魔法先生の弟ってそれどんな苦行?   作:アドゥラ

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ちょくちょく飛んだりします。時間が。

今回、最後のほうであのキャラが登場。


苦行の三

 本日も晴天、快調快調。

 

「おい、ここで油売っていてもいいのか?」

「まあ師匠も鬼……ですけど情けはあるでしょうし」

 

 ひなた荘にて、住民と師匠による小競り合いというか、争いというか……まあ、お互いの居場所を賭けた戦いからはや数日。

 結局、俺は小さいからと和風喫茶の方へ預けられてしまいました。

 朝だけは料理の仕込みにいくんですけどね。旅の間は料理を覚えないとやばい事も少なくなかった……あれ、おかしいな、涙が止まらないや。

 

「ど、どうしたんだ!?」

「なんでもないんです、はるかさん。ただ、師匠の鬼エピソードを思い出しただけですから」

「ああ……アイツは昔からそうだったんだよなぁ」

 

 間違いなく、婆ちゃんの悪い部分とかをすべて吸収している逸材だ。

 何度も逃げ出そうとした。まあ、無理だったけど。

 途中から変装の技術を身につけようとしたり、見破るために表情や目を見てなんとか判断しようとしたり。

 師匠、普通の笑顔というか、笑い顔だけは苦手だからそこで見抜くしかないけど。

 

「そういえば、あいつ等一回ひなた荘を出て行きそうだったぞ」

「どうせすぐに戻ったんでしょう。見るからに諦め悪そうだし、なんか師匠の天敵の予感がします。っていうか、一矢報いるチャンス?」

「おい、師匠は敬うものじゃないのか?」

「俺のスタンスは基本的に、師匠だろうと何だろうと、自分のもてる全てで上回れですから。必ずや、面白い表情をこの一眼レフで激写してやりますよ!!」

「……師匠が師匠なら、弟子も弟子だよ」

「まだまだ俺の変装は甘いですけど、浦島流柔術の一つは免許皆伝ものですよ!」

「ほぉ、そりゃ凄い……だが、何を極めたんだ?」

「…………地獄極楽カメ縛り」

「なんでそれを極めた!?」

 

 だって、師匠隙あらばこればっかり教えてくるから調子に乗って……

 

 ◇◇◇

 

 不毛な会話から数時間後、ひなた荘住人から師匠の歓迎会をするから手伝って欲しいといわれたので手伝うことになりました。

 あれ、俺は……?

 

「で、や……可奈子の笑っている写真とかが欲しいんやけど」

「そんなものありませんよ。少なくとも、俺は見たことないです。というか、師匠の笑っている顔を激写するのも俺の目標ですよ。一年以上一緒にいても笑わないとか」

「うわぁ、筋金入りやな」

「だが、どうするのだ?」

 

 なんでも、師匠の笑顔のぬいぐるみをつくるのだとか。

 だけども……あ、そういえばあったような気がした。

 

「一枚だけ、師匠の笑っている顔が映っている写真があったと思います」

「ホントですか!?」

「しのぶさん、身を乗り出さない。カオラさん、武器はしまってね。あと、後で貸してくれ」

「自分の欲望をサラッと……」

「まあ、それはおいておいて……たぶん、一枚だけ笑っているのがあったはずです。見たことはないですけど」

「たぶん、景太郎と一緒に移っているやつだな。私も昔、何度か見たことがあるだけだけど今でも持っているんじゃないか?」

「店長、本当ですか?」

 

 はるかさんの証言も取れたし、まあ、あると思うけど……いまはこの幽霊を捕まえる掃除機みたいなやつのほうに目が放せない。

 

「こ、これは噂に聞くアレ?」

「そうや! アレや!!」

「まて、スゥ……私がいるのに除霊用の装備が必要なのか!? というか、なんで今それを出すんだ!?」

「モトコ、分かってへんな……」

「そうですよ、京都神鳴流はそんなに器が小さいんですか?」

「何の話だ……というか、何で剣を見せていないのに流派が分かるんだ?」

「ああ、スプリングフィールドって名前出したので分かるかと思いました。ちなみに、情報ソースは高畑・T・タカミチ」

「詠春さんの知り合いの子供……って、なんでここにいるんだ!?」

 

 はっはっは。悩め悩め。

 ちなみに、除霊アイテムは俺がここに来たことで雑霊が少しばかり活性化して増えたからです。パーティーの前に邪魔なのは一掃する予定だから。

 

「兄と一緒の学校に通うつもりだったんですけどね……入学試験落ちたんだ」

「なんか、すまん」

「いいんですよ。世界最高学府レベルのあいつ等がおかしいだけなんで」

「…………ちなみに、兄の歳は?」

「同い年。双子ですよ」

 

 ローニンズの青山素子さんは、そのまま崩れ落ちてしばらく使い物にならなかった。

 俺の学力? 流石に東大は無理だよ……転生後も一応知識はあるから、高校レベルがまあ、大丈夫かな程度。

 麻帆良に通えればいいから特に気にしてないけどね。

 

 ◇◇◇

 

 その後、歓迎パーティーは開かれた。いや、開かれたっていっていいのか?

 まあ、喫茶の方にいたらなんか騒がしくなって、先に始めたと思ったら……

 何処をどう間違ったのか師匠ってば、歓迎パーティーを自分を追い出すための作戦と勘違い。

 うっかりスキルでも持っているんじゃないかと疑いたくなりましたとさ。

 

「はい、コレみんなで作ったんです。可奈子さんのぬいぐるみ、もらってください!」

「いやぁ、カナコの笑った写真捜して作ったんや。あ、コレ返すわ」

「カオラさん、あんたのせいか」

 

 どんちゃん騒ぎが聞こえてきたから急いできたんだ。だから、詳細に何があったのか分からないけど、三行でまとめるぜ。

 

 皆がコソコソしているから怪しんだ師匠

 写真がない。つまり、追い出すつもりだ、デストロイ

 真実は、自分の歓迎パーティー。うっかり可奈子ちゃん

 

「言いたいことはそれだけですか?」

「ギブギブギブギブギブアイアンクローはヤメテー!?」

 

 まあ、師匠の照れた顔とかばつの悪そうな顔とか激写できたからよしとしよう。

 

 ◇◇◇

 

 そんなこんなで遂に、ひなた荘が旅館としてオープンする日がやってきました。とっても、昨日の今日ですけどね。

 年上ばかりだからか丁寧口調がついて悲しい。

 もっと弾けたい。もっと、もっと……

 

「ナベが悪い顔しとるんやけど」

「ほっとけスゥ。どうせくだらない事を考えている顔だ。ほら、あっちでキツネさんが同じ顔をしている」

「あーモトコーの言うとおりや」

 

 ちなみに、本日オープンといいつつ浦島景太郎が来るまで一見さんお断りなのを彼女達は知らない。

 ついでに、俺は知っているけどあえて言わない。なぜなら、そのほうが面白――

 

「モケッ!?」

「やっぱり黙ってたのかよ!!」

 

 ひなた荘ヒエラルキー最下層、ナベ・スプリングフィールド……サラのジークンドーにより撃沈。

 この様子をみていた浦島可奈子により地獄の特訓がかせられることになる。

 

「…………だからって追い出さなくてもいいだろ」

「ご主人様は最近たるんでいるミャ」

「いつもながらに暴走していますね。いい意味で」

「うるさいよシチミにモツ」

 

 丸っこい猫的なナマモノのシチミ(少し毒舌な伸縮自在さん)と、胡乱なカエルのモツ(基本ボケのナマモノ)のダメだしを華麗にロマンキャンセル。

 さて、ひなた荘では今頃大騒ぎ。景太郎さんが近々帰ってくるらしくその準備だとか言っているけど……

 

「で、本当は?」

「師匠がライバルの景太郎さんへの好感度調査じゃないですか……っていうかいつの間に現れたんですかはるかさん」

「さっき。店の中じゃタバコ吸えないしさ……公園に一人で何やっているんだ?」

「いえ、ひたすら龍牙(気弾を撃つ浦島流の技)を連続で出していただけです」

「近所迷惑だから止めろ」

 

 ちなみに、モツとシチミは人に見つからないように隠れました。

 具体的には、俺の懐の中に。さっきからくすぐったくて仕方がない。特にモツはワザと脇の下とかくすぐってきやがる。

 あとで的にするか。

 

(コレはDieピンチ!?)

(自業自得ですミャ)

 

 さてと、このままはるかさんもすぐに戻れば続きが……

 

『おねがいっやめてお兄ちゃーん!!』

 

 そうは問屋がおろさないのがこの世の中。

 ひなた荘のほうからものすごい大声が……

 

「……なあ、今のって」

「師匠の声ですねぇ……たぶん、だれかに兄の格好させて好感度チェックやったんでしょうね。で、見ているうちにマジになって」

「アレか。いやぁ……ますますブラコンに磨きがかかっているじゃないか」

「ええ、一年以上行動を共にして分かりました。再会したら取り返しのつかないブラコンになります。っていうか、今は無意識っぽいですけど既に手遅れです」

 

 きっと、血はつながっていないから大丈夫とか言い出すんだろうなぁ……

 その後は師匠となるさんが公園にやってきたのではるかさんと身を潜めて観察しています。

 二人でブランコに座って、仲良さそうに……違うな。アレは、アレは!?

 

「いいなぁ、私男の兄弟いないからなんかうらやましくって……カナちゃん、本当にお兄ちゃんのことが好きなんだね」

「――わないで」

「え?」

「……わかったようなことを言わないで」

 

 いつも以上に冷えた視線でなるさんのほうを見る師匠。

 ああ、逆鱗に触れちゃったのか。

 

「兄は誰にも渡さないわ、ひなた荘の誰にも。もちろん、なるさん……あなたにもね」

 

 そういい残し、師匠はゆっくりとあるいて立ち去った。

 なんていうか本当にブラコンだよ、手遅れだよ。

 

「あ、ちょっ」

「やめときな、無駄だよ」

「はるかさんにナベ君もいたんですか!?」

「なんかありそうだったんでそこの茂みに」

「なら出てきて下さいよ……でも、やっぱりあの年頃の子ってお兄さんにあこがれるものなんですかねー」

「……そうだといいんだがな」

「間違いなく違うと思いますよ」

「どういうこと?」

 

 まず、あの年頃の女の子が兄に対してあそこまで好意を示すなんて殆どない。

 加えて師匠のアレはベクトルが家族愛じゃないし、強度も段違い。

 すなわち、出される答えは一つしかないのだが……

 

「まあ、鈍感でヘタレななるさんには分かりませんよ」

「……フンッ!」

「チェケラベイベ!?」

 

 ひなた荘名物、成瀬川なるさんのお仕置きパンチは外傷はないのに吹っ飛ぶ奇跡の一品でした。

 その後は日が落ちるまで一人、モツに向かって龍牙をぶっ放しまくりでした。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!」

「おおおおおお!? 中身が、中身が出るゥウッゥゥ!?」

「町が汚れるからその辺で勘弁してやってほしいミャ」

「ワタシの心配は無しですかーッ」

 

 




ってことでモツアンドシチミでした。

あ、眉毛ネタやるの忘れた。
また今度やるか。
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