舞姫   作:匿名コメは手加減って悪口言われるの前提?

14 / 32
精霊の巫女として公女に同行し本国である歌の国訪問を求められる水の精霊の巫女の判断は?


火と水と女神⑤

「兄が可愛い妹にお前みたいな悪い虫が寄り付かない様に警戒するのは当然の事だろ?」

同じくにやりと笑いながら応えると互いの肩を抱き合いながら

「長い航海演習ご苦労さん、いつ戻ってきたんだ?」

と聞かれた青年は

「今日の昼過ぎだが急遽明日の早朝出航が決まって直前まで出航準備でバタバタだったから本当の所来る気にならなかったんだが…」

と渋い表情を見せると

「なんだお前、観月が女神の依り代になった事を未だ聞いてないのか?

その観月がお前がさっき踊っていた赤毛の娘、チサとこの命を連れて本国に向かうんだ

それ位の事情がなければ我が大公領が誇る海兵隊旗艦にそんな無理はさせない」

そう誇らしげに言うと

「公女殿下についてはそれで良いとして…」

そう言って命を見る青年に

「お前の疑問は解るが今は未だと言うより僕の口からは答える事はできない

その問題は後日本国より発表されるべき重要機密でこれは父大公の決定事項だからな

だから先日訪れた十六夜にすら明かしてない程の重要機密だとのみこたえておこう」

その答えを聞いた青年は溜め息をひとつ吐き

「そうか…お前と違い一士官に過ぎない俺はそれはそれと置いとくとして…

今最大の問題はいつになったら二人の可憐な姫達に俺の事を紹介してくれるのだ?って事だな…俺としてはそっちの方が余程重要な問題なのだがなっ♪」

ニヤリと笑みを浮かべ言われ苦笑いしながら観月に目配せすると命の手を握る真琴を挟んで並ぶ四人を見ながら

「二人等と遠慮しないで四人とも紹介させろっ♪四人とも、この男は帆風と言って僕の士官学校時代の悪友でね…

特に命とチサは明日乗る船の一等航法士だから面識が有った方が良いと思って紹介することにしたんだ」

そう言われて

「四人の中では年長の翼です、宜しくお願いします帆風様」

そう言ってドレスの裾を摘まんでお辞儀すると

「僕は真琴でこの子は妹の命です、宜しくお願いします帆風様」

そう言ってドレスの裾を摘まんでお辞儀すると命も慌てて頭だけペコッと下げる命の様子に苦笑いの観月

「チサって言います、宜しくお願いします帆風様」

そう言ってドレスの裾を摘まんでお辞儀すると

「君達は如月の事を何て呼んでるのかな?」

その意外とも言える問い掛けに翼とチサは

「如月お兄さん」

真琴と翼が

「如月にいさん」

命は

「キーにいちゃま」

そう答えると

「そうか、なら俺に様は要らない

公女殿下や如月…睦月さんもだろ?」

そう言って如月が頷くのをみて

「なら俺は君達を友人の妹として扱うし君達も俺の事は兄の友人って思ってくれれば良い、って訳で宜しくね」

そう言われて面食らう三人と事態に全くついていけない命を他所に

「帆風、貴方はツイてますね?十六夜が望んでいた命の社交界デビューに立ち会えたのですからね」

そう言われて会場内に流れる微妙な空気を読み一言

「それは俺に命姫の為に社交界のドアを開けと言うフリなのかな?」

そう観月に軽口を叩くと

「私はそう宣言してますし美月のスタッフ達もそう考えてます」

表情を余り変える事の無い命の顔が戸惑いの色を浮かべるのに構わず

「命は踊らないんだね?」

帆風のその言葉にビクッと反応し

「出来ない…」

そのか細い呟き…囁く様に漏れた言葉に

「大丈夫、踊りなんかすぐなれるから気にしないで…」

ふるふると首を左右に振る命に代わって真琴が

「対人恐怖症の傾向のあるみこは特に見知らぬ男の人が駄目で十六夜様の姿を初めて見た時も衝撃から意識を跳ばしましたから…

踊る踊れないじゃなく手を繋ぐのは勿論近寄るのだって…」

そう言いながらあれっ?と思い命の顔を見る真琴に

「大丈夫ですよ、阿の陰に隠れてはいてもみこは帆風の事を拒絶してませんからね

みこ、生粋の武人である帆風は怖いですか?」

そう聞かれた命は右左右と小さく首を振り

「そんな事言ったら鬼百合達だって怖い事になる…」

命のその言葉を聞き

「普段はお調子者ですが優しくて頼りになる男なのは分かりますね?」

首を小さく縦に振り

「王子ちゃまの時はいきなしだったから…」

そう口ごもる命に

「みこ、帆風さんなら稽古もしたこと無いみこの相手も優しくしてくれるから踊ってきなよ?」

観月の言葉の端々から感じるその思いを命に告げると口を閉ざした命に向かい

「みこ、踊ってきなさい」

静かに…しかしきっぱり言いきる観月に言い返せる命ではない

その命に右手を差し出し

「麗しの命姫の映えある社交界デビューを飾る最初のパートナーになる栄誉をお与え下さい…」

そう告げられた命が返事に窮していると

「みこ、帆風様の差し出した手を取って喜んでって答えてその甲に口付けすれば良いんだよ」

真琴にそう言われてその通りにすると帆風に導かれホールに向かう命の姿を見て驚きと落胆の溜め息が広がった…命のその覚束無い足取り故に

ホールの中央に立つと溜め息を吐き目を閉じると大きく息を吸い込み流れて来る音楽に耳を澄ませ…

目を開くとそれまで枯渇していた魔力が一気に高まり命の身体を宙に浮かせた

勿論その事に気付いたのは命の事を心配して見守っていた者達だけで差し出された帆風の手を取るとやっと命の社交界デビューが始まった

そして次第に宙を舞う命の姿に気付き始めた人達が現れ始めホールに居る者全てがその事実を知った

宙を舞う命と踊る帆風の姿はまるで神話か童話の中で妖精と踊る主人公の一場面の様に見え後は老若男女を問わず命の手を求めて踊りに誘った

命が踊り始めたのを見て安心した観月はユカと阿に目配せをするとユカは嬉しそうに微笑み阿は苦笑いでユカに手を差し出すと命の近くで踊り始め真琴たも新たなパートナーの申し込みを受け入れ踊り始めた

ー鬼百合に頼みが有ります…貴女の腕を譲ってほしいのですー

直接頭に響くその声に反応し命の顔を見ると

ーみこは預かり知らぬこと故にみこの顔からは何も読み取れないー

そう告げられた鬼百合は溜め息を吐き

ーお前は女神の救出の時にアタイ等を仕切ってたみこだな?

頼みってのは一体何だ?ー

そう聞くと

ーみこに同行する者、真琴達を守護する者、精霊達を捜索する者、真琴達が去った後のこの地を守護する者、国境を守護する者…

手駒不足は否めませんね?ー

そう告げられた鬼百合は

ーそれはその通りでアタイの腕を触媒にして戦士を召喚したいんだな?ー

そう聞くと

ーその通りです、勿論お礼は勾玉と霊玉をと考えてますが頼めますか?ー

その要請に

ーそれはアタイも気にしていた事だから異論はない

分かった、お前達が退場したらちょっと抜け出し受け入れようー

そう答えると

ー私もミナに言って勾玉と霊玉の入った鞄を控え室に持ってこさせます

それと大公と公女とユウとユカにも立ち会わせますー

そう告げると次のパートナーである大公の元に向かう命だった

命達の退場時間になり命達と共に控え室に入った観月とユウに

「間も無く大公と鬼百合もここに来ますから暫く待ちなさい」

その聞き覚えのある威厳に満ちた命の声に命の顔を見る翼以外の者達

その言葉通りに二人が現れるとミナから鞄を受け取り

「大公と公女、これより召喚儀式により鬼百合の腕を触媒にして戦士を召喚します

それにより呼び出した者の力を借りこの地の守護や精霊の探索を進めたいのだが宜しいかな?

そしてユウにユカ、貴女達の想い人が何者で有るのかと言う事実を知りなさい」

そう告げられ息を呑むユウとユカに対し静かに頷くだけの大公と観月を見て

「鬼百合、お願いします…」

命にそう言われて隠し腕を取り外し命の前に置くとそのひとつひとつひとつに勾玉と霊玉を埋め込み結界に包まれた

「みこ、後十個くれりゃ寝る前に後四人呼び明日の朝腕とこの鞭を置いていくんだかな?

真琴、そん時手伝いに来てくれるな?」

そう鬼百合に言われて静かに頷く真琴を見ながら

「鬼百合様、私もお側に居ても宜しいでしょうか?」

そう震える声で聞くと

「怖いなら無理するな」

そのユウの言葉に勘違いした鬼百合が言うと

「怖い…普通の人間に過ぎないお前は駄目だと言われるのが怖いのです拒否されるのが…」

そう言われて

「悪ぃ、勘違いした…恐らく勘づいてんだろうが残りの手足にも埋め込み手足の再生促進のためアタイ自身も受け入れるつもりだ

だからこれ等を見て分かる通りアタイには触れられねえがそれで構わねぇんなら側に居な」

そう聞いてやっと安堵の溜め息を漏らしたユウに聞こえるように

「分かった、お礼はみこの勾玉と霊玉を五個づつと僕の白い勾玉の一番大きい方から四個で良いかな?」

と言うと

「今のアタイにゃそれに勝る物はねぇからなっ!」

そう言ってにかっと笑う鬼百合だったから真琴も残りの分は預かっておいて僕の白い勾玉の分と合わせて後から持っていくよ」

と答えると

「真琴と大公にはもうひとつ頼みが有ります

まず真琴ですが小さめの勾玉と霊玉を真琴に預けますからそれを使って一般兵士にも使える武具を錬成してください

そしてそれを大公に仕える騎士達に託しても構いませんか?」

そう問われた大公は

「泉美様の治めるこの神聖なる領地と愛する我が領民達を守る力、有り難く頂戴致します」

そう聞いて安堵の溜め息を吐き阿を見て

「私からの話は以上で終わりましたから少し休みます

ただ既にみこも既に眠ってますから寝室まで頼めますね?」

そう告げるや否や返事を待つことなくくたっ…と崩れ落ち慌てて抱き止めた阿にそのままベッドへと運ばれた

パーティーに戻りその後も何事もなかったように振るまいやがてパーティーも終わりの時を迎えた鬼百合が部屋に戻り

仮眠から目を覚ました真琴が待っていて不要になるだろう胴丸を預け?

新に霊玉に召喚されたバイキングの姿をした二人の戦士には鱗気と飛沫と名付け

勾玉が召喚したスピード重視タイプ格闘家の二人には黒豹と黒狼と各々に名付けた

胸当てと胴丸に関しては真琴に任せると言うことになりそれは明日以降で良いかな

そう判断し最後に鬼百合の残った手足と胴に勾玉と霊玉を埋め込みそれらが結界に飲み込まれるのを見届けると真琴は部屋に戻り再び仮眠を取ることにした

夜を徹して鬼百合を見守るユウの前に現れた水竜と黒竜に翠湖と睡蓮の四人万能タイプの戦士達が姿を表した

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。