仮面ライダードラゴンナイトStrikerS   作:龍牙

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第十一話『仮面ライダーポイズン』

???SIDE

 

 

「と言うのが、将軍からのお言葉だ」

ブレードの言葉を聞いているポイズンは満足気に頷き、

「なら、ぼくがあいつを倒せば、彼女をぼくの物にしても…」

「ライダーのデッキを渡された際に将軍と交わした契約にも反しないな…」

ブレードとポイズンはポイズンスコルピオに両腕を拘束された状態で気を失っているギンガへと視線を向けてそう告げる。

「将軍との契約はモンスターを使い、時にはお前自身が人間を攫う事。その女を将軍の元に届けない事は契約に触れる。だが…ドラゴンナイトの関係者である事と、今回のお言葉を総合すれば…」

ブレードは仮面の奥で表情を浮かべながら、ポイズンにドラゴンナイトと戦う意思を植え付ける言葉を告げる。

「…その女を使ってドラゴンナイトを誘き寄せて倒せば…“この世界でその女とお前が暮らす事も出来るだろうな”…」

「クックックッ…ドラゴンナイトを…。あいつを倒せば良いのか…? そんなのは簡単な事だ。この力さえあれば…」

“与えられた力に溺れている”と言う言葉が似合うポイズン…ブレードからのポイズンの評価もそんな物だ。同時にゼイビアックスの言葉が正しかった事を改めて理解した。

確かにポイズンはシェルクラブよりもゼイビアックスから与えられたライダーの力を使いこなしていた。それでも、ゼイビアックスは“ポイズン程度の力ではドラゴンナイトには勝てない”と言っていた。確かに、ドラゴンナイトは他のベンタラのライダー達に比べれば弱い方だろう。

だが、それ以上にゼイビアックスが選んだライダー達は決定的にドラゴンナイトに劣っている。ウイングナイトと共にゼイビアックスの軍勢を相手に一年間の死闘を切り抜けてきたドラゴンナイトの持つ経験は、ライダーになったばかりのゼイビアックス製ライダー達には、決して埋められない大き過ぎる差なのだ。

唯一の例外はゼイビアックスの言葉どおり、ゼイビアックス自身の使っている『アビス』と『ブレード』、そして、このデッキを渡す対象に選ばれた者が変身したライダーだけだろう。ブレードにしてみても勝てる可能性があるだけで勝てるとは断言できない。ならば、捨て駒を利用してドラゴンナイトの実力を知れば良いだろう。ポイズンはその為の捨て駒にも丁度いい。

そんな事を考えながらブレードはポイズンを一瞥する。ポイズンは気を失っているギンガを逃がさない様に拘束していく。

(…精々頑張ってもらおう…オレが<r奴:ドラゴンナイト>を倒す為に)

そんな事を考え、ブレードは自身のアドベントビーストの一体、『ガルドミラージュ』にポイズンの監視の指示を出し、心の中でそう嘲笑いながらその場を後にする。

SIDE OUT

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統夜SIDE

鏡面世界、統夜はドラゴンナイトの姿でドラグサイクルを走らせている。

ドラグレッダーと手分けしてギンガと、彼女を連れ去った<r相手:ライダー>を探し回っているのだが、広い世界の中で人2人とモンスター1匹を探すのは至難の業だろう。

下手をすればゼイビアックスの本拠地を探した方が余程効率的だ。

「何処にいる…?」

中々相手が見つからない事への苛立ちを覚えながら、一度現実の世界へと帰還しようとした時、

「やあ、親愛なるドラゴンナイト、元気だったかね?」

「チッ!」

仮面の奥で『この忙しい時に』と不快な表情を浮かべて声の聞こえた方向へと視線を向けると、そこにはアビスの姿が有った。

「こっちじゃお尋ね者だって言うのに…よく平然と出てこれるな」

「ハッハハ、心配してくれてありがとう。だが、心配は要らないよ、少なくとも…この世界では君以外には私の脅威は存在しない。それに、こうして時々外を歩かなければ健康に悪いからね」

アビスはドラゴンナイトの言葉に笑いながら答える。例え指名手配されていたとしても、素顔はアビスの仮面の奥に隠されている上に、素顔を曝したとしてもそれがゼイビアックス自身の物では無いと言う事はゼイビアックスの正体と共に知っている。

そして、この世界でゼイビアックスの軍勢を相手に最大限に戦えるのはドラゴンナイトただ一人なのは間違いない。だが、ゼイビアックスにとって現時点でドラゴンナイト一人が『脅威』と言えるかどうかは疑問だ。

カードデッキからソードベントのカードを抜き取り、ドラグバイザーに装填しようとした時、

「相変わらず血の気が多いね。私はまだ君と戦う気は無いと言うのに」

「…お前になくてもオレには有るんだよ」

「それもそうだ。だが、今日は君に良い事を伝えに来た。…この世界の君以外のライダー達は君を優先的に狙うようになってくれるだろう」

「? どう言う意味だ?」

「私の企画したイベントだよ。君を倒せば倒した者の願いを、私がどんな願いでも叶えようとね」

『SWORD VENT』

アビスの言葉を聞きながらドラグバイザーにカードを装填、ドラグセイバーを召喚してアビスに向ける。

「随分と気前が良い話だな。…どうせ叶える気は無いんだろう?」

「それは願いによるね。世界が欲しい程度の願いなら、私の計画が完了した後に、このミッドチルダをプレゼントしても良い」

以前、地球の『仮面ライダートルク』こと『ドリュー・ランシング』にも同じ様な事を言っていたらしい事を…ストライクに狙われて助けを求めに来た時にドリューから聞いている。

少なくともゼイビアックスにとっては地球もミッドチルダも、人間に用が有るだけで世界には何の興味が無い様子だった。必要が無くなった人の居ない無人の世界など…不必要なのだろう。だがそれは、

「随分な詐欺だな。…自分一人しか居ない無人の世界なんて…貰っても困るだけだろうが」

ゼイビアックスが約束を守ったとしても、自分以外に人間の存在しない世界を押し付けられる事となるだけだ。

「ハッハッハッ…。私は世界を欲しいとは言われても、人間が欲しいとは言われて無いからね。契約違反は別に何も無いだろう」

笑いながら答えるアビスの言葉に対して不快感を覚えながらドラグセイバーを突きつけていると、ドラゴンナイトを囲む様にレッドミニオン達が現われる。

「それでは、さようならだ。存分に私の企画したパーティーを楽しんでくれたまえ」

「チッ!」

 

襲い掛かってくるアビスの置き土産のレッドミニオン達にドラグセイバーを振るい、一通り片付けると、今度こそ現実世界へと帰還する。

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「そう言う訳です。今回の動きから考えて…ゼイビアックスではなく…ゼイビアックスの配下のライダーの一人が動いていると推測できます。……すみません、オレがついていながら…」

『いや、お前さんが気にする事じゃねえ…』

ドラグレッダーに向こうでの捜索を任せて、ギンガが攫われた事をゲンヤへの通信で話す。通信機越しに聞こえてくる声からは明らかに悔しさを含ませた響きがある。

「…それと、最悪の知らせがもう一つ…。まだ推測の段階を出ていませんけど、敵の動き…」

一連の敵の動きからの推測でしかないのだが、それでも可能性の一つとして上げられた最悪の推測を告げる。

『ッ!? うちの部隊の中に<r異星人:エイリアン>の手下になった奴が居るのか…?』

重なってしまう悪い連絡…告げる統夜としても心苦しい物が有るが、通信機越しから聞こえてくる声からは怒りの感情が感じられる。

「可能性の一つです。オレの考え過ぎで、全ては単なる偶然かも知れません…」

そう、全ては単なる偶然だと考える事も出来る。先日のモンスターとの戦闘で自分(ドラゴンナイト)の存在に気付かれただけなのかもしれない。

だが、

「念の為に数十分前の隊員の所在の確認をお願いします。……ゼイビアックスがライダーに選ぶ基準は何も『犯罪者』じゃ有りません…『利用できる人間』です…」

単純な話だ。ゼイビアックスが悪のライダー軍団に犯罪者を選んだのは力を手にする目的が有り、利用し易いからだ。絶対安全な潜伏場所、強力な武器の提供。その代償は自分の命令に従って人を安全な鏡の中から攫う事、自らの欲望に従って人間を裏切る事、それだけだ。

 

だが、強力な武器…ライダーの力を利用して何かをしたい、何かを欲しいと望んでいる人間に…他の人間を裏切る事を条件に力を望む者にデッキを渡す。

それだけで良い、カードデッキを渡す際に痛くも無い顔を曝した所でゼイビアックス自身にはリスクは無いのだから。

ゲンヤからの返事を聞き、ギンガを助ける事を改めて頼まれ、通信を切ると再び捜索の為に動き出そうとした時、鏡面にドラグレッダーが呼んでいるのが目に入る。

それに気が付き、鏡の中に飛び込むと、ドラグレッダーが『着いて来い』と言う仕草を統夜に見せている。

先ほどまで乗っていた(黙って)借りてきたバイクに乗ってドラグレッダーの後を追う。

 

暫くバイクを走らせると何処かの建物の中に意識を奪われた状態で拘束されているギンガの姿が視界の中に入った。

「ギンガ!? …罠って訳かよ…」

モンスターが態々こんな事をするはずが無い。それを考えれば、それには何らかの人為的な意志、悪意的な物が感じられる。

罠を警戒しながら一歩ずつ近づくと、足元の違和感に気が付き大きく真上に跳び、ドラグレッダーに捕まり、崩れた床に足を取られずに済む。

「やっぱりな」

足元に視線を落とすと崩れた床の中に蠍型のモンスター、ポイズンスコルピオの姿を見る。

同時に隠れていたのだろう、何体かのレッドミニオン達が現われる。

崩れた床から離れた所までドラグレッダーに運んでもらうと、ドラグレッダーから降り、カードデッキを取り出す。

「それで…アドベントビーストに任せて高みの見物か?」

『気付いていましたか?』

そんな言葉と共に拘束されていたギンガの後から一人の男が姿を現す。管理局の制服を着ている事から、統夜の推測は大体当っていたのだろう。

「こう見えても、司令官や先輩達に鍛えられてるんでね」

…はっきり言ってレッドミニオン程度なら素手で戦えるレベルです。

予断だが、それでも、レンには手加減されては居る物のなんとか戦えているレベル。

付け加えると、ライダー達の指揮官であり、カードデッキの開発者であるユーブロンには手加減されても手も足も出ていなかったりする。

「…お前、確か…」

現われたポイズンスコルピオやレッドミニオン達を従えている局員らしき男の顔を見て表情を変える。…確かに見覚えがある。先日、自分の事を紹介された時に居た。

「ゲンヤさんの部下の…」

「私は『ソロ』と言います。クスクス…あなたさえ倒せば、彼女はぼくの物になる」

『ソロ』と名乗った局員は狂気に近い笑みを浮かべながら蠍をイメージさせる紋章が描かれたカードデッキを取り出して、統夜へと向ける。

「早速、あいつの企画したバトルパーティーに強制参加か!?」

同時にカードデッキを構えながら、互いに力を与える言葉を叫ぶ。

「「KAMEN RIDER!」」

カードデッキをVバックルに装填し、統夜とソロは同時にライダーに変身する。

統夜が仮面ライダードラゴンナイトに変身するように、ソロもまたスティングのイメージが感じ取れる姿に所々の紫のアーマーが蠍をイメージさせ、左手には蠍の尾のような形をしたカードリーダー『ポイズンバイザー』を装備した仮面ライダー『仮面ライダーポイズン』へと変身する。

『SWORD VENT』

同時に響き渡る電子音が互いの武器、ドラゴンナイトとポイズンはドラグセイバーとレイピア状の武器『ポイズンレイピア』を召喚する。

そして、床に開いた穴の中からポイズンスコルピオが飛び出しポイズンの隣に立つと、ポイズンはレッドミニオン達に指示を出す。

「やれ!」

「ッ!?」

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