ハロウィン。あるいは、ハロウィーンと呼ばれるそれは元々古代ケルト人による悪霊を追い出す宗教的な意味合いを持ち、秋の収穫を祝う祭りのことである。
しかし、しかしである。現代において、それは大本の意味を失いつつある。今回のハロウィンもその一つであり、バレンタインもその一つである。
元々は、宗教的な意味合いの強い祭事であったはずが、いつの間にかアメリカ合衆国で民間行事として定着してからは、あっという間に日本にもその新しい風習ができてしまったのだ。
ここまでは知っている人も多いかもしれない。だが、ジャック・オー・ランタンに本来はかぼちゃを使用していなかったことを知っている人はいるだろうか。ていうか、ジャックオーランタンのランタン消したら
そんな事は置いといて、本来のジャック・オー・ランタンに使用されていたのはカブが使用されていたらしい。
さて、残念なことに人間は都合の悪いことには目を瞑り、都合のいい事はそのまま取り入れようとするきらいがある。それはハロウィンでもそうらしい。先に述べた、本来の姿を改竄するだけ改竄したくせに「Trick or Treat」・・・・・・所謂、「お菓子をくれなきゃ悪戯するよ?」と宣い始める。そして、くれなかったらいたずらしても良いとされているのを本当にする始末である。
この行為は、いつもは自身の食事などで生活できているのに、その日だけは他の家のところへ行き食べ物だけ要求する。そして、「くれなきゃ悪戯するよ?いいの?」と、図々しく言い放ち、もらえなかった場合は本当に悪戯をする最悪の乞食である。
つまり、お菓子会社のどす黒い闇が発案した忌むべき陰謀なのである。
まぁ、ここまで長くハロウィンに対する見解を述べたのは理由がある。それは───
「今日はハロウィン!みんなからお菓子を貰える日!」
我らが主人公、肝属秋磨のそんな声が彼の部屋に響き渡ったからである。
「あぁ!嬉しいなぁ、何もしないでほかの人の所に行ってお菓子をもらえるなんて。今年は一夏何くれるのかな?鈴は何くれるんだろう・・・・・・千冬さん、今年は何くれるのかなぁ」
鈴は昨年いなかったのだが、2年前までは箒とすれ違いで入ってきたことで仲良くなり、そこから遊ぶようになった経緯があり、毎年ハロウィンの時に一夏に付いてきてもらってお菓子、と言うよりも甘いものを貰いに行っていたのだ。
まぁ、ぶっちゃけて言うと酷い話にはなるが、ハロウィン限定の乞食である。
「多分、一夏たちも自分の部屋に戻ってきてるよね!よし、行こう!」
思い立ったが吉日、と言わんばかりに扉を開けて外に出る。寮の通路へと出るが、他の生徒たちは居ないようだ。
その光景は秋磨にとって行動しやすく、誰の目もないために少し上機嫌のようにも感じる。
「ふんふふんふふふふんふふふふ〜ん♪」
ACfaの戦闘時に流れる『Precious Park』を鼻唄で奏で始める。
スキップしそうなほど上機嫌な彼が最初に止まったのは、彼の親友である織斑一夏の部屋である。
コンコンコンコンと軽快鳴り響くノック音。部屋の持ち主である一夏が扉を開けようと近づいてくる音が聞こえてくる。
「おう、どうした?」
「トリックオアトリート。甘いものくれなきゃ悪戯するよー」
お菓子ではなく、甘いものと断定している時点で本当に乞食であることを否定出来なくなってきた事は置いておくとしよう。
「あぁ、そんなことだろうと思った」
そう言いながら一夏は部屋へと入れると、そこにはちょっとしたケーキが置いてある。それを目敏く見つけた秋磨は目を輝かせて一夏の方をチラチラと目を向ける。
それに対して、毎年恒例の行動を見ることになったためか苦笑を浮かべる。
「いただきます!」
そう言って、一口大にフォークで分けたショートケーキを口の中へと運ぶ。
舌にクリームが触れる。それを舌の上で味わいながら口内の上部に押し当て、全体へと広げていく。なめらかな舌触りであり、味もしつこくないのにしっかりと後味は残る。そんな絶妙な秋磨の好みを抑えている点、流石は幼馴染である。
因みに、『滑らかでクリーミーですね』、なんてよく聞くが、意味は『滑らかで滑らかですね』、というちょっとおかしい日本語になってしまう。これはまぁ、『チゲ鍋』と言っているようなものであり、この場合は『鍋鍋』である。
「どうだ?」
少し。ワクワクしながら味の批評を聞く一夏に対して「100点」と返す。昨年の結果は96点という、とても惜しい結果に終わったため気合の入れようが違ったのはそのせいなのだろう。
そこから礼を言って部屋を出ると、今度は別の部屋へと向かっていった。
「おっと、ここだね」
次に行き着いた部屋は箒の居る部屋である流石にここからは女子が数人で生活している空間なので奥まで入る勇気はない。なので、扉の前で貰うことになってしまうが貰えれば幸せな秋磨にとっては些細な問題だ。
コンコンコンコン、と先の一夏の時と同じように4回のノック音が響く。出てきたのは箒だった。なんでも、ルームメイトは現在友達の部屋へと行っているらしい。
「トリックオアトリート。お菓子をくれなきゃ一夏の秘蔵写真を上げないよ?」
ガチャ、と扉の開く音がして箒の身体が出てきて1拍したところで言い放つ。
「何、それは本当か!?あぁ、勿論だとも用意していた。だから私にその写真をくれ!」
「はいっ、毎度ありー」
秋磨が箒に手渡した写真。それは、浴場でシャワーを浴びている一夏の写真だったのだ。
それは、所謂セクシーショットと呼ばれるものであり角度的には勿論、下の逸物が見えない角度で斜め後ろから撮ったもので、横の方にある外腹斜筋が適度に鍛えられているそれは、そういうフェチを持つ方々にはたまらない物だろう。
「すまない。これ、全部用意したものだから受け取って欲しい。それと・・・・・・その、なんだ?こういうの・・・・・・他にあったら分けて貰えないだろうか?」
その言葉とともに渡されたのは、秋磨が和菓子の中で一番好きなくず餅だった。本人によれば、『くず粉を練って冷やして固めただけのお菓子に蜜やきな粉をかけるだけだと思われがちだが、どれか一つに妥協をしてしまえば味が崩れるし、舌触りも悪くなる。単純だからこそ、職人の腕が映える至高の和菓子』だそうだ。
「え?・・・・・・いいよ!甘いものをくれるのが交換条件でいいなら」
「よし、交渉成立だな。有意義な時間だったぞ」
そう言ってお互いがホクホク顔で別れたのだった。
「ふふんふふんふ〜んふん♪」
これまた鼻唄でACfaの戦闘BGMのscorcherを奏でる。次はセカンド幼馴染と名高い鈴の部屋の前だった。
これまた、コンコンコンコンと4回ノックをする。すると、ピョンっと跳ねるような音が聞こえたかと思うとカサコソと準備する音が聞こえてくる。準備でもしているのかなー?なんて考えていると、すぐに扉が開いた。
「トリックオ「やっぱり来たわね。はい、どーぞ」・・・・・・最後まで言ってない」
若干のショックを受けた秋磨が鈴の手から受け取ったのは結構大きめな杏仁豆腐だった。
正直、ハロウィンで出されるものとしては微妙なところなのだが、秋磨にとってみればハロウィンという存在は甘いものさえ食べれればどうだっていいという考えしかないので問題はないだろう。
「後で感想聞きに行くわ。それに、ちょっとみんなと用事があるから」
「ん、今じゃダメなの?」
「そうよ。多分、みんな行くんじゃないかしら」
「りょーかい」
この時、秋磨は『みんな』という言葉に一夏と箒を入れていたのだが、最後にそれが違うということを気付き後悔することとなる。
そんな事はさて置いて、杏仁豆腐を受け取った秋磨は自室の冷蔵庫へと仕舞いに行き、また別の部屋へと訪れるのだった。
「ふんふふんふんふっふっふっふ〜ん♪」
過去最高レベルで好みの甘いものが貰えていることに気を良くした秋磨は、ACfaの戦闘BGMのI Can See Allを鼻唄で奏でる。
これまた4度目ノック音が部屋の持ち主であるセシリアの耳に届く。すると、数秒してからドアが開かれる。
「トリックオアトリート」
「ふふ、来ると思っていましたわ。どうでしょう、紅茶と一緒に渡そうと思っていたスコーンでも一緒しませんか?」
「え、いいの?リアの迷惑じゃない?」
「ええ、大丈夫です。相室の方は友人の部屋へ出ていますし、長い時間出かける方なので」
「じゃ、じゃあお願いします」
未だに、他人の部屋に入る時はとてつもなく緊張するらしく、少し吃りながら部屋の中へと入っていく。
「さぁ、お食べくださいな。結構味には自信があるのですが、一夏さんに聞いたところ採点していただけると聞いたのでお願いしてみたいと思うのですが」
と、少し緊張と期待が
「じゃ、じゃあいただきます」
そう言って、手に取ったスコーンにセシリアお手製のジャムを付けて口へと運んでいく。
色々な種類を作ったらしく、最初に食べたものはナッツやドライフルーツなどが入ったものからチョコレートやキャラメルといった本格的に店に出せるようなものまであった。
食感は見事なことに、ケーキのようにしっとりとした生地のものもあれば表面はさっくりとした食感のものまで幅広くあり、それもまた楽しめる要素となっている。
「これは・・・・・・今までで一番美味しいかも・・・・・・」
当然、ある程度の店に出せるようなレベルのものがある時点で秋磨の好評はいただけたようなものである。
因みに点数の方は、と期待の眼差しで見られふと考える。スコーンの方には問題はなかった。どちらかと言うと、プラス面があったのだが、ジャムをつけた時に少し苦味があったことから熱した時に少し温度が高かったのかもしれない。
「94点かな・・・・・・ジャムをつけた時に、ちょっとした苦味があったから少し温度が高かったのかもしれないね。スコーンの方はいろんな食感と中に入ってるアクセントが強くもなく薄くもなくちゃんと感じられたからすごく良かったよ」
そう言うと、少し嬉しそうにしながらも頬を染めて恥ずかしがるその姿は本当にかわいかったな、とは秋磨談であった。
セシリアにお礼を言って部屋を出ると、直ぐに他の部屋へと向かう。
「ふふんふふんふっふっふん、ふふんふふんふっふっふん♪」
気分がいいはずなのに、聞くだけで戦慄するようなSpirit Of Motherwillを鼻唄で奏でるのはどうかと思うが、そうこうしているうちに目的の部屋へと辿りついた。
これまた数度目の4回のノック音が響く。すると、ほどなくして部屋の持ち主である2人がひょっこりと顔を出してくる。
「トリックオアトリート」
という当たり前になりつつある言葉を繰り返す。
「やっと来たね。それじゃ、私からはこれだよ」
そう言って、シャルロットはカラフルなマカロンを秋磨に渡した。
見た目だけでもうまそうに見えるそれは、料理やお菓子作りが最近の趣味となったらしいシャルロットの腕により、美味しい事は間違いないだろう。
「むぅ・・・・・・少し来るのが遅かったのではないか?」
と、自分怒ってますよとでも言いたげな顔で口を開いたのはラウラである。その手にはこれまたハロウィンでそれはどうなんどろうと思うバームクーヘンが皿の上に乗っており、少しだが確かに美味しそうな匂いが鼻腔をくすぐる。
「ご、ごめんなさい・・・・・・」
「ふ、ふん。まぁ、いい」
ちょっと拗ねながらだが赦しを貰えた秋磨にシャルロットは声をかける。
「後で部屋に行くね。多分だけど鈴とかから聞いてると思うけど」
「え?うん。聞いてるけど、味のことなら任せてよ。因みに今のところ一夏が100点」
と、用事を味の批評のことだと勘違いしている秋磨に対し、シャルロットとラウラは勘違いを正そうとしない辺りイイ性格をしているのは確かだろう。
「まぁ、楽しみにしててね」
「え?あ、うん・・・・・・分かったけど」
と、少し釈然としないまま秋磨はシャルロットとラウラの2人との会話を切り自室へバウムクーヘンを保管しに行ったのだった。
「ふふふふんふふふふっふっふっふっふ〜ん♪」
今度はリズミカルにスキップをしながら、やはりACfaの戦闘BGMであるCosmosを鼻唄で奏でる。
元々、止まった部屋は元々入学した際にいた部屋である。勿論、そこにいるのは以前同室であった簪の部屋である。
コンコンコンコンと幾度もなく繰り返したノックで呼び出すと、数秒してからがちゃりと音を立て顔を出す。そこには先客もいたようで、部屋の奥から聞き覚えのある声が聞こえてきた。その声の持ち主は、以前ほどではないにしても未だに若干のトラウマが残る楯無である。
「ん、これ、私から秋磨に」
少し残念そうに手渡されたのはト〇ポやチョ〇ボールといった一般的なお菓子の数々。
「ごめんね。本音にかなり取られちゃった・・・・・・」
「あははは・・・・・・本音さんだからね」
と苦笑いを浮かべる秋磨なのだが、正直に言うと本音よりもひどい乞食具合なので言えることではないのだが。
「あ、秋磨くんじゃない。ハロウィンできたのかしら」
ふふふ、とあでやかに笑う彼女は一度部屋の奥へと戻り何かを持ってきた。
皿の上に乗ったそれはソフトクリームのアイス部分を上下に潰したような形をしている。
「これ、わかるかしら?日本であまり見ないと思うけど」
「ゼフィール・・・・・・ですか?良く作れましたね・・・・・・」
ゼフィールというロシア独特のお菓子である。マシュマロの弾力をもっと強くしたお菓子であり、確かに日本ではあまり見られないお菓子だ。
「これ、私と簪ちゃんからよ。大事に食べてね?」
「あ、ありがとうございます!これ一度食べてから忘れられなくて・・・・・・」
と、若干のトラウマを感じさせないどころか少し高すぎるテンションで手を取って上下にぶんぶん振り回すその反応は、まるで子供のようである。
その反応に驚きながらも、楯無と簪は顔を見合わせてクスクス笑い始める。そんな事はつゆ知らず、秋磨は礼を述べてからそんな2人と別れて自室へもらったお菓子を保管し戻る。
「で、私のところが最後・・・・・・か」
「いや、あの・・・・・・その、あれですよ?別に他意はないですよ?」
楯無と簪の部屋からもらったお菓子を保管しに戻った数分後の会話である。秋磨は自室から出て千冬の部屋に着いてノックをした。そこまでは良かったものの、出てきた千冬の顔は先のラウラよりも「私怒ってるんだが?」という顔をしていたのだ。
全くと言っていいほど心当たりは無かった秋磨は、今の言葉を聞いてやっと理解したのだった。
「いや、あの、すみません・・・・・・」
「ふん、なぜ謝る?私が怒っているとでも言うのか?ん?答えてみろ」
「ひえっ・・・・・・べ、別にそんな事は言ってな、い、いえ、何でもないです!」
現在、椅子に座った千冬に正座したままギロリと睨まれた秋磨は縮こまり、ただでさえ弱い胃が痛くなる思いをする。自業自得なのだから甘んじて受けるべきだろう。
「はぁ・・・・・・まぁ、いい。ほれっ」
ため息を吐くと同時に、座っていた椅子から立ち上がり何かを取ってきた。そこには、サランラップの張ってあるチョコレートブラウニーだった。
ばっ!と顔を上げて千冬の顔を期待した眼差しで見上げる。
「い、いいんでしょうか・・・・・・」
「いいって言っただろう」
「じゃ、じゃあ・・・・・・」
「ふんっ」
「い、いただきます」
鼻で空気を押し出したとともに顔を背ける。しえし、目はちょっと嬉しそうに食べる秋磨に固定している。
秋磨は何口か食べたところで驚いているようだった。
「どうした?」
「いえ・・・・・・本当に腕が上がりましたね」
「そ、そうか・・・・・・ふっ」
その言葉にちょっと気を良くする千冬。そっぽを向いたままだが、日の沈んで本格的に寒さが身を包み始めるこの時期の夜の空を少し笑って見上げる。
数分して食べ終えた秋磨に、少し気になったことを聞く。
「・・・・・・その、お前は採点をつけるようだが・・・・・・私の、は・・・・・・いくらくらいだ?」
そこには普段のキリッとして、いかにも出来る人を通り越して爪楊枝よりも鋭い雰囲気を持っている人物と同じだとは思えないほど頬を緩ませ、柔らかな雰囲気を纏う千冬がいた。
「えっと・・・・・・71点程でしょうか・・・・・・」
点数を言った瞬間、ピシリッと鳴らないはずの音が聞こえたのだ。秋磨の耳にははっきりとである。
「ほう・・・・・・それは、全体で何番目だ?」
「・・・・・・えっ?」
「何番目だ?」
「いや、あの、えっと・・・・・・べ、別に比べる必要もないかな・・・・・・なんて」
「言え」
「はいっ・・・・・・その・・・・・・さい、ご、です。はい」
「ん?聞こえなかったぞ?」
「さ、さいご・・・・・・です」
「ふんっ!」
「ごっふぉっ!?」
ドゴンッ!!と人体から通常発しないような大きな音が部屋の中に響き渡る。若干涙目の千冬は少しキレながら秋磨に怒鳴る。
「いい度胸だ・・・・・・全てが終わったら待っていろよ、貴様」
と聞いてきたのは千冬であるのに逆ギレされた秋磨は恐怖と痛みで涙目である。
このカオスな空間は動けるようになった秋磨に「部屋に戻っておけ!後で押しかけてやるからな!」と、若干恐怖を覚えるセリフが放たれたのだった。
「ふぅ・・・・・・ひ、酷い目にあった」
部屋に戻るなり、ベッドに仰向けに倒れて先のことを振り返っていた。
数分そのままの格好でボーッとしていると、自分が汗を流していないことを思い出した。
「汗流さないと・・・・・・そう言えばみんな来るって言ってたし」
ほっ、と息を吐いて勢いを付けて起き上がる。着替えを取り出し、今日は大浴場には行かず事実に取りつけられているシャワールームで済ませようと考えた。
服を脱いで蛇口を捻り、お湯と水の調節を済ませる。
髪を洗い終えて身体を洗っていると、自室の扉の前に人が数人・・・・・・いや、7人。それも一夏と箒は居ないようだ。きっと、来ると言っていた鈴たちなのだろう。
「あまり部屋の前に集まらないでほしい・・・・・・なんか、次の日周りの人からの視線が痛い・・・・・・あぁ・・・・・・また胃が痛くなってきた」
そう言って、身体を洗い終え水を拭い着替える。
シャワールームから出た秋磨は仕方ないと言わんばかりにため息を着いて部屋の扉を開ける。
「あれ?秋磨、お風呂は言ってたの←入ってたの?」
「うん。やること無かったし」
「それではお邪魔しますわ」
そう言って、一夏と箒を除いた7人がぞろぞろ秋磨の部屋へと入っていく。
ふと疑問に思い、秋磨は気になったことを問いかけることにした。
「あれ、一夏と箒は?」
「む?来るわけないだろう」
「元々、そんな話一夏たちに話してないんだし。まぁ、諦めてね?」
ラウラとシャルロットが秋磨の勘違いしていたことを正す。
勘違いしていたことに気づいたのか、秋磨の頬には頭から流れてきた冷や汗が垂れてきている。
「騙して悪いが・・・・・・だよ?」
「ふふん。見抜けなかった貴方が悪いわ」
「ひぃっ!?やめっ、本当に!?夢なら覚めっ・・・・・・!」
そう言って簪が秋磨の右の腕を抱くように絡み付く。簪とは逆の方向から楯無が艶やかな笑みを浮かべながら秋磨の頬を撫でる。
そこまで来て完全に逃げられない悪夢の再来に現実逃避をしようにも、簪と楯無がそうはさせまいと意識を引っ張り上げるように感覚を与えていく。
お家柄、そういうのが得意なのかは知らないが無駄な実力である。
「ふん。私を怒らせたことを後悔するがいい」
そう言って千冬に押さえ込まれた秋磨は全方向から囲まれ逃げる場所もあるわけなく・・・・・・
「あ、そうだったわ言うの忘れてた」
鈴が零したその言葉にほかの6人が示し合わせたかのように口を開いた。
『トリックオアトリート。お菓子をくれなきゃ
「ひぃ・・・・・・やめっ、ぴぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!!」
完全防音となっているその部屋に、部屋の主の声と女性7人の艶やかな悲鳴が外に漏れることなく響き渡るのだった。
「そ、その、だな・・・・・・」
「お、おう・・・・・・」
女性が居住いを正すために動いた時にギシッ、とベッドが音を立てる。
男性の方も、ベッドに座っていて軋んだ音に顔を真っ赤にしながらも少し期待しているようであった。
「なぁ、その・・・・・・うわぁぁ!!」
「くっ・・・・・・!!」
お互い、顔を下に向けて着ている服の裾を肘を伸ばしたまま必死に握っている。ボンッという大きな音をたてて女性が叫んでしまうと、男性の方も羞恥と緊張、それに期待の混ざった真っ赤な顔を両手のひらで覆う。
「「・・・・・・なぁ?」」
「「・・・・・・」」
一時、このなんとも言えないような空気が続くが女性の一言で破られる。
「・・・・・・その、私と・・・・・・」
眼を潤ませて何かを想うかのように顔を近づかせる女性に男性の方も意を決したような顔をする。
顔が近づいていき───
翌日、女性陣は腰が立たなくなっていたが男性の方はピンピンしていた。
あの後、ハロウィンであげたお菓子の中に誰かが精力剤を入れたのでは?という話が浮上してきて一悶着あったのは別の話である。
さて、今回の話で分かる通りr18書くことにしました。いつから書き始めるかは分かりませんが。と、とにかく書きます。ええ。書きますとも。
ただ、完成度はお察し・・・・・・