夢を馳せる少年   作:主任大好き

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すいません。ほんとにすいません。忘れてた訳では無いです。
スランプってどんなに頑張っても空回りしますね。多分、おかしいと思うところもあるかもしれません。その時は批評でも何でもいいのでコメントください(欲しいだけ)


20話 明かされた過去

「───あいつは虐待を受けていたんだ」

 

箒とシャルロットは悲しげに顔と目を伏せる。それと同時に他の4人は口を大きく開けて驚いていた。

 

「その証拠に、あいつは肌を見せたがらないだろう?」

 

4人は、千冬が何を言いたいのかを理解したようだった。

そして、千冬はとても言いにくそうに口を開いた。

 

「あいつはな・・・・・・親に殺されかけたんだ」

 

千冬の口から衝撃のことを告げられる。流石にこのことには告げられていなかったのか、シャルロットすらも驚いていた。

 

「ど、どういうことですか!?」

 

「やかましい・・・・・・私だって知った時はお前たちと同じ様な反応だったさ。それに出会ったのもお前たちと同じ頃だったからな」

 

そう言うと5人は口を噤む。千冬は当時のことを思い出したのか、怒気が膨れ上がっていた。

気圧されたかのように、怒っている千冬を、固唾を呑んで見ていると、千冬もそれに気付いたのか謝罪する。

 

「すまんな。このことになるとどうしてもこうなるんだ。それより、あいつのことだったな。あいつはな───」

 

 

 

 

それは唐突だった。いきなりだったためか、子供は自身に何が起こったのか分からず呆然としていた。

自分の部屋で本を読んでいた。すると、急に大きな声が聞こえてきたので、急いで声が聞こえてきた部屋へと急ぐ。その間にも何かが割る音や倒れるような音が聞こえる。

急いで部屋のドアを開けるとそこには、目の前で叫ぶ女の人がいた。そして、その叫ぶ女の人に馬乗りになって首を絞めたり殴ったりしている男がいた。

その子供は、次第に目の前の光景に意識を取り戻し、男が立ち上がり蹴り飛ばしたところで男の人を止めようと間に入った。

 

「やめて、お父さん!お母さんが、お母さんが死んじゃうよ!」

 

「・・・・・・あ?そこをどけ、秋磨」

 

「いや!じゃないとおかあさ・・・・・・がぁ!?」

 

秋磨と呼ばれた子供がお父さんと呼んだ男に腹を蹴られる。すると、その男はお腹を抱えて苦しんでいる秋磨を無視してお母さんと呼ばれた女に暴行を加え続けた。

数十分した頃に男は女から離れ自室に篭った。女は守ろうとした子供を心配するように近付き、秋磨と女は慰め合うように抱き合っていた。

そこから数時間した頃に何事も無かったかのように、気分のいい雰囲気を出しながら男が出てきた。そろそろ夕食の時間だったからだ。女も何事も無かったかのように男と話し出す。秋磨にはそれが不思議でならなかった。

───何故、さっきのことをお互い無かったかのように話しているの?

───何故、お母さんは殴られた相手ににこやかに笑えるの?お父さんは殴った相手に気分良く話してるの?

そんな疑問が幼いながらも秋磨の頭の中で何十回も何百回も繰り返し流れ続ける。依然として答えは出ない。

結論を出すことを急いだ秋磨は()()()()()()()()()()()()なのだと判断を下した。

結局、秋磨は正しい答えではない結論を出して夕食を終えた。

ただ、その日を境にして秋磨の家の中での環境は一変した。男は女に暴力を加える。当たり前だと思いながらも、女が苦しんでいるところが見たくない秋磨はそれを止めようと男の前に立つが、今度は秋磨に対象が変わる。今度は女が止めるように立つと2人とも一緒に殴り、蹴られた。

そして、それから数ヶ月経った頃から、通っていた幼稚園から男()てに何通か手紙が来るようになった。

 

「秋磨くん。これ、秋磨のお父さんに渡してくれないかな?」

 

「うん、いいよ」

 

短くそう答えると、秋磨は持ってきているカバンの中にしまってから走って教室を出ていき女のへと急ぐのだった。

秋磨が幼稚園の先生から頼まれ、男に渡した手紙の内容は全て秋磨と迎えに来る母の身体にある痣に関しての手紙であった。男はそれを見ると、何故バレたのかと怒り、女と秋磨を殴った。

その頃からだった。女が憔悴しきったかのようにやせ細ってきたのが。それが原因で女は迎えに来ることが無くなった。秋磨はもちろん、帰ってきたらすぐに、そんな女を心配して手伝いをするようになった。ただ、もう一つ変わったことと言えば男がいつも家の中に居るようになっていた。

その頃から、秋磨の中では前の答えが正解ではなく、間違っていたことに気づいた。

───何故、お母さんがと自分が苦しまなきゃいけないの?

───何故、お父さんがいつも家にいるの?

いつしか、そんな事を思いながら過ごすことになっていた。

そんな生活が1年ほど続いた頃、そんな生活の中で急激に変わったことがあった。女が病を患った。そんな女に対して、秋磨が心配しない訳がなく帰ってきてから直ぐに声を掛けるようになった。

男は、女を病院に連れていきたいと言う秋磨に対して暴力を加えた。

 

「金がねえから無理に決まってんだろうが!」

 

そう大声で怒鳴っては秋磨は幾つも痣をつけられた。

───お金が無いのは全てお父さんが悪い。

そう思う秋磨は知っていた。その男がふらっとどこかに行く時はパチンコや競馬場などそういう所に行くことを。

秋磨は必死に女を助けるために、母方の身内は既に居なかった。女は1人っ子だったのと、女の両親は既に他界していたからだ。

そのため、秋磨は女を助けたい一心で周りの人や先生に相談するようになった。その行為が女を苦しめていることを知らずに。

ある日のことだった。いつも通り、幼稚園から帰ってきて直ぐに女の下へ向かう。

 

「お母さん、大丈夫?」

 

声をかけたその時だった。いきなり女に組み伏せられたのだ。

 

「・・・・・・ぁぁがっ、・・・・・・ッ!?」

 

呆然としていると、女は秋磨の首を両手で絞めたのだ。解こうとしても一切離れないその手は、衰弱した細さに似合わず力が強かった。

 

「あんたのせいで・・・・・・あんたのせいで私が暴力振るわれてるのよ・・・・・・!余計なことしないでちょうだい!」

 

首を絞めていた手が緩められて女に謝った。もういいからと言われて、泣きながら外に出て言われたことを思い返す。

最初、秋磨は何のことか分からなかった。

女の言う余計なこととは多くの人に助けを求めるなという意味だった。秋磨のその行為が男にバレていたからだ。男はそれに怒り、女に当たる。

秋磨にとって、女を助けるために動いていた行動は、余計なこととは思っておらずそんなすれ違いが起こったまま数日経った頃だった。

 

「おかあさ・・・・・・んとお父さん?」

 

扉を開けると、そこには女と男の姿があった。

秋磨は、弱った女に男が心配しているように思えて、自分の行動が良かったのだと思った。

しかし、それはすぐに痛覚の津波が襲いかかったのと同時に綺麗に吹き飛んだ。

 

「お前、外に、広めたな!この、クズが!オラ、死ね!」

 

「あんたが、生まれて、来たから、こんなに苦しいのよ!」

 

秋磨に襲いかかってきたのは、男と女の暴力だった。

初め、呆然としていた秋磨は蹲りながら殴られた。蹴られた。傷を付けられた。

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

痛みから開放されるために、必死で謝る。呻くように、そして必死に許しを乞う。

秋磨は殴られながらそこで初めて理解出来た。秋磨にとって、男の暴力から、病から女を助けるための行動が、逆に苦しめていたのだと。あの時の余計なものとは、人に相談することを指していたのだと。

 

「もう二度とするなよ、このバカが!」

 

「あんたなんか、死んでしまえばいいわ」

 

吐き捨てるように、怒鳴りつけられた。

秋磨の体には痣だけでは済まないような傷がつけられた。

その日からだった。何かミスをしたり、男や女が不快に思う事をした時に両方から暴力を受けるようになったのは。振るわれる暴力が殴ることや蹴るだけでなく、タバコを押し付けられたり、刃物で傷を付けられるようになったのは。

 

「助けて下さい!お願いですから!」

 

秋磨は幼いながらも周りに助けを求めた。既に女のことは諦めたのか、周りに自分を助けて欲しいと願いを乞うが面倒ごとに関わりたくないと誰もが近付いてこない。

最初は助けようとしていた幼稚園の先生たちも何度も注意をしようとしたが、何の改善も見られないどころか、自分たちにも仕返しが来たことから既に見て見ぬ振りをし始めた。

それならと思い、秋磨は警察に助けを求めるが、取り合っては貰えるが注意するだけで、秋磨が帰ると2人からいつもより酷い暴力を受けることになった。

秋磨の中にはこんな疑問が生まれた。

 

───自分は何のために生きてるの?

 

次第に目は虚ろになった。それだけに留まらず、ストレスと毎日の暴力に対する疲労からか、痛覚が狂いある一定以上の深さと大きさの傷ができない限り痛みを感じなくなった。さらに、支障をきたしたのは体内にまで及び胃を中心に荒れ始めた。

2年経つ頃には、既に血を吐くのは日常茶飯事になった。

半年ほど助けを求めようとも、既に誰も相手しなくなった。

───信じていた女には首を絞められ最近は暴行を加えられる。

───最初は助けてくれていた幼稚園の先生は我が身可愛さに助けなくなった。

───警察に行って、施設を探して欲しいと願っても受け入れ先がないと言われた。

 

「・・・・・・自分が生きている意味は何?・・・・・・自分って何だ?」

 

1人で部屋の隅に閉じこもっているとふとした疑問が思い浮かぶ。そして、それがポロッと零れるように口から出てくる。

───自分は何のために生まれてきたのか、それは親のストレス捌け口。

───自分が生きている意味は何なのか、そもそも生きていても死んでいても問題ない。

───自分ってなんなのか、・・・・・・何だ?

秋磨の中では、一問一答式に自己完結させる。それでしか自分の存在が確認出来ないから。

秋磨は、その自己完結で答えを出すために本を読んだ。勉強をした。

そして、彼の中に2つの最大の疑問が沸き起こった。

───お父さんとは一体なんなのか

───お母さんとは一体なんなのか

答えは『自分を壊す人』。秋磨の中のそれは必然の回答であった。

秋磨は早速行動を起こした。男と女から身を守るためにナイフを隠し持った。

男と女が家に帰ってきた。すると、秋磨を視界に入れた瞬間2人は秋磨に暴行を加え始めた。殴った。蹴った。斬った。焼いた。刺した。絞めた。過去一番の苦しみを秋磨に与えた。

それでも秋磨は耐えた。無言で。虚ろな目で。確かな殺意を持って。

数十分して、2人からの暴力の嵐は止んだ。体全体に走る痛みを無視しながらポケットから隠し持っていたナイフを持ち出した。立ち上がり、女の背中を最初に刺して、振り向いた男の腹部に刺す。しかし、2人に刺したところが浅かったのか直ぐにナイフは取り上げられた。

 

「・・・・・・いってぇなあ、クソガキがぁ!」

 

男は過去最高の怒りを以て、秋磨の腹に蹴りを突き刺した。

息が出来なくなり、痛みが腹部を中心に体全体へと広がる。胃の中に入っていたものを全て吐き出した。

 

「うごっ・・・・・・おえぇぇ・・・・・・ゲホッゲホッ!」

 

「クソガキが・・・・・・いてぇなあオイ!人様にこんなことしたんだから自分もされる覚悟は出来てるんだろうなあ!あぁ!?」

 

男は大きく吼えながら秋磨にナイフを突き刺す。女も痛みに苦しみながら秋磨に刺さったナイフを引き抜きもう1度刺し込んだ。

 

「ぁ・・・・・・ぁ・・・・・・カハッ・・・・・・」

 

男と女は自分たちのやったことの重要さに気づき隠蔽しようとした。自分たちが治療を受けに行く前に捨てに行くために車に乗せようとしていた。

しかし、そこで男と女から暴行を受ける前に男と女に接触していた人物が家の前にいた。それは秋磨を孤児院に受け入れた大野という人物だった。偶然だったが、話を詳しく説明するために来ていたらしい。

すぐに通報され、男と女は警察に捕まった。秋磨は傷の酷さと身体中に出来ている痣が異常に多すぎるために緊急入院となった。

 

 

 

 

「───まあ、こんなところか・・・・・・正直、今でも聞くのも耐えないし、話す事に躊躇いは覚えるがな」

 

千冬はそう言うと、息を吐いてこれ以上は無く、終わりであることを言外に告げる。

 

「この事実を知っているのは、私たち姉弟と箒の家族とバカ共(弾と数馬)だけだろうな。今話したお前らを外せば、な」

 

「・・・・・・その後は?」

 

「その後は、その男と女の秋磨に対する親権は剥奪され会うことはできなくなったそうだ。秋磨は大野さんが引き取ることになり、孤児院で過ごすことになったという経緯だ」

 

「・・・・・・何で、この話を私たちにしようと思ったんですか?」

 

鈴が重くなっていた口を開いて聞いた。まあ、それは自分たちも答えは直ぐに分かったし、ただの確認のようなものだ。

 

「アイツを好いているんだろう?それなら、これは絶対に知っておかなければならないことだ。それを知っている上で、あいつの事を受け入れてやらねばならないからな」

 

そこまで言うと、千冬は重苦しくなっていた空気の中で口が三日月状に弧を描く。そして、鈴たち5人に向かって挑発気味に声を掛けた。

 

「それとも何か?お前たちには必要がなかったか?・・・・・・ふむ、それなら私の1人勝ちでも構わないんだぞ?」

 

「・・・・・・なっ!」

 

もちろん5人は口を大きく開け、唖然としている。今の言葉もそうなのだろうが、千冬がここまで愉快な性格と思っていなかったのだろう。

さらに、そこに千冬に声を掛けた。

 

「まだ勝負は決まってないと思いますよ?姉さんがなんと言うか・・・・・・私の親からも期待されてましたしね」

 

「ふん、あいつに負けるくらいなら死んだ方がマシだ。まあ、貸すくらいならいいだろうがな」

 

「ちょ、ちょちょちょストップ!ストーップ!何で私たちが入ってないのよ!」

 

「そうですわ!わたくしだって秋磨さんを想う気持ちは負けてませんわ!例え、相手が織斑先生であっても!」

 

「そうだよ!先生は今までずっと一緒にいたんだから僕たちに譲ってよ!」

 

「いくら私の元教官と言ってもそれだけは譲れないな。それこそ私がお前たちに貸してやろう」

 

「だめ。私が秋磨とくっつくの」

 

皆、一様に千冬の言葉に反論する。それぞれ言葉は違うが秋磨を想っているのは確かなのだろう。

千冬と箒はそう判断を下す。千冬は嬉しく思いながらも、明確なライバルになったことを思い、女子を無意識に落とす秋磨にため息をつくのだった。

 

「(あ、無意識なのは愚弟も一緒だったな・・・・・・ライバルはきっと楯無も入る、か。正直厳しいな)」

 

「まぁ、あとは好きに過ごせ。聞きたいことがあれば聞いてやるぞ?」

 

まだまだ彼女たちの夜は、始まったばかりなのだ。

 

 

 

 

「ふあぁぁぁぁ・・・・・・こりゃ気持ちいいなぁ・・・・・・」

 

おお、やっぱり温泉は気持ち地いいな!

今この場にはあいつ(秋磨)がいないけど・・・・・・多分居る場所はある程度の予測がたっている。まぁ、伊達に何年も幼馴染はやってないってことか。

 

「秋磨・・・・・・お前は1人じゃないんだぜ?」

 

つい、ポロッと心の裡の言葉が出てくる。やっぱり今年も思い出したな。

千冬姉が俺を風呂に行かせたのはそのことをみんなに言うからだろうな・・・・・・幼馴染の鈴ですら知らないことだもんな。正直、聞かないでしゃべるのはどうかと思うけど秋磨の為にも、みんなの為にもこのことは話さないとだめだ。

 

「・・・・・・今年は一段とひどい状態だしな。それに、あのこと(・・・・)からちょうど10年・・・・・・か。良くないことが起きなければいいんだけどな」

 

毎年この時期になると秋磨はいつもこうなる。それはやっぱり秋磨にとって未だにトラウマである証拠、なんだよな・・・・・・

正直、今でも昔の秋磨の話を聞くのはかなりきつい。だから、俺が聞いた時期は小さい時で良かったんだと思う。今だったら、俺と秋磨の関係がどうなってるか分からないし、その分、俺が何するかわかったもんじゃないからなぁ・・・・・・それに、秋磨のところに俺がいたらって思うと、秋磨に対してはホントに悪いと思うけど耐えられないかもしれない。それほどに秋磨は過酷な環境だったと思う。

俺たちも親がいないから相当酷い環境だったと思うけど、秋磨のはそれ以上だったと思う。

そういったところを鑑みると、ホントに千冬姉には感謝してる。きっと、鈴たちには今の時期の方がいいって判断したんだろうし。

 

「みんな・・・・・・秋磨が前みたいに振る舞えるのを楽しみにしてるんだ」

 

俺が辛い時は全部友達に助けられてきた。その中でも1番助けられたのは秋磨だったからなぁ・・・・・・弾や数馬にも助けられたけど、やっぱりあいつが一番大きいと思う。

千冬姉もそうだ。あとから聞いた話だと、俺が千冬姉の応援にドイツに行って時、誘拐されたのをいち早く千冬姉に報告しに行ったのは秋磨だったって聞いた。

・・・・・・秋磨に聞いたら、その時助けてくれてありがとうって泣いてたらしい。それを聞いた時は嬉しくなったのと同時にしっかりしなきゃって思ったのは今でも覚えてる。

まあ、俺がそのことを千冬姉に言ったら恥ずかしかったのか聞いた俺と伝えた秋磨と2人で拳骨喰らった後にしこたま怒られたな・・・・・・理不尽だと2人で思ってたのは口に出さなかったの正解だと思う。

箒と束さんもそうだ。家族はバラバラになったけど、2人の仲が良いのは秋磨のおかげだ。

聞いた話によると鈴も、セシリアも、シャルロットも、ラウラも、楯無さんと簪も。みんな秋磨に感謝してるって聞いたんだ。だから俺たちはお前の力になりたいって思ってるんだ。

 

「一人でできなければ俺たちを頼ってくれよ。何でもかんでも1人で抱え込んだらいつかパンクしちゃわないか心配になるんだ」

 

・・・・・・あまり、ムリはすんなよ秋磨。

・・・・・・あれ?これってフラグ?

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

───自分は一体何のために生まれてきたんだろう。

これは、毎年この時期になると自分の中に出てくる強い疑問。なのに、未だに自分は自分が分からない。

未だに『自分』というものが分からない。遠い昔に一度無くしてしまった『自分』を既に忘れてしまったから、どれが正しいのか分からない。

────自分が生きている意味は何なのだろう。

あの時から考えても分からない。あの時にお母さんが言ったように、きっと自分が産まれてきたのが悪かったのだろう。

自分が生きている意味ではなく、これはきっと、何かしらの罰などを受けるために産まれてきたのだろう。正直に言えば、最早それ以外には思い浮かばない。

────自分は一体何なのだろう。

これも結局わからないまま今まで生きてきた。自分の身の振り方であの時のお母さんをもっと苦しい立場へと追いやってしまった。

自分は善意でも人からはそう受け取ってもらえない。まるで、自分は無意識に、無自覚なままでも悪魔かそっち側なのかもしれない。

 

「・・・・・・何で、あの時に死ななかったのかな・・・・・・?」

 

秋磨は呟きを漏らした。

彼が思い浮かべるのは、あの日のこと。父と母に当たる人物にナイフで思いっきり刺された日。

自分からやったことで返り討ちにあっただけだが、彼自身が生死を彷徨ったのは事実である。その証拠に知られたくないが為に一部の人以外には見せていない傷もある。

その時の心臓近くに刺さったあの傷によって何故死ななかったのか、毎年のように考えて来た。

そこで秋磨は自身が傷つけた腕を見る。そこには以前より数ヶ所増えた横一文字に伸びる切り傷。所謂リストカット痕。

リストカットとは主に精神的に病んだ状態の人が自身の何か(・・)を確認するために行う自傷行為のことだ。秋磨の場合もこれに当てはまる。

人間が行動を行う中で最も重要な部分がいくつか存在する。秋磨にとってそれは『神経』と『感情・感覚』に当たるものだ。

秋磨の考え方として、『神経』とは行動を行うために必要な運動神経や、意図しない危険などが起こった際に行う反射やその他は人間が人間たる存在であることを示す大きなものだと思っている。それに加え、『感情・感覚』は行動を行う上で最も重要なファクターであると考える。何かを考え、何かを感じることのより行動を決定して行うのだ。

秋磨は自身にこの2つの項目が存在しているのかを確認するための自傷行為であった。彼には『感情(・・)()()()()。しかし、感覚を司るための神経が無いように思えた。それは、十年程前の彼に掛かったストレスやその負担によるために神経に異常を起こしたからだ。それ以来、人間にとって身の安全を図るために必要な痛覚が鈍化した。

 

「自分に居場所はあるのかな・・・・・・?」

 

小さく呟く秋磨の声は誰にも届く事は無い。それもそうだろう。旅館の外には誰も出ていない。人がいないのだから彼がそこで何を言おうにも聞くことが出来るわけがないのだ。

一夏や千冬さんの他にも箒とかは一緒にいようとも言われたこともある。しかし、それでも秋磨ほ信じきれない。

いつかは裏切られる。最後には裏切られる。そう思っているからだ。事実、過去にそれが何回もあったのだ。忘れたくても忘れられるはずがなかった。

 

「もう戻ろうかな・・・・・・」

 

やはり、その声も誰にも聞かれることなく数日前と同じように、夜の闇へと溶けて消えていったのだった。




どうでしょうか。貴方はこう思うはずです。『IS要素どこいった!』と。

なんかなー。ほんとに次の話どうしようかしら。

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