そんなことより、お気に入りがいつの間にか500超えてるし、UAが40000を超えてました!ありがとうございます!頑張ります!
あぁ、覚えている。そうだ。別にここまではいいんだ。その後が問題なだけで。
目の前は真っ暗な景色が広がる。ボソボソとなにか聞こえてくるが、常人には聞こえないはずの声量が、はっきりと聞こえてくる。それは全て、自分を中傷する言葉。
別にこんなのはどうでもいい。今に始まったことではないからだ。
だけど、この時点から息が荒くなってくる。内容は違えど、毎回毎回見る夢の最後は同じなのだから。
暗闇の中で少年は必死に、全速力で走って逃げようとするが、如何せん身体が思う通りに動いてくれない。
「また・・・・・・また?はぁ・・・・・・はぁッ・・・・・・う、おえぇ・・・・・・」
膝に手をついてビチャビチャと音を立てながらイノなにある物を全て吐き出す。赤い部分が夢の度に増えてきている。
「夢の、中でも・・・・・・はぁ・・・・・・吐くなんて、ホントに・・・・・・さい、あくだ」
それでも逃げる。今までとは違う終わり方を目指すために。
『けど、そんなことは出来る訳ねえだろうが!』
そう大きな声が背中から聞こえると、背中に普通ならありえない衝撃が走る。一直線にその衝撃が襲った後、熱湯のような熱さが線上に広がり始めた。
すると、そこを中心に背中に何かが広がる感覚がする。正体は既に分かっている。
血だ。
急いで背中を守ろうと、その相手を抑えるために振り向くが既にその腕は2人分も振り上げられていて───
「あ、あ、あああああああああああああああああ!」
───目が覚めた。
もう数度となく繰り返してきた夢だ。
「はぁっ・・・・・・はあっ・・・・・・ぐっ、ゲホッゲホ!」
息が上がり、汗が尋常ではないレベルで噴き出している。布団も毛布も枕でさえも汗で自分の周りがグチョグチョに濡れている。
ホントに最悪だ。
「何で・・・・・・何で・・・・・・自分が、こんな、目に・・・・・・」
涙が流れる。抑えようと手の甲を押し当てても止まることはなく、腕に垂れ流れるだけ。それがまた毛布を、服を濡らして不快感が大きくなる。
数分して涙が止まり、洗面所へ汗を流すために入る。一番最初に出迎えたのは洗面所ならどこにでもある鏡だった。
目に映るのは自分の顔。ただ、数週間前とは違って目には隈がくっきりと残っている。
汗で脱ぎにくくなった服を脱いで、シャワーを浴びる。浴槽に下を向いたまま座り込んで汗を流す。シャワーから出たお湯が秋磨の身体を、髪を濡らして滴り落ちて流れていく。
そんなものになんの意味もないのだ。ただ、休ませるだけ。頭を出来るだけ使いたくないだけ。
そんなことを数分間続けてシャワーを止め、浴槽で体を拭いて着替えて準備する。
シャワールームを出ようとした時、忘れ物がないかの確認をした時に目に入った鏡の中の自分。それから目を離した時、目の端で鏡の中の自分が悲しげに顔を顰めた気がした。
「憂鬱だ・・・・・・」
今の気持ちはその一言に限る。
気持ちを吐露してすぐに部屋にノックが響く。時間を見るとまだまだ集合時間も、朝食を摂る時間も先だ。
誰だろうかと疑問に思いながらも秋磨は弱々しく扉へ向かう。鍵を開けたとこで目に入ったのは水色だった。ネクタイの色が自分たちと違う。簪の姉の楯無だ。
「秋磨くん・・・・・・入っていいかしら」
「・・・・・・ここでは、ダメなんですか?」
首を縦に振る。渋々だが秋磨は中へ入れる。
「秋磨くん・・・・・・無理、してるでしょ?実は、織斑先生から本当のことを聞いてるの」
「っ!」
「・・・・・・ごめんね、迷惑だって気付いている。けど、どうしても心配だったから」
不安に駆られ、顔が悲しみに歪んでいる。
先輩を、楯無さんをそんな顔にしている人は誰だ、そんな思考が頭を過ぎるが答えは単純明快。自分だ。
「・・・・・・すいません」
「それに、貴方は化け物なんかじゃないの!シャルロットちゃんを助けて、ラウラちゃん救い出したじゃない!」
「・・・・・・」
それは結局は自己満足という言葉で片付けられてしまうものだ。善意と言っては聞こえはいいが、そんなものは所詮耳障りを良くするためにあるものだ、秋磨は基本的にそんな考えのために相容れない。楯無の言葉を認めることが出来ない。
今の、秋磨が黙ってしまった反応で楯無もそれを理解する。そして、扉に近づいて最後に一言声を掛ける。
「私は帰ってくるのを待ってるわ」
悲しそうに、秋磨に目を向けて話す。それは秋磨に対しての憐憫の目ではなく、ただ純粋に心配をしての言葉だった。
秋磨は、この言葉にもただ黙って答えを返すことは無かった。
「邪魔してごめんなさいね」
一言残して、秋磨の部屋を出る。やはり返答はない。扉を閉めて廊下に出る。我慢していたものが箍を外したかのように流れ出した。
周りには誰もいない。それを確認してからゆっくりと部屋に戻っていった。
朝食の時間が来た。正直、今の気分は胃に優しいものであっても、受け付けられないでいた。
本当にここまでキツいとは思っていなかったのもあるがそれ以上に、精神的にキテる状態なので質が悪い。食欲などの問題ではなく、少しでも入れてしまえば、消化しようとしないのだ。
無理に入れようとすると、押し戻されて嘔吐する、そんな事は過去に何度でも繰り返して来た。今さらそれが直るなどとは思っていない。
それだけならまだ良かったのだが、先ほどの楯無とのことも今の精神状態に拍車をかけていた。
楯無のあの言葉には、何故か答えを返すことが出来なかったのだ。まるで、帰ってくる事は絶対に無いとでも言うかのように。
今で2つのイベント中に大変な目にあっているのだ。それも、鈴の時は比較的小さいイベントにも関わらず、だ。
外に出るイベントである今回の臨海学校は、少なからず外に情報は出ているのは明白だ。クラス代表対抗戦の時には体はボロボロとなり、タッグ戦ではラウラの
今までのことを鑑みると、どう考えても無事な状態で帰ってくるとは思えない。それはきっと、楯無も分かっていることだ。
「もう・・・・・・こんな時間、か」
どうやら、考え事をしている間に集合時間が迫ってきていたようだ。そろそろ出ないと、また千冬に叩かれてしまう。きっと、他のみんなは楽しみにしていてもう集まっているかもしれない。
そう考えると、ゆっくりと立ち上がり纏めていた荷物を持ち上げ、諦めに近い感情を心に秘めたまま部屋の鍵を締めるのだった。
「ん・・・・・・やっと来たか。他のみんなには言っている。前の方でゆっくりと休んでいるといい」
乗る前の確認として点呼をとるために立っていた千冬が、そう声をかける。
一夏たちと同じく、全てを知っている千冬は、何も心配はいらない、と言うように顎で乗れと指示をする。
「ありがとう、ございます・・・・・・」
「ん」
短いやり取りだけで分かり合えるのだから、やはり昔からの付き合いというのは侮れない。それは一夏や箒でもそうだ。
千冬さんに例を言ってバスに乗り込む。バス内の最後部座席の場所にはいつものメンバーが座っているが、今は行く気になれない。空いている一番前の席に座る事にする。
「よし、全員揃ったな」
その言葉とともに、バスは目的地である旅館まで動き出したのだった。
「うーみーだー!」
トンネルをくぐり抜けた先に、車内の左手の窓から綺麗な青が広がっていた。
海は空から降り注ぐ光をこれでもかという程、自らに集めて秋磨たちにその輝きを放っていた。
が、それを見て喜んでいるのは全員という訳ではなく、秋磨だけを・・・・・・いや、声には出しているが素直に喜べないのが一夏たちだった。
「秋磨さん、大丈夫でしょうか・・・・・・?」
「・・・・・・今年のは特に酷い」
「あれは毎年なのか?」
「小さい時からああなんだよ」
「・・・・・・」
「済まないな。それは、私たちから言うべきことではないし、あいつにとっても悪い方に転がってしまうかもしれないからな」
シャルロットは黙っていた。秋磨が今のようになる前に、身体に今でも消えることのない、現在の呪いとなるまで残っている傷の理由を聞いていたからだ。
たしかにあれは、おいそれと人に話していい内容ではない。受け入れられなければ、秋磨は周りの人たちから迫害を受けてしまうのは明白だからだ。
シャルロットも納得した。だからあの時の私に怒りを覚えたのか、その理由を知ったのだ。
「秋磨・・・・・・」
あの時の秋磨は頑なに喋ろうとはしなかった。
心配だ。一夏たちの心は簡潔なそのたった一言に尽きる。
秋磨たちの泊まる旅館は、もう既に目の前に迫っていた。
「お前たち、そろそろ旅館につく。各自、自分の荷物を取れやすいように準備しておけ」
千冬が生徒らに準備を促す。
ほどなくして旅館へ着いて、生徒らは並んで挨拶をする。各々が荷物を持ち上げ、旅館に入っていく中、秋磨と一夏は千冬とともに旅館の女将に声を掛けられた。
「あら、そちらのお二人が例の?」
「ええ、まあ至らぬところも多々ありますがね」
「しっかりしているように見えますが」
クスクスと笑いながら千冬の言葉にそう返すと、一夏はその姿を見惚れていた。もしかしたら、一夏は年上好きなのかもしれない。
挨拶を済ませて部屋を案内される。自分たちの部屋は千冬さんと同じらしい。じゃないと、自分たちの部屋にたくさんの人が押しかけるだろうとのことらしい。そうなれば本当に休める場所がなくなるのでとてもありがたいです。
「秋磨、無理して来ようとしなくていいんだぜ?」
「・・・・・・うん、無理しないようにしておくね。じ、自分のことは気にしなくていいから」
「ん、じゃあそう伝えておくから」
そう言って一夏とは別れる。今もこうやって自分を心配してくれる一夏には感謝の念しか表せないし、今もまだそうやって心配かけさせてると思うと、とても自分自身に嫌悪感が湧き出てくる。
1時間ほどしてからだろうか。秋磨はもしかしたらと気分が入れ替わるかもしれないと思い、下を着替えて上にシャツとパーカーを羽織った。
「・・・・・・あれは?」
外に出て少し歩いていると、目の前から凄い勢いで走ってくるウサミミのようものを付け、いかにもお伽噺から出てきましたと言わんばかりの服装に、輝くような笑顔を浮かべながら突っ込んでくる人物が目に入った。
「・・・・・・え?なんでここに・・・・・・?って、こっち来たっ!?」
秋磨はそれを確認すると同時に反対方向へ全力ダッシュを敢行。ポケットからケータイを取り出し、目に涙を浮かべながら千冬に電話を掛ける。
「も、もしもしもしもしもしもしもしもし!タタタタタタスケケテクダダダダサイ!ぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ!!!」
後ろから突然の大きな衝撃を受けて、前方へヘッドスライディングの要領で吹っ飛んでいく。
「ぶべっ!」
顔面から砂浜に着地した秋磨は痙攣を起こすが、抱きついてきた人物はそんな秋磨にお構いなしで喚き散らしていた。
「久しぶりのまーくん!まーくん!まーくん!まーくん!まーくん!まーくん!すぅぅぅぅはぁぁぁぁぁ!すぅぅぅぅはぁぁぁぁぁ!」
「ぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁあああああ!?!?!?」
「さあ!服を脱いで!水着を脱いで!私を脱がせて!そして、皮を剥いて私にまーくんの素晴らしい身体でダビデッブバァァァ!?」
「・・・・・・おい、貴様何をやっている?」
「や、やだなーちーちゃん。私はただ振り切ったこの感情をぶつけるべき対象にぶつけていただけだよ?よって私の行動は正当化されるのだよ!」
「・・・・・・その相手を見てみろ。お前を完全に怖がってるぞ」
「え?」
「いや、見てみろ」
「・・・・・・ごめんなさい」
千冬は秋磨の救助を求める電話に出たあと、すぐに何があったのかを把握した。それは何も千冬だから分かったことではなく、一夏と箒から連絡を受けていたのだ。
そこから千冬は助けるためにもしものことを想定していた。もし秋磨が旅館から出ることになった。それを相手がどのくらいでキャッチするか、そして秋磨が反対側へ逃走しいろいろ振り切った目の前のバカに追いつかれ、押し倒された後に食われそうになるところまで。
「おい、束、貴様はここで何をしているか聞いていたのだがそろそろ答えて欲しいのだが?」
篠ノ之束、千冬に呼ばれた人物は昔から何も変わらない圧倒的な問題児であり、ISという存在を作り出した
そんな彼女は周囲の人間には変態として通っていた。
秋磨に対しての行動を振り返れば仕方がないかもしれないが。
「あ、明日になったら解るよ、うん。あはははは・・・・・・ッでは!明日までさよならベイベー!」
束は急に立ち上がりそう言って誤魔化す。砂を舞い上がらせるほどのスピードで駆けていった束を2人は黙って見ているのだった。
「はぁ・・・・・・」
「その、なんだ?災難だったな・・・・・・」
「は・・・・・・い・・・・・・ぶっ!?」
気がついたのだ。秋磨はその時になって初めて気がついた。
千冬は一夏たちと遊んでいた矢先に束から助けて欲しいとの電話があった。もちろん、海に来て何を着ているのかと答えるかは解るだろう。海の家的な場所で働いていなければ、皆一様に水着と答えるはずだ。それは彼女も例外から漏れず、セクシーな黒い水着を着けていた。
大の脚フェチである秋磨は、普段のストッキングに隠された綺麗な曲線美を描く千冬の脚(千冬の狙い通り)も好きなのだが、このように綺麗な脚を惜しげも無く曝け出すのにも酷く反応してしまう。
「・・・・・・あぁ。見たければ見てもいいぞ?私の脚はどうだ?」
「う・・・・・・うあぁぁぁぁぁ!!」
結局、秋磨は先の束と同様砂を巻き上げながら一夏たちのいる方向へ全力疾走で駆けていくのだった。
「ム・・・・・・少し揶揄いすぎたか?」
取り残された千冬の独り言が、虚しくその場の空気に溶けていった。
「あれ、秋磨は来たのか?」
初めに声をかけてきたのは一夏だった。だが、いつもと違い若干慌てながらも顔を赤くして「あわあわあわあわ」言っているというという事は何かあったのかもしれない。
しかし、一夏はそこで思い出した。秋磨がこうなる事は意外と多いのだが、ここまで酷くなって走ひ回るような事になるのであれば話は別だ。
「お前・・・・・・もしかして束さんに会ったな?いや、後ろから追いかけられて抱きつかれたな?ん、違うよな。それだけじゃない気がする・・・・・・」
「千冬さんの水着姿でも見てこうなってしまったのでは?」
「何で正確にわかるの!?」
何故か、一夏と箒から全て言い当てられる。
秋磨はそんなに分かりやすいのか本気で頭を抱えていると、後ろから声を掛けられる。
「あ、秋磨ー!良かったじゃない。みんな、あんたが元気がないから気落ちしてたのよ?」
「まあまあ、鈴も落ち着いて。ほら、秋磨もこっち来て遊ぼうよ」
あら、秋磨さん?や、嫁よ!、秋磨こっち、などいつものメンバーに声をかけられる。ここで思い出して欲しいのは、秋磨は極端に性に関しての耐性がない。先ほどの千冬の揶揄いを受けた直後にまたこれだ。
勘違いを正す、という訳ではないが別に秋磨は性知識がないという訳では無い。寧ろその逆であり、勉強熱心というよりも研究者気質の秋磨にはそれなり以上の性知識がある。
そう、ただ恥ずかしいだけだ。以前一夏と共に、弾と数馬に相談したように話すことは出来る。
・・・・・・何が言いたいのかというと、秋磨はムッツリということだ。
「きましめにむきてひつきめひんひきけいいけまにーはいらたからぁ!?」
もはや言語を成さない意味不明な言葉を発しまたどこかへ逃げていく。
数時間後、迷子として教員全員で秋磨の搜索活動が行われた。余談だが、千冬は怒らなかった。何でも、自分にも揶揄ったことにも要因にあったとのことだ。
迷子の秋磨が見つかったことから食事が開始された。秋磨が大宴会場に姿を見せた時には、既に揃っていた1年の女子生徒全員に生暖かい目で見られたことに、戸惑い、逃げ出そうとした。しかし、千冬がすぐに襟をつかんで部屋に閉じ込めると、頭が痛くなり、目が回り始め、顔色が青〇より青くなったかと思えば何かを無理矢理折ったかのような大きな音を胃が発した。
「おーい嫁よ、だいじょう・・・・・・ぶではないな」
「見事にへばってるね」
「秋磨さん、大丈夫でしょうか?」
胃に優しいものだけを食べ終えて、目の前の皿をどかしたかと思えばすぐに机に顔を突っ伏した。
因みに、一緒にテーブルに座っているのはラウラ、シャルロット、セシリアである。一夏と箒は座敷の方にいる。鈴と簪はと言うと、クラスが違うために他のテーブルで食べている。
「」
「・・・・・・返事がない。屍のようだー」
近くに座っていた本音に某RPGゲームの有名な台詞を口にする。
それを聞いて秋磨が若干キズを負うのであった。
「・・・・・・何をしてますの?」
「あ、いや、あの、その、ほら、あれよあれ!」
「いや、何言ってるか分かりませんわ。いったい皆さんで何をやっているのですか?」
「ん・・・・・・壁に耳当てると解るよ」
セシリアは簪の言うように耳を千冬の部屋の扉に当てる。
すると、中から聞こえてきたのは予想外の箒の声であった。何やら、くぐもった声は少しの色っぽさを持ちセシリアたち5人の耳にも届く。
「な、ななななな・・・・・・!」
「大きな声子を出すな!」
パアン!と廊下に響き渡る気持ちのいい音。
その大きな音の正体はラウラがセシリアが口を開き大きな声を出そうとしたところで手で抑えたからだった。
しかし、背の小さいラウラは焦っていたのか無駄に大きくジャンプして無駄に入れすぎた力を以てセシリアの口を塞ごうとしたことによって発生した。
「ちょっと!騒がないでっていったじゃない!」
「鈴もだから落ち着いて!」
「静かにして、聞こえないから!って言う私もうるさかった・・・・・・あれ?聞こえなくなった。・・・・・・あ」
何かに気づいたかのようにその場を離れる簪。ついでに鈴を扉の前に来るように手で掻き分けて安全地帯へと逃れて振り返った瞬間に───
「にぎゃあ!」
鈴の横顔に思いっきり扉がぶつかったのだった。そしてここで満足そうに微笑む簪。
「お前ら静かにしろ。まあいい。一夏、マッサージは止めてお前は風呂に入ってこい。秋磨ならとっくに行っていたぞ」
「ん?りょーかい」
返事をすると一夏は準備をすると、扉の前で待機していた女子たち5人に若干驚きながらもそそくさとその場を離れた。
「いつまでそうしているんだ?・・・・・・あぁ。箒の声を聞いてそういう事をしているとでも思ったか?このムッツリ共め」
ニヤッと悪戯が成功した少年のように笑う千冬に、揶揄われた5人は顔を赤らめる。大なり小なりみんなも同じことを考えていたようだ。
「まぁ、私とお話する前に廊下で騒いでいたことに対するOHANASHIしなければな」
その言葉を聞いて5分後くらいには既にぐったりした5人と、若干申し訳なさそうにする箒の姿があったとか。
すると、急に立ち上がった千冬は冷蔵庫を開け、中から各々にジュースを渡す。妙に断れないような雰囲気で「飲んでもいいぞ?」と言われて口に含むと、確認と同時にカシュッ!という気持ちのいい音とともに喉を鳴らしながらビールを煽る。
「なんだ?私をオイルで動くようなロボット人間とでも思っていたのか?」
「い、いえ、意外だったので」
とはラウラの弁。彼女は軍にいた頃から千冬のことを知っていたので本当に意外だと思ったのだろう。
「まあ、いい。私の話というのはだな、お前らはあいつらのどこがいいんだ?」
「私は、その、あいつがその・・・・・・」
ゴニョゴニョとどもる箒は人差し指を付き合わせ弄り出した。典型的なそれを見た千冬はニヤリと口の端を釣り上げる。
「あぁ。最初の剣道の時が弱すぎて話にならなかった、か?」
「そう、それです!」
「では、あいつにはそう伝えておこう」
「あ、いや、それ、その、違うけど・・・・・・」
などと少女している箒を弄る千冬は楽しそうに笑う。それは鈴たちにとっては本当に新鮮であり、親近感の湧くような笑顔だった。
千冬はさて、と区切り5人に向き直ると真剣な顔で口を開く。
「お前らは、あいつの事が本当に好きか?」
その言葉を正確に理解したのは箒とシャルロットであった。箒は、これから何を言おうとするのか正確に理解していた。シャルロットが正確とは言わないが理解出来たのは、以前のタッグ戦の大浴場でのことがあるからであった。
他の4人は箒とシャルロットの纏う雰囲気が先ほどとはうってかわって悲しげな雰囲気になったのを感じて真面目な顔になる。
「・・・・・・取り敢えず、帰ったら
千冬の言うあいつを正確に理解したの6人は、千冬の言葉を静かに待つ。
「その顔を見ると全員の答えはそういうことなんだな?」
皆一様に頷く。それをしっかりと確認した千冬は部屋周辺まで警戒する。この場にいない者に聞かせないためだ。
「まあ、あいつの性格やらここ1ヶ月の秋磨の状態に関することだ。なんだ、端的にいうとだな・・・・・・あいつは虐待を受けていたんだ」
以前危惧してい内容ですね。あー、ほんとにこれでいいのかな……正直、ここで反対されたらなんかもう……あれですね。しにたいです。