舞姫 作:匿名コメは手加減って悪口言われるの前提?
大公が訪問者達に対し形式通りに問い掛けると
「我等はむ賢公の誉れ高き大公閣下に偽りは申すはず有りません
我々はすでに一人の精霊の救出を果たし尚且つ仲間の一人がその巫女に選ばれました」
そう形式通りに答えると
「して、その精霊の名は?」
勿論大公自身は知っていても家臣に知らしめる為に更に問い掛ける大公に
「水の精霊アクエリアス…そのお方はそう名乗られました」
その答えを聞いたと言うより大公家の重鎮達に聞かせた大公は
「あいわかった…だが、これだけの話であれば私一人が決められる事ではないゆえ評議に掛けるのは勿論本国側…陛下にも報告すべき案件故に暫くの刻が必要だがその間そなた達はどうするのかね?」
と、そう大公に問われたレムは
「先日先のりしこちらでお世話になっている仲間の容態が良くならねば身動きはとれませんしこの二人の少女達は我々と違い戦士ではありませんのでこの先連れ歩くのはどうかと思いますから…
二人が落ち着くのを待って今後の身の振り方を考える時間と場所を与えてやりたい…宿屋か何かを世話していただける有り難いのですが」
レムのその言葉を意外に思った大公は
「我が城内に留まろうとは思わないのかな?」
そう問われたレムは
「所詮余所者に過ぎない我々はその様な身分を弁えない振る舞いは出来ないし閣下のお許しをいただいたら女神や精霊の捜索に奔走する我々に宿の必要は無いのですから」
そう答えると
「ならば東にある私個人の小屋を提供しよう
あれは私個人の所有する物だから遠慮は要らんし大抵の物は揃ってるから…
ミサ、客人達の案内と接待、以後の連絡役を任せる…
では客人達に旅の垢を落として貰い我等はこれより評議に移る」
そう言って退出を促されたレムは
「閣下のご厚情感謝いたします」
そう謝意の言葉をのべミサの案内で謁見の間を退出した
あてがわれた部屋で入浴を済ませ
二人の少女達はミサと呼ばれた侍女の用意してくれたシンプルなドレスを着てミサの手も借りて髪を整えている一行の元に真琴の魔力が近付くのに気付き覗き窓から様子を伺っていると真琴と侍女を従えた公女の姿が見えた
侍女がドアを叩き
「お客様にご相談があり参りましたがよろしいでしょうか?」
その声にレムが頷くのを見てドアを開ける吽
「どうぞお入りください、公女殿下」
と恭しく頭を下げると軽く頭を下げる観月をレムが席にエスコートしその後を真琴と侍女がついて歩いた
しかし観月はまるで珍しい物でも見るかの如くへあちこちを見て廻り実際に座ったのは真琴だけで侍女は真琴の後ろに控えていたけどレムがお茶の支度を始めたのを見てそれに代わって支度した
「観月様、お茶の支度が整いました」
侍女がそう声を掛けると真琴の隣に腰を下ろし真琴に話を促した
「初めまして、僕の名は真琴…君達とこうして話をするのは初めてだね?」
真琴が二人にそう声を掛けると
「私の名は翼でこの子はチサ
血は繋がって無いけど妹です」
不安げな表情で互いの手を握り合う二人を不躾な言い方をすれば品定めをする観月が納得して真琴と侍女に微笑みながら頷くと
「僕は寝込んでいるみこ…妹の事があるから観月様のお世話になるって決めたけど二人はどうしたい?
暫くしたらレム達は女神様や精霊様の捜索でここには殆ど居られないと思うのだけど…」
そう言われて泣き出しそうな表情で
「それでも私達にはもう帰るところも行く宛も無いし…頼る人なんかももう居ません…」
そう答えると
「なら僕達の部屋に来ない?部屋には未だ空いてるベットがあるのだから一緒に暮らそう
僕達も君達と同じでお互いを除けば身寄りはないけど二人が一緒に居たいって望んでくれるのなら戦士の皆や観月様、美月や公女宮の皆さんが僕達に手を差し延べてくれるからね」
そう言われた真琴が頷くとあらかじめ指示を受けていた阿が命の身体を抱き上げて浴室に入った命の身体を抱く阿と甲斐甲斐しく世話するミナ
そして三人を見守る人達の目の前でそれは起こった
蒼く輝く霊気が命の身体から溢れだしその身を包み込み人魚へと姿を変えたのだ
人魚になった命が目を閉じたまま「我が名はアクエリアス…司祭の血を受け継ぎし者達よ…」
と呼び掛けたのだ
勿論真琴と阿はそれがアクエリアスであるのは気付いたし他の者達もその容易ならざる事態である事には気付いていた
「生きる事を拒む命の魂は私の声に耳を貸すことなくより深き心の闇に引きこもってしまったことを詫びねばなりません…」
それがアクエリアスの第一声だった
「それはある程度覚悟していたから仕方有りません…だけどみこは自らの命を断とうとはしない、違いますか?アクエリアス様…」
その真琴の問い掛けに軽く頷き
「真琴、予想通りに命のこの世の未練は貴女です…許されるのならば貴女の側に居たい…貴女に甘えたい…そう願っています」
アクエリアスのその言葉に
「つまり僕がみこにどこにも逝かないで傍に居て、みこが大好きだから僕を独りにしないでってそう強く願えば生きていてくれる…かも知れないんですよね!?」
思わずそう叫ぶとアクエリアスも
「恐らくは…私にも断言は出来ませんが命が貴女を…貴女の赦しを…救いを求めているのは紛れもない事実なのですからね…」
アクエリアスが言葉を選びながらそう告げた
「解りました…僕が何をすれば良いのかまではわからなくてもみこが僕に躊躇わずに抱き付いてくれるようになれるように努力します
お姉ちゃんなんだからみこに躊躇わせてちゃ…遠慮させていちゃダメなんですよね?
なら僕はみこが精霊の巫女の務めを果たせるように力を貸したいし何より精霊の巫女の自覚はきっと生きる理由になるに違いないしその運命に押し潰されてしまうくらいならとっくに自らの命を断ってますよ
だから観月様、阿さんと他の皆さんも
僕に力を貸してください、みこが生きたいと思ってくれるように…
双子の僕ですら未だ見たことの無いみこの笑顔を見せてくれるように…」
苦笑いを浮かべる真琴に観月は
「そしてその笑顔を早く私達にも見せて…私達にも向けて貰いたいものです」
そう告げると
「解りました、私も自ら選んだ巫女の指導…水の精霊の務めを共に果たす努力を致しましょう」
そう言って気配を消すと元のあどけない寝顔に戻ったけどその口許は微かに笑っている事に一同は気付いた
命の目覚めにより態勢が変更される事になりミナは完全に命の専属となりユカは命達四人の服を製作の傍らミナの指導
ユキは三人の勉強を教えユミは礼儀作法と実務、ユウは三人にダンスの指導をする事になった
勿論その四人の穴を埋めるべく人事異動も発表され数名ほどスタッフ見習いに公女宮の侍女から選抜されたのだった
真琴の朝は早い…隣のベッドで眠る命の手を握り締めかしづく様にベッドに凭れ眠るミナにブランケットを掛け
(ミナさん…又夕べもここで夜を明かしたんだな…)
そう思い見詰めるミナの寝顔に疲労の色は隠せないけど充足感に満ちた寝顔だった
なかなか言葉を発しない命だったけどミナとユカの献身的なお世話を受けて最初に発した言葉はミナ、ついでユカ、まこちゃんで世話する二人を喜ばせた
眠る間すら惜しんで奉仕を続けだった甲斐が…しかし逆にチサ、翼の後になった観月のがっかり感は相当なものでユカやユウ、ユキ、ユミ等は苦笑いを堪えるのが大変な位だった
取り敢えず記憶の回復の目処が全く見えないことも有り
「歌を覚えるのが言葉の回復に役立つのでは?」
との医者の勧めに従う事にした観月の指示でユウ、ユカ、ユキ、ユミの四人が交代で教える事になり会話はともかく歌の歌詞は徐々に覚えていった
阿と吽の二人はその名が示す通りにある程度の距離を置いても意思の疎通が取れる
それ故今現在の事だか阿と鬼百合と沙霧以外の…吽、白浪、千浪、レムは嵐の部下達の案内で和泉の女神及び精霊の捜索に出ている
その吽と連絡が取れなくなった事を沙霧と話合っている所に真琴を肩に乗せた鬼百合を従えた観月が二人の前に表れ
「皆さんの救出に向かいましょう、勿論水の精霊の巫女も同行するはずですし私も同行せねばなりません」
そう言って鬼百合に向かって頷くと鬼百合も頷き返し
「まずはみこを迎えにいく」
そう告げて命の眠る部屋に向かう一同だけど観月の言葉通りにいつもなら夢の中に居るはずの時間であるにも関わらずベッドの上で座って待っていた
そして訪れた一行に向かって静かに頷くと阿に向かってその白い手を伸ばすと阿も黙って命の小さな身体を抱き上げその阿の向かって
「阿に聞きますが連絡が途絶えた場所は勿論解りますね?早速そこに案内しなさい」
穏やかに命ずる命に誰も異を唱えること無くその指示にしたがった
強いて言えば鬼百合が沙霧に頷き掛けると沙霧も黙って観月を抱き上げた事位だろう
三人の女戦士達は音もなく姿を消して残されたユカはミナに命達がいつ戻ってきても良いように支度させ自らは大公に報告すべくその元に向かった
異様な熱気を放つ洞窟の入り口の前に降り立つ三人の女戦士
降り立つと同時に下ろされた真琴と観月に向かって鬼百合は
「この熱気はさすがに厄介だがどうしたもんかな?」
全く考える気の無い鬼百合がそう呟くと阿に向かい
「洞窟の入り口正面に私を向けしっかり支えなさい」
異様な熱気を放つ洞窟の入り口の前に降り立つ三人の女戦士
降り立つと同時に下ろされた真琴と観月に向かって鬼百合は
「この熱気はさすがに厄介だがどうしたもんかな?」
全く考える気の無い鬼百合がそう呟くと阿に向かい
「洞窟の入り口正面に私を向けしっかり支えなさい」
そう告げ静かに目を閉じ気を高めると両手に水の精霊の霊気が集まり霊力が高まって行き…
―八青龍神っ!―
八つの頭を持つ青龍が命の両腕から現れ洞窟内向かった
それ程深くないらしいその奥に突き当たり邪気に満ちた熱気はその邪気が払われ次第にその温度を下げていった
やがてなんとか人が活動出来るところまで温度が下がると中から千浪に伴われた嵐の部下三人が中から出てきて命の前に膝まづくと
「精霊の巫女様、お迎えに上がりました」
そう言って恭しく頭を下げると鷹揚に頷く命の様子を微笑みを浮かべ見守る観月が
「巫女様をレム達の元に案内しなさい」
そう告げられ何故公女がここに?一瞬そう考えたものの鬼百合が公女の気紛れに付き合う筈もなく精霊の巫女が意味無く同行を許す筈もない
つまり自分達の預かり知らぬ理由があるのだろうからそれなら別に自分達がとやかく言うべき問題ではない…それが四人が出した結論だった
つまり自分達の預かり知らぬ理由があるのだろうからそれなら別に自分達がとやかく言うべき問題ではない…それが四人が出した結論だった
その一行にそれまで黙っていた命がいつの間にか手にしていたツインランサーを阿に向け
「この子達が貴女の力になってくれるでしょう、受け取って下さい」
そう告げられ見慣れないその武器に戸惑う阿に
「このツインランサーは分離式使い慣れるまでは分離すれば貴女にも扱いやすいはず」
そう告げると抱かれていた状態から阿の頭部に股がり肩車の体勢になり阿の手を自由にして手に取らせた
ツインランサーは命の言う通り分離したパーツの内側に腕を入れるとトンファーの様な握り手があったのを確認した阿が装備すると小さく頷くと
「さぁ参りましょう」
そう告げる命だった
千浪を先頭に洞窟内を進む一行
「さすがにあの呪文を受けて動ける闇の者は居ないみたいだな…」
溜め息混じりにそう呟く
鬼それが女神の依り代になる事だとは思わなかったが私達の娘に生まれてきてくれたことに感謝している」
そう大公が告げると二人の兄も
「勿論私達も泉美様と依り代たる貴女に誓いを捧げよう」
そう言って観月の肩に手を乗せる二人を見て重臣達は男泣きし侍女達は互いに抱き合い涙した百合にちらっと視線を向けるだけの一同に改めて
「阿よ、差し支え無ければお前さんが今まで持っていた武器…嵐の部下に与えてやっちゃどうだ?」
と言われ驚き
「勾玉の魔力宿りし物をか?」
驚いた阿がそう聞き返すと
「すぐに使いこなすのはさすがに無理だが…この探索隊に選ばれたのは伊達じゃない、そうだな?巫女よ…」
命にそう聞くと
「その通でさすが司祭の里に縁の深い歌の国大公領に住まいし者達ですね、そうでない者達に比べると魔力への適応力の高さを感じます」
そう穏やかに告げたから
「観月、お前に聞いていいのかわからんが渡しても構わねぇな?」
今度は観月にそう問い掛けると
「事態は既に私達にも関係ない話では有りませんし…如何に力不足とは言えいつ迄も守られてばかりでは男の沽券に関わりますね?
それならば渡される武具を受け取り使いこなせるよう鍛えなさい」
そう観月が告げると嵐も
「うむ、そう言う話しならば私からも頼む、是非とも渡してやってくれ…そしてお前達も巫女様の加護を得た武具を使いこなせるようになって巫女様や公女殿下をお守りできる騎士になれっ!」
そう言いながら頭を下げるのを見てようやく阿も頷いて嵐に拳鍔を渡し嵐もそれを部下に手渡すと鬼百合も
「それなら嵐よ、こいつら残り二人に渡してやんな」
そう言って腰に挿した二本の太刀を嵐に渡すとそれらを受け取って三人に手渡しそれを受け取った男達も決意を新たに改めて観月に忠誠を誓った
命と再会した吽が開口一番
「済まない、この熱気から身を守るためとは言え連絡が取れぬ状態に陥るなど不覚をとった…」
と詫びると
「貴女達が無事なら何の問題もありません
逆にこれだけのトラップを必要とする場所を発見したのだから苦にする必要もありません、ご苦労様」
表情を変えること無く吽に答える命
に対し吽は尚もしつこく
「で、ですが…と言い淀むと」
溜め息を吐き
「貴女がそこ迄気にするのであれば次に活かせば良いのです、戦いはまだ始まったばかりなのですから悔やむ暇が有るならそれを取り返す為の努力をなさい、解りましたね?」
命はそう言うとはっきりとこの話はここまでにしなさい…そう言う雰囲気を隠すこと無く表し
「それよりまだ発動してないトラップが在るようですから今度こそ油断無き様頼みますよ」
命の一言で一同に緊張の色が走り命を見ると
「敵の気配自体はもうありませんから水の精霊の封印が失敗に終った事に未だ気付かぬ敵は和泉の女神を解放しようとする者が現れるなど夢にも思ってないのでしょうね…八封陣…ですか…」
命の指差す方を見ると八つの小さな祠とその中央に在る少し大きめの祠が見えた
― 八青龍神っ!―
再び解き放った青龍達が祠を砕き結界を構成していた物達を浄化した
「レム…回収を任せます
公女殿下と真琴は私に続きなさい」
そう告げると二人がついて来るの確かめること無く祠に近付く命
「殿下は祠の前で膝ま付き祈りなさい、私はその左後方に立ちますから真琴は殿下の右後方に立ち殿下の右肩に左手を添えて祈るのです」
そう言って自らは観月の左肩に右手を添え祈り始めた
祠の前は静まり返りやがて淡い光が三人を包み洞窟内を埋め尽くしたその時祠は砕けちり最後の封印の鍵が姿を表した
火の精霊フレアその人だ
「私は水の精霊の巫女を仰せつかった者…フレア様、私の声は届いておりますか?」
それまで目を閉じていた火の精霊がゆっくりと目を開け
ー待ってましたよ、アクエリアスも息災の様で…
和泉様にもご迷惑をお掛けして面目次第もございません…ー
そう言って詫びるフレアに
「時が惜しいし和泉様にお目覚めいただくのが先だと思いますよ?フレア様…ご助力願えますね?」
そう言って振り返り観月と真琴を見て
「和泉様の開封を行いますが公女殿下…こちらに」
そう言って出掛けにミナが命に掛けてくれた肩掛けを足下に敷きそれに膝を着け祈らせると真琴が観月の右後ろに立ち左手を観月の右肩に添えさせ祈らせ…
自らは観月の左後方で宙に浮き右手を観月の左肩に添えて祈り始めるとフレアも三人に併せて祈り始めた
四者の祈りが高まり光が集まり始めやがて人の姿を取り始めるのを見守る鬼百合達の視線を気にする事なく観月に向かい
ー私を縛る戒めから解き放ってくれたアクエリアスの巫女とその従者達よ…感謝します…フレアも手間を掛けさせましたねー
「つまりアタイは火の杖を火の精霊の巫女に渡すまで預かっていれば良いってことなんだな?」
そう確認すると
「察しの良い貴女ならこの程度の事一々言わなくても良いと判断してますから」
と告げるのみで
「火炎剣と業火の盾は千浪が
焔の爪は吽が
灼熱の槍は沙霧が
左右炎剣真琴が各々に預かってください」
そう告げると
「じゃあアタイは真琴で阿は命に沙霧が観月を連れて嵐は吽に頼めるな?」
そう言われた三人が頷きその言葉通りに行動する一同
嵐だけは嫌な顔をしたのだけど皆にスルーされた
④火の精霊フレアは巫女を求めた
結局一同が大公邸に帰り着いたのは夜明け間近い頃で事態を知った重臣達が待ちわびる謁見の間に帰還報告をする事になった
愛娘の表情に違和感を覚え見詰める大公に
「司祭の里の血を受け継ぎし王国の王子よ…今そなたに語り掛けしは汝の娘に非ず…
我は和泉の女神…泉美です」
そう聞いた父大公は何も言わず方膝を付くと
「話を御続けください、我等の女神よ」
と応えると集まっていた重臣達も大公に倣い方膝を付き頭を垂れると泉美の次の言葉を待った
「賢明な卿等は我が公女観月を依り代に選び観月も我を受け入れた事は推測していよう…
その上で更に皆に協力してもらわねばならぬ事があるが頼めるか…」
そう問われ考え込む大公に
「閣下、泉美様は我が大公領の守り神」
「依り代に選ばれし観月様は貴殿方の愛娘ですが我等にとっても愛する公女殿下様…」
そう大公領の文と武の要の二人が言えば二人の次官も
「我等を女神様とその依り代様と共に歩ませてください…」
声を揃え進言され二人の息子を見やると穏やかな笑みを浮かべ頷くのを見て
「我等に進むべき道をお示し下さい」
そう言って頭を垂れる大公に
「その言葉感謝します
まずアクエリアスから聞き及んでいる通りにこの地に封印された精霊達の解放を頼みたい
そして…司祭の里無き今、舞の女神の降臨の儀式にに必要不可欠な歌の女神の解放をお願いしたいのです…」
そう告げられた大公は
「歌の女神様が封ぜられているのはやはり…」
言葉を選びなから問い掛ける大公に泉美は辛そうに
「歌の女神のハーモニーより先に封印された私には歌の国だろうとしか言えません…だが…かの地より連れ去られたのであればその痕跡まで隠すのは無理な話ゆえに次の女神の祭典に照準を合わせ…」
そう言って真琴に視線を合わせ
「貴女は出場者となり封印解除の一翼を担いなさい、よろしいですね」
それは真琴に対する要請ではなく事実上の命令ではあったけどアクエリアスの霊気を放つ命が泉美の隣に立ち頷いて真琴に反論する事を許さなかった
「委細承知いたしました、我等にお任せ下さい」
そう応えると恭しく頭を垂れる大公とその家臣達の様子を見ながら満足そうに頷いて
「以後は依り代に任せますから皆の助力に期待します」
そう告げるとその気配を消した為力なく崩れ落ちそうになる娘の身体を慌てて抱き止める大公は
「公私混同の謗りを受けようともお前を守るつもりだ…愛しい娘よ
お前がいつか私の元を巣立つのはわかっていた…嫁に行く等とは異なる何かだともわかっていた
それが女神の依り代になる事だとは思わなかったが私達の娘に生まれてきてくれたことに感謝している」
そう大公が告げると二人の兄も
「勿論私達も泉美様と依り代たる貴女に誓いを捧げよう」
「依り代として…そして妹として
お前が依り代として振る舞うのなら我等はお前を守る盾として大公家の務めを果たすのみだからな」
そう言って観月の肩に手を乗せる二人を見て重臣達は男泣きし侍女達は互いに抱き合い涙した
そんな人達の中一人状況についていけないチサは
(感動的な場面なのは解るけど何故私が…翼ちゃんは呼ばれず私だけなの?)
そう考えるとどうしても他の人の様には感動の波に乗れないチサに
―確かに依り代の従者を使者に立てましたが…私の呼び声に気付いていたのでしょ?―
いつの間にか火の杖から抜け出した火の精霊フレアがチサの前に現れていた
火の杖で休むことによりある程度の霊力を回復していたフレアの姿は霊力を持たぬ者にも見えており
④火の精霊フレアは巫女を求めた
結局一同が大公邸に帰り着いたのは夜明け間近い頃で事態を知った重臣達が待ちわびる謁見の間に帰還報告をする事になった
愛娘の表情に違和感を覚え見詰める大公に
「司祭の里の血を受け継ぎし王国の王子よ…今そなたに語り掛けしは汝の娘に非ず…
我は和泉の女神…泉美です」
そう聞いた父大公は何も言わず方膝を付くと
「話を御続けください、我等の女神よ」
と応えると集まっていた重臣達も大公に倣い方膝を付き頭を垂れると泉美の次の言葉を待った
「賢明な卿等は我が公女観月を依り代に選び観月も我を受け入れた事は推測していよう…
その上で更に皆に協力してもらわねばならぬ事があるが頼めるか…」
そう問われ考え込む大公に
「閣下、泉美様は我が大公領の守り神」
「依り代に選ばれし観月様は貴殿方の愛娘ですが我等にとっても愛する公女殿下様…」
そう大公領の文と武の要の二人が言えば二人の次官も
「我等を女神様とその依り代様と共に歩ませてください…」
声を揃え進言され二人の息子を見やると穏やかな笑みを浮かべ頷くのを見て
「我等に進むべき道をお示し下さい」
そう言って頭を垂れる大公に
「その言葉感謝します
まずアクエリアスから聞き及んでいる通りにこの地に封印された精霊達の解放を頼みたい
そして…司祭の里無き今、舞の女神の降臨の儀式にに必要不可欠な歌の女神の解放をお願いしたいのです…」
そう告げられた大公は
「歌の女神様が封ぜられているのはやはり…」
言葉を選びなから問い掛ける大公に泉美は辛そうに
「歌の女神のハーモニーより先に封印された私には歌の国だろうとしか言えません…だが…かの地より連れ去られたのであればその痕跡まで隠すのは無理な話ゆえに次の女神の祭典に照準を合わせ…」
そう言って真琴に視線を合わせ
「貴女は出場者となり封印解除の一翼を担いなさい、よろしいですね」
それは真琴に対する要請ではなく事実上の命令ではあったけどアクエリアスの霊気を放つ命が泉美の隣に立ち頷いて真琴に反論する事を許さなかった
「委細承知いたしました、我等にお任せ下さい」
そう応えると恭しく頭を垂れる大公とその家臣達の様子を見ながら満足そうに頷いて
「以後は依り代に任せますから皆の助力に期待します」
そう告げるとその気配を消した為力なく崩れ落ちそうになる娘の身体を慌てて抱き止める大公は
「公私混同の謗りを受けようともお前を守るつもりだ…愛しい娘よ
お前がいつか私の元を巣立つのはわかっていた…嫁に行く等とは異なる何かだともわかっていた
それが女神の依り代になる事だとは思わなかったが私達の娘に生まれてきてくれたことに感謝している」
そう大公が告げると二人の兄も
「勿論私達も泉美様と依り代たる貴女に誓いを捧げよう」
「依り代として…そして妹として
お前が依り代として振る舞うのなら我等はお前を守る盾として大公家の務めを果たすのみだからな」