舞姫   作:匿名コメは手加減って悪口言われるの前提?

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漁をて伝う鬼百合達の成果は?岬への訪れは精霊の巫女に何をもたらすのか?


風が舞う③

そう答えるとずっしりとした手応えに相応しく網の中の魚達が窮屈そうに見えるくらい詰まっていた

しかもパッと見でも分かるくらいに高級魚がかなり混ざっている

漁師達が大喜びで生け簀に入れていると鬼百合と柳水は僅かに感じる船への衝撃に悪い予感が…

「鬼百合、どうやら悪い予感は当たってしまった様だ…

クラーケンが漁師達の獲物を横取りに来た」

柳水が言うクラーケンは勿論妖魅の類いではなく大王イカでも漁船を襲って漁獲の魚を奪う者を指しているのだが…

「出会しちまったもんはしょうがねぇ…

それに逆にこいつ仕留めりゃそれなりの小遣いなるんだから一石二鳥ってもんだぜ?

お前達は漁師達を守れ、アイツはアタイらが仕留めるからよ…行くぜ柳水っ!」

そう言っていつのまにか呼び出した円月刀達を構えた鬼百合がクラーケンに飛び掛かりいつの間にか呼び出した青海の銛を構えた柳水がクラーケンを睨み付けていた

勿論容易く倒せる相手ではなく鬼百合と柳水の二人をもってしてもそれなりに手を焼いたが所詮は魔物ではない普通の生物に過ぎないクラーケンの敵う相手ではない

結局二人に打ち倒されたクラーケンのその身体は船に曳航され出荷されることになった

そのクラーケンが引き揚げられ競りに掛けられると市場は大騒ぎとなり

単価的には中の上位でもその量は半端なく単品は勿論これひとつで最近不漁続きの漁師が多い市場では船数隻分売り上げに匹敵する

 

自習を終えた真琴が孤児院を訪れると子供達の歓声が出迎えを受けその歓声に一瞬たじろいだをものの

「真琴様と翼様はこちらの席にお掛けください」

そう示された席は普段は子供達の世話をしているシスターの席らしい場所で

「僕達がこの…上座に座っても良いんですか?」

そうシスター達に聞くと

「その席ならお二人のお顔が皆によく見えるからですよ?」

最年長者らしき少女にそう言われ席の後ろに立つと確かに食卓に着く子供達の顔が見渡せた…

「真琴、皆に挨拶してあげて」

翼にそう促されて

「僕と妹の命も親の顔はおろか名前すら知らない…何処の生まれかもね

でも、翼とチサと知り合い鬼百合さん達や観月様と出会いこうして歓迎してくれる皆と会えてとても嬉しいし僕とも友達になって欲しい…

そしていつか妹の命も連れてきて命とも友達になって欲しいなってお願いして良いかな?」

真琴がそう言うと真琴に座席を示した少女は

「私達の先輩のユマ様達は血は繋がらなくても家族って言ってますから友達じゃなく家族じゃダメなんですか?」

そう言われて驚いた真琴だったけど

「そうだね、僕とみこも血は繋がらなくても翼とチサを家族って思ってる

いきなりこれだけたくさんの妹や弟が出来てちょっと驚いたけど歌のレッスンや勉強の合間を見て又皆に会いに来るよ」

そう答えるとシスターが

「話しは綺麗に纏まりましたから皆で朝の食事を頂きましょう」

真琴にとっては子供達の笑い声が響く食卓は初めての経験だけどとても楽しかった

片時も離れる事の無かった"みこは僕が守る"の思いは身近に居ないことも手伝って忘れる程で

「年相応の笑顔ですね?」

真琴の笑顔を見ながら隣に座る沙霧に話し掛けるユマの顔も嬉しそうに綻んでいた

食事が終わりデザートにユマが焼き翼や年長の少女達がデコレーションを手伝ったケーキが出され一人の少女が名前を呼ばれると翼と真琴の間に立たせ

「今日真琴に来て貰ったのはこの子かなって言いますけどそのかなの六才の誕生日に唄ってあげて欲しいの

「まだここに来て日が浅いこの子……

で、もうすぐ誕生日だと聞いてそのパーティーでなんとか元気付けたいと思って話を聞いてみたら真琴様に会いたいって…」

そう言って少女を心配そうに見る翼に真琴は

「成る程、そーゆー訳だったんだ…了解、僕の歌でよければ喜んで歌わせてもらうよ」

そう言ってシスターの伴奏で歌い始めた真琴の優しい歌声は孤児達の心に染み込んでいった

歌のプレゼントが終わり改めて

「知ってるかもしれないけど観月様の公女宮でお世話になってる真琴です、職業は魔導剣士兼見習い歌人」

そう笑って名乗ると

「いらっしゃいませ真琴様、来ていただいて…お会いできてとても嬉しいです」

一同が声を揃えて歓迎の言葉を述べると

「真琴様…今日は来てくれて有難うございます…翼、我が儘を聞いてくれて有難うございます…」

声をつまらせお礼を言うカナの頭を撫でながら

「おんなじなんだよ…僕に戦士の力がなかったら…巫女に魔導の力がなかったら…僕達はチサや翼、観月様達と出会わなかったと思うし何処かの孤児院預けられていたと思う…だから僕にはカナや皆が他人の様には感じられないよ

だって…僕とみこは両親の顔を知らないのだからね」

そう言われて驚いたカナが真琴に抱きつくと

「じゃ、じゃあ真琴様の事をお姉さんって思って良いですか?院の人達は皆家族だって…私は未だそう言うのに慣れませんけど…」

そう言って真琴を上目使いで見るカナに

「真琴様って呼ばれるよりずっと良いんだけどお姉さん、か…」

そう呟くと

「ダメ、なんですか?」

と、泣きそうな顔で言われて

「ダメじゃなくて慣れないんだよ、みこは僕をお姉ちゃんとは呼ばずまこちゃんって呼んでるからね…」

そう言って苦笑いを浮かべると他の子達も真琴の周りに集まり

と、答えると孤児院に不釣り合いなグランドピアノの前にシスターが腰掛けると伴奏を始めると真琴が讃美歌を歌い始めた

皆が静かに聞き入り歌い終えた真琴はユマから手渡された包みを手渡しながら

「かな、お誕生日おめでとう」

と告げると翼も大きな包みを渡しながら

「かな、お誕生日おめでとう」

そう言うと友達に開けて見せてと言われまず真琴からもらった包みを開けると…

天然石の数珠ブレスで真琴の二色の勾玉と命の霊玉も含まれているレア物だ

その高そうな物だけに心配したシスターが

「あの様な高そうな物を頂いても宜しいのですか?」

そうユマに聞くと

「石は騎士の方が山で見付けた綺麗な石だからと持ち帰った天然石を分けて頂いた物ですし…

それをアクセサリー造りが趣味の友達に作ってもらいましたからお金は然程掛かってませんよ?」

と言うと翼が渡したぬいぐるみはそれなりの値が着きそうな物で

「あれはそれなりの値が着く物ですが似たようなのをいくつも贈られてますからお気になさらないで下さい」

そう微笑みながら言われて驚いたシスターの様子を見ていた

そうしている内に真琴達の帰る時間になり別れを惜しみつつ次の目的地に向かった

馬車が屋敷の玄関に着くと当主自らが出迎えに出ており

その孫娘とその友人らしき子供達がテラスからこちらの様子を伺っているのが見えた

ユマと当主が挨拶を交わした後にパーティー会場に案内されると本日の主役である当主の孫娘、紬(つむぎ)に手を引かれ中央に案内された真琴

そして真琴の熱唱でパーティーの幕が開き

一旦控え室に案内された真琴が手渡された服は鬼百合達がパーティーの際に着ているものと同じ大公家の客分騎士の正装

「僕は嫌じゃないけど観月様に叱られませんか?」

そう気にして言うと

「公式の場以外なら構わないし真琴は男装も似合いそうです…

それに戦いに赴く時はやはり戦士の服装が相応しいから既に製作に取り掛からせてますと仰ってましたからね」

そう聞いて受け取った騎士の正装に身を包む真琴は美少年の騎士にしか見えず勿論その姿を見た少女達が真琴に群がり互いに気を引き会うのも当然の事

似合うだろうとは思っていたがさすがにここまでとは思っていなかったユマを苦笑いさせた

この世界のしきたりで十歳を前に社交界デビューを果たせるの貴族籍でも公爵や伯爵、大公等一握りの階層の者

そして公女観月に認められ公女宮で働く事を許された者だけで貴族でも男爵クラスや軍の将校で十二歳

街の有力者は十五才迄待たなくてはいけない

その為翼と真琴と歳が変わらない位の彼女達のその時は未だ遠くせめてもの真似事をと内輪の誕生日会でやっているのだ

依り代のお披露目のパレードで観月に付き従う真琴に心惹かれた少女は少なくない

その内の一部が紬であり今日集まった少女達である

そんな真琴が騎士の姿で現れたのだから少女達が興奮するのも無理は無い

そんな少女達の笑顔の花が咲き誇るパーティーの雰囲気をぶち壊す闖入者が現れた

「私の商談を断っておいて孫の誕生日とはいいご身分だな?」

そう言ってご馳走の並ぶテーブルに土足を乗せる男に

「商談?僕の目にはゆすりたかりのチンピラにしかみえないんだけど?

まぁ貴方達の国の流儀かどうかは知らないけどこの地でそんな振る舞いが許されると思ってるの?」

そう詰問する真琴に

「観月様に言い付けてやるってか?女みたいに生っ白い小僧は黙ってなっ!?」

そう言われて立ち上がろうとした沙霧と白浪を手で制し

「もう一度だけ言う、脚が大事なら即刻退けろ!これが最終通告だ」

そう言われて薄ら笑いを浮かべる男の頭頂部を真琴の手刀が掠めたしかしそのあまりにもの素早い真琴の動作は男達の目には全く見えるはずも無く男の髪がハラハラと落ちるのを見た仲間が

「お、お前髪の毛…」

そう言われて頭に触れると頭頂部の髪の毛が綺麗サッパリ無くなっていた

その事態にようやく気付いた男が慌ててテーブルから脚を下ろすと胸から出したハンカチで綺麗にしてから部屋から飛び出して行くのを見送りそれまで互いに抱き合い怯えていた少女達に笑顔で

「もう大丈夫だから安心して」

そう伝えると皆真琴に抱き付いて涙を流していた

その様子を見ながら当主は尚も不安そうに

「真琴様は大丈夫なのでしょうか?このままで済ませるような輩ではないはず…」

そうユマに訪ねると

「真琴の顔も知らぬ程度の連中など問題ない」

白浪が忌々しそうに答えると

「あの愚か者の不用意な発言に沙霧様と白浪様は相当おかんむりの様ですし…

弱い癖に男の面子がどうのと言う類いのあの程度の者達にはこれ以上騒ぎは起こせません

自分達が尻尾巻いて逃げ出した相手が実は女の子でしたなんて誰に言えますか?

下手に同業の者に知られでもしたらもうおしまいでしょうからね…まぁ同情する気は微塵も有りませんけど」

とはっきり言い切り

「彼らを雇っている者にもそれ相応の報いを受けてもらいますから紡様…

これからも美月の命、大公領の宝の紡績を宜しくお願いしますね」

そう言われ

「私の方こそ亡き大公妃様が立ち上げられそのお嬢様であられる公女観月様が守り育てられた美月及びスタッフの皆様のお陰で絹糸及び絹織物の生産地として名を馳せる迄になれたのです」

前大公妃を懐かしみながら話すと

「亡き大公妃様、そして今の美月を守り支える観月様のご恩に報いる道は唯ひとつ…

私達も美月を支える者になる事なのだと考えますから共に頑張ってゆきましょう」

ユマの言葉に頷く元締めだった

翌日大公邸を訪れた愚者共は更に盛大に恥を上塗りする事となった

使用人に大怪我を負わせた少年騎士の身柄引き渡しを要求に来たのだが前日と事なりドレスを身に纏い現れた真琴には全く気付けず少年騎士の身柄引き渡しを繰り返す男に

「お前達が馬鹿なのは承知していたがその雇い主も底抜けの愚者だったとはな…美月がまともに相手にしてやらぬ訳だ

 

お前達が要求している者ならば最前から目の前に居るのに全く気付けずいるのだからな…救いようがないとはこの事だ」

千浪と白浪の蔑みきった眼差しに晒された男達にはもう逃れる先はなかった

墓穴を掘り恥の上塗りし更には雇い主も巻き込み更なる恥の上塗りを重ねたヤクザ者とその程度の者を重用していた事に気付いた愚者の一族が慌てて放逐したため彼等にはもう何も残されてはいなかった

その事に気付いた時には全てを失っていたのだから

この一件で少年騎士の真琴の知名度はうなぎ登りとなり真琴に恋い焦がれる乙女達に事欠く事は無い状態になったのは喜ぶべきか悲しむべきか微妙なところではある

 

 

 

 

 

 

 

④唄うなら

 

遅めの夕食が終わる頃自室に戻った王妃の元に訪問者が現れた

ミナを伴った命で散々迷ったあげくの訪問だが王妃の自室前に着いて尚迷う命を他所に

「この様な夜分の訪問が失礼に当たるのを重々承知の上の厚かましいお願いを申し上げますが我が主人、命様のお目通りお願いできませんでしょうか?」

そのミナの声に反応した王妃は

「遠慮は要りません、入りなさい」

そう言って二人の入室を許可するとミナに案内された命はおずおずと口を開き

「今日みこね…りんちゃんのお母さん達のお手伝いしたんだ…海の中はとっても楽しかったんだよ…」

そう楽しそうに昼間の海での体験を話す命を見守っていると頭を下げたミナがどうやらお茶を酌みに行ったらしくその場を離れていくのが見えたので命を腰掛けるように促し辿々しく話す命の様子を暖かい目で見守っていた

命の話も後半に入り預けてあったそれをミナから受けとると

「形が歪だから市場に出しても大した値が付きませんから…ってゆわれて貰った生の貝を鬼百合達に食べて貰ったんだけど鬼百合が食べた貝からこんなんが出てきたんだ…」

そう言って命に見せられたのは淡いピンクパールで色、質的にはかなり上等な部類に入る天然真珠ではあってもサイズ的には一国の王妃が身に付けるにはかなり物足りないものと言わざるをえず

正直なところ命自身も恥ずかしくてその後に続く言葉を言いあぐねているのだった

「鬼百合がね、ゆったんだ…こいつは今日頑張って漁のお手伝いしたみこへのご褒美だから有り難く貰っときなっ♪って…

でも…みここーゆーのよくわからないから要らないってゆったら…」

そう言って一旦言葉を区切り

「なら大好きな人やお世話になってる人に贈ったらどうだ?って…」

そう言って再び口をつぐむ命を見ながら考え込む王妃は

「そう、それで私がその人に選ばれたのですね?」

そう問われた命が小さく頷くとその命の頭を抱き締め

「有難う…みこちゃん」

そう言われて真っ赤になった命に

「みこちゃんさえ良ければ今夜は私の部屋に泊まりませんか?」

そう声を掛けると何と答えれば良いのかわからない命がミナを見ると頷いて

「お寝間着お持ちしますから暫くお待ちください」

そう答え王妃にも待ってもらうことにして支度を急ぐミナ

着替えを終えた命を王妃の寝室に残してミナとマイは従者の控え室に待機する事にした

「今夜は私達も隣に控えますからご用が有りましたらお呼びください」

そう王妃に伝えて…

深夜に喉の乾きで目を覚ますと隣で眠る王妃の寝顔に驚いたけど王妃の胸にすがり付き再び眠りに落ちた命の寝顔は幸せそうだった

未だ臼ぐらい早朝に目覚めた王妃は声を出さずに涙している命に気付いた自分も喉の乾きを覚えていたため泣いている亊には敢えて触れずに当番の侍女をベルで呼んだ

現れたのはミナでも無ければマイでも無く本来の王妃付の今夜の当番の一人であるマキと言う侍女だった

王妃は知らない話ではあるけど歌の稽古の為早起きな命の為に着替えの支度を既に始めている

ミナは命の稽古の間は命の側で出来るユカの仕事をこなすのでそれの準備もあり命の側を離れていたのでマイに無理を言って王妃の呼び出しに応えたのだ

マキは残念ながら俯いてる命が涙を流している亊には全く気付く様子は無く

「私にはお茶と命にはほんのり甘いジュースを」

そう指示したのたけど侍女が持って来たのは命には大きすぎるグラスに冷たかっただろうジュースと熱すぎるお茶だった

(このグラスでは命には大きすぎる位解りそうなのに…)

「有難う、貴女はもう暫く休んでなさい…未だ夜明けには時間がありますからね」

そう言われて頭を下げて退出した

溜め息を吐いてそれを見送り振り替えると命は竪琴を抱え鼻唄を唄っていた

「さあ、ジュースが来ましたよ」

グラスを差し出すと竪琴を横に置き両手でグラスを受け取るとグラスの半分位を飲んでテーブルに置いて

「美味しい」

と、そう言って小さく笑う笑顔が可愛かったのだが…

夜が明けて暫く刻が経ちドアを叩く音がしてユイですと言う声が聞こえ許可を得て入って来たユイが難しい顔をして考え込む命に気付いて心配顔で何を悩んで居るか聞こうとしたら王妃に笑って止められ

「大丈夫、今日はお外に行けないから昼間どうして過ごそうかって考えているだけですから」

王妃からそう聞いたユイは

「ねぇみこちゃん、竪琴貰った人とお話ししてきたらどうかな?

それなら外出しないで済むから私が彼女の都合聞いてきましょうか?」

そう言われて

「でも…ユイさんだってお仕事忙しいんでしょ?」

そう聞き返すと

「大丈夫ですよ、忙しくなるのは朝食が済んでからですから」

そう答えると

「じゃ、じゃあユイさんに行って貰ってきて良い?」

駄目と言われたら泣き出すんじゃないかと言う表情で言われたら駄目とは言えなかった…勿論そんなつもりもなかったのだけど

まぁ、今日は大公領から使者が来るのだからあまり予定は入れてないから暇と言えば暇なのだから

「では朝の報告…何か変わった事は?」

「何も、少なくとも今現在はそのような報告は一切有りませんが一度執務室に戻り何もなければ楽士寮に行きます」

そのユイの答えを聞いた王妃も

「任せますが楽士に会いに行けると良いですね」

そう告げると

「ユイさんのお仕事の方が大事だから…」

 

そう心配そうに言う命に笑いながら

「失礼します」

そう言って出て行くユイを見送り命は習い覚えた曲のお復習を始め王妃はそれを聞きながらユイが置いていった書類に目を通した

戻って来たユイの報告は

「礼拝堂でお祈りしてますから宜しければ竪琴を持ってお越しください、午前中はそこで過ごしますから…」

だった

 

「お姉さんおはよー」

祈りを捧げているのを無視して抱き付いた命

「あれから竪琴の調子はどうですか?」

と笑顔で問い掛けると

「良く解らない…だけどみこの気持ちが解るみたいなの」

「そうよ、その子は弾き手の気持ちが音色に表れるのですからね

そういえば私はまだみこちゃんの唄を聞いた事なかったわね…良かったら何曲か聞かせて貰えますか?」

首を横に振り

「みこの方が聞いて欲しいの…みこの唄そんなにお下手じゃないって思う…でも、誰に感想聞いてもただお上手としか言ってくれなくて…

だからみこの唄って本当はお下手で皆は本当の事言えないんじゃって…」

弱々しく言う命に

「まずは聞いてみないと…ね、さぁ唄って下さい」

 

一通り歌い終えた命に

「みこちゃんは随分古い唄を知っているのね…大丈夫お上手ですよ、素人レベルなら」

そう言われ感じていた疑問を口にした

「何処がダメなの?」

と素直に聞かれ

「私は唄の専門では無いけれどその私の耳でも解るほど声が出し切れていないし唄ってて声を出すのが辛くなる時が有るでしょ?

上手になりたいのなら基礎的な発声練習から始めるのが一番ですから私の知り合いに唄の女神の祭典で審査員になってる人が居るから教えて貰えるように頼んでみましょうか?」

そう笑顔で言ってくれてるけど…

「観月ちゃまに相談してみる」

としか答えられない命

「何故自分の事なのに自分で決めないの?」

「だって…そう言うのってお金要るんでしょ?

みこお金持ってないから…」

哀しそうに言う命に

「そう、じゃあ私も一緒にお願いしてあげるけど出来れば唄の勉強したいんでしょ?」

そう確認すると

「うん、お勉強したい」

力強く答えた命の手を握り

「じゃあ早速観月様にお願いに行きましょう」

礼拝堂を出ると控え室に居たミナが声を掛けてきた

「ご用なら私に申し付け下さい」

と声を掛けてきたので

「観月様の所在とみこちゃんが話したい事があると伝えて下さい

私達は礼拝堂に居ますから…お願いしますね」

と聞いた彼女は頭を下げると立ち去り暫くしてミナが観月と王妃を案内してきた

「どうしたのみこ?そんなに改まってお話しって…?」

「お姉さんがお唄が上手になりたいのならちゃんと先生に習った方が良いって」

「私が先生紹介しましょうかと言ったらみこお金無いからって…」

溜め息をつき

 

「だから私に相談したい…って訳ね

解るんだけど、相談して貰えなくて寂しがってる人が居るって知ってる?」

「?、?、?…」

「王妃様がみこの力になりたいのよ、解る?」

何で?と言う表情の命にどう説明したら良いのか悩んで居ると

命の小さな身体を包み込むように抱き締め

「それは私がみこちゃんを好きだから」

驚きのあまり目を見開いて

「みこは…生まれて直ぐなのにお母様が棄て無きゃいけない悪い子なのに?」

虚ろな顔の瞳は全ての感情が消え失せていた

「もう良いのよそんなに自分を責めなくても」

そう言われてさえなお

「でも、みこのせいでまこちゃんまで棄てられた…

みこを取り上げた人逹は穢らわしい黒い血の子、触れることさえ厭わしい闇の子、こんな醜い子は災いをこの里にもたらす前に相応しい闇に葬ってしまえば良いって言ったのを聞いた…

その言葉の意味はまだ良くわからなかったけど余り知りたくなかった

みこは多分生まれてきてはいけない子なのだから…私には人に優しくして貰う資格なんかない…」

全く感情のこもらぬ声で話す命に

「もう良いのよ、貴女は王妃様や観月様やその他の沢山の人に愛されているのよ勿論私も…まだ会ったことはないけど真琴さんや翼さんもね」

そう言われてもやはり

「本当に良いの?みこ…皆に甘えても…みこは…みこは」

マイはこの時泣いて問い掛ける命を見て決意した…この幼子の魂を持つ命の力になりたいと

自分に大した事は出来ないのは知っているけど出来るだけの事を精一杯御勤めしようと決めた

その後今夜のダンスパーティーの打ち合わせが始まり命も立ち会うことになり湊の提案でパーティーの開幕を告げるオープニング曲を命の歌で飾ってはと言うことなり指揮者の操が

「差し支えなければ命様の持ち歌をお教え願え願えないでしょうか?」

そう声を掛けたけど返事をしないばかりか振り向きすらしない命を見ながら苦笑いを浮かべ

(次に命様と呼んだら返事しないと言ってのは本気だったんですね…)

そう思いながら

「操さん、みこちゃんと呼ばなければ返事してくれませんよ?」

そう言われて複雑な表情で

「遠からず王女様になるかもしれない方をですか?」

そう呟くと

 

「何かみこちゃんお薦めの曲はありますか?」

「あのね、未だ不安だけどね…ダンスの前にピッタリな歌があるんだけど…」

そう言って歌い出した曲は確かにダンスパーティーのオープニングを飾るにに相応しい曲(イメージ曲はシャルウィーダンス、大貫妙子)

命の歌に湊が即興で合わせ暫く練習し本番もこの曲で行く事に決まり

手入れも終えてそれも含めたリハーサルを繰り返した

勿論その事はパーティーの主催者である観月にも報告したら

「その曲なら私も知ってますが…いきなりみこの歌声でパーティーの開幕を知らされたら皆驚く事でしょうね

私も事前に知ってしまったのが惜しい位の企画、やはり柔軟な思考のみこは面白い発想をしますね

 

その方面については然程専門的な知識は持ち合わせてませんので貴女達に任せますからみこへのサポート頼みますね」

そう言われどう説得しようかと悩んでいた自分がバカみたい感じる操だった

命が午睡から目覚め本番前の最後のお茶休憩(茶菓はミナからの差し入れ)を終え本番前の総ざらえ

それを終えて一同は軽い食事と着替えを済ませに控え室に戻り命も自室に連れ戻されて着替え等の仕度をさせられたその命が阿に控え室に運ばれていくと今度はミナとマイの番でユウとユカの手により美しく変身していく二人も最初は私達なんかがと尻込みしているのを

「この先水の精霊の巫女として人々を導かねばならないみこの側近く仕えると言うことは貴女達もいずれユイやユウ、ユカ達美月のメインスタッフの様に社交の場にも付き添ってもらわねばなりませんがそれは理解できますね?」

そう言われた二人が頷くと

「ユイ達が私の側に居るようにみこの側で仕える存在になりなさい、その為にも私達が側に居る今の内に色々な事に慣れておきなさい」

そう言われて果たして慣れることが出来るか?という本人達の疑問はさておき国王夫妻がゲストを迎えその他の王室関係者の入場も終わったにも関わらず人魚姫の姿が見えない事を疑問に思い訝しげに辺りを見回す訪問者達

薄暗がりのパーティー会場内は参加者のざわめきの中、何の前触れもなく指揮者の操にスポットが当たり注目が集まり両手を振り上げると命の歌声と伴奏が同時に始まって…

事前に知らされていた観月は国王を…ユイは十四夜にチサは十六夜を誘いミナは歩風でマイは艇督をパートナーに指名すると他の淑女達も命の歌声に誘われ…各々が思うままにパートナーを選び指名して行きその歌を歌い終える間近に命も海兵隊の提督に右手を差し出し歌い終えると一言だけ

「みこと踊って」

と言うと提督も海の男に相応しくただ一言だけ

「勿論喜んで」

答え命の手を受け取るとその甲に口付けを落としダンスの曲に切り替わるとパーティーが始まった

最初は何も知らされいなかった参加者が戸惑ったものの粋な演出が喜ばれ以降は美月主催のダンスパーティー定番化となった

今夜のパーティーでユウとユカが不在の穴を埋めたのはミナが男達を喜ばせた

「社交界で遠慮はタブー」

は、やはり建前でミナが命に寄り添い仕えている姿を見て

「彼女の様な娘にあの様に側で世話してもらえたら…」

等と妄想する男は少なくなくそんな男の親達も

「うちのだらしない息子の嫁に来てくれたら…」

等と思っては溜め息を吐く者も少なくなく無くなかった

兎に角今までの美月に居なかったタイプのミナは人々の視線を集めていた

勿論容姿の方も派手なタイプでは無いけどその代わりに清純で可憐なミナは男達の保護欲をそそる存在

そしてマイ…以前何度か給仕として働いてはいたが全く存在感の無い地味な印象…

それが良くも悪くも覚えている者の記憶だ

ったのだから殆どの人間の記憶にはなく大抵初対面の挨拶をされた

だがそれも良い方に考えればマイが変わり人の目を引く存在になれたのだと言う事だからそんなマイを踊りに誘う者も少なくなくそれを見ている同僚達に羨ましがらせていた

マイの成長は確かに他の侍女達を驚かせたけどただたんに驚いただけの事に過ぎなかった

「やはり侍女達の教育をやりなおさなければ変わらないのですね…」

そう密かに呟く王妃だった

今回王は命とチサとは踊らなかったけどその代わりに十四夜は命に十六夜はチサに付き添い三人分のダンスの時間を使い二人の食事時間に当てさせた

ただえさえ退場時間の早い二人はそうでもしなければ食事するのもままならないからだ

そんな二人の退場時間も近付き今回も終盤はダンスから開放された命は楽士達に混じり演奏に加わった皆本音を言えば最後までダンスに加わって欲しいがあれだけ幸せそうな顔をする命に演奏を止めてとは言えない

最後の曲は本来ダンス曲ではないものの命の歌声に合わせ皆思い思いのパートナーとチークダンスを踊り始めた

国王は妻の王妃と、十六夜は勿論ユイで夫婦での参加者は当然配偶者と踊り

未だ結婚してなくても思い合う者達はその想い人と…

それぞれの想いを胸に共に踊ったのだった

そして命、チサの退場時間になり

「皆さん、今日も楽しい夜をありがとおございますっ♪みことチサちゃんはおねむの時間になったからお部屋に帰るけど…

今日はユウさんとユカさんがお仕事で居ないから観月ちゃま、今日は二人を最後まで宜しくお願いします」

 

「何かみこちゃんお薦めの曲はありますか?」

「あのね、未だ不安だけどね…ダンスの前にピッタリな歌があるんだけど…」

そう言って歌い出した曲は確かにダンスパーティーのオープニングを飾るにに相応しい曲(イメージ曲はシャルウィーダンス、大貫妙子)

命の歌に湊が即興で合わせ暫く練習し本番もこの曲で行く事に決まり

手入れも終えてそれも含めたリハーサルを繰り返した

勿論その事はパーティーの主催者である観月にも報告したら

「その曲なら私も知ってますが…いきなりみこの歌声でパーティーの開幕を知らされたら皆驚く事でしょうね

私も事前に知ってしまったのが惜しい位の企画、やはり柔軟な思考のみこは面白い発想をしますね

 

その方面については然程専門的な知識は持ち合わせてませんので貴女達に任せますからみこへのサポート頼みますね」

そう言われどう説得しようかと悩んでいた自分がバカみたい感じる操だった

命が午睡から目覚め本番前の最後のお茶休憩(茶菓はミナからの差し入れ)を終え本番前の総ざらえ

それを終えて一同は軽い食事と着替えを済ませに控え室に戻り命も自室に連れ戻されて着替え等の仕度をさせられたその命が阿に控え室に運ばれていくと今度はミナとマイの番でユウとユカの手により美しく変身していく二人も最初は私達なんかがと尻込みしているのを

「この先水の精霊の巫女として人々を導かねばならないみこの側近く仕えると言うことは貴女達もいずれユイやユウ、ユカ達美月のメインスタッフの様に社交の場にも付き添ってもらわねばなりませんがそれは理解できますね?」

そう言われた二人が頷くと

「ユイ達が私の側に居るようにみこの側で仕える存在になりなさい、その為にも私達が側に居る今の内に色々な事に慣れておきなさい」

そう言われて果たして慣れることが出来るか?という本人達の疑問はさておき国王夫妻がゲストを迎えその他の王室関係者の入場も終わったにも関わらず人魚姫の姿が見えない事を疑問に思い訝しげに辺りを見回す訪問者達

薄暗がりのパーティー会場内は参加者のざわめきの中、何の前触れもなく指揮者の操にスポットが当たり注目が集まり両手を振り上げると命の歌声と伴奏が同時に始まって…

事前に知らされていた観月は国王を…ユイは十四夜にチサは十六夜を誘いミナは歩風でマイは艇督をパートナーに指名すると他の淑女達も命の歌声に誘われ…各々が思うままにパートナーを選び指名して行きその歌を歌い終える間近に命も海兵隊の提督に右手を差し出し歌い終えると一言だけ

「みこと踊って」

と言うと提督も海の男に相応しくただ一言だけ

「勿論喜んで」

答え命の手を受け取るとその甲に口付けを落としダンスの曲に切り替わるとパーティーが始まった

最初は何も知らされいなかった参加者が戸惑ったものの粋な演出が喜ばれ以降は美月主催のダンスパーティー定番化となった

今夜のパーティーでユウとユカが不在の穴を埋めたのはミナが男達を喜ばせた

「社交界で遠慮はタブー」

は、やはり建前でミナが命に寄り添い仕えている姿を見て

「彼女の様な娘にあの様に側で世話してもらえたら…」

等と妄想する男は少なくなくそんな男の親達も

「うちのだらしない息子の嫁に来てくれたら…」

等と思っては溜め息を吐く者も少なくなく無くなかった

兎に角今までの美月に居なかったタイプのミナは人々の視線を集めていた

勿論容姿の方も派手なタイプでは無いけどその代わりに清純で可憐なミナは男達の保護欲をそそる存在

そしてマイ…以前何度か給仕として働いてはいたが全く存在感の無い地味な印象…

それが良くも悪くも覚えている者の記憶だ

ったのだから殆どの人間の記憶にはなく大抵初対面の挨拶をされた

だがそれも良い方に考えればマイが変わり人の目を引く存在になれたのだと言う事だからそんなマイを踊りに誘う者も少なくなくそれを見ている同僚達に羨ましがらせていた

マイの成長は確かに他の侍女達を驚かせたけどただたんに驚いただけの事に過ぎなかった

「やはり侍女達の教育をやりなおさなければ変わらないのですね…」

そう密かに呟く王妃だった

今回王は命とチサとは踊らなかったけどその代わりに十四夜は命に十六夜はチサに付き添い三人分のダンスの時間を使い二人の食事時間に当てさせた

ただえさえ退場時間の早い二人はそうでもしなければ食事するのもままならないからだ

そんな二人の退場時間も近付き今回も終盤はダンスから開放された命は楽士達に混じり演奏に加わった皆本音を言えば最後までダンスに加わって欲しいがあれだけ幸せそうな顔をする命に演奏を止めてとは言えない

最後の曲は本来ダンス曲ではないものの命の歌声に合わせ皆思い思いのパートナーとチークダンスを踊り始めた

国王は妻の王妃と、十六夜は勿論ユイで夫婦での参加者は当然配偶者と踊り

未だ結婚してなくても思い合う者達はその想い人と…

それぞれの想いを胸に共に踊ったのだった

そして命、チサの退場時間になり

「皆さん、今日も楽しい夜をありがとおございますっ♪みことチサちゃんはおねむの時間になったからお部屋に帰るけど…

今日はユウさんとユカさんがお仕事で居ないから観月ちゃま、今日は二人を最後まで宜しくお願いします」




女神の祭典が終わりました
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