舞姫 作:匿名コメは手加減って悪口言われるの前提?
そう言って観月の肩に手を乗せる二人を見て重臣達は男泣きし侍女達は互いに抱き合い涙したそんな感動的な場面に立ち会いながら
「ナゼ私だけがここに?」
姿を探したけど呼ばれていない翼を思いながらそう考えるとどうしても他の人の様には感動の波に乗れないチサに
ー確かに依り代の従者を使者に立てましたが…私の呼び声には貴女自身も気付いていたのでしょ?ー
そう考えるとどうしても他の人の様には感動の波に乗れないチサに
ー確かに依り代の従者を使者に立てましたが…私の呼び声には貴女自身も気付いていたのでしょ?ー
いつの間にか火の杖から抜け出した火の精霊フレアがチサの前に現れていた
火の杖である程度の霊力を回復していたフレアの姿は霊力を持たぬ者にも見えており
―私は火の精霊のフレア…
私が何故貴女の前に現れたか分かりますか?―
勿論チサには全く見当が付かず怯える表情で首を横に振るだけで精一杯だったけどアクエリアスとの邂逅
観月が女神の依り代に選ばれた瞬間のそのどちらにも立ち合っているレムと鬼百合にはピンときていた
―私の願い…それは貴女に私の巫女になってもらいご迷惑をお掛けした泉美様…
陳びに助けてもらったアクエリアスとその巫女と従者達の力になりたいのですがその手伝いを頼めますね―
そう告げられると
「それをお引き受けしたら私は命ちゃんや真琴の力になれるんですね?
翼ちゃんやご恩ある観月様…大公様やお兄様達
その他大公家の皆様をお守りできる様になれるんですね?なら私を導いて下さい、フレア様
街の人達が私達の様に泣かなくても良い様街の人達の幸せを守る力を…大切な人達を守れる力をお貸しください…」
膝ま付き祈るチサに
―では左手を私に差し出しなさい―
そう言われたチサが素直に掲げるとフレアも泉美同様にその手を取り口付けを落とすとチサの中に吸い込まれ
―私は今暫くは巫女の中で休みますからアクエリアスの巫女よ…後の事を頼みますよ―
そう告げ命が頷くのを見届け気配を消した
それを汐にチサの身体が崩れ落ち
それ迄表面に出ていたアクエリアスも自らの結界に戻ったため命が意識を失い…観月の身体も完全に力を失っていた
チサを抱き上げた鬼百合は
「アタイはチサを、阿は命を…沙霧は観月をそれぞれ寝室に運ぶからレムはみこの代理で嵐は観月の代理として…真琴は当事者としてこれから行われるであろう会議出席してくれ、大公殿もそれで宜しいか?」
そう問われた大公が黙って頷くのを見て今度はユイとユウに視線を向けると
「ユイにユウだったな?
ユイは嵐と共に議会に出席し後で観月に報告
ユウは観月が目覚めるまでの指揮は任せて構わねぇな?」
そう聞くと二人も声を揃え
「承知いたしました」
と応えるとのみで後は傍に控えていた部下の侍女に指示を与えユイは嵐と共にユウは沙霧の後についていった
会議で大公は開口一番
「真琴の出場手続きはこちらで行うゆえ講師の手配は美月の方に任せてよいか?」
と大公が問うと
「観月様の目覚め次第…無論候補者のリストアップはすでに始めております」
とユイが応えるのを満足そうに頷いて
「うむ、よろしく頼む」
短く応え
「和泉の女神の依り代については我が一存で公表しようと思うが水と火の精霊の巫女様達については本国の判断に委ねるべきだと思うが異議の有るものは?」
そう大公に問われたが特に異議の声は上がらず
「依り代のお披露目についても美月中心で準備を頼むことになるが?」
ユイに向け大公が問うと
「私の一存で決められるものではありませんので観月様にその様にご報告します」
と応えると
「私達に出来ることはお手伝い致しますとお伝えください」
大臣が言うと他の重臣達も頷くのを満足そうに見つめる大公だった
「後一番肝心なことだが歌の女神の封印されている場所が判らぬ以上女神の祭典の前までに見つけ出さねばならぬと言うことになる
その使者を誰に任せるか人選を急ぐ必要があるが皆の意見を聞きたい」
と問うとユイが控え目に手を挙げ大公が発言を許すと
「依り代の観月様に使者に立って頂くべきだと思います…事は既に私達人間だけの問題ではありませんしついでと言っては失礼に当たりますが二人の精霊の巫女様達に…お二方からもお願いしていただくのがよろしいかと存じますが?」
とのユイの進言に感心しながら大公は
「いずれお二方には本国の方に訪れていただかなくてはならんのだからな…わかった、水の精霊の巫女様の回復を待ってこちらも観月の判断に委ねるべきだと思うが?」
と一同に問うと異議は無かった
「大公閣下、以後は実務協議になりましょうから私達は遠慮して退室致しましょうか?」
そうレムが大公に訪ねると
「いや、嵐はこの先観月の身辺警護を頼みたいしレム殿達には引続き精霊の探索を行っていただきますからそちらの代表者としてご参加下さい
悲しげな表情で言う命に何て声を掛ければ良いのかわからず黙り込む真琴に
「どうしたの?いつもならお勉強の時間なのに…」
そう話題を変えてもらった真琴は
「今日はお休みだから体術の稽古をしてたんだよ
そしたらみこの歌声が聞こえてきたから嬉しくなって側に近寄ってみたんだ」
そう言われ
「ごめんなさい…みこの歌声が耳障りだったんでしょ?
もう歌わないからお稽古に戻って…」
消え入りそうな声で言われた真琴は
「何でさ?みこの可愛い歌声が耳障りな訳ないよ、もっと近くで聞きたいから来たのに…」
そう言われてさえそうは思えない命が思案して居ると命の歌声に導かれた者がもう一人その姿を表した
観月逹の従兄で歌の国の第二王子の十六夜で真琴は勿論彼を認識しているがいつも上の空の命は紹介されているにも関わらず未知の存在に過ぎない
その未知の存在の出現に命は固まってしまいひきつる顔は完全に血の気を失い大きく見開かれた目、握り締めた両手で隠された口は大きく開いていても声を出せないくらい驚いている
「えーっと…参ったね、これは…」
第二とは言え王子で容姿にも恵まれた自分を見て恐怖でひきつる娘と敵意を剥き出しにする少女が居るなど夢にも思わなかったその男は真琴に向かい
「如月や観月に聞いてたレベルじゃない人見知りだったんだね…」
そう言って溜め息を吐くと
「申し訳有りません、十六夜様…みこの重度の人見知りの原因は解りませんけど特に男の人に対する拒絶反応が酷く大公様や睦月様、如月様になれるのにもそれなりの時間が必要でしたから…」
そう言われた十六夜は
「その様だね…どうやらこの様子じゃ命ちゃんの社交界デビューは未々無理っぽい様だね…」
苦笑いを浮かべながらそう真琴に確かめると
「ホントにそうですね…十六夜様には申し訳有りませんが全く知らない人達が集まるパーティーは今のみこには未々無理だと思います…」
そう言って詫びる真琴に対し
「だよねぇーっ…」
と言って溜め息を吐く十六夜に
「申し訳ありません、十六夜様」
と再度詫びる真琴に十六夜は
「観月にも言われてたから知ってはいたんだけど結構諦めの悪い方だからね…だから君が謝る理由は全然無いから気にしないで…」
そう言って寂しそうに笑う十六夜に
「未だ極限られた人…僕と翼にチサ、観月様にミナさんとユカさん逹日常的にみこの側にいる人以外聞いた事の無いみこの歌を聞いてあげて下さい
夜までに何とか説得して歌わせますから…」
真琴にそう言われた十六夜は微笑みを浮かべて
「命ちゃんに無理はさせなくても良いんだよ?いつか本人から聞かせてくれる日を楽しみに待つからね?
じゃあ僕は命ちゃんが我に返った時未だ僕が居たら不味いだろうからここは退散する事にしよう」
そう言って笑顔を残し立ち去りその後暫くして我に返った命に
「あれ?まこちゃんはいつから居たの?みこ、全然気が付かなかったよ…」
そう苦笑いを浮かべて言う命を見ながら真琴は
「少し前だけど一生懸命お歌の稽古してたから気付かなかったみたいだね」
そう言いながら
(十六夜様と遭遇した前後の記憶を削除して心の安定化をはかることにしたんだな…)
そう考えて内心苦笑いする真琴だったその夜の事、普段はユカとミナの三人だけのひっそりとした食卓なのに何故自分が同席しなければならないならないのか理解出来ない命にとって苦行に等しい晩餐も終わりに近付き
「みこ、最近観月様にお歌聞いてもらったこと有る?
今朝のお稽古聞いたけど大分上達してたから大公様や睦月様に如月様にも聞いていただいたらどうかな?」
その夜の事、普段はユカとミナの三人だけのひっそりとした食卓なのに何故自分が同席しなければならないならないのか理解出来ない命にとって苦行に等しい晩餐も終わりに近付き
「みこ、最近観月様にお歌聞いてもらったこと有る?
今朝のお稽古聞いたけど大分上達してたから大公様や睦月様に如月様にも聞いていただいたらどうかな?」
そう言われてビクッと震え弱々しく首を振り
「まこちゃんみたくお上手じゃないみこのお歌聞かされたって誰も喜ばない、迷惑なだけ…」
消え入りそうな声で言う命に理由はわからなくても真琴が今この場で命に歌わせたがってる事に気付いた翼とチサは
「そんな事ないよ、みこちゃんの可愛い歌声を迷惑な人なんて言う人なんて居るはずないよ?
未々社交界に慣れない私はいつもみこちゃんの歌に癒して貰ってるんですからね」
そう翼が言えば
「お勉強の後にみこちゃんの歌を聞くと午後からも頑張ろうって思えるんだから自信持って」
そう言いその理由は十六夜の為だろうと推測した美月のスタッフ達は
「みこちゃんの側に居て沢山聞いてるミナとユカの二人が本当に羨ましくてたまには代わって欲しい位ですよ?」
とユイが言うと同調して頷くユウ、ユキ、ユマ、ユミ達
そして優しく包み込むように命の身体を抱き締めながら
「私も命様のお歌を聞くのは大好きですからいつものように歌ってください…」
そう囁くように言われて
小さく頷くと静かに歌い始めた
最初の曲はミナと花摘をしてる時をイメージしながら歌い(イメージ曲は松任谷由美の守ってあげたい)
次いで二曲目はしっとりとした曲を歌い(イメージ曲は帝国歌劇団奇跡の鐘)そして三曲目はおおシャンゼリゼを軽快に歌い
そしてラスト四曲目はおもいっきり弾ける曲で盛り
普段は落ち着きはらった大公、穏やかな睦月、観月の前では大人しくしている如月も大いに盛り上がった
観月の指示で大公家の使用人逹が集められ時ならぬミニコンサートに沸き上がった夜になった
聞いていた人達が喜んでくれたの
が余程嬉しかったのか笑顔で涙を流していたけどそんな命に観月が
「お勉強の後にみこちゃんの歌を聞くと午後からも頑張ろうって思えるんだから自信持って」
そう言いその理由は十六夜の為だろうと推測した美月のスタッフ達は
「みこちゃんの側に居て沢山聞いてるミナとユカの二人が本当に羨ましくてたまには代わって欲しい位ですよ?」
とユイが言うと同調して頷くユウ、ユキ、ユマ、ユミ達
そして優しく包み込むように命の身体を抱き締めながら
「私も命様のお歌を聞くのは大好きですからいつものように歌ってください…」
そう囁くように言われて
小さく頷くと静かに歌い始めた
最初の曲はミナと花摘をしてる時をイメージしながら歌い(イメージ曲は松任谷由美の守ってあげたい)
次いで二曲目はしっとりとした曲を歌い(イメージ曲は帝国歌劇団奇跡の鐘)そして三曲目は軽快に歌い(イメージ曲はパリ歌劇団ボヤジュー)
そしてラスト四曲目はおもいっきり弾ける曲で盛り上げた(イメージ曲は激、帝国華撃団)
普段は落ち着きはらった大公、穏やかな睦月、観月の前では大人しくしている如月も大いに盛り上がった
普段は落ち着きはらった大公、穏やかな睦月、観月の前では大人しくしている如月も大いに盛り上がった
観月の指示で大公家の使用人逹が集められ時ならぬミニコンサートに沸き上がった夜になった
聞いていた人達が喜んでくれたの
が余程嬉しかったのか笑顔で涙を流していたけどそんな命に観月が
「まもなく私はチサを連れて歌の国の本国に向かわねばなりませんがみこもついて来ますか?」
そう問われてそれまで真琴と離れるなど夢にも思わなかった命は
「行かない、まこちゃんの側に居る…離れ離れはヤっ!」
小さい声では有るけどハッキリと拒絶すると
「みこ…僕達だっていつまでも子供でいられるわけないんだから大人にならないとね…」
そう諭すように告げられた命は
「みこは大人になんかなれないしなりたくもないもんっ!」
そう言って目をつぶり下を向く命の肩を震える肩を抱きながら
「…うん、確かにそうだね…大人になったみこの姿は僕にも想像できないよ…でもね…だからこそ僕は早く大人になってみこを守って上げられるよう大人にならなくっちゃダメなんたよ…」
真琴にそう言われて
「生まれてきちゃダメな子のみこにはまこちゃんの側以外に居場所は何処にも無いから…なんにも出来ない要らない子のみこは誰も用は無い」
歌っていた時の輝きを失っている瞳は暗く淀んでいて居たたまれなくなったミナが
「そんな事有りません私は命様の事が大好きですし私にとって恐らく最後のご奉仕が命様のお世話になって幸せな時を過ごさせて頂きました」
命にとりその告白は衝撃だった
側に居てくれるのが当たり前で身の回りの全てをお世話してくれるミナは既になくてはならない存在になっていた
そのミナが自分の前から居なくなるなど考えたくもない事
が、命のその様子に気付かない鬼百合が
「みこ、お前の事が好きなのはミナだけじゃない…な、大公?」
そう声を掛けられた大公は穏やかな笑顔で
「観月達の様に妹と呼ぶのは無理があるが娘や姪を見る様にお前達を見守っている」
大公はそう答えながら命と真琴の二人を連れて初めて言葉を交わした時の鬼百合の台詞を思い出していた
「それにね、みこ…一緒にはいけないけど僕や翼だって後から行くんだよ?
だからほんの少し離れるだけなんだから我慢できるよね?」
そう聞かれて
「ホントに来てくれる?離れるのはちょっとだけ?」
そう確かめずには居られない命に笑ながら
「僕だって余り長く会えないのは嫌だし女神の祭典に出なきゃいけない僕はどうしたって行かなきゃいけないんだからね」
その言葉を聞いた命は
「なんかまこちゃんてお兄ちゃんみたい…
やっぱり妹はお兄ちゃんのゆー事聞かなきゃダメなんだよね?」
そういきなり話を振られた観月は逆に兄達に言うことを聞かせていたから
「ええ、まぁそうですね…」
と言葉を濁し三兄妹の事を知るも者達は笑いを噛み殺していた
そんな事を知らない命は小さく頷くと
「分かった…自信無いけどちょっとだけ頑張ってつよくなる」
そう呟き
「観月ちゃま、みこも連れてってね…チサちゃんも一緒なんだから多分大丈夫…だよね?」
そう言いながらミナを一瞬見たけど命の決意を喜んでるだけなのを見て目を伏せる命だった
その様子を見ていた大公父娘は互いの顔を見て頷き合っている事は勿論命は気付いていない
そして十六夜が嬉しそうな顔で真琴に頷きかけていることも勿論気付いていない
「命様のお床の支度をしに参ります」
そう観月に告げ退出するミナの後ろ姿を切なそうに見送る命だった
その後暫くしてから阿に抱かれ寝室に向かうみこを見送り
「ミナを命付の侍女として連れていけるか?」
と言われた観月は
「折角行くと言ってくれた命の気が変わらぬように是非とも連れていくべきですしそろそろ公女宮に呼んでもよい良いくらいですから何ら問題有りません
ただこの慌ただしい中わざわざ所属変更せずとも大公邸所属のまま命付で私の預かりとすれば良いと思います」
そう聞いた大公は
「分かった、そのように処理しておく」
大公がそう告げるとその夜の晩餐はお開きとなり使用人達は仕事をしに各々の持ち場に戻った
ただその事を未だ知らない命は真琴とミナの二人と別れる不安からミナに手を握られても涙が止まる事が無く…
その様子を見た真琴が
「ミナさん…みこに添い寝して抱き締めてあげて
それ程に不安なんだからね、僕と貴女が一度に自分から離れるって事はさ…」
そう言いながら溜め息を吐く真琴に
「私なんかがその様なことしても宜しいんでしょうか?」
そう言うミナに
「精霊の巫女であるみこに遠慮してるならそんな必要はない
今ミナさんが手を握っているのは精霊の巫女の命じゃない、本人が言った通りに貴女に甘える事しか知らない幼く弱いみこなんだからさ
それともみこなんかと添い寝なんてしたくないの?」
そう言われ慌てて命の布団に入り頭を抱き締めると命の涙は止まりミナの胸に顔を埋めて微笑んでいた
真琴すら初めて見た嬉しそうに微笑む寝顔
日頃の疲れがたまっているミナもすぐに寝息をたて始めたのみた真琴は事の次第を観月に知らせると
「ミナをこのまま命付きにして本国に同行する様に手続きしてますから安心しなさい」
そう言われさすが観月様と思って安心して部屋に戻り眠りに就く真琴だったが
「やはりミナは常に命の側近く控えさせる必要がありますね…」
微笑みながらそう呟く観月だった
翌朝その事を知らされた命が喜んだのは言うまでもなく玄関迄ではあるけど十六夜の見送りに現れる程だった
勿論ミナの背中に隠れてでは有るけど昨日の朝は自分の姿を見て意識が跳んだ事を思えば格段の進歩
本当の笑顔はこの次会う時の楽しみにすれば良いと思える十六夜だったから
「チサちゃんとの再会を楽しみにしてる、みこちゃんはその時に本当の笑顔を見せてくれたら嬉しいな
翼ちゃんは母上のお供で社交界に顔を出してくれたら喜んでくれるよ?
娘を連れて歩くのが母上の夢だったからね
真琴ちゃん、女神の祭典については役員に名を連ねる僕が受け付けた
だから後は観月が書類を持ってくれば良いようにしておくから来てくれるのを楽しみに待ってるよ」
と言われた真琴は
「泉美様と観月様に恥を掻かせない様に頑張ります」
そう答えると
「阿とミナは命を頼みます
真琴とチサは朝の勉強を、翼は今朝の勉強は休みで私と港まで十六夜の見送りに向かいます」
そう宣言するとユマは翼に同行し吽が警護役で同行する事になった
その夜正式に出航日がきまり観月の秘書にユイ
命の世話役にミナ
ミナのサポートとチサの指導にユカが選ばれ
全体のサポート役としてユウが選ばれ女神の騎士団を名乗る嵐と部下の内の三人に鬼百合と阿が同行する事になった
そしてまたしても命にとっての難題発生
「みこ、出航前日の壮行会を兼ねたパーティーで貴女の社交界デビューを飾って欲しいのですが勿論出席してくれますね?」
そう言われ青ざめた顔で
「みこにはまだ早いよね?」
そう言ってミナに救いを求めるとミナより先に
「まぁ確かに体力的には未々無理があるかな?」
と真琴が言えば
「未だまともに歩けませんしね」
と阿も言い
「真琴が歩き始めても何をするでもなく日長膝を抱えて踞ってましたし歩き始めたのもこちらに来てからですからね…」
とレムも言うと
「阿には申し訳無いけどその夜はみこの側から離れずミナに手を貸してもらえますね?
勿論入退場のエスコート(抱き上げて)も任せます」
そう言われホッとする阿と複雑な表情のユカだった
「取り敢えず今回は顔見せだけでも果たして欲しいのですから宜しいですね?」
そう言われてさえ言い訳を考え言葉の出ない命に
「みこ、僕達より年下のチサちゃんだって出てるし翼は観月様に代わって社交界に参加してるんだよ?
それにね、みこ…大勢の人達がみこの登場を待ってるよ…」
その背中を押すように
「確かに早すぎることはない、アタイの知る限りじゃあ観月が社交界デビューしたのはチサよりもさらに早い六歳だと聞いている」
その言葉を聞いて逆に
「人は人、真琴…貴女は大事な事を忘れている…
貴方達は鬼百合と出会う前に話をした事のある人間がいますか?対人恐怖症にも等しい命様にとって見知らぬ人間が多く集まるパーティーに出ることが恐怖以外の物でしかない事を?
逆に言うと同じ環境で過ごしてきたはずの貴女が真逆の反応をしている事の方が私には驚きですからね?」
そう言われ頭を掻きながら
「そうなのかな?そう言われても余りピンとこないんだけど…」
レムにそう言われて苦笑いの真琴に
「芯の強い貴女には今の命様は理解出来ないでしょうし私自身理解できるとは言えません…ですが真琴、貴女が初めてのパーティーで踊る気になった気持ちを教えてあげてはどうですか?」
そう言われた真琴が命の顔を見て頷き
「みこ、今の大公様のお屋敷に敵なんか居ないんだから安心して…仮にいきなり襲ってきたってレムや鬼百合さん達がみこに近付かせなんかしない
それにね、みこ…今の僕達を守ってくれる人はもっといるんだよ?
大公様、睦月お兄さんに如月お兄さん観月様にユカさん達美月のお姉さん達やその方達にお仕えする皆さんもいる
僕や翼、チサちゃんだっているんだから辛かったら辛いって言えば良い……
それにね、みこ…何よりも皆がみこの事を愛してるんだから…ね、ミナさん?」
笑って言われたミナが慌てているのを見て笑いの渦が巻き起こる一同だった
勿論命と当のミナ以外ではあるけども……
そんな訳で渋々出席を了承した命だった
そしてパーティー当日
分厚いベールの影に隠された真琴の妹の命がついにその姿を現す時が来たそのセンセーショナルな発表は社交界に縁の無い者すら好奇心を掻き立てられる物だった
しかし期待が大きかった分人々が命に対し落胆するのも早かった
阿に抱かれたままの姿で会場入りした命のその貧弱とも言える体つきはダンスに耐えられそうに無い様に見え何よりも阿にしがみつくその姿は母親から引き剥がされまいとしがみつく幼子のそれに見えたからだ
それ故にそれを不満に感じたのは一部の男達だけで多くの淑女達の母性本能をくすぐったし
老紳士の目には友人知人の孫娘の様に映りその命の容姿から妖精之様ではなく妖精その物とおもえた
観月に似てなくもない命が実は睦月の隠し娘と言われても不思議ではなく感じられたが真琴と命の年齢からはさすがに有り得ない話
と、言うか27歳の睦月が推定年齢12歳の二人の父親等洒落にならないから未だ大公の隠し娘の方が…
まぁ未だ無き妻を想いパーティーでも踊らない大公には有り得ない話だが
翼、真琴、チサの最初のパートナーは観月の推薦した者を選びユカ以外の美月のスタッフは各々の判断でパートナーを指名
それを見てその他の淑女達も各々思い思いに指名して各々カップルになり紳士達のエスコートでホールに向かった
如月はミナに向かい目配せするとミナも頷き「僕にはシャンパンと命の飲み物は任せて良いね?」
そうミナに言うと軽く頭を下げミナが取りに行くのを見送り窓際のベンチに命を下ろすとユカが隣に座り如月は向かいのシートに腰を下ろしその脇には人の目にはブーケとしか映らない様にして花の娘を控えさせていた
そこに飲み物を持ってきたミナが如月の前にシャンパン、命の前にはほんのり甘いノンアルコールのカクテル
ユカの前にはユカと阿の為の冷たいお茶を置き
「観月様の指示ですので…」
と言われてミナに抗議を封じられたユカだった
そんな一同に一人の青年が近寄ってきて
「おいこら如月っ!こんな可愛いお姫様独り占めたぁどうゆー了見だぁっ?
全くぅーっ…相変わらず良い根性してやがるなぁ~っ?」
そう言われた如月はにやりと笑いながら
闇との戦いが始まりましたが乙女達の運命も動き始めます