夢を馳せる少年   作:主任大好き

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まさか!まさかまさかまさか!お気に入りが久しぶりに見たら100を超えてました!チョー嬉しいです!ありがとうございます。やっぱりこういうのって励みになるものですね。コメントが少なくても頑張れる!(チラ見)

さて、そんな事置いといて。今回は前話を投稿したあとにすぐ書き始めたものです。あともう少しで1万文字を超えそうでした。惜しい!

それと、ある程度話が進んだらGOD EATERもしたいなー、なんて思ってるんですが・・・・・・やはり、終わってからやれと言われますからね。どうしましょうか。次は魔法科高校の劣等生の方を進めようかと思っております。そのため、次話は若干遅れますのでご了承ください。

まぁ、そんな事はさておき、7話?8話?どっちですかね?まぁ、どうぞ。


7話 襲来とパーティー

「ではこれより、ISの基本的な飛行操作をしてもらう。織斑、オルコット。試しに飛んで見せろ」

 

「え?秋磨は?」

 

「人が見ているところで基本的にできるわけがないだろうが」

 

その通りです。きっと、そんなことになってしまえば緊張と恐怖で体がガチガチと固くなり、できるものもできなくなってしまう。

そう言えば、いつかのセシリアさんと話をした時本当に胃が潰れそうな思いだったよ。だって、なんかいきなり謝られたりしてこられたらびっくりして怖かった。裏があるのではないか、とか。でも、あれ以来人が変わったように雰囲気が柔らかくなっていた。良かった。これでセシリアさん関係で胃が痛くなることはだいぶ減るかもね。

 

なんて、とんだ大間違いなことを考えている秋磨に千冬が声を掛ける。

 

「肝属、やっぱりやれ」

 

「えっ?」

 

この時、後で一夏に聞いたんだけど顔色がいっきに真っ青に変化したそうだ。

何で?今さっきしなくてもいいって・・・・・・鬼!悪魔!千冬さん!

 

「ほう、私を悪口の1つにするか」

 

「えっ?えっ?」

 

訳も分からず半泣き状態で聞き返す。何で?何で分かったんですか?

 

「まぁ、いい。早くしろ」

 

「は、はい・・・・・・」

 

今にも泣き出しそうな雰囲気を醸しながら、待機してあるラファールを纏い飛ぶ。取り敢えずは、この場からいっとき離れたかった。

一夏たちのいる高さに着くと2人から声を掛けられた。

 

「はははは!秋磨、千冬姉に怒られたな」

 

「もう、帰りたくない」

 

「大丈夫でしたか?」

 

「う、ううん。だ、ダイジョブ」

 

すっ、と一夏の近くに隠れるように近づく。まだ怖い。何故かセシリアさんは「ガーン!」という擬音が聞こえそうな程にショックを受けたような顔をしてる。何で?

 

「そう言えば何で浮いてるんだ?空を飛ぶ感覚自体あやふやすぎてどうすればいいのか解らなくなるんだよな」

 

「一夏さん、説明しても構いませんが、長いですわよ?反重力力翼と流動波干渉の話になりますわよ」

 

「あとはPICもだよ」

 

「分かった、説明はしなくていい。セシリアの話も長そうだけど、秋磨のは絶対に嫌だ」

 

「!?」

 

あまりにもショック過ぎて真っ白になってしまった。まぁ、いわゆる「燃え尽きた」状態というやつだ。

 

「ちょっ!秋磨さん!?」

 

セシリアさんが心配してくれている。少し気が楽になった。

 

「こ、これでも機能制限は掛かってるはずだよ。元々ISは宇宙空間での稼働を想定したものだからね。何万kmと離れた星の光で自分の位置を把握するためだから、この程度の距離は見えて当たり前だよ」

 

そう言えば、昨日の箒の一夏に対するアドバイスが面白かった。例えばこんなのがあった。

 

『ぐっ、とする感じだ』

 

1つ目のこれだけで笑いそうになっちゃった。笑っちゃうと、箒が何してくるか分からないから我慢してたけどね。あとは・・・・・・

 

『どんっ、という感覚だ』

 

もうこの時点で限界だった。これで理解できるのは箒と一緒の世界に住んでいる人物だけなのだろう。まだまだあるけど最後はこれにしよう。

 

『ずかーん、という具合だ』

 

我慢していはずのダムが決壊してしまった。悪気はなかったんです。ごめんなさい。笑った後で竹刀でて叩かれました。痛かったです。

 

「織斑、セシリア、肝属、急降下と完全停止をやって見せろ。目標は地表から10cmだ」

 

「了解です。では秋磨さん、一夏さん、お先に」

 

そう言い残すと、セシリアさんは地上に物凄い勢いで突っ込んでいく。すごいなぁ。どうやらクリアしたらしい。少し、満足げなセシリアさんの顔がハイパーセンサー越しに見える。

 

「よしっ、俺も行こう!」

 

そう言った瞬間、横にいた一夏は

 

ギュンッ!

 

という、大きな音と共に消えていた。

 

「えっ?」

 

慌てて下を見た瞬間

 

ドカァァァァァァン!

 

「ひ、ひえぇ・・・・・・」

 

一夏、それは危ないよ。下に誰もいなかったから良かったものの、誰かいたら大惨事だよ?

 

「馬鹿者。誰が地上に激突しろと言った。グラウンドに穴を開けてどうする」

 

一夏が千冬さんに怒られている声が聞こえてきた。そういえば本当に大きな穴だ。月のクレーターみたいだな。

 

「情けないぞ、一夏。昨日私が教えやっただろう」

 

・・・・・・えっ?あれが、ですか?そ、そそそそそうですね!と、とても解りやすかったですよ。

 

箒は地上200の位置にいるはずの秋磨に思いっきり殺気を発する。秋磨も気づいたようで震え声で手のひら返し。

 

「(こ、怖かった・・・・・・)」

 

「肝属、お前も早くやれ」

 

「えっ?」

 

ど、どうしよう。人がたくさんいるところにわざわざ行きたくない・・・・・・い、嫌だ!いきたくないぃぃ!

 

「早くしろ」

 

「い、嫌です!」

 

「・・・・・・理由は?」

 

「ひ、人がたくさんいるところから離れられたのに、も、戻りたくないです!」

 

「はぁ・・・・・・アイツにやらせたのはまだ早かったか」

 

下にいる一夏と箒は大爆笑している。他のみんなは「遅めの反抗期が来た!」とか、「必死になってる秋磨きゅんかわいすぎ」などという、羞恥しか感じない声が聞こえる。真耶はオタオタ戸惑い、千冬は呆れてため息をつく。充分にカオスな状態だ。

千冬は何かを思い出したかのように残念そうに、秋磨に聞こえる程度に声を出す。

 

「そうか、私の授業はつまらんか。そんなにつまらないのなら私は教師失格だな・・・・・・」

 

「え?ち、違くて、そ、そういう意味じゃ・・・・・・」

 

「だったら、証明のために『急降下と完全停止』をやってみてくれないか?」

 

「は、はい・・・・・・」

 

なんということだろう。素直にいうことを聞いたのだ?一夏と箒以外のみんなは「えっ?」みたいな顔をしている。一夏たちは「相変わらずだな」と、呑気に苦笑いを浮かべながら談笑していた。セシリアは「なるほど、こういう時はあのように言えば来てくれるということですね?勉強になります!」と言って、メモ用紙を取り出し書き出す始末。

秋磨は集中して急降下する。周りの景色の流れが早い。1秒前後の時間で地面は、もう既に目の前だ。高さ2m辺りで勢いよくブースターから推力を逆に切り替え速度を落とす。結果、目標10cmだったのだが、20cm、と少し超えてしまった。

 

はっ!しまった!みんながいる前に来てしまった!

 

そう思い、秋磨は再び空に逃げようとすると千冬がISを掴み───

 

「初めてのやつにしては上出来と言っても過言ではないな。しかし、入学式の時に言ったはずだ。解っても解らなくても、はいと答えろと」

 

「(あ、自分もうダメっぽい)」

 

諦めるしかないことに気づいた秋磨は遠い目をして話を聞くのだった。

 

 

 

 

「織斑、肝属、武装を展開しろ」

 

「は、はあ」

 

「はい」

 

「返事は『はい』だ」

 

「は、はいっ」

 

「よし。では始めろ」

 

秋磨が強く、《ブレッド・スレイサー(近接ブレード)》をイメージするといつの間にか秋磨の手にあった。

そう、一夏たちとセシリア戦のために練習していた時、秋磨は自分の作るISのコンセプトが似ていたために、武器の切り替えを素早く行う練習をすることを既に決めていた。そのため、基本操作を覚えると共に『高速切替(ラビット・スイッチ)』を習得したのだ。ちなみにこれができるようになったのは金曜日の夕方だった。実質的に練習最後の日だった。

 

一夏も最初の時より随分と早くなったのだが千冬さんは納得いかない。

 

「遅い。0.5秒で出せるようになれ」

 

あの、自分たち初心者なんですが・・・・・・

 

「肝属、初心者なんだからと言ったようなことを考えてもお前のやっていることは初心者のそれではないからな」

 

なんだろう・・・・・・今、言外に「お前は非常識だ」と言われた気がする。というか、人の心を読める時点で貴方は妖怪とかその類・・・・・・

 

「ほう?」

 

「な、なんでもありません!!」

 

「まぁいい。セシリア、武装を展開しろ」

 

「はい」

 

セシリアは返事をして左手を肩の高さまで上げ、真横に腕を突き出す。一夏のように光の奔流を放出することはなく、一瞬だけ眩い程に光っただけだ。気づくとそこにはいつの間にか、狙撃銃《スターライトmkIII(レーザーライフル)》が握られていた。その上、既にマガジンは接続されていて視線を送るだけでセーフティが外れる。一夏と比べるまでもなく圧倒的に展開が早い。

 

「流石だな、代表候補生。だが、そのポーズはやめろ。横に向かって銃身を展開させて誰を撃つ気だ。正面に展開できるようにしろ」

 

「で、ですがこれはわたくしのイメージをまとめるために必要な───」

 

「直せ。いいな」

 

「───はい・・・・・・」

 

千冬さん、その顔怖いですよ。セシリアさんが耐えられるわけないじゃないですか。気絶したらどうするんですか?

 

「セシリア、近接武装を展開しろ」

 

「えっ?あ、はい」

 

きっと愚痴をこぼしていたのだろう。多分だけどそれが原因だと思うよ。千冬さん、以外と意地悪だからね。心読んだ上であんな事言ってるんだよ。

 

「くっ・・・・・・」

 

「まだか?」

 

セシリアさんはどうも近接用武装が苦手らしい。そう言えば、自分と戦った時も同じだったな・・・・・・

 

「す、すぐです。───あぁ、もうっ!《インターセプター》!」

 

武器の名前を苛立ちながら叫ぶ。それによって光は収束して武器として構成される。

けれど、これは教科書の冒頭の方に書いてある、いわゆる『初心者用』の手段であり、それを使わないと武装を展開が出来ないというのは代表候補生のセシリアにとってはかなり大きな屈辱らしい。

 

「何秒掛かっている。お前は、実践でも相手に待ってもらうのか?」

 

「じ、実戦では近接の間合いのは入られません!ですから問題ありませんわ!」

 

「ほう?では、織斑と肝属のことはどう説明する?初心者に懐を許していたようにも見えるが」

 

「あ、う・・・・・・それは」

 

するとセシリアは一夏()()を睨み『貴方たちのせいですわよ!』と言ってくる。

 

「(ご、ごめんなさい・・・・・・)」

 

目を向けられてもいない秋磨がかなり落ち込んでいる。

 

『貴方たちが、わたくしのところに飛び込んらで来るから・・・・・・秋磨さんには、その、責任を取っていただきますわ!』

 

・・・・・・えっ?ちょっと待って。・・・・・・この場合の責任とは?ば、場面を整理しよう。

・セシリアさんが織斑先生に怒られているのは自分と一夏のせい。

・セシリアさんは顔を赤くして怒っている。

・セシリアさんは責任を自分に責任を取れと言う。

・相手は大の資産家

・社会的地位が高い

・反対に自分は底辺

・裁判に架けられる

・死刑判決

 

「・・・・・・責任を持ち死刑判決を受け入れます」

 

「えっ?」

 

「はっ?」

 

この場の全員はみんなこの2通りの反応しかなかった。それもそうだろう。『個人間秘匿通信(プライベート・チャット)』でセシリアは話していたのだから、急にこんなことを言われても何のことかわからないのは当然だ。

セシリアは今になって気付き、必死に思いつく限りの言い訳をするのだった。

 

「最後に肝属、『高速切替(ラビット・スイッチ)』やって見せろ」

 

「ひぇっ」

 

「そこは『はい』だ馬鹿者が」

 

「ひゃ、ひゃい!」

 

秋磨は武装を瞬時に出す。スピードはセシリアよりも早かった。本人は安心した顔をしている。

 

「では武装を3回ほど替えろ」

 

「は、はい」

 

今度はしっかり返事ができたようだ。武装の切り替えも失敗はなく要求通りにこなす。

ついでに、一夏は「裏切り者ー!」と叫び、セシリアは「くっ、わたくしが優しくゆっくり教えて差し上げるつもりでしたのに!」とよくわからないことを言っていたことをここに記しておこう。

 

「練習したようだな。これに免じて()()()()は無しにしよう」

 

ほめられた!?あの千冬さんが!?やったぁ!千冬さんに褒められたぁぁ!久しぶりだぁぁ!

 

千冬は秋磨の内心の喜びが聞こえているかのように少し頬を緩め授業の終りをつげるのだった。

 

「そう言えば織斑。掘った穴はしっかりと埋めておけよ」

 

「あっ・・・・・・」

 

一夏に助けを求める目で見られた秋磨はグラウンドを直す作業を手伝う羽目になるのだった。

 

 

 

 

「ふぅ・・・・・・ここは静かだなぁ」

 

人がいなくてとても気分がいい。日当たりが良く、人が周りにおらず、吹き抜ける風が気持ちよく、まさに理想とも呼べる場所だ。

 

「今度からここで機体の設計を考えることにしよう」

 

そう心に決めたところで声が聞こえてきたのだ。周りに誰もいないのは確認したのは確かだったはず。ということは予想外のお客さんで正面ゲートから来たのかな?

 

「えーと、受付ってどこにあるんだっけ」

 

どこかで聞いたことのある声だ。えーと、最後に似た声を聞いたのは、空港で丸々1年ほど前だったと思い出す。

 

あぁ、彼女は確か一夏のことでよく相談を受けてたっけ?何かを企んだ様子で弾と数馬が無理やり人になれる練習だ、と言って話させられたんだっけ?でも、結局普通に喋れるようになったけどね。いやぁ、自分も成長したなぁ。うん、本当にそう思う。

 

「本校舎1階総合事務受付・・・・・・って、だからそこどこだっての」

 

少しイラついているのか乱暴な口調になってきたなぁ。まぁ、気持ちは分からなくはないよ?複雑過ぎるもんねぇ・・・・・・最初頃は自分もちょこちょこ迷ったよ。というか、ますますその知り合いの子に似てる。特にイラついて口調が荒ぶってくるのが

 

「あ、ちょっとそこの・・・・・・って、えぇっ!?」

 

「ひぃっ!?」

 

いつの間にか近くに来ていたようで声をかけられたようだ。

 

「あ、あんた、秋磨じゃない!」

 

「ひっ・・・・・・って、あれ?何で、鈴が?」

 

まさか本当に知り合いだったなんて・・・・・・ていうか、なんでここに?

 

「えっ?いや、別に、あ、あんたに会いに来たわけじゃないんだからね!」

 

「え?うん。一夏にでしょ?」

 

「(しまったぁ!秋磨はあいつと違って好意をネガティブに受け取るんだった・・・・・・まぁ、私も悪いんだけどさぁ)」

 

「・・・・・・鈴っ、その短すぎない?」

 

そう、秋磨は大の脚フェチなのだが、見えすぎると見てるだけなのに無性に恥ずかしくなる。その秋磨の発言に鈴は一瞬呆けた後、口の端を釣り上げ、獲物を見つけたような顔をする。明らかにからかうものを見つけた顔だ。

 

「ふーん・・・・・・ねぇ、この制服どう?」

 

「へぁっ!?そ、その・・・・・・」

 

「うんうん」

 

「・・・・・・そ、そう言えば、鈴は受付探してたんでしょ?」

 

「そうよ。案内をお願いできる?って、逃げたわね。」

 

「う、うぐぅぅ・・・・・・」

 

「はいはい。ごめんね」

 

「わかっててやってるでしょ・・・・・・もう行くよ。案内するからね」

 

「そう。じゃあ、このお姫様を丁寧扱ってよね」

 

「・・・・・・このような奴隷のような身に何を期待してらっしゃるのですか?」

 

と、秋磨は本気で期待を掛けられるのが嫌なようだ。1年ぶりのその反応を見て鈴は───

 

「相変わらずねぇ・・・・・・冗談よ」

 

「えっ?えっ?」

 

久しぶりに再会したサード幼馴染みと言うべき鈴と会話をしながら案内をする。鈴にとって秋磨は想い人のようだ。

 

「久しぶりに見たわ。いつ見てもその反応面白いのよね」

 

「うぐっ、うぅぅ・・・・・・」

 

「そう言えば聞いたわよ。IS学園に入学することになった理由」

 

「え?あ、あの話かぁ。恥ずかしいから言いふらすのやめてよ?」

 

「わかってるわよ。ただ、聞いた時は爆笑したわ。どうせ、一夏が途中で間違えて『次に開けた扉が正解だ』かなんか言ったんでしょ?」

 

「そうだよ。地図見て間違った場所見つけたら、いつの間にか一夏が、部屋に入っててその先にISがあったー、感じかな?」

 

「それに、あんたと一夏イギリスの代表候補生戦ったんでしょ?そして勝つとか普通ありえないわ。一夏も一夏でいいところまで行ったって聞いたけど本当に何なの?頑張ってきた人たち敵に回してるわ」

 

「ひえっ、べ、べべ別にそ、そそそんなつもりじゃ」

 

「あははは。冗談よ、冗談」

 

「やめてよそういうのさ・・・・・・おっと、ここだね。じゃあ、ここでさよならだね」

 

「そうね。じゃあ、また明日」

 

 

 

 

現在、自分は食堂にて───

 

「織斑くんのクラス代表就任おめでとう会始めたいと思いまーす!」

 

「おめでとー!」

 

パンパかパーん、とでもどこかの金髪巨乳のお姉さんが出てきそうなクラッカーの音を食堂に響かせ一夏を盛大に祝う。

しかし、一夏はどこか納得していない。まぁ、理由はある程度わかる。秋磨が思うに、一夏は『自分は負けたのに何で』とても思っているのだろう。

けれど、現実には『織斑一夏クラス代表就任パーティー』と、デカデカと書いた紙が掛けてあるのだ。

向こうの遠い席では───

 

「いやー、これでクラス対抗戦も盛り上がるねぇ」

 

「ほんとほんと」

 

「ラッキーだっだよね。同じクラスになれて」

 

「いいねぇ、もりあがってきたねぇ!」

 

と、最後のセリフに至っては秋磨の一番好きなキャラのセリフを似た感じで叫ぶ女の子。秋磨は「仲間かも!」なんていう雰囲気でその女の子を探す。

しかし、やはりというべきか、一夏がチヤホヤされてあまり嬉しくない人物もいる訳で・・・・・・

 

「人気者だな、一夏」

 

「・・・・・・本当にそう思うか?」

 

「ふん」

 

箒は一夏の隣で機嫌を大きく傾けていく。関数で言うと一次関数のマイナスだ。時間と比例して悪くなっていく。

 

「はいはーい、新聞部でーす。話題の新入生、織斑一夏くんと肝属秋磨くんにインタビューをしに来ましたー!」

 

「!?」

 

やばい!早く気配を無くそう!空気になろう!今ならあの先輩にみんなの目が行ってるから!

 

素早く空気に同化して自分の存在の認識を阻害する。秋磨の隣のセシリアがなんと助けてくれるらしい。

 

「秋磨さん、わたくしがなんとかごまかしますわ。安心してくださいな」

 

と、秋磨にだけ聞こえるように、不自然に見えないように小声で話しかける。

 

「あ、ありがとうございます」

 

この時だけは、秋磨にはセシリアが救いの手を伸べてくれた女神に見えた。

 

「あ、私は2年の黛薫子。以後よろしくね。新聞部部長やってまーす・・・・・・ってあれ?肝属くんは?」

 

「秋磨さんなら先ほど胃が痛いと言って部屋に戻られましたわ」

 

「あ、そうなの?残念だなー。ま、いっか。じゃあ、織斑くんよろしくねー」

 

「えっ!?ちょっ、だってそこに・・・・・・」

 

そこまで言って一夏はとてつもない悪寒に襲われた。その原因の方向に顔を向けるとセシリアがとても()()な笑顔を浮かべている。しかし、その笑顔には言い知れぬ恐怖を感じさせる。副声音は「バレたら赦さない」だ。

一夏は結局、汗を多量にかきながらインタビューを受けるしかないのだった。

 

「何のことか分からないけど・・・・・・まぁ、いいか!ではではズバリ織斑くん!クラス代表になった感想を、どうぞ!」

 

ボイスレコーダーを一夏に向けて無邪気な子供のように目を輝かせ、期待しまくっているのが丸分かりだ。

 

なんと言うか、一夏から「俺は乗り気じゃない」オーラがとてもすごい。

 

「あー、まぁ、何だろうなぁ・・・・・・頑張ります?」

 

「えー、疑問形で言われてもさぁ。もっといいコメント頂戴よー。『俺に触るとヤケドするぜ』みたいな!」

 

おぉう。言い得て妙とはこのことか・・・・・・実際その通りなんだけどね。核心をついた言葉だよね、一夏にとって。

 

「自分、不器用ですから」

 

何でもこなす人がよく言いましたねぇ。家事、勉強、スポーツ、人付き合い、etc・・・・・・多くの人類を敵に回す発言だよね。

 

「うわっ、前時代的だなー」

 

おぉう・・・・・・先ほどの自分の発言を思い返すべきでは?まぁ、口が裂けてもこんなことは言えるはずもないんですけどね。

 

「じゃあ、まぁ、適当に捏造しておくからいいとして」

 

「おい」

 

いや、ダメでしょ。一夏も思わず素で返しちゃってるじゃん。一夏ぁ!一応、その、先輩だからね!

 

「あぁ、セシリアちゃんもコメントちょうだい」

 

「わたくし、あまりこういったコメントはあまり好きではありませんが、仕方ないですわね」

 

・・・・・・セシリアさーん?そんなこと言う割には自分にもしてくださいと言わんばかりに近くに行ったような気がしなくもないのですが。

 

「では、まずどうしてわたくしがクラス代表を辞退したかと言うと、それはつまり───」

 

「あぁ、やっぱり長くなりそうだからやめた。写真だけちょうだい」

 

「さ、最後まで聞きなさい!」

 

せ、セシリアさーん?その人一応先輩だから失礼の無い態度でお願いします・・・・・・じゃないと悪い想像が働いて胃が痛いんですよぉ。

 

「いいよ、適当に捏造しておくから。んー、そうだなぁ・・・・・・よし!織斑くんに惚れたからってことにしよう」

 

うわぁ・・・・・・有り得そうで怖い。ていうか、この先輩捏造しかしてないのでは?・・・・・・もしかして、これから記事にされることは先輩が捏造したものだけ?もし、自分が記事にされる可能性があるのは

・強姦罪

・セクハラ

・名誉毀損罪

・他数件

 

だめだ・・・・・・もう無理だ。

 

「違いますわ!」

 

「えー、残念だなぁ・・・・・・ていうか、なんか一夏くんの隣あたりからもの凄くどんよりした空気が流れてくるんだけど」

 

「あぁ、それ多分ですけど先輩が悪いです」

 

「私なの!?」

 

ん?何の話?ごめんなさい。聞いてませんでした。自分のこれからの身の振り方を考えていて。

 

「ま、それはいいとして取り敢えず2人並んでね。写真撮るから」

 

「「えっ?」」

 

一夏とセシリアさんの声が重なっていた。予測できのではないだろうか。だって、カメラぶら下げてるよ?けど、何だろう・・・・・・胃が痛い。何でって?それはセシリアさんがちらちらと自分の方を見てくるんです。

 

薫子は一夏とセシリアの手を引いて、無理矢理握手までもっていってポーズも決めさせる。そしていいねぇ!なんて叫んでいる。

 

「・・・・・・」

 

今の今まで沈黙を保っていた箒が一夏の方を見てる。多分だけど、一夏にとって箒のその沈黙は痛いだろうなぁ。だって冷汗かいてるもん。

 

「・・・・・・何だよ、箒」

 

「何でもない」

 

「それじゃあ撮るよー。35×51÷24はー?」

 

74.375だね。

 

「はっ?えっ?・・・・・・2?」

 

「ぶっぶー、74.375でしたー」

 

パシャッとデジカメのシャッターが切られる・・・・・・危なかったァ!写真に入るところだった!前に入っちゃったことがあっなんだけどその時心霊写真扱いを受けちゃったんだよね。

 

そう、秋磨はいつのことだったか覚えていないのだが、心霊番組を一夏、弾、数馬と4人で見ている時に、秋磨がカメラに写っている写真が出たのだ。しかも胃が痛かったのか顔色が真っ青な時でホラー扱い。3人に大爆笑されたのだ。しかも、千冬がちょうど帰って来ていた時で騒がしさに注意しに来たところでその説明し千冬も大爆笑。ちなみに、今でもその番組は一夏の家に()()に残されている。

 

「なんで全員入ってるんだ?」

 

恐るべき行動力をもって、1組の自分以外のメンバーが撮影の瞬間に一夏とセシリアさんの周りに集結。あ、箒はちゃっかり隣にいる。

 

「いやー、クラスのいい思い出だね!」

 

「ねー」

 

「秋磨くんがいないのが残念だけど」

 

それがいるんですよねぇ・・・・・・胃が痛いから出ませんけど。

 

そんなこんなで、『織斑一夏クラス代表就任パーティー』は10時すぎまで続いた。

 

「あ、セシリアさん・・・・・・」

 

「はい?」

 

「あの、その、あの時、庇ってくれてありがとう」

 

「~っ!」

 

何故か顔を赤らめている。怒ってしまったのだろうか・・・・・・もう、死にたい。

 

「あ、あのくらい、大したことはしてませんわ。で、でも、お礼はありがたくお受けしますわ」

 

良かった・・・・・・あまり怒ってはいなそうだね。怒ってたらどう責任とろうか迷うところだった。

 

「じゃあ、()()明日、だよね・・・・・・?」

 

「!はいっ」

 

 

 

 

ひゃあぁぁぁ・・・・・・まさか秋磨さんからお礼を言われるなんて思いもしませんでしたわ。あんな笑顔と一緒に言われたら・・・・・・わたくし、もうっ、もうっ!

 

「恥ずかしそうに笑う秋磨さん・・・・・・破壊力がすごいですわ」

 

セシリアは、千冬が巡回している時に注意されるまでその場で惚けていたのだった。

 

「おい、オルコット。何をしている、部屋にもどれ」

 

「は、はいぃ!」




何かおかしなところ、ダメなところがあれば指摘してもらっても宜しいでしょうか。ネガティブ思考全開で返答いたしますので書いてもいいですよ、という方は作品の質の向上のためにお願いしてもよろしいでしょうか。
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