただ、書く内容は名前とその他1つ2つなのですぐに終わった。
その時秋磨が「1人にしてください」と言い、その通りにしたら通常、30分は掛かるであろうその量を10分少しで終わらせたのだった。彼曰く、「1人の方が集中できる。他の人がいたら胃が痛くてできない」とのこと。究極的にぼっちを極めてしまうとこういうことになるらしい。
「おつかれ。飯の時呼びに来るから」
「えぇ・・・・・・湯豆腐と温いお茶で大丈夫だよ」
「大丈夫じゃねえよ。っと、あとでな」
「うん・・・・・・」
ガチャ、と扉を閉めて溜め息をつく。相当疲れていたのか、意識が朦朧としているようだ。仕方ないことなのかもしれない。多少は慣れたとはいえ、完全ではない相手に近くまで寄られて胃痛が激しくなったようだ。なれた動作の中に、披露から来ているのか若干投げ遣りな動作が見られるのは見間違いだはないだろう。
そのまま、汗を流すためにシャワールームに向かう。
・・・・・・あぁ、ボディーソープ切れてたっけ?補充しないとなぁ。そう思い、詰め替え用のパックを取り出してシャワールームへと向かう。手をかけてドアノブを開けて気がついた。シャルロットはどこにいるのだろうか、と。
そして、それは最悪の形で答えが出てしまうのだった。
「し、しししし───」
「」
シャルロットがシャワーを浴びていたのだ。それはもう、一糸纏わぬ姿で。
秋磨は自身のアサルトキャノンがアダルトキャノンに変化したのを自覚すると同時に目の前が真っ暗になった。
あ、終わった。人生終わった。あれ、走馬灯が流れて見える・・・・・・あれ?全部、途中で目の前が真っ暗になってるけどなんでだろう。あ、気絶してるのか。
「秋磨!?」
シャルロットは口と鼻から大量に流れる血を止血しながら、一夏に助けを求めるのだった。
七夕が近いので七夕ネタにしようかと思います。まあ、はっきり言えば息抜き作です。どうかお楽しみいただければと。
それと、くどいですが教えてください。