永遠の煩悩者   作:煩悩のふむふむ

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第三十六話 後編

(横島が応援してくれたような気がする……ありがとう横島。俺はやるぞ!)

 

 横島の激励に応える様に悠人は気合いを入れた。アセリアを抱く覚悟を決める。

 もしも横島が悠人達の情事に気づいていたら「死ね」の一言だったろう。

 

 アセリアという少女は神秘的な雰囲気を纏っている。綺麗と可愛いの中間。少女と女性の中間。侵すべからずの聖域を汚すような感覚に、悠人の胸は背徳感でいやがおうにも高鳴った。

 

「ユート。私の服を脱がせられるか?」

 

「あ、ああ! やってみる」

 

 軽鎧を外し、薄い上着を脱がす。

 そしてブラジャーというほど上品ではない胸当てを外した。

 胸当てが落ちるとアセリアは小さく声を上げて、さっと膨らみを手で隠す。所謂、手ブラ状態だ。掌ですっぽり隠せる程度の膨らみしかない。

 とはいえ、細く小柄なアセリアだからか、あまり貧乳とは思えなかった。品評するのなら『ちょうど良い』と言ったところか。

 

「とても不思議」

 

「え?」

 

「ユートは私とお風呂に入ると、いつも目を逸らしてた。なのに、今は凄い目で見てる」

 

 不思議そうなアセリアの目に、悠人は羞恥を覚えた。

 アセリアの胸を凝視した挙句、おっぱい評価まで下した自分が情けない。

 恥ずかしさを誤魔化すように悠人は声を張り上げる。

 

「で、でもそれを言ったらアセリアだって同じだろ! いつもは隠さないのに、隠してるじゃないか!」

 

「ほんとだ。うん、とても不思議だ」

 

 思わず胸を隠したアセリアが、自分自身を不思議がる。

 あのアセリアが恥ずかしがっていると考えると、悠人は胸の高鳴りを覚えた。

 テンションが上がった悠人の手は自然と動いて、アセリアをパンツ一枚まで脱がしていく。

 

「ユート。少し待て」

 

「えぇ?」

 

 いよいよ最後の聖域に手をかけようとして待ったをかけられた悠人は、それはもう悲しい声を上げた。

 

「次は私が脱がす」

 

 どこか楽しげにアセリアが言って、悠人の服を脱がし始める。

 誰かに服を脱がされるなんて何時ぶりだろうか。

 幼い頃、義母に服を脱がせてもらった時を思い出した悠人は感傷に浸っていたが、

 

「ぐぅっ!」

 

 ガツンガツンガツンと股間から激しい痛みが上ってくる。見ると、アセリアがズボンを下ろそうとしているが、何かが引っかかって脱がせられないようだ。何かとは、何か? そりゃナニである。

 エーテルの戦闘服は非常に頑丈で、戦闘で引っかからないように遊びがない。出っ張りがあれば脱がせられないのは当然であった。

 

「ユート。これ小さくしないと脱がしづらい。小さくして」

 

「小さくって言われても……うぅ」

 

 目の前の光景があるかぎり、小さくするというのは並大抵の苦労ではなかった。

 満月の光がアセリアの半裸を浮かび上がらせている。薄ぼんやりと見える裸身は非常に色っぽくて、色々なモノを滾らせてしまうのは無理からぬことだろう。

 

「しかたない……えい」

 

「うひ!」

 

 悠人の『聖賢』を……ではなく『聖剣』……でもなく、『性剣』をアセリアは手で無理やり押さえつけてズボンを脱がそうとする。

 だが、それは悪手だった。出る杭は打たれるというが、打たれるとさらに飛び出てくる杭もあるのだ。

 

「わ!?」

 

 アセリアの手を押し返さんばかりに『性剣』がいきり勃つ。

 さきほどよりも勢い良く、まるでズボンを突き破らんばかりである。

 

「む……ユート。どうして意地悪する。これじゃ脱がせられない」

 

 意地悪と言われても、意地悪されているのはこちらだと悠人は思った。

 ズボン越しでもこんなにも刺激されては大きくなるのは仕方ない。まあ、これ以上刺激されれば小さくなるかもしれないが、それだけは絶対に避けたかった。

 

「やっぱりエスペリアの方がいいのか」

 

 いきなりエスペリアの名前が出て悠人は面食らう。

 アセリアの言葉の意味を理解すると、その顔色は赤と青を行き来した。

 

「気づいてたのか!? 俺がエスペリアと……その……ごにょごにょを」

 

「うん、エスペリアには色々と教えてもらった。それで……最後までしてくれないのが嬉しくて、悲しいって」

 

 あれらの行為はあくまでも悠人の精神を守るためだけのもの。そういう事になっている。

 それが分かっている悠人は、最後の一線だけは越えないように頑張った。ここでアセリアを抱いても、別に浮気でも裏切りでもなんでもない。

 それは確かな理屈だ。だが、理屈だけはどうにもならない切なさが悠人の胸を締め付ける。

 脳裏に浮かぶエスペリアの儚げな表情。だが、気づけばアセリアの顔が目の前にあり、唇に何かを押し当てられた。アセリアとの初めてのキスだ。

 

「ユート。今は私を見てほしい……お願い」

 

 いつもの透明な声ではなかった。

 願いと、執着。透明な心でない、生々しさがそこにはあった。

 アセリアが普通の女の子のようにやきもちを焼いてくれている。いつも泰然自若というか天然のアセリアが、である。

 

 かわいい。

 

 悠人の心はさらにアセリアに引かれ大きくなり、

 

 モコンモコン!

 

 別の場所もさらに大きくなる。

 

「ユート」

 

「わるい」

 

 アセリアがじと目で悠人を見る。

 悠人の性剣は、もはや性槍と化していた。

 

「分かった。じゃあもうこれしかない……はあっ!」

 

 アセリアはすらっと神剣を構えると、気合一閃に振り下ろす。

 パサリと悠人のズボンが大地に落ちた。

 

「これでよし……あれ?」

 

 性槍は、短刀のように縮んでいた。

 

「ん……小さく出来るなら早くしてほしかった」

 

「そこに刃物を向けられたら小さくなるに決まってんだろ!」

 

「なんで……そうか。当たる部分を減らす為か」

 

「そうじゃなくて……まったく、アセリアだよなあ」

 

 それからからすったもんだをしながらも、とうとう二人は互いに一糸も纏わぬ姿となった。

 お互いにぎこちなく、相手の大切な所を触りあう。

 

「ん……ぁ」

 

 いつも抑揚の無い声で喋るアセリアが、聞いたこともない艶やかな声をもらす。

 艶やかな声に、悠人も声と体を震わせるのであった。

 

 一方その頃。

 横島達は。

 

 

「死ぃぃぃぃ!!」

 

「ひぃぃぃぃ!!」

 

 殺意と狂気の声に横島は体を震わせた。

 

 漆黒の鎧を纏った雪之丞が疾風の勢いで横島に殴りかかっていく。

 雪之丞の両拳は奇妙に歪んでいた。空間がねじれているのだ。

 下手に触れようものなら、それだけで肉が裏返るだろう。殴られたらミンチよりも酷い状況となる。横島は空間のねじれに強い耐性がある障壁を張りつつ回避行動をとるが。

 

「あめえよ!」

 

 緑の鎧を纏って雪之丞の手が雷を帯び、さらに拳を手刀の形に変えた。

 慌てて魔法防御と防刃に強い障壁に切り替えようとするが、手刀からさらに指一本だけで刺し貫いてこようとする。

 防御障壁の属性をこれ以上に転換できなかった横島は、迫る一本貫手を『天秤』で必死に受け止める。

 

「おっと、あぶねえあぶねえ」

 

 指を切られそうになった雪之丞は少し距離を置いたが、すぐに襲い掛かってくる。

 今度は赤の鎧となって炎を纏っていた。

 

『なんと目まぐるしく面倒な攻撃だ!』

 

 手刀の形で剣に。

 貫手の形で槍に。

 拳骨の形で槌に。

 

 青の鎧は断の拳。

 緑の鎧は重の拳。

 赤の鎧は熱の拳。

 黒の鎧は速の拳。

 

 ありとあらゆる属性の攻撃が襲い掛かってくる。それも、全てが最高の威力だ。

 特化型で、ある意味で万能。

 これが雪之丞の鎧型永遠神剣『闘争』の特徴だった。

 

「ずるだろ! 四色全部使えるとか!?」

 

「へっ! 全部いなしてるお前に言われたくねえな!!」

 

「俺だけの力ってわけじゃないぞ」

 

 横島は言って、後方で魔法による援護をしてくれている第三詰め所の面々に軽く手を振った。それに気づいた者達は嬉しそうに胸を張る。

 

 横島の周囲には常に大気の壁が出来ていた、さらに雪之丞の周囲には黒いモヤがまとわり付いている。

 第三詰め所の補助魔法だ。

 雪之丞の力が強すぎて、さほどの影響はないが、それでも首皮一枚を助けてくれる程度に効力を発揮してくれている。

 

 横島のほうにも妨害魔法が飛んできているが、こちらは殆ど影響がなかった。後方支援能力ではカオリ帝国よりもラキオス王国のスピリットの方が上手らしい。

 

 二人の戦いは続く。

 雪之丞が攻め、横島は守る。それを何度か繰り返すと、横島は一つの弱点を見つけていた。

 

「おまえ……強力な遠距離技はもってないだろ」

 

 全ての技が鎧に宿るタイプの技ばかり。時たま繰り出す遠距離技も、魔法陣を作ってから、それをぶん殴るという変則スタイル。しかも、弱い。完全なインファイターだ。

 雪之丞はふんと鼻を鳴らした。

 

「本当にそうおもうか」

 

「できんのならやってみろっつーの」

 

 非常に分かりやすい横島の挑発だ。

 ここでの決着を望んでいない横島にとって、後に控えた決戦のためにも情報を引き出せる限り引き出したいのだ。雪之丞も馬鹿ではない。それを察していて、ここで手の内を見せるのは上策ではないと理解していた。

 

「上等だ! みせてやるぜ!!」

 

 ここで熱くなるのが雪之丞という大馬鹿なのだが。

 そして雪之丞はロマンを叫ぶ。

 

「男の子の憧れってな! 食らいやがれ」

 

 その場で右手を突き出したかと思うと、ボンと爆発音が響く。

 

『横島! こいつは』

 

「ああ、マジかよ!」

 

 雪之丞の繰り出してきた遠距離攻撃に二人は唖然とした。

 

 手首が回転しながら飛んでくる。正しくこれはロケットパンチ。

 ロマンが溢れる男の子の夢の一つ。

 

「ぐぅ!」

 

 ロマンは現実には優しくなかった。

 当然だが雪之丞は右手首を失くすという大ダメージを負っている。

 

 さて、大きな代償を払って打ち出したロケットパンチであるが血飛沫を推進剤にでもしているのか、速度はある。だが動きは一直線だ。

 銃弾すら止まって見える横島にとって見切るのは容易い。

 

「踏み込みが足りん……ってな!!」

 

 突っ込んでくる手首を『天秤』で切り払う。

 

 横島は忘れていた。

 雪之丞もまたギャグ漫画の住人にして、GSだということを。

 手首と『天秤』がふれた瞬間、手首が爆発した。巨石すら粉砕できそうな爆発を、横島は寸前で障壁を張って防ぐ。だが、熱風にまぎれて手首の破片が障壁を貫いて全身に突き刺さってくる。とはいえ、皮膚に軽く突き刺さる程度。痛みはあるがダメージは軽微だった。

 

「あだだだ! くそ訳分からん攻撃を……っ!? あ、やば……回復を!?」

 

 何かに気づいた横島は顔を青くしてスピリット達に救援を頼もうとする。

 その途中で、横島に突き刺さっていた雪之丞の破片らが爆発した。肉を抉られて、きりもみしながら横島は吹き飛ぶ。

 

「どうだ! 俺は、俺の体ならどこでも爆弾に変える事が可能なのさ! 佳織にあやかって名づければ『D・Y・B』って所か」

 

 雪之丞は得意げに言った。既に緑の鎧となって、吹っ飛ばした手首は回復している。

 そのままボロボロになった横島に向かって突撃を開始する雪之丞だが、

 

「緑の癒しを! アースプライヤー!」

「闇に囚われよ! テラー!!」

「赤の衝撃を! ファイアボルト!」

 

 すぐに横島には回復魔法が、雪之丞には妨害魔法が入る。

 鬱陶しそうにしながらも雪之丞は横島に止めは刺すべく突き進む。だが、彼の歩みを止めるものが立ちはだかった。

 月の光で銀髪を輝かせて、居合いの体勢のまま鋭い眼光で雪之丞を睨みつけている。

 

「ふん、久しぶりだな」

 

「はい、お久しぶりで」

 

 ウルカ・ブラックスピリット。

 元はサーギオス帝国で、スピリット最強とも言われた彼女は、雪之丞とは面識がある。

 当時はウルカは己の神剣である『拘束』を使いきれない状況にあり、さらに非常に調子を崩していた。また、殺人できないという致命的な欠陥すら持っている。

 

 見るに見かねた雪之丞はウルカとその隊員たちに暇を出した。そこに戦士としての慈悲があったのは間違いないが、その後のフォローを全くしなかったために、ウルカの隊員達は地獄に叩き込まれるはめになった。

 

 お互い、相手に思うところはある。

 だが、この場面で感傷など無用だった。

 

「いきます」

 

「きやがれ」

 

 ただ殺しあうのみ。

 ラキオスのスピリットで雪之丞と打ち合えるのはウルカぐらいなものだろう。それでも、長く打ち合えるわけではない。見る見るうちにウルカは防戦一方となっていく。全身を鎧で纏った雪之丞と、隙を見つけて一撃を打ち込むブラックスピリットの相性は最悪だった。さらに低位神剣と高位神剣との間には根本的な力の差がある。それでも反射能力と絶妙の間合いの取り方でウルカは攻撃を耐え忍び、

 

「悪い、助かったウルカさん!」

 

 横島が体勢を整える時間を稼ぐことに成功した。

 

「こちらこそ、もう持たぬところでした。後はお願いします」

 

 横島と交代したウルカは、次に休むことなくセリア達に襲い掛かっている敵スピリットに向かっていった。

 第二詰め所の面々と直接戦闘をしているのはたった3人。雪之丞の親衛隊とも言える存在だとウルカからは聞かされていた。それ以外の帝国のスピリットは後方で支援魔法に徹底している。

 

 状況は、横島VS雪之丞。

 前衛が第二詰め所VS雪之丞親衛隊である3人のスピリット。

 後衛が第三詰め所VSそれ以外の、大量の雑魚スピリット。

 

 奇しくも、帝国の戦術はラキオスの戦術とまったく同じだった。

 

(頼むから誰も死なないでくれよ)

 

 横島が殺しあう女性達に望む事は、ただそれだけだ。仲間は当然だが、敵だって死んで欲しくはない。やり方さえされば、被害を最小限に抑える事だってできるのだから。

 表情を歪める横島とは対照的に、雪之丞は嬉しそうに瞳を輝かせる。

 

「戻ってきたな。やっぱり俺の相手はお前じゃねえとダメか」

 

「男に言われたい言葉じゃねー!」

 

「つれねえこというなよ!」

 

 雪之丞が突っ込んでくる。

 

『いい加減、防御だけではつらいぞ』

 

 『天秤』の忠告が頭に響いた。

 逃げるのは十八番だが、ただ追われるだけではいつか限界が来る。どこかで攻撃を仕掛けるしかないが、重要なのはどこで仕掛けるかだ。

 

 雪之丞は四色を使いこなしているが、それは長所だけでなく、短所にもなりえる。

 

 青は物と魔を少し防げる。

 緑は物特化。

 赤は魔特化。

 黒は全てに弱いが、反射等の特殊防御が使える。

 スピリットと同じだ。弱点も分かりやすい。

 

 狙い目はやはり黒属性だ。

 攻撃の反射や無効化は強力だが、これは特殊能力にオーラを割いているといえる。素の防御能力は低い。そこさえ突破してしまえば致命打を与えるのは容易だ。『天秤』が以前に『弱者か、よほどの強者の技』といったのはこれが理由である。

 『絶対に当たる拳』や『全てを無効化する装甲』なんて特殊な大技を打ってくれば一瞬で食い破れる。雪之丞と同格である横島にとって、特殊系の技こそが一番の穴なのだ。

 

 横島は攻撃を情けない悲鳴を上げながらも避け続け、雪之丞の隙を待ち続ける。

 

(マジかよ……化け物め)

 

 一方の雪之丞は密かな焦りを覚えていた。

 確実に自身の攻撃が見切られつつある。勿論、全力で戦っているわけではないし、技はまだまだもっている。それでも、見切られ始めているのは確かだ。

 全てに対応できるディフェンダー能力と圧倒的な反射神経と動体視力。そこに経験と柔軟な思考が加わって、雪之丞ですら攻めあぐねるしかない。

 雪之丞が固くて折れない鉄壁なら、横島は柔らかすぎて折れないコンニャクだ。

 

「それでこそだ!」

 

 恐怖と同時に高揚感が湧き上がる。

 この後の展開を考えれば手札を晒すべきではないが、これだけの相手を前に力を出しそこなうというの戦士としてあるまじきこと。

 

「へへっ! 懐かしい技を見せてやるぜ」

 

 ちまちまなんぞやってられない。大技をぶちかましてやると、雪之丞は距離を取って、黒の鎧となる。

 彼の周囲に巨大な魔法陣が生まれた。神剣魔法発動の前段階である。

 横島も魔法の体勢に入る。魔法勝負だ。

 

「――――いくぜ、よこし」

 

「一割の真実を掴み取れ! タイムストップ!!」

 

 雪之丞の魔法が発動する寸前に、横島の魔法が発動する。

 ピタリと雪之丞が止まった。何かを言いかけたようなマヌケな表情で、完全に動かなくなる。

 

「時間操作したいのがバレバレだっつーの」

『この男が無詠唱の時点で余裕もないのが分かりやすかったな』

 

 タイムストップ。名前になんの捻り無いこの魔法の効果は、相手の時間を止めるというシンプルなものだ。

 時間停止。

 何だか凄そうだが、実態は非常に使いづらい欠陥魔法である。

 

 永遠神剣の、特にエトランジェの持つオーラはありとあらゆるもの全てに干渉が出来る。火を防ぐのも、時間操作を防ぐのも、何ら変わりはない。

 しかも、時空間や因果律等を扱う魔法はマナも精神力も多く使うくせに、格下にもそこまで効果はない。相手がよほどの格下なら効果を発揮するだろうが、それなら別な魔法を使うか、そもそも近づいて殴ったほうがずっと早いだろう。

 

 それでは、どうしてそんなにも欠陥だらけの魔法を横島は習得しているのか。賢明なる者なら(変態紳士)お分かりいただけるだろうが、それは横島の名誉に関わるので、ここで述べるわけにはいかないのをご了承いただきたい。

 

 さて、タイムストップはよほどの格下にしか効かない。

 ならどうして雪之丞に効いたのか。答えは簡単だ

 

 雪之丞は、自分から時間抵抗能力を極端に下げたからだ。

 さきほど雪之丞が使用したのは、自分の時間を早める神剣魔法である。自分の時間を加速させるには、時間への抵抗力を落とさなければならないのだ。

 ちなみに、これは多くの魔法でも同じだ。

 攻撃を高めれば防御が下がる。魔法を高めれば攻撃が下がる。防御を高めれば精霊力が下がる。

 例外は悠人の使える極一部の魔法とグリーンスピリットによる防御補助魔法ぐらいだろうか。

 

 また、雪之丞にとって不幸だったのは、横島は謎の巫女である時深という女性の戦闘見てしまったことだろう。時間加速という大技は、横島には筒抜けだったというわけだ。

 

 ともあれ、横島は勝利した。

 

「あっさり決着がついちまったけど……これで終わりだ!」

 

 『天秤』を振り下ろす。

 時間が止まった雪之丞はなすすべなくその刃を身に受けるしかない。

 

「な……めんじゃねえ!!」

 

 流石はGS美神で屈指の戦闘狂だ。

 多少なりとも時間停止に抵抗したらしい。動けはしないが、意識は残っていたのだろう。

 

 雪之丞の鎧が赤色に変わる。攻撃したら爆発するぞ、というわけである。横島が驚いて手を引く時間さえ稼げれば、この魔法を打ち破れるだけの時間を稼げると考えたのだ。

 だが、自爆戦法はもう横島は知ってしまっている。GSに同じ技を仕掛けるのは悪手だ。

 

 横島の剣は止まる気配が無かった。

 そこで雪之丞は気づく。目の前の男に、気配がない。

 

(文珠による幻!)

 

 理解できた時には、もう遅かった。『天秤』が雪之丞の胸を容赦なく貫く。

 横島は後方で、栄光の手で『天秤』を握って、さらに伸び縮みさせて攻撃したのだ。

 巨大な爆弾となっていた雪之丞は、ただ爆発するしかなかった。言うまでもなく即死である。

 

『とりあえず殺したか』

 

「んだな。周りの連中は全然慌ててないし、どうすんのか」

 

 悪友であり、最強の一角である雪之丞を殺した横島だが、その言葉は淡々としていた。

 殺した程度で殺せる相手じゃないのは分かっていたからだ。ここからどう対処するのか。横島は注目する。

 仲間が蘇生させるのか。それとも。

 

「へ、流石だ! 流石だぜ、横島ぁぁ!!」

 

 爆発の跡地で、雪之丞は笑い狂っていた。

 瞬きをする僅かな時間で、周囲のマナが集まって雪之丞は復活したのだ。

 

 その様子はグリーンスピリットの使う蘇生魔法と同じあるが、しかしグリーンスピリットが魔法を発動させた気配はない。

 恐らく、雪之丞は一定の条件で発動する蘇生魔法を唱えていたというわけだ。

 条件は言うまでも無く死亡すること。

 それに関しては横島は驚かない。あっさり殺せたことから何らかの対応は予想していたし、命を増やすというのも難しくもない。条件付けや時間魔法と、魂の操作を応用した魔法を組み合わせればいいだけの話だからだ。

 だが、横島は驚いていた。いや、戦慄といったほうが良いかもしれない。

 

「なんつー蘇生速度だよ。しかも、あんまり消耗した感じもないし」

『よほど熟練しているな……これは強力なブルースピリットでも対抗できないか』

 

 先ほどの時間操作やアホみたいな自爆とは違う。

 純粋な錬度がそこにはあった。一体、どれだけ繰り返し唱えてきたのか。

 

 『蘇生』魔法の錬度である。つまり、この神剣魔法を練習するには死ななくてはいけないわけで。

 

『狂人め』

 

 『天秤』の吐き捨てるような声に横島も頷く。

 横島がドン引きをする間にも、雪之丞は次の行動に移っていた。

 

「『闘争』の雪之丞が世界に命じる! 俺に永遠の闘争を! イモータル!!」

 

 光が雪之丞を包み込む。恐らくは、これが自動蘇生魔法だろう。

 これでもう一回遊べるという表情の雪之丞に、横島は泣いた。

 

「さあ、いくぜ横島ぁぁ!!」

 

「うげえ! 来るんじゃねえ!!」

 

 獣じみた咆哮をあげながら雪之丞が突っ込んでくる。一度死んだことで闘志に火がついたようだった。

 これとまともにぶつかり合うのは得策ではない。

 足を止めるべく、横島は文珠をばら撒く。その数は12個。

 

「ふん、ビー玉が2つ。出来損ないが2つ。本物は8つか。使えるもんなら使ってみやがれ!!」

 

 流石はGSだ。他のエトランジェとは違い、文珠が偽者かどうか、そして発動しているか否かをすぐに判断できる。

 

「そんじゃあ、いくぞ!」

 

 まずは失敗文珠が発動して、霊気の塵が周囲を覆い隠した。

 普通の相手ならこれだけで足を止めるだろうが、雪之丞が止まる様子はない。

 

「文珠発動だ」

 

 横島の宣言と共に、8個の文珠が発動する。凄まじい霊力の波動だ。

 文珠の発動を知覚して雪之丞の足が止まる。いくら雪之丞が好戦的でも、何が起きても可笑しくない文珠、それも複数個をぶちまけられれば止まらざるをえなかった。

 突進を止められてしまった雪之丞だが、彼は得意げに笑みを浮かべていた。虎の子である文珠を使用させたのだ。横島と相対するものにとって、これは非常に大きな意味を持つ。

 

(さあて……何がおきやがる!)

 

 文珠の8連結程度なら防御さえしておけば、どんな攻撃でも問題ない。

 だが、攻撃でなかったらどうなるか。とにかく警戒するしかなかった。

 

 霊気の塵による煙幕が晴れる。

 そして目の前の光景に雪之丞は驚愕した。

 

「なに!? 確かに文珠は発動したはずだぞ!? どうしてまだそいつがありやがる!」

 

 横島の周囲を回転しながら8個の文珠が浮かんでいる。

 その文珠に刻まれていた文字を目撃した雪之丞は「そんなのありか」と呆れた顔をした。

 

『文』『珠』『八』『個』『完』『全』『複』『製』

 

 文珠を発動して文珠を作ったのだ。何の意味も無い、ただ霊力を消費するだけの行為のはずだが、それが雪之丞の突撃を止めた。文珠の消費も無しである。

 横島はニヤニヤと笑いながら後方に引く。完全にしてやられた形となった雪之丞は天を仰いだ。

 

「まったく、よくやるぜ」

 

 威勢を削がれ、完全に横島と距離を取られた雪之丞は忌々しそうに、しかしどこか嬉しそうにしながら要塞に引く。スピリット達も彼らに合わせて後退する。

 第一ラウンド終了といったところか。

 

「ヨコシマ様! 大丈夫だった!?」

 

「なんとかな……そっちは大丈夫だったか」

 

「はい、なんとか。あの3人のスピリット達は信じられない強さです。ユート様並のパワーにシロ様並のスピード。低位神剣とは思えません」

 

「以前に第三詰め所を襲って、死者3名の被害を出したのは彼女達でしょうね」

 

「うん、見覚えがあるよ。あのブルースピリットがボク達を雑巾のように引き裂いたんだ!」

 

「ルルーさん、落ち着いてください。強い敵相手に焦っちゃだめですよ!」

 

 スピリット達が色々な意見を出し合うのを横島は眺めて、あることに気がついた。

 

「誰も怪我してないのか?」

 

 それだけの実力者と交戦した割には、第二詰め所の面々にダメージは見られなかった。

 回復したとして消耗はあるはずだが、それすらも無いように見えたのだ。

 横島の問いにセリア達は複雑な表情になった。苛烈な攻めであったのは間違いないのだが、どこか緩さも感じたからだ。

 

「それが、なんというか違和感があって……踏む込んでくる時に踏み込んでこないのです」

 

 危険な場面はあったのだ。後一歩踏み出せば、どちらかが死ぬ。

 恐らく、こちら側が。

 

 だが、彼女らは踏み込んでは来なかった。

 こちらのほうが数は多いのだから、下手に切り込んでこないのは分かる。それでも違和感があった。敵は消極的過ぎる。

 言動や剣筋から好戦的な性格なのは確かなのに。一体、何を考えているのだろうか。

 

「相手も同じ事を思っているかもしれません」

 

 踏み込まないのはこちらも同じだ。この戦闘の目的は、こちらに注意を引き付ける事だから、勝機があってもリスクを冒す事はしなかった。

 

 現状、まるで訓練のように安全マージンをとりながら戦っている。訓練よりも、安全に腕を比べあっているような印象すらあった。

 死傷者が出なくて当然だった。

 

「何を考えてるのかな」

 

「要塞の防衛を重視しているのでは」

 

「要塞を解体しているのに?」

 

 敵の訳のわからない動きに悩まされる横島達。

 だが、悩んでいるのは雪之丞達も同じだった。 

 

「お前ら……どう思う?」

 

 横島達と同じく、雪之丞達も集まって打ち合わせを始めていた。

 雪之丞の周りにいる特徴的なスピリットは三人。それ以外のスピリット達は少し離れたところで能面のような顔で固まっている。

 

「向こうさんもやる気がなくて困っちまうよ……くそ、切りとばしたい切り裂きたい」

 

 ボサボサ頭のブルースピリットがだるそうに言いながらも、血走った目は周囲に向けられていた。周囲にいるスピリットの集団は怯えたように彼女から距離を取る。

 

「誰も死なない……私がいる意味がない……意味が無い意味が無い意味が」

 

 何故かメイド服を着た大柄なグリーンスピリットは体育座りで雪之丞の傍らにいた。ブツブツと何やらを呟いている姿に、スピリット達は恐怖を感じているようだった。

 

 この二人と会話が成り立たないのは想定内だったのか、雪之丞はただ頷くだけだ。

 

「ダテ隊長。……これは陽動だよ」

 

 そんな中で、ボブカットのレッドスピリット少女が言った。

 無表情にみえるが、しかしどこか気取った様子の小学生高学年程度の女の子だ。

 

「かもな」

 

「ふっ。私の考えどおりみたいだね。ここに注意を引き付けて、リーソカを狙ったのさ。敵がエトランジェを全員連れてこない時点で狙いは明白だからね」

 

「かもな」

 

 軽くこたえる雪之丞だが、確かにその可能性が高いと見ていた。

 だからこそ、雪之丞は部下であり、一番まともなマリア・ブラックスピリットに何人かのスピリットをつけて援軍としてリーソカに向かわせたのだ。

 ラキオスの戦術は見破られていたのである。見破れた理由は、ラキオスの戦術がワンパターンだからだろう。

 

「もうそろそろ伝令が来て、私の予想の正しさを証明するでしょう」

 

「そうだったらカオリ様の言葉通り……要塞を放棄ですね」

 

 三人以外のスピリットが言った。

 ラキオスが苛烈な攻めを仕掛けてきたら要塞を放棄する。それは事前に決まっていたことだ。ラキオスを滅ぼすための佳織の策である。

 ほどなく、リーソカから伝令のスピリットが来た。

 

「報告です」

 

「ええ、ご苦労。ですが答えは分かっています。『求め』のユート率いる部隊がリーソカに来たのでしょう」

 

 小さい体を精一杯ふんぞらせて、レッドスピリットの少女は満足そうに言って見せた。

 伝令であるブルースピリットは不思議そうに首を傾げる。

 

「いえ、リーソカの町には何も異常はありませんでした」

 

 ピシリとレッドスピリットの少女が固まった。

 ブルースピリットの女がニヤニヤと笑って見せた。

 

「これは……きっと陽動……だって。プププ、はずしてやんの」

 

「黙れ、燃えつきろ」

 

「そっちがね。切り散りな」

 

「死ぬの? 死んでくれるの!?」

 

 殺し合いを始めようとする部下達を、雪之丞は寛容に見守った。

 彼は自主性を重視するタイプなのだろう。燃えた左手や、凍りついた腸が飛んでくるが、そんなものには気にも留めない。

 

「……マジで何をやってやがる」

 

 まったく理解の出来ないラキオスの動きに、雪之丞達も困惑を隠せない。悠人とアセリアの煩悩によって、雪之丞は遊兵をつくってしまったのだ。まったく、エロの巧妙である。

 だが、何が起こっているのか分からないのは横島達も同じだ。

 横島達も作戦会議を始めていたが、現状の不可解さに頭を抱えていた。

 

「敵は消極的だし、このまま戦い続けても問題無さそうですが」

 

「いくら消極的な戦いでも、長く戦えばいつかは破綻するわ」

 

 引ける時に引く。

 これがベストだ。その引くための情報を誰もが待っていた。

 

「悠人の奴から連絡はまだか。今が引くチャンスだぞ」

 

「ん~イオさんに連絡して見たんですけど~ユート様からは連絡がないみたいです……もう施設から結晶と研究資料を持ち帰っていても良い時間なんですけどね~」

 

「予定通りにいってないんだな。連絡が一切ないのは戦闘中の可能性が高いか」

 

「それは」

 

「隠密は失敗したんだろ……資料を盗む前か盗んだ後かは分からんけど。そう考えると敵の攻撃がぬるいのも分かる。二方面から攻められているって勘違いしてるのかもな」

 

 面白くもなさそうに横島が言った。何をちんたらやっているんだという不快感はあったが、特に焦りはない。

 幾度と無く想定外に見舞われてきた横島にとって、もはや想定外そのものが想定内だ。他のスピリット達もそれは同じ。

 

「どうしますかヨコシマ様。作戦は失敗したとして後退するのも手です」

 

 悠人が失敗したならば、ここで敵を引き付ける意味は薄い。

 追撃は来るだろうが、逃げ道にはシロと光陰、そして僅かだが神剣反応を打ち消せる熟練ブルースピリットを待機させていた。

 多少、パワーダウンしたとはいえ強力なシロ達を連れてこなかったのは逃げ道の確保のためだ。

 追撃というのは実に恐ろしい。勢いのある突撃を止めるのは困難であるし、高速で移動していれば神剣の詠唱など出来ないから、下手をすればレッドスピリットの一発で全滅する恐れもある。引く前提で戦うとしたら、追撃を抑えるための戦力は必須だったのだ。

 

 だが追撃してこなかったら悠人の方面に向かう可能性がある。

 未だに資料探しに手間取っているのなら、もう資料は、アセリアは諦めるしかないだろう。

 

「最悪を……想定すべきです」

 

 エスペリアは悲観的な予想を口にする。連絡が来ない理由など、それぐらいしか考えられないのだから当然だ。

 実際は、悠人はアセリアへの潜入に成功して性剣を振り回すという、想定を越えた最高最低の展開が繰り広げられているのだが、それを知るものはここにはいない。

 

「ふん、もし見つかったとしてもあいつは諦めず戦ってるさ。あいつの頑固さとしつこさは折り紙つきだからな」

 

 面白くなさそうに横島が言うと、突如何人かのスピリットが吹き出した。

 不審げにヒミカを見ると彼女は謝りながら小さく頭を下げた。

 

「ああ、ごめんなさい。実はダーツィ攻略戦の際にユート様がヨコシマ様に同じようなことを言ってたから」

 

 悠人と同じ、といわれて横島は心底嫌そうな顔をする。

 

「あの時はユート様が奮起してヨコシマ様の時間を稼ぎました」

 

 ナナルゥが淡々と言う。

 横島としては悠人を褒めるスピリット達が面白くない。そして、悠人が出来たことをできないと言うのは男としてのプライドに関わる。

 プライドなんて犬に食わせろ、というのが横島だが、自尊心を捨てられても意地を完全に捨てていないのもまた横島だ。

 

 悠人にだけは、負けたくない。

 自分の胸のうちに湧き上がってくる思いに、横島は正直になる事にした。

 

「もう少し頑張って見るか。ここで戦えばあいつも楽になるだろ……手間かけさせやがって」

 

 横島がやる気を見せると、エスペリアはほっとした顔を、ウルカは闘志に満ち溢れた顔となる

 

「皆もそれでいいか」

「勿論です。今頃、ユート様もアセリアも必死に戦っているはずです」

「第三詰め所に力を見せてやります!」

 

 仲間の為に戦う。横島に良い所を見せ付ける。

 様々な要因でスピリット達の戦意は高い。

 

 女の子の為。友の為。

 横島はなけなしの勇気を振り絞って戦いに赴く。

 第二ラウンドの開始だ。

 

「行くぞ、雪之丞! うおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「へっ! こい! 横島ぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 神剣と神剣がぶつかり合う。

 怒号と悲鳴が世界に響き、大地は血と汗を吸った。

 切り裂かれた箇所からは赤色と金色がこぼれ落ち、辺りに霧のように漂う。

 有限の大地に生と死が飛び交った。

 

 一方、そのころ。

 

「イクぞ、アセリア! うおぉぉぉぉぉ!」

 

「んっ! くる! ユート! ユート!!」

 

 肉と肉がぶつかり合う。

 嬌声と隠語が世界に響き、大地は血と体液を吸った。

 切り裂かれた箇所からは赤色と白色がこぼれ落ち、辺りにむわっと漂う。

 有限の大地にせいしが飛び交った。

 

 

 戦いが終わり、二人はイッた。ぐったりと互いにもたれかかる。

 

 ここで獣となっていた悠人の知能が復活を始めた。悠人は賢者となったのだ。

 自分が今、何を思い何をすべきなのか。ようやく彼は理解しようとして、

 

「ユート……もう一度するか?」

「する」

 

 悠人は賢者になるには若かった。クソ真面目で、そして遊んでこなかった悠人は一度タガが外れるとどこまでもはまり込んでしまうらしい。

 第二ラウンドが始まる。

 

 

 

 一方そのころ。

 

「悠人からの連絡はまだかー!!」

 

「まだですーー!!」

 

 悠人達の戦いが終わらないため、横島達の戦いも終わらない。

 悠人達がイクのが先か。横島達が逝くのが先か。

 どちらの戦いも壮絶を極めていく。

 

「悠人は何やってんだよ!?」

 

 ナニをやっているんですわ!

 ナニをやっているのだ。

 ナニをやっているんだよ。

 ナニをやっているのです。

 ナニをやっているの……ううう、悠人さん~~!!

 ナニヲシギャアアアアア!

 

「ナニって何なんだよー!? なんだかとってもこんちくしょーー!!」

 

 どこからともなく聞こえてくる声と、自身の霊感で横島は気づいていたのかもしれない。

 自分達の戦いは、ご休憩代五千円に過ぎないという事実を。

 

「クソッタレー!!」

 

『そうだ、怒れ! クソ……なんというアホな戦場だ』

 

 純粋な怒りが横島の力を引き出す。上司から悠人達の現状を知らされた『天秤』も怒っていた。

 二つの意識はシンクロしたことによって『天秤』から引き出せる力が増大する。また密かにギャグ要素が満載になったことで横島はパワーアップしていた。

 横島の気迫はカオリ帝国のスピリット達にもプレッシャーを与えていく。

 

「なんて圧力だ。気迫を……鬼気を感じるよ」

 

「切り刻みがいがありそうだね」

 

「うう、怖いよ……カオリ様ぁ」

 

「へへ、それでこそ俺のライバルだ! 楽しくなってきやがった!!」

 

 雪之丞の全身から歓喜と狂気があふれ出る。いよいよ全力で戦うしかないと彼は判断したようだ。

 だが、それを見た一人スピリットが雪之丞に立ちふさがる。

 

「本気の戦いはカオリ様の要求と異なります」

 

「……ふ~ん、ユッキー隊長に逆らうのか」

 

「私達はカオリ様の命を受けています。貴方もでしょう」

 

「ちっ」

 

 雪之丞は忌々しげに舌打ちをした。

 名実共に佳織は女帝となっている。スピリットは種族特性ゆえに当然だが、雪之丞も自身が手駒になってしまっていると自覚があった。

 雪之丞の奔放さを危険視した佳織は、とある計略によって雪之丞の自由を奪ったのだ。秋月なんて佳織の逆鱗に触れて殺されかけたことすらある。

 あれがラキオスから誘拐されてきた、ただの女の子だと覚えているものは、もはや帝国国内にはいないだろう。

 

(まさか、こんなことになるとはなぁ)

 

 魔王。佳織は裏ではそう呼ばれることすらある。悪魔と呼ばれる自分達を従えるものだからだろうか。

 本質は心優しい女の子なのだが、今は本人がただの女の子であるのを嫌ってしまっていた。だからこそ、雪之丞は佳織を友としてみているのだ。

 

「わかったよ。ダチの為だ」

 

「カオリ様です」

 

「だから、ダチだ」

 

 対等な仲間であり、友達である佳織のため。

 雪之丞は自分の心を押さえつけて、拳を振るうのだ。

 

 また、お互いに本気の出さない戦いが始まる。

 

 それは終わりの見えない地獄の耐久戦と呼べるものだった。

 なにせ、お互いに相手を殺すほどの本気をださないのだから誰も死なない。敵が減らないのだから、延々と戦い続けることになってしまう。

 

 汗と泥と血に塗れ、あまりの辛さに血反吐すら吐きながら横島は戦う。

 スピリット達も限界を超えて戦った。

 全ては悠人とアセリアの時間を稼ぐ為に――――

 

 雪之丞も同じだった。

 自分の為に、そして友の為に――――

 

「極楽に……逝きやがれ!!」

 

「ヘッ、お前が逝け!!」

 

 戦士達の咆哮が有限の大地に響き渡った。

 

 

 

 一方、そのころ。

 悠人達は――――

 

 

 

 

 

 永遠の煩悩者 第三十六話

 

 

 

 『18禁にて以下賢覧禁止』

 

 

 

 

 

 

 チチチという鳥の声で悠人は目を覚ました。

 体は少し気だるいが、形容しがたい充足感が全身に満ちている。真上で燦燦と輝く太陽が神々しく感じられた。鳥の歌声は至上の音楽である。

 世界はなんと美しいのだろう。人生とはなんて素晴らしいのだろう。

 悟り開いたような聖人の表情で、悠人は世界を賛美する。

 

「すぅ……ん」

 

 それほどの美しい世界よりも、隣で寝息をたてる少女のほうが美しかった。

 何だか撫でてやりたくなって、悠人の手はそっとアセリアの頬に触れようとして、

 

「まさか、またやるのですか」

 

 呆れと戦慄の入り混じった女性の声が響いた。アセリアの声ではない。声は『求め』から聞こえてくる。穏やかで、しかし怒ると恐ろしそうな声の正体を悠人は知っていた。

 

「イオ! あ……えと、その、まさか」

 

「ようやく声が届きましたか。昨日はお楽しみだったようで」

 

 ミスレ樹海は神剣通話が繋がりづらくなるだけで、極稀に送受信は可能になる。

 この神剣通話は悠人や横島、あるいはスピリットとしては位の高いハリオンの神剣の持つ神剣と、イオ・ホワイトスピリットの持つ永遠神剣第四位『理想』を繋げて会話するのだ。

 

 さて、今回の戦いの間、頑張っていたのはなにも横島達だけではない。

 通話のためにはイオが起きていなければいけないのは当然で、レスティーナやヨーティアも何があってもいいように待機していた。

 極稀に聞こえてくる苦しそうな息遣いに、厳しい戦闘になっているのかと祈りすら捧げていたのだ。

 

 夜も明ける頃にようやく『あ、これやってるだけだ』と理解した時の虚脱感と怒りときたらそれはもうトンでもない。レスティーナとヨーティアは酒を飲みながら暴れまわるほどだ。

 イオは素面のまま、ただ口撃の機会を待ち望んでいた。

 

「フフ……途切れ途切れですが貴方達が睦み合う声は聞こえていました。私とヨーティア様……そしてレスティーナ様も聞いていましたよ」

 

「かはっ」

 

「溶けそうなぐらい気持ちよかったそうですね。だったら溶けたらどうでしょう」

 

「ぐはっ!」

 

「ああ、そうでした。実はもう一つ伝えなくてはいけないことがありました。

 ヨコシマ様達がそちらに向かっています。では」

 

 プツンと電話が切れたような音と共にイオの言葉が聞こえなくなる。

 悠人の顔面は蒼白だった。これはトンでもない事態になっていると、ようやく理解したらしい。

 

「アセリア、起きろ!!」

 

「……ん、おはよ。ユート」

 

 アセリアを起こした悠人は、まず自分のパンツを身に着けた。ズボンは無いが仕方ない。アセリアは悠人の羽織を一枚着ているだけで、下着もなにも付けていない。ゴクリと生唾を飲み込んだ悠人だが、なんとか寝ぼけ眼のアセリアを立ち上がらせると足を上げさせてパンツを穿かせる。

 

「な、何をしているんですか」

 

 直後に、聞こえてはいけない声が後ろから聞こえた。

 ギギギと悠人は錆び付いたような首を動かして見ると、そこにはエスペリアを始めとする第一詰め所、第二詰め所のメンバーが勢ぞろいしていた。皆、ボロボロである。

 

 結局、悠人からの連絡はないまま、横島達は長い長い戦いを乗り切った。最後のほうはお互いに疲れ果て、なんとなく戦いが終わってしまうほどの長い戦いだった。第三詰め所の面々は疲れきって動くことができないほどだ。

 誰一人として死者が出なかったのは、横島達が本気で攻めず、また雪之丞たちも防衛に努めたからだろう。雪之丞達からの追撃はなく、念のため防衛と第三詰め所の快方をシロ達に任せて、イオから大変な事になっていると聞いた悠人達の所までやってきたのだ。

 

 事実、大変な事になっていた。

 ギリギリというか、最悪のタイミングというか。

 今の悠人の姿は、寝ぼけている少女のパンツに手をかけている状況だ。

 

「ち、違うぞ! 誤解だ!! 俺はパンツを脱がそうとしていたんじゃなくて、穿かせていただけだ!」

 

 必死の良い訳だが、何の言い訳にもなってはいない。

 アセリアは慌てた悠人にきょとんとした。

 

「ユートは服を着たままする方が好きか?」

 

「どこでそんなの知ったんだよ!?」

 

「ハイペリアのユートの部屋で落ちてた本に」

 

「あああああああ~!」

 

 悠人が頭を抱えて絶叫する。

 二人の間で何があったのか。察せない者はいない。子供達すら十分に理解していた。

 

 こいつらやりやがったな!!

 

 自分達が戦っている間に、一体ナニをやっているのだ。

 しかも、いつもは真面目な悠人が、である。悪い奴が少し良い事をすると途端に良い奴に見える理論があるが、その逆も存在する。

 こいつは横島以上にスケベな男ではなかろうかと、スピリット達の脳裏に刻まれる。ファーレーンなどは「やっぱり……」と頷いていた。

 

 頭を抱えて地面にうずくまった悠人をアセリアは不思議そうに眺めたが、とりあえず視線をセリア達のほうにやった。

 

「ん、みんな……おはよう……ただいま」

 

 本当だったら仲間が戻ってきた感動の再会だったのだろう。駆け寄って、抱き合って、喜びを露にするシーンのはずだ。

 しかし、今のアセリアに抱きつこうとするものはいない。もうそういう雰囲気ではないし、しかもアセリアの体のあちこちに昨夜の『跡』が残っているのだ。下手に抱きついたらこびりついてしまう。

 

 それでも幼馴染のセリアが何とか再起動を果たした。

 

「ええ、おはようアセリア。そしてお帰りなさい。とても嬉しいわ。それで、貴女達は一体何をしていたのかしら」

 

「一晩中、ユートを抱いてた」

 

 抱かれていたのではなく、自分が抱いたとアセリアは言う。男前である。にも関わらず、冷たい視線は悠人に向った。

 

 仲間が帰ってきた。そして結ばれた。

 実にめでたいのだが、何事にも間というものがあるのだ。

 横島は凄く良い笑顔で彼らに笑いかける。

 

「ほぉ~つもりお前は俺達が切った張ったの命がけの戦いをしている真っ最中に、犯った出したの戦いを繰り広げていたってわけか……わははははははははは!!」

 

「いや、まあ、その……なんというか……あはははははははは!」

 

 もう笑うしかなかった。

 アセリア救出の為に、悠人の時間を捻出しようと横島達は命を賭けた。

 その時間を使って悠人達はいちゃつきほうだいしていたのだ。

 

「悠人、死ぬがよい」

 

 鬼と化した横島が神剣を握り締めながら前に出る。

 悠人は観念したように首を差し出した。

 

 そんな事情を知らぬアセリアは悠人を庇うように前に出たが、

 

「あぅ! うう、股が痛い」

 

 パンツと悠人の羽織だけのアセリアは内股になって体をくねらせた。

 清楚とエロスが混在しているアセリアの半裸を、横島は見ないように視線を横にやって、着るものと体を拭くタオルを、とセリア達に声を掛ける。セリア達は慌ててタオルや服を荷物から取り出した。

 変態の煩悩男の癖に、それでいて良識があるのが横島だ。

 その紳士な振る舞いにグングンと上がる横島株。反比例して悠人株は急転直下である。

 

 ここでようやくエスペリアが再起動して、アセリアに駆け寄った。

 

「あ、アセリア……その……あ、あそこに回復魔法は」

 

「別に、いい。これはユートがくれた痛みだから」

 

 アセリアは小さく微笑んで悠人を見た。

 エスペリアはこれ以上なく悠人に微笑んだ。

 

(血が凍りそうだ)

 

 アイスバニッシャーをかけられたように、悠人は震え上がった。

 助けを求めるように辺りを見回すが、誰一人として悠人に好意的な視線を向けるものはいなかった。ハリオンは笑っていたが『あらあらうふふ』といった笑いで味方にはなり得ない。

 

 味方を探すと、ウルカがいつもの毅然とした表情で立っていた。

 ほっとした表情でウルカに声を掛けようとした悠人だが、そこではたと止まった。

 彼女は凛々しい表情のまま瞳から涙が溢れて、頬を伝っていたからだ。

 

「手前は嬉しいのです。仲間の幸せは手前の幸せ……嬉しいのに。なぜ涙が……見ないで」

 

 ウルカがどうして泣いたのか。そこを追求する無粋なものはいない。ただ、悠人への視線がより厳しくなるだけだ。

 

「うわ~」

「最低ね」

「修羅場かな」

「……私達は絶対にこうはならない」

 

 第二詰め所のスピリット達が囁きあうのを耳にしつつ、悠人は自分がまず何をしなければいけないのかを理解した。

 

「エスペリア、ウルカ……その、ごめん」

 

「違います。私が怒っているのは、どうして連絡を怠ったのかという点です。大方、研究所の資料でスピリットの心を戻す方法を知って、いてもたってもいられず試したら成功して浮かれてしまったのですよね。ならばどうしてすぐに連絡をよこさなかったのですか。」

 

「ん? ユートと私は研究所なんて行ってないぞ」

 

「え?」

 

 もはや下がる事はないと思われた悠人株だったが、ストップ安はまだ先らしい。

 

 それから悠人はどうやってアセリアを助けたのか、経緯を説明した。

 その内容に横島達はがっくりとうな垂れる。

 

「つまり俺達の戦いは完全に無駄だったってことか……は、ははは……はあぁ~」

 

 一体、悠人株はどれほど下がるのか。

 とうとうハリオンすら苦笑いになってしまった。

 他のスピリット達の表情がどうなっているのか。わざわざ記述する必要はないだろう。

 

「よ、横島……どうか俺を殴ってくれ」

 

 この際、嫉妬に狂った横島がボコボコに殴られたほうが百倍マシだ。というか、思いっきり殴って欲しかった。

 横島にぶっ飛ばされて「のっぴょっぴょ~ん!」とでも叫びながらお星様になって話を終わらせたい。

 悠人はそんな話のオチを切に願ったが、

 

「すいません、ヨコシマ様、それに皆も。まずは第一詰め所の私達が」

 

「……うう、ユート殿ぉ」

 

 これからの悠人の処遇はエスペリアとウルカに一任された。

 悠人は連行される容疑者の如く、エスペリアとウルカに両脇を抱えられてどこぞへと連れて行かれる。アセリアはボンヤリと連れて行かれる悠人を見つめていた。やはり何を考えているのか分かり難い少女である。

 そんなアセリアの体を綺麗にしようと、タオルで拭いていたファーレーンとヘリオンだが、

 

「こ、こんなところにまで唇の……ひゃああぁ」

 

「……うう、Hな匂いがします」

 

 アセリアの体に付いた『愛の痕跡』とも言える様々なものに、エロ・ブラック達は慄きつつも、目は戦闘時のようにギラギラとした。

 

「どうした、ファーレーン」

「はい……アセリアはユート様として……その……どうだったのでしょうか?」

「こ、こら! 何をぶしつけに聞いてるの!?」

「でも~気になります~」

「はい、非常に興味深い」

「ネリーもネリーも!」

「シアーも~!」

「二、ニムも……」

 

 経験者となったアセリアはヒーローインタビューの如く質問を浴びせられる。

 セリアやヒミカといった真面目組みも、口では止めなさいと言っても強くは止めず、興味津々と耳を傾けていた。

 

「うん、私も色々と話したい。でも、すぐに体験できると思う」

 

「え…………はっ!?」

 

 後方から異様な気を感じたスピリット達が振り返る。

 そこに、鬼はいた。渦巻く霊力で世界を歪ませながらにじり寄ってくる姿は変態を超えた変態である。

 

「チチィィ! シリィィ! フトモモォォ! ハキルト・ハテス! ヤムカルヤムカル!!」

「ひいいぃ! 少年誌の人が言っちゃいけないことを!?」

「これは本気ですね~やられちゃいそうです~」

「それでも、危険な言葉は聖ヨト語でお茶を濁している辺りがらしいわ」

「いま私達が喋っているのは聖ヨト語じゃない?」

「そんな事よりもやばいわよ!」

「大丈夫だ。最初は痛いけど、すぐに良くなる」

「やっぱり最初は痛いのね……そうじゃなくて!?」

「シャアアアア!!」

 

 奇声を上げながら横島がスピリットに突撃する。

 割と本気の勢いだ。ほんのちょっと抵抗ぐらいなら「嫌も嫌よ好きのうち」理論で突き通すほどの本気具合だった。

 

 だが、世界は彼に意地の悪い優しさを見せる。

 

「いいよー! ドンとこい」

「シアーもいいよ~」

「私だっていきます!」

 

 子供達が横島に抱きついていく。

 

「ええ~い! 邪魔だ、おまえ……ら」

 

 煩悩全開状態だったからか、気づいてしまった。

 ただの子供だと思っていたが、全体的に女性的な体になりつつあった。胸は育ち、腰はくびれ始めて、匂いが子供のそれとは変わりつつある。

 一年と半年。横島が第二詰め所にきてからそれだけの時間が経った。成長期の子供達にとっては重要な時間である。子供は、いつまでも子供ではない。当たり前の事だった。

 

 ドキリと、体の奥から形容しがたい思いがわきあがってくる。

 横島の微妙な変化を子供達は感じ取った。

 

「ちょっと、ドキッとしたでしょ?」

 

 ネリーが耳元でささやいた。その言葉が、少し色っぽい。

 

「ば、ばかな事をいうな」

 

 言葉を詰まらせながら横島が言う。

 いつもと違う横島の様子に、子供達は頬を赤く染めた。

 対照的に青くなったのが大人達だ。

 

「よ、ヨコシマ様……まさか」

「ロリコン様になるのですか」

「んなわけあるかー! え~い、お前らは邪魔だー!」

「ふふ~これは来るよ! ネリーの時代が!」

「ヨコシマ様……ダメですよ。ネリー達はまだ子供なんですから!!」

「だったらお前らがやらせてくれよー! もういい加減にいい感じじゃんかー!」

「そ、それはそれ! これはこれ! 何はナニです!」

「頼むよ~18禁のタグを付けさせてくれ~!」

「きゃああ! 変な所を触らないで! こんの変態がー!」

「燃やします」

「どうしてじゃー! どうして恋人ができんのだー!」

「あ、あのあの! 私が恋人になっても……ふえ~ん、恥ずかしくて言えませ~ん」

「ふふ、とても楽しいですね~

 ごめんなさいヨコシマ様~もう少しだけでいいので~この幸せを続けさせてください~」

 

 結局、いつものグダグダでエロではなくギャグよりになっていくのは少年誌と18禁ゲームの差なのだろうか。

 

 何はともあれ、悠人と第一詰め所の関係は一歩進んだ。

 少しずつ、だけど確実に世界は進む。時間も、進む。

 選択の時は迫ろうとしていた

 




 後書き

 誤字報告ありがとうございます。
 非常に嬉しくて、恥ずかしい。

 またもや更新日時詐欺をやってしまいました。申し訳ありません。
 3連休が消えて12連勤務になるとは思いもしませんでした。
 「どこかで振替休日にして」と上司に言われましたが、その上司は振替休日を使用した日に何故か会社にいるという恐怖……泣きたい。

 気を取り直して今回のお話の補足。
 酷い話だけど、大まかな流れは原作に忠実だったりします。原作では悠人とアセリアは研究所に進入して戦闘もあったので無罪かもしれません。しかし、誤表記だと思われますが24時間以上乳繰り合っていた可能性もあるので、さらに有罪かもしれません。

 次回は攫われた佳織の話。そして敵である秋月の描写も。
 永遠のアセリアを知らない人でも見れる作品を目指しているので、最低限の描写はしておかないと……と思っていたけど、佳織の状況が変わっているので知っている人も見てくださいね。

 永遠神剣の、特に永遠のアセリアの二次はもう増えないのかなあ。
 子供時代に嵌って、何年経っても面白いと感じられるほどの傑作なんだけど。誰か名作を書いて知名度を上げてください。

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