夢を馳せる少年   作:主任大好き

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本当に申し訳ありません。次の話はかなりあとになります。理由としては震災の影響で単位取得のための試験や、レポートやスライドなどを作っているからです。正直、レポートなどはもう少しばらついているのかと思っていましたが、えげつないですね。まとまって来やがりました。試験こy。課題こy。


16話 決勝リーグ、第一試合

「秋磨、こっちは大丈夫だ。千冬姉にも何があったか話してきたぜ」

 

「大丈夫かな、2人とも」

 

「え、あ、うん?えっと、命に別状はない、らしい。今、ISの検査終えて分かった事はIS自体のダメージがギリギリCのライン上にあるってくらいかな」

 

「そっか・・・・・・」

 

「それよりも早く2人のところに向かうのだろう?それに秋磨はISのことも伝えないといけないからな」

 

こうして事情説明組一夏、箒、シャルロットの3人とISの検査していた秋磨は合流して医務室へと向かう。その間、少しの無言の状態が続いたのだが、医務室の前についた途端中から大きな声で言い争う2人の声が聞こえてきた。

さすがのこれには4人は顔を見合わせて溜め息と苦笑いしか出て来ないらしく、心配して損したと言ったふうな顔を滲ませている。

 

「おっす、大丈夫か?」

 

「「なんですっt・・・・・・」」

 

その場の空気が一瞬のうちに凍ったように固くなった気がしたのは、何も秋磨だけの話ではないようだ。

ゆっくりと掴み合いケンカをしていた2人がこちらの方を固い音を立てながら振り向きはじめる。

その動きに対して若干恐怖を感じる見舞い組の4人と、逆に想い人にこのような醜態を見せていることに気が付いた2人はというと───

 

「み、見苦しいところを見せたわね」「大変申し訳ありません」

 

と、2人とも同じように顔を赤くさせて食い気味に言葉をかぶせる。何を言っているのか分からなかった。

 

「秋磨、さっきのその、助けてくれてありがと・・・・・・」

 

「助けていただいてありがとうございます。今度お礼をお持ちしますね」

 

「え、あ、いや、だ、だだだ大丈夫、大丈夫だから!き、きききき気を使わないでいいです!」

 

「・・・・・・それで、えっと私たちのISは?」

 

「うぐっ・・・・・・そ、その・・・・・・えっと」

 

「あー、秋磨が(・・・)調べてたらしくてさっき聞いたけどダメージレベルがCギリギリだってさ。だから、トーナメント戦は無理」

 

あれ?何で一夏は自分の名前を強調したんだろう・・・・・・えっと、あ、もしかして、新手のいじめ!?こ、こここの場合は『お前たちの嫌いな秋磨がお前たちのデータが残ってるそれを舐めまわすように見ていたんだぜ、あいつそろそろ死んでくれねーかな?』とかないよね!?ね!?

・・・・・・やばい。なんか、本当にそんな感じがしてきた・・・・・・もう死にたい。なんで生きてるんだろう、自分。

 

「え・・・・・・それって秋磨が私たちのISを見てくれたってこと?」

 

「そ、それって・・・・・・もう隅々まで見られたと言っても過言では・・・・・・」

 

「えっと、その、そうしないと、あの、どこがダメかとか解らないから、あの、その、ご、ごごごごめんなさいぃぃ・・・・・・」

 

誤解して謝罪している秋磨を他所に、奇しくも2人の思考は同じことを考えていた。

ISとは、その国の開発データ以前に、搭乗者個人のデータが事細かに示されるものである。なので、基本的には搭乗者のデータの管理は女性が行っている。何故なら、ISとは身に纏わせるものであり、搭乗者の身体のいたるところの数値も出る。

まあ、何が言いたいかと言うと───

 

「(私の身体のデータを隅々まで見られた・・・・・・もう、裸を見られたも過言じゃないよね・・・・・・『鈴の身体は綺麗だね』って・・・・・・///)」

 

「(し、秋磨さんになら言われたら何時でも・・・・・・あ、でも今は身体に傷が・・・・・・けれど、『傷なんて関係ないよ』なんて言われてしまったら・・・・・・///)」

 

などと顔を赤く染め上げ妄想の世界へとはばたいてしまい一向に帰ってくる様子が見られない。

何故かここで機嫌が少しずつ悪くなっていくシャルロット。今は男子を装っていはいるが、最近は秋磨のおかげで素の部分を出せる場所ができたのだ。一時期押さえ付けられていたのもあってか、結構秋磨に対して甘えることが多くなっている。

このことに一番の危機感を抱いているのは、甘えているシャルロットよりも、秋磨が自分の胃が壊れないか大丈夫かを心配している。元々、他人が信用できない性格であるのにシャルロットが甘えてきた時にはもう胃がマッハで蜂の巣にされる。

一方で秋磨の方はというと、まだ妄想の世界で旅を続けている2人に謝り続けている。流石に混沌としてきたためか、一夏が口を開く。

 

「それで、どうして戦ったんだよ」

 

「そんなの決まってるじゃないか。本人は別として一夏はその場面を見てると思うけど」

 

「ん?何のことだ?」

 

「・・・・・・箒、僕は察するよ」

 

「言わないでくれ・・・・・・それは私自身が思ってることだし昔から変わらないんだ・・・・・・」

 

「何でそこで箒が出てくるんだよ。それに、シャルルの言ってることも意味が分からないぞ」

 

「それはあんたが鈍感だからよ」「それは貴方が鈍感だからですわ」

 

「ひ、ひぃぃぃ!?そ、その、じ、じじ自分が鈍感です、すすすすすみ、すみません!その、えと、い、いいいい幾らで、ゆゆゆ赦してくれますかかかか!?」

 

すると、後ろの方から扉がひらく音が聞こえ、振り向くと簪がいた。ライバルではあるが同士でもある2人のことが心配になったためだ。

 

「大丈夫・・・・・・何この状況」

 

謝っていた秋磨は自分を対象に言われたと勘違いをして尚も混沌さが深刻となっていく。一夏の心情としては『あれ?この混沌とした空間を戻そうとしたんだけど』である。しかし、蓋を開けてみればもっと混沌とした空間を作り上げただけだった。

しかし、その空間もここまでで医務室にいる秋磨たち7人はすぐに異変に気づく。医務室にある薬品棚のガラスが少しずつ音を鳴らし出したのだ。

その様子に、心霊系のダメな4人(シャルロット含め)の女子から「ひっ」と悲鳴が上がる。しかし、残りの男子2人と簪は何のことかと思い始めたが、秋磨はすぐに気づいた。気配で。すると、すぐに行動に移す。鈴とセシリアのベッドはくっついていて、下に潜ればばれることはないと思い、誰にも気づかれることなく秋磨は2人のベッドの下に潜る。

すると大きな音を立てて扉が開かれた。それと同時に大人数の生徒が流れ込んできたのだ。その様子に医務室にいた一同は驚いた。

 

「「「「「織斑くん!」」」」」「「「「「デュノアくん!」」」」」「「「「「肝属くん!・・・・・・あれ?」」」」」

 

『『『『『『これ!』』』』』』

 

示し合わせたかのようにその場にいた女子のは1人も例に漏れず1枚の紙を手に持ち突き出した。

その紙は学内の緊急告知文が書かれた申込書だった。何でも、『より実戦的な模擬戦を行うから、2人組が参加条件だ。ペアができなかった者は抽選で勝手に組ませ当日発表するから』である。

最後まで読み上げようとした一夏を乗り込んできた女子が止めさせて無理矢理にでも自分と組ませようとする。

 

『『『『『『『『私と組もう!』』』』』』』』

 

すると、一夏は焦っているのかすぐにこの部屋を見渡した。しかし、そこに秋磨はいない。なので、咄嗟に隣にいたシャルロットを見てこう言った。

 

「あいや!えっと、俺、シャルルと組むから!」

 

すると、どこからかガーン!と言った裏切られた感じの悲壮感が物凄く伝わってきたが一夏は現状打破に精一杯。

しかし、そんな雰囲気を他所に話は進む。

 

「まあ、そういうことなら・・・・・・」

 

「他の女子と組まれるよりはいいし・・・・・・」

 

「男同士っていうのも絵になるし・・・・・・男同士・・・・・・いいわね、これで行くわ!」

 

「ちょっと待って!みんな、秋磨くんを探しに行くわよ!」

 

「「「「「「はっ!そうだった!」」」」」」

 

そう言いながら乗り込んできた女子は皆、走って秋磨を探しに行った。

すると、いなくなったのを確認して秋磨は鈴とセシリアのベッドの下から出てきた。そして、開口一番にこう言った。

 

「一夏の裏切り者!バカ!」

 

「チョッ、俺は悪くねえ!急にいなくなったお前が悪いじゃねーか!」

 

すると、今まで考える仕草を取っていた簪は一瞬目を輝かせるとすぐに口を開いた。

 

「そうだよね。一夏は自分の親友も箒も選ばないなんてひどいよね。だから、悪い一夏を倒すのを私が手を貸してあげる」

 

簪は箒の不服そうな顔を見てすぐに繋げた。箒からはもっと言ってやってくれとの視線を受ける。そして、そのことに対して面白くない人間がこの場に3人。

 

「ちょっ、簪ぃー?裏切りは良くないわよ?」

 

「そうですわ。簪さん、それはちょっと話が違うのではないのですか?」

 

しかし、簪はその2人の言葉を無視してシャルロットへと目を向ける。シャルロットも簪が生徒会長の妹であることを知っているため、事情を知られていても何も感じないのだが、簪と目を合わせて無言の会話を交わす。

 

『そっちは秋磨と一緒の部屋だから私が組んでもいいでしょ?』とは簪の弁。

 

『ううぅぅぅ・・・・・・一夏のバカ。いいもん。秋磨とは一緒の部屋だもん』とはシャルロットの弁。

 

しかし、そんな2人の思惑を知ってか知らずか・・・・・・いや、知らずに秋磨は話を進めていく。

 

「ほんと!?よし、一夏は覚悟しておいてね!簪さん、機体完成するんでしょ?テスト、するんだよね?よし、行こう!全身KIKU(射突型ブレード)にしてやるんだから!」

 

秋磨の言葉にそれはダメだと反対するベッドにお世話になっている2人は騒ぎ、簪とシャルロットは無言で言葉を交わし、一夏は全身射突型ブレードの恐怖を想像し、秋磨は一夏に怒っているこのカオスな状況の中───

 

「いや秋磨、それはただの変態では?」

 

箒のツッコミが虚しく医務室に響くともなく、窓の外に見える夕焼けと同化するだけだった。

 

 

 

 

「さて、私たちは来賓の誘導を行うから行くわね。頑張ってね、簪ちゃんと秋磨くん」

 

「え、いや、あの、その、は、はい」

 

「うん。取り敢えず、第一目標は第1回戦突破かな」

 

「かんちゃんとしゅうまん頑張ってー」

 

「全く。本音、あなたは私たちと同じく来賓客の誘導ですよ?ほら、行きますよ」

 

本音は「待ってよー」と言いながら姉である虚に引きずられて行く。まあ、その光景を見て若干やる気の削がれた2人ではあったが、やる事は何ら変わらない。

 

「お、秋磨ー。調子はどうだ?」

 

「おはよう。秋磨、簪さん」

 

「おはよう一夏、シャルル。一夏、覚悟しておいてね」

 

「おはよう2人とも。それと、シャルルくん、私は簪で大丈夫だよ」

 

「え?あ、うん。分かった」

 

すると、少し考えごとをしていた秋磨が今頃になってこんな事を言い始めたのである。

 

「来賓客って・・・・・・もしかして多くの人が来ちゃう?もしかしなくても多くの人が来ちゃう?ねえ、ねえ」

 

「え?今頃かよ」

 

「それはそうだよ。3年にはスカウトが来るし、2年には1年間の成果の確認にそれぞれ人が来てるからね。1年の僕たちにはあまり関係ないけど、上位に入ればチェックは入ると思うよ」

 

「その中には、もしかしたら各国の代表者もいるかもしれない。前は結構そういうのがあったらしいし」

 

すると、みるみる元気が無くなり遂には「胃が・・・・・・」とか「最近、胃薬の減る量が以前より多い」やら「死んで貝になりたい・・・・・・誰とも関わらずに生きていたい」とマイナス思考全開の言葉を延々と零していく。

そんな秋磨の様子を見て、そこにいる女子2人の感想はというと、『かわいい・・・・・・』である。

 

「おはよう」

 

と、4人の後ろから声を掛けてきのは箒、鈴、セシリアの3人だった。

 

「もしかして、一夏はラウラさんのことが気になってる感じ?」

 

「まあ、な・・・・・・自分の力が試せないで終わるって言うのは嫌じゃないか?少なくとも俺は嫌だ。そうでなくても、友だちがあんなことになったんだ」

 

・・・・・・正義感が強いのはいいんだけどなぁ。少なくとも、後の方は個人的な報復が混ざっている様だから不安なんだけどね。なんて言いつつも昔から何とかなるのが一夏だし。こう言った後は誰かしら落としてるから心配するだけ無駄・・・・・・なのかな?箒、応援しかできない自分を赦してください。お願いします。10000円で勘弁してください。

 

「感情的にならないでね。彼女は恐らく1年の中では現時点で・・・・・・」

 

シャルロットは『最強だと思う』とつなげようしたのだろうが、近くに秋磨がいることを思い出して本人の方をチラ見する。

数日前のことを考えると最強は誰なのかすら考えずに分かることだ。まず、機体のスペックからしておかしいのだ。第三世代のISでさえ出る速度は1000ないレベルなのだ。それなのに、メインブースターを吹くだけで700近くの数字が出る上、QB(クイックブースト)を連続で行うと1400は超え、さらに、そのラウラとの出来事の時に初めて出したOB(オーバードブースト)の数字は2000なのだ。しかも、シャルロットはそのOBを発動する部分を変えればもっとスピードは出るとも聞いている。機体のレベルからしておかしいのだ。その上、それを左右前後に振り回すことも可能。原理は前に話していた慣性を消したようにみせる(・・・・・・・・・)ために、PIC(慣性中和装置)(パッシブイナーシャルキャンセラー)の強化を施したという。これは全て、秋磨の言う高起動戦闘を行うために作り上げられた機体設計であり、千冬が言うには束にすら作れるかどうか分からないとのこと。

 

「(そしてそれをきちんとコントロールできる秋磨も大概化け物だと思うんだけどね・・・・・・場所が狭いのが救いかな)」

 

1人1人時間の流れの感じ方に違いはあれど、ついに1年の部、ブロックの発表があった。結果は一夏・シャルロットペアがAブロック。秋磨・簪ペアはBブロックにエントリー。そして、一夏の一番気にしていた相手はDブロックとなった。

 

「決勝までみんなと戦えないのかー」

 

「僕はそれでもいいと思うんだけどね・・・・・・特に秋磨は怖いかなぁ」

 

ガーン!な、な何で!?じ、自分そんなに怖くないよ!?・・・・・・も、もしかして自分は知らないうちに人にかなり迷惑かけて・・・・・・あぁ!もうダメだ・・・・・・こんな自分に生きている資格なんてないんだ。こんな自分さっさといなくなればいいのに。きっとみんなそう思ってるはずだよね・・・・・・ちょっと待って。もしかしたらこれを機にみんなに迷惑かけないように海底でひっそりと貝のように生きていけるかもしれない!それじゃあ早速出ましょう!

ヴェエ!?

 

「どこ行こうとしてるの?私たちの出番直ぐだよ?まさか、シャルルの言葉をそのままの意味で捉えて最終的に貝のようにひっそりと生きていたい、なんて思ってないよね?」

 

「ひっ!?」

 

「相変わらずだなー」

 

「本当だね」

 

「そう言えば、箒の組み合わせはどうなんだよ」

 

未だに何も言わない箒、鈴、セシリアに何か感じたのだろう一夏は3人に声をかける。

実際に3人は口を開いてぱくぱくと動かしている状態だった。声をかけても返事が帰ってこなかったため、その3人の目線の先にあるものを見る。トーナメントを発表するためのモニターだったのだが、箒のペアには───

 

 

 

 

今、秋磨たち2人のいる場所はアリーナの中央だ。もちろん、秋磨の胃はマッハでゴリゴリ削られていってるのだが。

 

「来たよ。ていうか、秋磨大丈夫?」

 

「だ・・・・・・大丈夫じゃなぁい・・・・・・」

 

秋磨は若干息も絶え絶えの状態で答える。その様子にクスッと笑う簪は対戦相手を見ると、そこにいたのは秋磨の、クラスメイトの本音ともう1人、鷹月静寐だった。

 

「あっちゃぁ・・・・・・私たちついてないねー。いきなり専用機組とかー」

 

「かんちゃんだー。やっほー」

 

「あー、うん、その、ごめんね?間近で秋磨の戦いが見れるからそれで許して」

 

「!?」

 

秋磨は売られたと感じて悲壮感をめいいっぱい漂わせるがそんなものに慣れた上に扱い方もだいぶ周りもなれてきているため、OKと答えられ何も言えない秋磨だった。

 

『それでは、Bブロックの1回戦開始してください』

 

アナウンスが入った。

それと同時に4人は動き始める。秋磨は基本装備を展開。やはりと言うか、左に07-MOONLIGHT(レーザーブレード)を展開、右にはEG-O703(パルスガン)、さらには両背部にはKAMAL(スラッグガン)を一気に出現させる。

凶悪と言ってもいいそれを見て流石に簪たち3人はとても苦い笑いを浮かべる。

こうして始まった試合だが、言うべくもなく1回戦、2回戦と勝ち上がり、最終的に決勝リーグへとコマを進める2人だった。

一方、一夏たち2人も、さらにはラウラのチームも勝ち上がっていた。ここで決勝リーグに勝ち上がった各チームの対戦相手が決まった。

 

「私たちの相手がまさか、一夏とシャルルだなんて・・・・・・やりにくい」

 

「そうだね。一夏はゲームで射撃武器の特性を知ってる上にあの加速性能。自分の機体に届かなくてもあれは無視出来ないよ。それに、シャルルの場面場面に合わせる援護もやりにくいし、武器の扱いが上手すぎるからね」

 

「作戦は?」

 

「今回は、前衛後衛で分けるんじゃなくて2人とも遊撃手って考えるべきだね。まぁ、簡単に言えば状況次第。一夏たち同じだよ。一夏は近接特化してるし自分も近接特化気味のアセンだからね。まあ、変えようと思えば変えれるけどゲームの中で1番理解出来てるのはこのアセンブルだからね。さらに言えば、シャルルくんの機体は万能というよりあれは全距離対応特化(・・・・・・・)って感じかな。それに、簪さんの機体も中長距離対応から近距離対応にできるし」

 

そう。今、秋磨の言ったとおりで簪の機体にちょっとした(・・・・・・)ギミックが隠されている。

簪の機体は元々、荷電粒子砲とミサイルを積んでいた。荷電粒子砲とブースター関係はしっかりと出来ていたのだが、ミサイルのマルチロックのプログラムが出来ていなかったのだ。そこに秋磨がヒントを与えたり、手を加えたり色々とした結果、簪の『少しでもリーチのあるように』と言う要求通りに薙刀より刀身が倍近くあるEB-O305(エネルギーブレード)を。更に、秋磨は勝手に判断して03-MOTORCOBRA(マシンガン)をコアに認識させて登録した。まあ、1秒間に15発なのだから変態仕様(最高傑作)と言っても過言ではない。しかも、荷電粒子砲とミサイルをパージすると勝手に展開するように設定していた。

それに気付いた簪さんは性能があまりにも変態の度合いを振り切っているため『変態技術者め・・・・・・』とこぼすと『ありがとうございます!』と秋磨は返答。技術者として変態と言われるのは秋磨にとっては褒め言葉らしい。

現在、ピット内は秋磨のいるピットは簪はもちろんセシリアと鈴、そして楯無がいた。セシリアと鈴よ2人はどうしてあなたがここに?と言った疑惑の目を向けるがどこ吹く風な楯無。簪も含めここにいる女子4人は本能的に理解をする。全員が全員味方でありながら敵でもある状態だということに。

因みに、秋磨はと言うと一夏と勝負する際にあたって勝った方が何かを奢るという話になりもうスイーツを奢ってもらうことを心に決めている。そのためか、いつもの本気モードだ。余談だが、『最近秋磨が本気モードになる時って大概俺の財布がダメージ受けるんだけど。PA(プライマルアーマー)の役割のクーポン券とか割引券とかがない時に限って』とは一夏の弁

 

「秋磨と簪、頑張りなさいよ」

 

「厳しいでしょうが応援していますわ」

 

「え、あ、いや、その、ありがとう・・・・・・」

 

「簪ちゃんも頑張ってね。お姉ちゃん応援してるから」

 

「うん。行ってきます」

 

言葉を交わし、ピットから出ていく2人。秋磨たちのペアの方が早かったらしく、まだ一夏たちのペアは出てきていない。

 

『正直、一夏の零落白夜を向けられるのは怖いかな・・・・・・』

 

「仕方ないよ。多分あれは変態技術者(束さん)製の機体だもん。怖くない方がおかしいんだよ?」

 

秋磨は結構大きめな爆弾を漏らす。秘匿回線を使っているため、情報が漏れる可能性は無い。しかし、初めは軽く流していた簪は何か引っ掛った様な気がしてもう1度秋磨の言ったことを思い出す。

 

『・・・・・・多分って事はあれ、まさか・・・・・・!?』

 

「うん、そういうこと。コアの特性(・・・・・)を簪さんが知らないってことは無いでしょ?簡単に言えばノブ()ス・オブリージュみたいなものかな?」

 

『あ、なるほど。わかりやすい』

 

秋磨は少し空気を変えるために冗談を交えた説明をする。秋磨の言ったノブリス・オブリージュとはAC4系の2作に出てくる機体である。少し強調しているとおり、実際の発音とは異なるが仕様なのでそれは仕方ないのだ。

ここで言う、ノブリス・オブリージュはAC4の登場人物レオハルトと言う人物が駆っていた機体だ。その後、ACfaの登場人物であるジェラルド・ジェンドリンに引き継がれた機体だ。

特徴的な両背部の武器はその機体の異名を象るモノとして圧倒的な存在感を誇る。

 

「あ、そろそろ来たよ」

 

「ごめん。待たせたね」

 

「遅かったな・・・・・・言葉は不要か・・・・・・」

 

「簪・・・・・・それ、かっこよすぎるぞ。俺が言いたかったのに!」

 

遅れてきた一夏ペアに簪があの有名なセリフ吐くと一夏が先に出て自分が言いたかったと主張する。

まあ、一生のうちに言ってみたい言葉という物だ。特に男子はそういうものがある傾向が強い。因みに弾と数馬もその1人だ。

 

『さて、では決勝リーグ第一試合を開始する。位置につけ』

 

アナウンスが入り、アリーナが静寂に包まれる。どちらが勝つかを賭けていた少女も、それを注意することを諦めた教師たちも、そして、各国を代表として試合を見に来た者たちも皆、同様に今か今かと待ち構えている。そして、その期待に応えるかのようにアナウンスが試合開始の音を発する。

 

 

 

 

開始を告げられた4人はすぐに動き始める。一夏は少しでも早く1人を削るために突貫する。狙いは簪だ。しかし、結果はと言うと手の内が読まれていたらしく避けられてしまう。

 

「くそ、外れた!ごめんシャルル!」

 

「正面から行くことしこ出来ないブレオン機で出来る事は少ない(・・・)から何が来るかはわかりやすいの」

 

余裕の表れなのか簪は自身が一夏の攻撃を回避できた一番の理由を話す。『少ない』を強調して言ってみたのは一夏が言いたいことに気づくかどうか。しかし、この試合においては意味の無いこと。

 

「一夏、気を抜いちゃダメ!」

 

シャルルはすぐに気付いた。何が言いたいのかもすぐに理解出来ていた。そして、簪の言葉を受けて少し考えてしまった一夏は一瞬だけど秋磨から目を離してしまった。

一夏はシャルロット声を受けてすぐに我に返るが、秋磨は既に目の前。どう頑張っても回避できない距離だ。それならと、一夏は向かっていこうとするが秋磨は腕部武器で攻撃はしない。何故ならどちらもエネルギー武器であり零落白夜によって阻まれてしまうからだ。なので、実弾武器の両背部武器のKAMALを使用する。

直前まで引きつけた秋磨は16×2の32発の弾丸の殆どを一夏へと命中させた。すぐに離脱を試みるが一夏は零落白夜を纏った雪片弐型を秋磨が回避先に選んだ右から振るう。少し擦るだけでシールドエネルギーをごっそりと持っていくそれは一瞬のうちに秋磨と一夏のシールドエネルギーがほぼ一緒となり、また振り出しへと戻るのだった。

この一瞬の攻防に観客はどっと湧く。そこには生徒、教師、国家代表や代理など、身分も歳も性別も関係なく魅了するものがあった。

 

「信じられない・・・・・・さっきの攻撃に合わせられるとは」

 

「こっちこそ信じらんねえぞ。なんでそんなに攻撃力高いんだよ!何忠実にゲームの武器再現してんだよ!バカ!この変態技術者!」

 

「ありがとうございます!」

 

2人はアリーナ中に響く声に気づいていないのか、ちょっとした言い合いをする。観客の内生徒たちは本気モードの秋磨で居ることを理解しているが、外部からの観客はそれが分かるはずもない。それと、一夏の吐いた『変態技術者』という言葉とそれに対する秋磨の感謝の言葉で秋磨の機体は本当の意味で彼のものであることを理解したものはほんの数人だけいた。

そんな時間も長く続くわけもなくそこから先は均衡状態へと陥った。両チームの4人はそれぞれ思い思いに行動していた。

シャルロットは自身と一夏のどちらかがミサイルに狙われた際、マシンガンで撃ち落とし逆に再装填まで時間のかかる隙をついて簪に近接戦闘を挑む。自身がどちらかに狙われれば一夏がその行く手を阻むように目の前にブレードを振って割って入る。

簪はミサイルを放ち避けることに専念したところを確実に当たる距離であろう場所へ向かい狙い撃つ。逆にもう1人の相手に背中を取られても安心しているのか何も行動は起こさず、最初に狙った相手だけを狙い続ける。

一夏は一夏で必殺の一撃をいつが最高のタイミングなのかを天性の才能と神経を尖らせて探る。また、シャルロットが狙われればその前に立ちはだかり、零落白夜を纏う雪片弐型をちらつかせて追撃を阻む。

秋磨は自分の機体の長所を最大限に発揮し縦横無尽に駆け回りながらスラッグガンを放つ。さらには、一夏が簪を狙い雪片弐型を振るおうとするとレーザーブレードとパルスガンを収納しSAMPAGUITA(ショットガン)の衝撃力を利用し動きを止める。

 

「・・・・・・本当にこれがISに乗って数ヶ月の人間の動きなのか・・・・・・?」

 

誰かが唸るように、戦慄するように呟く。学生同士の、それも1年の試合だと踏んでいた国家代表はあまりのレベルの高さに声すら出ない。確かに甘いところもあるが、これが乗って数ヶ月なのだ。普通ではない。

それほど、今の4人は生徒を、教師を、外からの人間を魅了していた。

 

 

 

 

「まさか、ここまでとはな・・・・・・」

 

ここはアリーナの放送室。箒を含め専用気持ち、生徒会メンバーが顔を揃えていた。

 

「・・・・・・織斑先生ですらそう思いますか?」

 

「ああ。少し見どころがあればいいぐらいにしか思っていなかったからな」

 

箒の質問に、本当に驚いている顔を浮かべながらなんとか答えを返す。

 

「ねえ。私たちさ、かなり頑張ったよね?あの2人狡くない?」

 

2人。そう言った鈴は既に気づいている。もちろん、口外はしないが本能的に理解していた。それはもちろんセシリアも同じである。同じ相手を好きになったのだ。たまにシャルル(・・・・)が秋磨に向ける目はそう言うものだと気づいている。

 

「秋磨さんと一夏さんも人知れず頑張っているのは知ってましたがここまでとは・・・・・・」

 

「才能、だけでは無いわね。すごい集中力。ここまで来ると執念みたいなものを感じるわね・・・・・・」

 

ある意味、核心をついている楯無の呟きは未だに終わりの見えない4人の戦いの音にかき消されてしまった。

 

 

 

 

試合は突然動いた原因は女性陣の集中力切れだった。秋磨のメインブースターを吹いた状態でQB(クイックブースト)を連発して、一瞬のうちにマッハの域まで達するその機体性能と隙を見せることによって放たれるスラッグガンにシャルロットは集中力を削られる。

簪は一撃の怖い一夏を真っ先に落とそうとしてミサイルを放ち隙を見せたところで荷電粒子砲を撃つが零落白夜に無効化され、それならと、シャルロットに向けて撃つがある程度近づいて荷電粒子砲を撃とうとすると一夏が割り込み、荷電粒子砲を無効化する上に近くなった簪はを狙い雪片弐型を振るう。

彼女たちにとって今、秋磨と一夏を相手にするのは骨が折れるどころの話ではなく、神経をすり減らしながら延命しているに過ぎなかった。それでも───

 

「「負けられない!」」

 

自身でも限界が分かっているのだろう。正直に言えば、息も切れ始め緊張感からくる震えが止まらなくなっている。しかし、そんな中でも2人は同時に叫び、お互い片方の相手に突き進んでいく。武器を展開させずに(・・・・・・・・・)、だ。

 

「自分も負けられないからね」

 

「悪いが隙だらけだぜ」

 

「「はあぁぁぁぁぁぁあ!!!」」

 

しかし、そこで男子2人は顔を予想外な出来事が起こる。

 

秋磨はシャルロットが瞬時加速(イグニッション・ブースト)を土壇場で成功させてパイルバンカーを装備したのを見てしまった。しかも、それは元々にシャルロットの機体のラファール・リヴァイヴ・カスタムIIに登録されていた灰色の鱗殼(グレースケール)というパイルバンカー、通称盾殺し(シールド・ピアース)ではなく先日秋磨がシャルロットにテストをさせたKIKU(射突型ブレード)だった。

 

「なっ・・・・・・それは!?」

 

「はあぁぁぁぁぁぁあ!」

 

距離が近かったのもあるが掠ってしまった。それだけで、秋磨のシールドエネルギーを一夏の零落白夜と同じレベルで削り取っていってしまった。そして、シールドエネルギーがレッドゾーンへ入ったのを確認せずに秋磨はスラッグガンを2門を斉射。シャルロットのシールドエネルギーは全て削られる結果となってしまった。

一方、一夏の方も進展があった。突っ込むと同時に武器をすべて収納した簪はイグニッションブーストを使えずとも、確実な速度で一夏に近づいていく。そして、秋磨が簪の機体である打鉄弐式に施した改造のギミックが発動した。身の丈の倍程あるレーザーブレードを展開し、マシンガンを連射。秒間15発という化物性能を持ったそれは確実に、かなりの早さで一夏のシールドエネルギーを削りとっていく。

 

「うわ!?まさかこれ・・・・・・真改かよ!」

 

「これで、決める!」

 

「くっそぉ!」

 

一夏は前進した。マシンガンの餌食だろうがなんだろうが関係ないと言わんばかりに突っ込んでいく。それに合わせて簪はレーザーブレードを振るうが、やはり一夏の零落白夜にかき消されてしまった。そして、本命であるマシンガンで削り取ろうとしたが、そこでまた一夏は至近距離からイグニッションブーストを発動。すれ違う形で簪に零落白夜を当ててシールドエネルギーを全て削りとった。

 

 

 

 

「これでさいごだな」

 

「そうだね。じゃあ、お終いにしよう」

 

2人はにらみ合った状態から突っ込む。秋磨は一瞬のうちに右腕武器にショットガンを選ぶ。さっきの、シャルロットを落としたものでスラッグガンの弾が無くなってしまったからだ。そして、囮として左腕武器にレーザーブレードを展開する。

 

「うおおおおおおおお!」

 

「っ!?」

 

一夏はイグニッションブーストをしている最中に雪片弐型を秋磨に向けて放り投げたのだ。零落白夜はもちろん停止。しかし、一夏は既に遠くに逃げている。その時、秋磨は神がかった反射速度でショットガンを一夏向けて発砲。16発の内、数発は直撃コースに乗った。

 

ドガッ!

 

ズガガガ!

 

それぞれ互いの攻撃が同時に当たる音がアリーナに響いた。




どうでしたか?原作からだいぶ離れてしまいました。けれど、最終的には原作と同じように収束させたいと思います。ええ。頑張りますとも。試験もレポートも。胃が痛い・・・・・・
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