舞姫   作:匿名コメは手加減って悪口言われるの前提?

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囚われの精霊との出会いが双子を運命に導き二人との出会いが人々を運命に巻き込んでいく…それを望むと望むまいとに関わらず…


火と水と女神

第一章水と火と女神

 

 

 ①  廃坑

 

 

 「 又、地下迷宮? 」

 

 ウンザリした… そんな気持ちを表情にを浮かべて呟く真琴に女剣士の石像だった者は

 

 「 いいえ、ここは迷宮と言うより廃坑の様ですね

流れの無い淀んだ空気からそう判断した元石像は

 

 「 取り敢えずこの坑道がどれ位続く全くのかわからない状態なのだから一度どこかで休憩を取りましょう」

 

 そう石像が提案すると

 

 「 そうだね、みこの様子はどう? 」

 

 そう心配そうに真琴が聞くと

 

 「呼 吸も脈拍も大分落ち着いて来たようで一安心と言ったところです 」

 

 真琴に安心させようとそう答えると

 

 「 そう、じゃあ比較的見通しの良いこの辺りで休憩を取ろう…… さすがの僕もお腹空いてきたよ 」

 

 「 その剣を背負ったままでは座り難いでしょうから外したらどうですか? 」

 

 「 ああ、あまりにもの軽さに背負っていた事を忘れてた」

 

 そう言って苦笑いしながらあたまを椅子状の岩に真琴が腰を下ろしその隣に女剣士は胡座をかいてその足の上に命を寝かせた

ついでリュックからなめし革の袋と水筒を取り出し真琴に手渡し

「真琴、神剣を見せてください」

「?、良いよ」

背負った手を剣にやるとその剣から伝わってくるはずの力神通力が全く感じられず訝しげに抜き放ち驚いた

「えっ…、何これ…一体何が……?」

(命様の言ってたのはこの事なのですね)

「ごめんなさい、真琴…これを命様から

預かっています」

「これはみこの勾玉?」

そう問い掛ける真琴に

「この勾玉を剣の柄に埋め込みなさい」

そう言われて受け取った勾玉を通りに柄に押し当てると勾玉は柄に入り込んでゆき元々そう言うデザインであったかのように収まった

―剣を正眼に構えこう叫ぶのです、"目覚めよ黒炎竜!!"と―

「命の声が…」

そう呟き言われた通りに真琴が叫ぶと勾玉から黒い炎が吹き出し黒炎となって刀身を覆った

―その状態の剣を鞘に納める事が出来たら剣は貴女を正当な主と認め貴方に従います…さあ、剣を鞘に納めなさい―

「わかった…やってみる」

腕に魔力を集中し抗う剣を鞘に納めると再び剣は落ち着きを取り戻した

「魔剣黒炎竜…レム…あ、勝手で済まないけどいつまでも名無しのままでは不都合だからそう呼ばせてもらうけど構わない?」

容姿が変わったからと言って直ぐに何かが変わる訳でもなく相変わらずの無表情で

「命様に差し支えなければ私はどのように呼ばれても問題ない」

と答え

「その命様と呼ぶのも何故?そもそも何故姿が変わったのさ?」

一目見た時からの疑問を口にした

命との主従契約、外での行動に差し支えの無い姿に変えられた事をかいつまんで説明されると苦い顔をしながら考え込んだ…

 

真琴の食事が終わり再び出口を求めて歩き出したレムと真琴の二人に

「血の匂いがする…それもかなり大量の血のね…」

一瞬二人はお互いに顔を見合わせたが相手が言ったのでは無いと知り困惑していると

「私の言った言葉の意味が理解出来ないのですか?」命は苛立ちを隠すことなく二人に怒鳴り付けた

「僕にはそんな匂い全然しない「当たり前です、私の嗅覚は野生動物並みなのですから貴女達がわからなくて当然ですがどうやらこの洞窟内ではなく外から匂って来てるようですね…」

そう言われて更に歩き続けていると

「血の匂い端じゃ無く肉の焼け焦げる匂いが…」

苦痛に歪む命の表情を見かねた真琴が

「命をお願い、先に行って外の様子を探って来るっ!」

そう言って真琴は出口に向かい駆け出していった

 

 

 

 

 

②出会い

 

様子を見に行ったはずの真琴は様子見だけで終わらず足元に横たわる少女を庇いながら4~5人の敵と闘っていた

敵はあまり生気の感じられない盗賊らしくその風貌からは想像出来ないほど機敏な動きで真琴を圧倒的に翻弄していた

が、やはりゾンビなのだろうか?

女剣士と命の出現には全く気付かず気付く前に女剣士に斬り倒されていた

「僕の治癒呪文ではもう間に合わない

命の勾玉をこの子と抱えている仔猫にあげて欲しいっ!」

命はその希望のままに少女の前に座らせてもらい黒い勾玉の小さいのをひとつずつ少女と仔猫に埋め込んだ

少女と仔猫はレムの時と同様に黒い煙に包まれた

真琴に二人の護衛と治療を任せて命は女剣士に村の中心らしい方向に歩くように指示した

動くモノの気配はするがやはり生きる物の気配がない

…否、居た…大勢の敵に囲まれていた

大して強く無いとはいえ倒しても倒しても何度も起き上がり向かって来る敵にいい加減ウンザリって表情を浮かべる謎の戦士に

「上に跳んでっ!」

頭の中に響いたその声に何の疑問も持たず跳躍

間髪を入れず命が放った黒炎竜がそこに居た敵を総舐めにする

命とレムに気付き屈託の無い笑みを浮かべ二人に近付き命に手を差し出して

「面倒臭い奴等を始末してくれて助かったぜ、アンタ等も水の精霊を救出に来たのか?」

「水の精霊?別に…私逹はたまたま通り掛がっただけで精霊が居るなんて知らなかった

ただ、闇の者が嫌いだから余計なお世話と知りながら貴女の闘いに介入した」

「いやぁ~、ちっとも恐かねえが面倒臭ぇ~し鬱陶しい奴等だと思ってたからな、感謝してるぜ!」

眉を潜めた命が

「その水の精霊の気配が薄れている」

そう言い命が指差す方に駆け出す二人の女戦士

水の精霊が封印されているらしき物を祭壇に捧げて封じようとをする者を一重二重に守る者たちは明らかにゾンビの群れだった

個々の戦闘力は低いが恐怖も痛みも感じ無い厄介そうな敵を前に

「あの程度のモノ逹なら何ら問題ない…私を水の精霊の元に投げなさい、封印儀式が終わってしまうその前にっ!」

自らは何の策も思い浮かばないその戦士は命の命ずるままに命の身体を思い切り投げ飛ばした

命の接近に気付いて封印儀式を行っていた首領格が一時封印儀式を中断し剣を抜き身構えたところに手を伸ばした命が飛び込んだ

命の右手が封じられた水の精霊を掴み敵の剣が命の身体を貫き…

唇から血が流れフッと微笑み精霊を体内に取り込むと

―爆炎竜っ!―

と叫んだ

至近距離でこの呪文を受けた者逹は瞬にして蒸発したがその凶悪な爆炎は術者で命自身無傷で済むはずもなく全身に大火傷を負いピクリともしない

「み、命…様?」

そう声を掛けたが意識の無い命からのいらえは無く

「済まないがあの方を頼む…私はあの方の姉を案内してくるからその間見守っていて欲しい…」

相手の返事も待たず真琴の元に駆け出したレム

 

暫くして余り要領を得ないレムの説明を受けて駆け付けた真琴が見た命の姿は最悪だった…

全身に酷い火傷を受けていたのは勿論おそらく心臓貫いているようにすら見える剣の突き立った姿を見て冷静さを失った真琴は命の側で仁王立ちの女戦士に構わず命の身体に触れようとしたら

「触るなっ!今、水の精霊がこの子を体内から治療中だから水の精霊の許可が出るまで剣もこのままにしておくように言われてる」

そう強い口調で言いながらも本人も納得してない表情に何も言えずただ見守るしか出来なかった

真琴にとり悠久の時とも言えたが実際には四半時位の時間が経過する頃命の身体から蒼い煙が立ち上ぼり女性の姿になった

―一応の処置を施しましたが…貴女が真琴ですね?治癒魔法を施しながら剣を慎重に抜きなさい、くれぐれも慎重に…―

そう告げられその通りに命の身体に生えていた異物を取り除いた真琴に

―私に出来たのは傷の応急措置のみ…ですがこの生きる事に否定的な娘の霊を呼び戻すには至りませんでした…

無論出来うる範囲で手助は致しましょうが…解りますね?今、私が貴女に言えるのは頑張りなさいっ!だけです

私はこれよりこの娘を私の巫女とし…私を取り込んでしまったのだから拒否権は認めません…―

「水の精霊の貴女の言葉を遮るご無礼をお許し下さい…」

更に真琴が言葉を継ぎ

「僕と命は黒き魔力を持つ者で精霊の巫女になる資格は無いはず?」

その二人に微笑みかけ

―それこそが大いなる勘違いの元でこの娘の魂は魔女の…黒き魔女の魂ではあるけれど闇に落ちてはいません

貴女逹に勘違いさせたのは娘の中に眠る黒き魔女の魂を手に入れようとまとわりつく闇の者のせい

この先この娘が闇に堕ちるか否かは側にいる貴方逹次第…

無論水の精霊の巫女を導きはしますが最終的には巫女を囲む者逹次第…期待してますよ―

「なぁ、水の精霊よ…アタイはず水の精霊の巫女がアタイを導くのだから先ずはアンタを救出するよう言われたんだが…この娘につい行けば良いんだな?」

女戦士の問い掛けに

―それは私が決めることでは無いけど…少なくともこの娘について行くのは苦難の連続でしかありません

それだけの覚悟が無いので有ればここで袂を分かつことお勧めします―

「ふんっ…苦難ね…運命から逃げて後悔するよかましだろう?」

と不適な笑みを浮かべて見せ

「僕は嫌だ…命が諦めずに生きてくれるのなら…逆に命の手を引いて命の前を歩きたい…命の行きたい方に…」

と逆の意味でついて行く事を拒否する真琴に

「私は命様を主と受け入れたのだからついて行くのみです…」

三人がそれぞれの言葉で運命を受け入れたの聞き

―取り敢えずこれを貴女方に託しましょう―

そう言って蒼く染まった勾玉をいくつか真琴に手渡し

―これらが貴女方の力になるはず…巫女の事を宜しく頼みましたよ―

そう言って水の精霊は命の心の奥深くに潜っていった

「今更だけどお互いに自己紹介した方が良いみたいだね…

僕は真琴でこっちは双子の妹の命に命の従者のレム…貴女は?」

問われた女戦士は

「アタイは賞金稼ぎを生業にしている鬼百合ってモンだ、鬼百合と呼んでくればいい

アタイは月影の国経由でこの島に来たが北の方からここに来たが途中に在った集落は何処もここと同じ様な有り様で少なくとも命や…アタイが見た限りじゃその二人の少女逹を休ませられそうな場所は見当たらなかった…」

そう言われた真琴は

「じゃあ南に向かえと?」

鬼百合の進言に真琴が即座に答えると

「多分な…この島は中央の山岳地帯を挟んで二つの国が分割領有しているから山を越えれば或いは…

だが間も無く日が暮れるんだから今夜だけはこのままここで過ごした方が良いだろうな…」

その言葉に暫し考え込んだ後に

「迷宮で生まれ育った僕達がこんなことをゆーのも何だけど…貴女は普通の人間では無いはず?」

ちらっとだけ真琴見た鬼百合に

「貴女が本気で命の力になってくれるのなら貴女の隠してる腕が欲しい」

今度は意味ありげに笑いなから

「ほおっ、アタイの腕をどうする気なんだい?」

鬼百合が聞くと

 

「貴女の腕を触媒にすればきっと凄い戦士が召喚出来るから…外しても差し支え無いんでしょ?」

更ににやにや笑いながら

「そんな禁呪に近い事をしていもお前は平気なのか?」

そう聞かれて

「全く問題ない、それが許されないのなら石像に人の姿を与え仮初めの命を吹き込んだみこもまた許される筈はないのだからね…」

そう聞いて破顔一笑の鬼百合は

「なら問題ねーなっ!命は精霊の巫女に選ばれたんだからな

そーゆー事なら喜んでアタイの腕を差し出そう」

そう言うと鬼百合の脇腹から四本の腕を生え抜け落ちた

「んで、その召喚とやらはどうやるんだい?」

と聞かれて

 

 「 見てれば解るよ 」

 

 と、そう言って自分のリュックの中から黒い勾玉と白い勾玉を2個ずつ取り出すと先ずはそれぞれの右腕に黒い勾玉、左腕に白い勾玉を埋め込んだ

 

 「これで終わりで直に終わるから今後のことはその四人も含めて相談しよう」

 

 「なぁ、ひとつ聞きたいんだが… アタイ自身がその勾玉を受け入れたらどうなるんだ? 」

 

 と、考え込みなから聞いてくる鬼百合に

 

 具体的にはちょっと… 魔導師にはなれないだろうけど魔力を帯びた武器をより使いこなせる様な魔戦士になれるんじゃないのかな?」

 

 同じく考え込み言葉を選びながら答えると

 

 「なら… 少なくとも強くなれるのは間違いないんだな? だったらアタイの分も勾玉をくれ

 

 あの程度の雑魚に手間取ってるようじゃ先が思いやられるからなっ!」

 

 陽気に言う鬼百合に頼もしさを感じながらこれで良いかな?と黒い勾玉をひとつ取り出すと

 

 「どうせならもう後5個貰って全部で6個欲しいぜ

 

 おそらく勾玉を受け入れりゃ腕の再生も早いだろうからな

 

 それにお前がさっき言ってた魔力を帯びた武器も欲しいからこの剣に埋め込む分もな

 

 後アタイ自身のは有ればもっとでかい奴を頼む」

腰に手を当て笑いながら言う鬼百合に

 

 「 申し訳無いけどこれよ大きいのは… 「…これ位ならどうですか? 」」

 

 そう言って差し出したのは真琴の勾玉の二倍はありそうな大きさの勾玉だった

 

 「 みこの勾玉… だね? 」

 

 「 勿論そうです… でなければ魔導師で無い私が持ってる筈有りません 」

そう言いながら鬼百合に手渡すと受け取った鬼百合嬉しそうに勾玉を握ると

「 そうか… お前… アタイに力を貸してくれるってんだな? 」

 

 そう勾玉に語り掛けた

 

 

 そうこうしているうちに煙りの中から四人の戦士が現れ出たのを見た鬼百合に

 

 「 んで… これからどうするんだ? 」

と聞かれて

「 え… いや… 僕達はこの辺りの事は何も知らないから… 」

 

 「 いや、それ以前の問題で名前がなきゃ話もし難いだろ?出来りゃお前逹が名前を付けてやって欲しいんだがな? 」

と、言う鬼百合の一言に

 

 「 私の名も真琴が付けたのだ、他の者逹もそれで良いのではないのでしょうか? 」

 

と、真琴に丸投げのレムに言われて溜め息吐きながら四人を見たがただ黙って頷くのみ

言い訳するのを諦め今度はじっくりと観察してみた

双子の様にそっくりな二人は拳闘士風の出で立ちに鏡あわせの如く左右対称だった

そんな二人に

「右肩に肩当ての有る貴女は阿、左肩に肩当ての有る貴女は吽で共に古の闘神から頂いたもの」

残る二人に目をやると蒼い目の四人中では一番小柄で細身の剣を腰にさした剣士に千浪、阿吽より頭ひとつ背の高い剣士には沙霧と名付けると頷く四人

「早速で済まないが阿吽は生存者の有無の確認と短いとは言え3日間の強行軍だ…子供逹に必要そうなものを調達して欲しい」

二人が頷き駆け出すのを見送り

「千浪と沙霧は食料の調達を頼む…真琴はその具合の悪そうな娘逹の治療でアタイとレムで警護するで良いな?」

戻って来た四人はそれぞれに投網を担ぎ魚をくくりつけた縄を何本も持った千浪

狩猟用の弓を背負い数羽の山鳥を腰に下げた沙霧

甘い香りのする木の実を袋一杯持って来た阿

吽は必要と思われる色々な雑貨類を持って戻ってきたのは日もどっぷり沈んでからだった

 

魚焼き立ての魚は熱いけれども柔らかくて良い香りがした

レムも初めての食事は楽しいものなのだと思った

「真琴は食後魔力の回復の意味からも少し休みな

アタイは勾玉取り込むから暫くはレムに従ってくれ

後の四人の名前も真琴に頼むしこいつも預ける」

と言ってレムに渡した

 

鬼百合が結界に隠る中二人の格闘家タイプの戦士が目覚め黒蓮と潮と呼ぶことにし盗賊の風体の二人は白浪と波頭と名付けることになり勾玉を刀身に埋め込んだ妖刀は鞘ごと地面に突き立っていた

 

翌朝結界から現れた鬼百合は深紅の胸当てに腰には蠍の尾を思わせる鞭を巻き付け左右の腰には太刀と脇差しと都合四本の刀を差し背には大太刀を背負った姿を一同に見せた

だがその鬼百合より少し遅れて結界から姿を表した命の変化は更に大きく黒い瞳と長い髪はコバルトブルーの髪とダークブルー瞳に変わり…

何よりも幼児体型とも言えた体型はスリムになり…

人形めいた八頭身の人間放れした姿に変わっていた

たがそれより一同を驚かせたのは目を閉じたままの命が喋り出したことだった…

だがそれがどういう事なのかは皆はすぐに気が付いた…今、自分達に話し掛けているのが水の精霊なのだと言うことに

「命の霊の本体は心の奥深くに隠ってしまい私の説得にも一切応じようとはしません」

ですがその残骸と言えるものが今人としての体裁を整え人格形成を始めてますから目覚めるのに今しばらくの猶予が必要です」

一同を見回し

「その目覚めの時の間巫女の事を宜しくお願いしますね…それと」

少し間を置き

「この地の何処かに封印されし我が同胞の精霊と泉の女神を解放して欲しいのですが頼めますか?」

アクエリアスの言葉に驚いた鬼百合が

「あんたの同胞って地の精霊、火の精霊、風の精霊…あんたを含めた四大精霊の内の三人と泉の女神が封印されてる!?」

思わず絶叫する鬼百合と眼を見開き絶句する真琴に

―私が完全に封印されていれば世界のバランスは完全に崩れ崩壊の一途を辿っていたでしょう…―

その水の精霊の言葉に

「それがこの世界各地に次々に起こっている異変の元凶だったのか?…」

虚ろな表情で鬼百合が呟いた

「わかりました…正式には命の意識の戻り次第だけど…精霊の巫女たる命がそれを引き受けると信じ僕もその手助けをすると約束します」

と、答えたのを満足そうに聞いた水の精霊は

「ありがとう、私も全力で巫女を導きましょう…ではくれぐれも巫女の事を宜しくお願いします」

そう言うと水の精霊は命の霊の奥底に沈んでいったが意地悪く自分を睨む鬼百合に

「そいつは僕もじゃなく僕達もっ!じゃねえのか?真琴よっ♪」

ニヤリとニヒルな笑みを浮かべる鬼百合に言われ

「そうだね…ごめんなさい…」

と素直に詫び一同を笑わせた

 

朝食を取り終えた鬼百合が改めて四本の腕を真琴に差し出し

「こいつらを武器に変えてくれ」

真琴にそう言うと

各々ぞれに勾玉を埋め込み現れた四本の剣逹を錬成し

「勾玉を埋め込んだ大太刀は鬼百合さんが…この長槍は沙霧さんでロングソードはレムに一対の短剣は千浪さんで剣鉈は黒蓮と潮さんで良いかな?」

そう言って振り分けると今度は千浪が隠し持つ蒼い刀身の小刀を差し出し

「これは使い勝手の良い物だから武器として使うのは勿論色々役に立つから持っていると良い

私は木の実の皮を剥いたりしているからな」

「この二人は着替えさせますが真琴はどうしますか?

それと命様に合うサイズは有りませんでしたからタオルを巻き付け上に旅装のマントを羽織らせましょう」

それがレムの思い付いた唯一の台詞だった

「僕はこの袖の無いシャツとパンツそれに旅装用のマントを貰って良いのかな?」

とその三点に着替えると鬼百合が

「シンプルで動き易い格好だな」

と半ばからかう様な口調で言ってから

「守りたい者が居るお前は今でも十分強いがもっと強くなれる…頑張んなっ!」

真琴に初めて見せる真剣な顔で真琴を励ました

二人の拳闘士のうち阿が命を抱き吽が真琴を肩に乗せ…

格闘家の闘華と舞が少女を抱いて行くことになった

先頭は鬼百合、殿はレムで剣士達は荷物を運ぶ事になりその他に真琴には袖無しの白いシャツと短パンに白い旅装のマント

同じく白いシンプルなミニのワンピースが渡され他に水を補充した水筒を渡され寝てる間に増えた勾玉と共に鞄にしまった

レムが命を抱え黒蓮と潮が二人の少女逹を抱え

阿吽は各々に村から調達してきた荷物を沙霧と千浪、白浪に波頭は各々に食料を纏めて鬼百合は真琴を肩に乗せ移動する事になった

真琴自身は本音で言ってしまえば

「レム逹に遅れをとらない自信はあるんだから自分の足で移動したいしそうさせてよっ!」

そう言いたかったけど

「険しい山道を駆けながらでは魔力の回復はままならない筈では?」

そうレムに痛いとこを突かれ渋々吽の肩に乗っていく事を受け入れたのだ

しかし自分の考えがいかに甘いかを知る事になるのに大した時間は必要なかった

三人の容態が度々悪くなり休憩時間の度に治癒魔法を施さねばならない真琴は立つことさえ儘ならない状態だったのだから

それでもなんとか7日目の日没間もない頃には何とか国境の関所に辿り着きレムが関所の大門の脇に有る潜り戸を叩き

「既に今日の入国を許可する時間が過ぎているのは承知の上で頼む

連れの子供逹の具合が悪い、叶うなら医者に診せたいがせめて少しで良いからゆっくり休ませたいから入国の許可をして欲しい

重体の娘もいるから無理な相談だと思うがどうか通して欲しいっ!」

そのレムの切羽詰まった悲痛な叫びに気づいた当番の兵門番が覗き窓から様子を伺うと確かに具合が悪そうな三人と憔悴しきった一人の合わせて四人の少女を連れた戦士逹がいた

その上その中の一人は確かに素人目にもかなり具合が悪そうな娘が居るのに気付いた門番兵は

「わかった、焦ってるだろうが上官の判断を仰がぬ訳にはいかぬゆえそこに有る入国審査の順番待ち用の休憩小屋で休んでいよ」

そう言ってレムの応対していた兵士が振り向いて

「そう言う訳だからお前は報告頼む」

そう相方に言うと言われた方は大丈夫なのか?と言った視線で見たけど門番は頷くだけなので頷き返し報告に走った

それを見送ると再びレムを見て

その一番元気そうな娘は食欲有りそうだからこれを食わせてやれ…そう言って弁当を差し出して言うと

「構わないのか?」

 

 と、有り難いが門番兵の立場もあるだろうに…そう思いながら心配そうに聞くレムに

 

 「こーみえても人を見る目はあるつもりだし俺の弁当だ、例え司令官その人だろうと文句を言われる筋は無い」

 

 そう言って真琴に弁当を差し出してくれて受け取った当初は勿論遠慮勝ちに食べていた真琴だった

 

 けれども本人やレムが思ってた以上に魔力、体力を消耗していた身心は一度食べ始めると後は身体が次から次へと要求し続け食べ終えるとすぐに眠りに落ちてしまいその現状に気付けなかったレムを落ち込ませた

 

 その後暫く待っていると隊長らしき人物が現れ覗き窓から一行を見て戸を開けさせると

 

 「早く子供達を休ませてやりなさい」

 

 そう言っただけで自らが空いている部屋に案内しレムだけ別室に呼んだ

 

 「良いのか?子供達に…特に昏睡状態にある娘には無理させたくない我々にはとても有り難いが貴女にも立場があるはずでは…」

 

 そう問い掛けると

 

 「お前らだけなら門は開けなかったが…特にあの昏睡状態の娘を見て開けぬような鬼では無い

 

 取り敢えずひとつだけ質問に答えて欲しいがお前達は何が目的で我らの領地に来たのだ? 」

 

 真っ直ぐな目で聞かれたレムはやはり真っ正面で向き合い答えることにした

 

 「 我らの目的は、子供達にキチンとした治療を施してやりたいのがひとつ

 

 もうひとつは水の精霊の依頼で、この地に眠る3人の精霊と泉の女神の封印といて欲しいと言うものを果たすためです」

 

 真剣な表情でそう答えるレムの顔をまじまじと見る隊長

 

 「水の精霊に逢ったのか?」

 

 と、聞かれ別に隠す必要の無いレムは

 

 「 水の精霊の救出は赤い鎧を着た者が受けてきた依頼だからな

 

 あの四人の娘達は精霊を封印しようとしていた者に襲われていた村で出会った子等だ 」

 

 と、多少の嘘を混ぜ

 「 ならば養い親が見付かればその者達に託してみてはどうだ? 」

 

 反応を確かめるように聞いてきた問いにレムは

 

 「 本人達がそれを望むのならば… としか言いようがない垢の他人にすぎない私が勝手に決めて良いものでは無いと思うが…

 

 特にあの昏睡状態の娘は、我が主にして水の精霊の巫女なのですからこの国の偉い方に判断を仰ぐ必要があると思います」

 

 その衝撃の告白に

 

 「 水の精霊の巫女… それが事実なら確かに我等の判断でどうこうして良いレベルの話ではない 」

 

 そう話している部屋に、慌てて飛び込んできた鬼百合の腕には命が眠っていた

 

 「 意識のない命様を連れて貴女は一体何してるんのですかっ!? 」

 

 と、言って問い詰めるとしどろもどろになりながら

 

 

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