舞姫 作:匿名コメは手加減って悪口言われるの前提?
プロローグ
プロローグ
今日は私達の15回目の誕生日
そのお祝いに合わせて仕立てられたドレスは、私が歌の国で行われる歌の女神を祀る歌の祭典で着る衣装…
舞姫である妹の命は、精霊への奉納の踊りを踊る為の衣装を新調してもらった
私達が生まれ育ったこの里は、古より舞いの女神を祀る司祭とその一族が世俗から離れて住んでいる隠れ里
私達は祭司長のお父様と、舞姫咲夜媛と呼ばれた美しいお母様の間に生まれた双子の姉妹
と、言っても私達に初めて会った人が双子の姉妹とは理解して貰えないほどに違ってきた
歌と踊る事、そして食べる事にお洒落が大好きな私は育ち盛りと言う事もあって既にお母様の背を追い越している
でも、偏食家で量もホンの少ししか食べない命は背も延びず顔色も余り良くない
でも…不思議なんだけどスタミナは私よりずっとあって同じように踊りの練習していても息ひとつ乱れたことがない
命の踊りの才能は舞姫と謳われたお母様すら既に凌駕して女神の寵児とも呼ばれていた
お母様が習得出来なかった火の精霊の舞いを覚えたのは8歳の時で舞の女神の依り代となりそれにより名実共に舞姫の称号は名実と命のモノになった
そんな命と一緒に踊りを続けるのは凡人に過ぎない私には余りにも辛すぎた…
踊りへの情熱を失った私は踊りの稽古は続ける約束で歌を習い始めたのはそう…
7歳の誕生日を迎える前に命が地の精霊への踊りをマスターしてしまった日の翌日からだった
勿論、私も稀代舞姫と謳われたお母様の血を引いてるのだから踊るのは大好きだし才能だって全く無い訳じゃないけど命が凄すぎるのだ
でも、そのお蔭で最初は歌を習う事を反対していたお父様とお母様もさすがに駄目とは言えなくなった
でも…それは皮肉な結果を生んだ
女神の寵児と言われる命と競い合わなくてはならないプレッシャーから解放された私は伸び伸び踊れるようになり…
里の人に私を舞媛と名付けて貰える程にまで踊りの才能を伸ばすことに繋がった
そして歌の方も今年の歌の国の女神の祭典に出場を許され私が里の外に自由に出る事が許された事を意味する
当然命もそれを喜んでくれるものと思っていた
でも… ナゼかみこは祭典に出る事を許されたその翌日からは私を避ける様になり朝早くから出掛け夜遅くまで帰らなくなった
外に出る事を許された事に浮かれていた私は気付かなかったけど二人だけの秘密の隠れ家で泣いてた
そして私の目を盗むように帰ってはお母様の部屋で息を殺して私が寝付くのを待って部屋に戻っていた
その事にやっと気が付いたのは夕べの事
一瞬開いたお母様の部屋の扉の奥にみこの姿が有る事に気付いたのだ
お母様の部屋に入ろうとした私を止め目を伏せたまま
「 そっとしておいてあげなさい 」
と、言われけどそんなの納得出来るわけ無い私は
「 みこを泣かせたのはる一体誰なんですか?お母さま 」
私がそう聞いたら
「 …それを貴女が知ったところでどうすることも出来ません… 」
哀しそうに目を伏せてそう言うお母さまに
「 そんな事聞いてみなければ解りませんよ? 」
私のその言葉に溜め息を吐き
「 真琴は… 貴女に置いていかれる命の気持ちは考えた事ありますか? 」
そう言われて私は
「 どう言う… 事? 私はみこも喜んでくれてると思ってたのに… 」
予想していたのであろうその私の言葉に
「 勿論命は貴女が祭典に出る許可が降りたことを喜んでます… そう、他の誰よりも我が事のように喜んでます
でも… 里を出る事など命に出来ると思いますか?
貴女の旅立ちは貴女との別れを意味するとは思わなかったのですか? 」
「 じ、じゃあみこがそう言ってくれれば私だって諦めるのに… 」
「 そう、貴女は妹想いの優しいお姉ちゃんですからね
でも… そんな貴女だからこそ命は貴女には泣き顔を見せられなかったのです 」
その言葉にショックを受けた私は
「 じゃあみこは私の為に? 」
そう呟く私に
「 自分の我が儘で貴女に夢を諦めさせない為… 」
そう言われて
「 みこも一緒に行けば良いのに? 」
そう呟く私にお母さまが
「 本気でそんな事言ってますか? 確かにその考えは間違ってません…
ですが… 人見知りが激しく男性恐怖症のあの娘が…
お父様の庇護無しで外の世界で生きていけると思ますか? …」
そう言うと溜め息を吐くお母さま
「…」
そのお母さまの言葉に返す言葉はもちろんない私
「 命にはまだこの里を出るのは早すぎます
それを本人も自覚しているから尚更辛いのです」
「お父様はなんと?」
「父親としてではなく祭司長として貴女達は里を出て果たさなければならない使命が有ると…」
「使命?じゃあ祭典に出てる場合なんかじゃあ…」
お母さまの言葉に驚く私に
「その祭典に出る事は貴女の使命のひとつらしいですから行かねばなりません…
ですから正直に言えば出ても良いのではなく出なければならないのですよ?」
そう言われて
「だからなんだ…拍子抜けする位にあっさり認めて頂けたのは…」
私の呟きに
「そうですよ…1人の父親としては断固反対だけど祭司長と言う立場上送り出さねばならぬあの人は…
行かねばならぬからと言って命を放り出す事が出来ませんし…「お母様にも迷いが有る…?」」
「当然です、命の様に偏った娘を外の世界に受け入れてくれる人が居るか解りませんからね…」
そう言って溜め息を吐いたお母さまだけどそんな事を話していたのは夕べの話
命は精一杯の笑顔(のつもり)で私に旅装のマントを渡してくれた
お父様は護身用のナイフと路銀を渡してくれたしお母様は携帯食を用意してくれた
私達は4人揃っての最後の食事を静かに食べた…
お互いに言いたい事は山程有ったと思う…
特に命には色々有った筈だろうに最後まで私とは目を合わせてはくれなかった
翌朝お母様は私に命の荷物だと言ってリュックを渡してくれた
色々悩んだ末の決断なのだろう…
お父様も私に目を合わそうとしない路銀だけを握らせた
別れの時命は私の手を握り離し難そうに握り締めていたがやっと離しさようならと言おうとした瞬間…
お父様の手刀が命の首筋に入り意識を失った命の身体を渡され
「連れて行きなさい」
とだけ言われた…
私達の司祭の里は二つの国の狭間にありそのどちらにも属さないけどそのどちらの国の王族と縁が深い
北に在る月影の国の女王様と南東に位置する歌の国の王妃様はお母様の従姉に当たる方達で…
月影の国には命が招かれて踊りを奉納した時に拝謁の機会があった
歌の国の大公領に入る関所が見えてきた
命が目覚める気配は未だ無い
関所の門番に向かって
「私の名は真琴、妹の命を背負ってます
私達は歌の国の東の大公様にお願いしたい事が有って入国を希望します」
そう告げると門番は胡散臭さげに私と私に背負われた命を見て
「何故妹は歩かない?入国理由を明らかにせよ」
そう聞いてくる門番にイラっと来た私は
「私達の顔も知らないような木っ端役人に話さなきゃいけない理由はない
責任者を出しなさい責任者をっ!」
私が大声を出して騒ぎだすと別の門番が奥に引っ込み隊長らしき人を連れてきた
その隊長らしき人が私達の顔を見て門番の頭を叩いて
「お前は馬鹿か?このお嬢様方は舞姫咲夜媛のお嬢様方ではないかっ!
まさかそれを承知のご無礼ではないだろうな!?」
そう門番を叱る隊長らしき人に私は
「解って頂ければ構いません、入国をお許し下さりますね?」
そう尋ねる私に
「お通り下さい、良い滞在になりますように」
そう言われて
「有難うございます…ですが、私は今年の女神の祭典に出るために本国にわたりますからこちらではあまりゆっくりはできません」
そう答え大公様にお会いすべく先を急いだ
感想もらえたら…贅沢な望みでしょうね?