しかし、誰が悪を裁くのか?   作:SKYbeen

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すいません長らくお待たせしました・・・・・・。


第7話

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 ロールシャッハ記 帝歴一〇〇六年 四月十六日

 

 

 

 ナイトレイドに加わり五日が経った。当然と言えば当然だが、まだ大した成果は得られてはいない。せいぜい任務を共にする際、その力を垣間見る程度に留まっている。

 

 彼らの力は凄まじい。帝具使いということを差し引いても有り余る強さだ。恐らくコメディアンはおろか、ヴェイトでさえ苦戦を強いられるだろう。そんな力を持ってして何故正義の為に行使しないのか、俺には理解に苦しむ。

 

 少しだけだが力量は把握した。帝具についても詳細が載っている文献を読ませて貰ったのである程度は理解している。参考になるかは分からないが、ここに書き示しておくことにする。

 

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 アカメ/一斬必殺村雨

 

 俺がここに来るきっかけになった黒髪の少女。その目は血のように真っ赤だ。掴みどころがないように見えてかなりの野生児らしく、巨大な肉にかぶりつく様子は何とも間抜けなものだった。だが刀の扱いは相当な腕前で、ナイトレイドでも随一の実力者と言ってもいいだろう。

 彼女の使う帝具は傷を付ければ即座に毒が周り、確実に死に至るというものらしい。僅かな切り傷さえ与えてしまえば必ず殺せるというのだから恐ろしい代物だ。その高い戦闘能力からしても対峙はしたくない。いわばこの部隊の切り札的要員だと言える。

 

 

 レオーネ/百獣王化ライオネル

 

 忌々しい淫売。あの素肌を顕にした姿を見るだけで吐き気がする。どうしてああいう女はまともな衣服を着ようとしないのだろう? あの女とは絶対に行動したくはない。

 だが肉体を大幅に強化する帝具は目を見張る性能だ。獣の如き俊敏な動き、そして見上げる程の腕力や脚力。何よりどんな大怪我も治癒する回復力は何とも卑怯臭い。それがかえって仇とならなければいいが、しかし俺にとってはどうでもいいことだ。ああいう道具を過信する輩は早死にすると相場が決まっている。本人がそう思っているかは知らんが、どうせロクな死に方はしないだろう。

 

 

 ブラート/悪鬼纏身インクルシオ

 

 屈強なガタイの大男。器量も大きいようでメンバーからの信頼も厚いようだ。元軍人らしく、基本的な戦闘能力は頭一つ抜けている。特にその槍術はかなりのもので、真正面から挑み勝てる者は少ないだろう。その帝具は鎧を纏うもので、身体を強化するのみならず高い防御力も併せ持つ。さしずめワンマンアーミーといったところか。確かにあれだけの攻撃と防御を誇る戦闘能力なら突破口を開くのには最適だ。

 しかし奴はゲイのきらいがある。淫売といい、ここには異常性癖者が集うのだろうか。奴とは関わりを持たない方が今後の為だ。

 

 

 マイン/浪漫砲台パンプキン

 

 生意気なチビ。誰彼構わず食って掛かるような態度は何とも神経を逆撫でされる。全くもって子供のようなうざったさには頭を抱えたくなる思いだ。あんなガキ女が一流の暗殺者だとは考えたくもない。尤も、癪なことにその認識は間違っていたのだが。仕事に取り掛かった時の気迫は伊達に暗殺者ではないということなのだろう。

 奴の帝具は銃、それも大型だ。組み合わせ次第で様々な形態に換装でき、アサルトライフルや狙撃銃のように状況によって使い分けられる。弾は実弾ではなく使用者の精神力を利用しているらしいが、一体どういう原理でエネルギーに変換しているのだろう。マンハッタンなら喜んで解析しそうだ。

 

 

 シェーレ/万物両断エクスタス

 

 いちいちの動作がおぼつかないグズ。何をするにも失敗し他人に迷惑を掛けるのはある種の才能だろう。あれでは抜けているというレベルを超えている。いや、頭のネジが抜けているという点では間違ってはいないか。

 だからこそなのか、奴には殺しに対する意識がどことなくおかしい。本当の意味で躊躇いがなく、息をするように殺人をしている。こんなことでしか己の真価を見い出せないとはつくづく哀れな奴だ。

 扱う帝具は巨大なハサミ。あろうことか俺が思ったジョークは本当だったという訳だ。今更驚きもしないが、こんなふざけたものが万物を断ち切るというのはそれこそジョークに他ならない。しかし実用性は大いにあるだろう。邪魔な障害物は何でも裁断出来るのだから。

 

 

 ラバック/千変万化クローステール

 

 いけ好かない小僧。チビとはまた違った方向でイライラさせられる。口が達者なようで、ことあるごとに俺に質問してきやがった。しかもポルノ雑誌にうつつを抜かす変態野郎でもある。一体何度その鼻っ柱をへし折ってやろうと思ったか。今度またおかしなことを言ってきたら思い切り顔面を殴ってやる。

 糸状の帝具を得物としているらしく、硬質のワイヤーを自在に操る。応用範囲が広く、戦闘に用いる他に罠や探知などのサポートも可能だという。俺が初めて奴らを見た時に宙に浮いていたのはこれを足場にしていからだろう。なるほど、確かに応用力は凄いものがあるようだ。

 

 

 タツミ/なし

 

 いかにも田舎者といった風合いの少年。貧困に苦しむ村を救うべく帝都にやって来たという大層な志を持っている。純朴な心の持ち主で殺しを是としないようにも見受けられるが、しかしやらねばならない時は瞬時に心を切り替えその刃を振るっている。まだ他の連中には及ばないが、戦闘能力は高い。あれは磨けば光る原石だ。この先経験を積めば大きく成長するだろう。オーガとかいう標的を殺した後の彼は見違えるようだった。

 しかしこの世界は闇に塗れている。いつ何時、深淵に引きずり込まれてもおかしくはない。この先、彼の前には何としても殺さねばならない相手が立ちはだかるだろう。その瞬間、深淵に足をすくわれなければいいが。

 

 

 ナジェンダ/不明

 

 ナイトレイドを取り仕切るリーダー。過去に何かあったらしく、隻眼の上その右手はいかつい義手になっている。

 帝国の元将軍という出自の彼女は冷静な判断力と洞察力を兼ね備えているようで、俺やタツミの実力は大まかに把握しているだろう。またリーダーシップも強く、我の強い面々を一声で抑えるのは流石である。

 司令塔であるが故にその実力は測れないが、こんな曲者集団をまとめ上げる位だ、相応の力はある筈。いつの日か、彼女が重い腰を上げる日がくるのだろうか。どれ程のものか是非お目に掛かりたいものだが、その時俺はここにはいないだろう。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 彼らを知ったとはいえほんの序の口。少なくとも後三日……いや四日は留まるべきだと思う。あまり長い間居てしまうと余計な信頼が生まれ、離脱する際面倒なことになる。それまでの僅かな間にどれだけの情報を手に入れられるかが重要だ。

 

 本来こうしている暇などありはしない。少しでも多くの悪を根絶やしにせねばならない。だが今は耐え忍ぶのだ。今は何よりナイトレイドという組織の多くを知る必要がある。

 

 この先、彼らと対峙することがあるかも知れない。その時俺は彼らを殺さねばならないだろう。だがその必要があるのなら、俺は躊躇わない。俺の道を阻む存在は誰であろうと容赦はしない、そう決めたからだ。

 

 

 

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「……HUNH」

 

 

 薄暗く、埃が舞う小汚い個室。新たにメンバーとして迎えられたにしては些かぞんざいな部屋を与えられたものだ。手記を書き終えたロールシャッハは不満げに低く唸った。

 

 ナイトレイドとの邂逅から既に五日が経つ。ほんの僅かな期間ながらもメンバーの実力をロールシャッハは把握しようとしていた。

 程度の低い仕事をこなしつつ、各々に追従し観察する。前もって調べ上げた帝具の特徴もあり、その力量の輪郭を捉えていた。

 だからこそ分かる彼らの力。雑兵が千人いようがものともしない力は、やはり懸念しなければならない。タツミはともかく、それ以外の連中は皆相応の実力を持つ。殺し屋として蓄えられてきた経験と帝具のとてつもない性能が合わされば、最早同じ帝具を繰る者でなければ太刀打ちも敵うまい。ロールシャッハですら、勝利出来るか定かではなかった。

 

 彼らは強い。あまりにも。そしてそれを善なる行いとして振りかざしている。結果、救われる人々も確かに存在するだろう。

 

 だがその正義は陳腐なものだ。まるでヒーローごっこをしている子供のそれ、目の前の悪を倒すことばかりで本質を見据えていない。大臣を殺したとして、本当に世界は変わるのだろうか?

 

 否。

 

 人間という生き物は永遠に変わらない。感情という見えざる器官がある限り、人々は同じ過ちを繰り返す。そしてそれが過ちと気付かぬまま、世界は腐り呑まれていく。帝国が滅んでもすぐに第二、第三の帝国が生まれるだろう。

 

 そんなことはさせない。させてなるものか。世に蔓延る悪は消さねばならない。確実に、一片残らず。大臣は勿論のこと、星の数ほど存在するクズ共にはあまねく天罰を下さねば。

 

 その為にはナイトレイドが必要かも知れない。この世界にとってのヒーローは彼らなのだから。だからこそ、ロールシャッハとは相容れない。根付く信念、正義が根本から違うからだ。

 

 もう少し、この連中の元に留まり情報収集を続けよう。現在よりも詳細なデータを得、その後にここを抜ける。そのタイミングのをしくじっては本末転倒、見極めは慎重に行うべきだ。

 

 

「ロールシャッハ」

「………何の用だ」

 

 

 唐突に開いたドアから見えたのは長い黒髪。無表情のままアカメは部屋へと踏み入る。ノックもせずにやや不躾だが、ロールシャッハが気にする理由はそこにはない。何の為にやって来たのか、そこが疑問点だった。

 

 

「これから会合が始まる。会議室に来てくれ」

「どんな内容だ」

「それはボスが話すまでは私達も分からない」

「……」

 

 

 会合。組織には必ずといっていい程これがある。無駄に助長で、何の役にも立たない話し合い。ロールシャッハには至極どうでもいいことであり、参加する意味も見当たらない。そんな暇があるなら街に繰り出し、自ら情報を仕入れた方が遥かに有意義だ。

 しかし、現段階ではまだナイトレイドであるロールシャッハ。下手な行動は不信を抱かせ、予期せぬ事態に発展しかねない。わざわざ言う事を聞くのも癪だが、ここは大人しく従うより他ないだろう。郷に入れば郷に従え、だ。

 

 

「もう皆集まっている。早く来い」

「HUNH」

 

 

 そう急かすアカメは一人でさっさと行ってしまった。彼女のことも観察してはいるが、我の強い少女だ。尤も、別のベクトルでの話だが。

 

 

「会議は嫌いなんだがな」

 

 

 何を言うのかは興味もないが、そうだとしても元々こういう類は得意ではない。誰かと群れ、仲良く手を繋ぐなど吐き気がする。全く、こんなことをしている場合ではないというのに。

 少しばかりの不満を抱きつつも、ロールシャッハは会議室へと向かった。

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 

「来たか。遅いぞロールシャッハ」

「来るつもりもなかったがな」

 

 

 会議室、というにはやけにお粗末な部屋である。入ってくるなりロールシャッハはやや呆れた。デスクもなければ椅子もない。せいぜいナジェンダが腰掛ける簡素な椅子程度、かつて同じような経験をしたが、ここまで適当なものではなかった筈。尤も、どうでもいいことだが。

 

 

「要件があるならさっさと言え」

「……本当に口の悪いヤツだな……まぁいい。今帝都を騒がせている辻斬りがいる。そいつを始末するのが今回の仕事だ」

「ほう」

「既に何十人と犠牲になっている。我々の手で止めねばならん」

 

 

 辻斬り・・・・・・通り魔か。ロールシャッハ自身、殺人鬼の類は相手取ったことはある。力にものを言わせ殺す者もいれば、姑息な手段を用いる者。手法や過程は異なるものの、多くの命を奪った罪は同様だ。最早人間のそれとは言えない破綻した精神は、また更なる犠牲を生むだろう。彼女の情報が事実なら尚更急がねばならない。

 

 いつものロールシャッハならばここで飛び出しているところだ。だがそれはしない。いや、出来ない。まだ組織について調べていないからだ。独断で動き回り、不信を募らせるわけにはいかない。ゆらりと憤怒の火が揺れ上がるが、今は堪えなければ。

 

 

「辻斬りって………いったいどんな?」

「"首斬りザンク"、という名は聞いたことはないかタツミ?」

「い、いや」

「ハァ? アンタマジで言ってるわけ? 本当にド田舎少年なのね」

「な、ド田舎は余計だろ!いいから教えろよ!」

「仕方ないわね………アンタもよく聞いてなさいよマスク男」

「HUNH」

 

 

 やはりいけ好かない小娘だ。あの高飛車で他人をコケにする不躾な態度、見ているだけで捻り潰したくなる。明らかに苛立ちを募らせるロールシャッハを知ってか知らずか、マインは件の殺人鬼について語り始めた。

 

 "首斬りザンク"

 

 元はと言えば監獄の処刑人だったらしい彼は、毎日毎日人の首を切り落としていた。極悪人ならいざ知らず、処刑台に連れられるのは皆無実の罪を着せられたか弱い人間。死を恐れ、慈悲を乞う姿の人々を殺していくうちに彼の精神は歪んでいった。何百人もの人間を殺し続けることが愉悦へ変わってしまい、しかしそれでも飽き足らず辻斬りに及んだのだという。

 

 

「ザンクは監獄を出る際に所長の帝具を奪ったそうよ。相応の手練っていうことは頭に叩き込んどきなさい」

「・・・・・・」

 

 

 マインの忠告は届いている。だがそれよりもロールシャッハが気に掛かったのは、そのザンクという男がいかにして下等な通り魔に成り下がったのか、ということ。

 人間を処刑し続けていたから精神がイカれたのか、それともその精神の奥底に醜い悪魔が潜んでいたのか。いずれにせよ、奴は自身の行った所業に耐えきれずに逃げ込んだのだ。『首切りの通り魔』という虚像を作り上げ、あたかもそれが本来の姿であるかのように。

 

 所詮は奴も低俗な悪党に過ぎない。己の脆弱が故に、何の罪もない人々を手に掛けるのは許されざる行為だ。一刻も早く止める必要がある。

 

 

 「なんて野郎だ・・・・・・!早く止めないと!」

 「気持ちは分かるが落ち着け。奴が動くのは専ら深夜、それに合わせ我々も行動する」

 

 

 激昂するタツミ。許し難い絶対悪に対する怒りは本物と見受けられるが、まだ青い。強い意思を持つのはいいことだが、怒りに駆られるだけでは単なる猪。その燃えるような怒りの感情を如何にして己の糧とするのかが重要なのだ。

 

 無論、ロールシャッハもその内に怒りを抱えている。タツミのそれとは比にならない、噴火寸前のマグマだ。ドロドロと密度の濃い憤怒の熱はしかし、放出されることの無いまま蓄えられる。そしてその怒りは裁くべき悪を前にして開放されるだろう。

 

 だが彼自身も何時までもつかは定かではない。元々我慢弱いロールシャッハ、悪がいるのであれば迷わずに殺しにかかる。ナジェンダは深夜に動くと言ったが・・・・・・待っていられる筈もなかった。

 

 

 「おい、何処へ行く」

 「答える義理は────」

 「"ない"とは言わせんぞロールシャッハ。お前はメンバーの一員だ。いい加減勝手なマネは許さん」

 「そーだそーだ!大体お前人の言う事聞かなさすぎなんだよ!」

 

 

 部屋を出ていこうとするロールシャッハをナジェンダは引き留める。それはここを取り仕切るリーダーとしては正しい行為、個人ではなくチームとして行動する以上規律の乱れは目に余る。一度や二度ならまだしも、これまで彼がまともに命令を聞いた試しがない。

 ひとたび依頼の対象を見つければ稲妻のように急行し、あらん限りの制裁を加えた末に殺害する。殺しを生業とする彼らナイトレイドでも、正直ロールシャッハのやり方にはある種の脅威を感じていた。

 

 今回もきっとその例に漏れずだろう。ロールシャッハのことだ、昼間だろうが独りでザンクを探し回り、そこらの人間から情報を聞き出すに違いない。勿論、指をへし折って。

 

 ここ最近妙なウワサが立っているのだ。裏路地や怪しいバーに現れ、指をへし折りながら尋問する謎のマスク男、というウワサが。

 先ず間違いなくロールシャッハの仕業だ。非道な尋問も問題だが、これ以上悪目立ちするようであればいずれ帝国に目を付けられてしまう。それは本人にとってもナイトレイドにとっても都合が悪い。

 

 戒めが必要だ。尋問のやり方一つとっても節度というものがある。ナジェンダとしても最早ロールシャッハの独断行動は認められない。

 

 

「…………HURM」

 

 

 全く、これだから嫌なのだ。こういうのは。

 

 悪に対する怒りとは別に、沸々と苛立ちが湧き上がる。チームというのはかくも面倒なものだ。誰かが勝手な真似をすればすぐさま止めに掛かる。ある意味では正しい行為とも取れるだろうが、ことロールシャッハにとっては邪魔でしかない。

 

 まだ情報が必要だ。だがやはり、耐えかねる。生温い信頼、半端な殺しへの姿勢。どれをとっても癪に障るものばかり。いくらこの組織を知る為とはいえ、これ以上共に戦うなど出来ようものか。

 

 もうどうでもいい。こんな連中、知ったことか。

 

 

「奴を殺せば済む話に御託を並べるな。

 ────貴様ら如きに、俺の邪魔はさせん」

「ッ! 待て!」

 

 

 ナジェンダの静止も意に介さず、ロールシャッハは飛び出した。

 

 やはり、彼は誰にも従わないのだろうか。僅かばかりだが、彼とは戦いを共にしてきた謂わば仲間。どれ程言動が悪かろうと、彼は確かにナイトレイドの一員と言える程の力を持っていた。

 

 しかし、それもここまでなのか───。

 

 

「あーっ、クソッ!! もうどうすんだよボス!」

「仕方ねぇな・・・・・・俺が連れ戻してくるか?」

「いや・・・・・・いい、ブラート。そうした所で同じだろう。それにアイツの言うことも分からんでもない。・・・・・・滅茶苦茶にも程があるがな」

 

 

 憤慨するレオーネ。対するブラートは冷静だ。連れ戻そうと彼は提案するが、しかしその必要はないとナジェンダは制する。

 ロールシャッハの言葉通り、単純にザンクを殺害すれば全ては丸く収まる。確かにそれはその通りなのだが・・・・・・。

 そう上手くいく筈がない。すんなりことが運ぶならそもそも作戦会議をする必要も無い。だから想定外の事態に備え、こうして皆との連携が不可欠なのだ。

 

 ロールシャッハには根本的にそれが欠けている。独りで何もかもをしようとしている。そして実際、彼はやり遂げている。そこが脅威であるし、タチが悪い。一番敵に回したくない人は、と言われたら、あの女に次いでロールシャッハが来るだろう。

 

 

「・・・・・・ハァ・・・・・・皆一先ずは解散だ。今夜に備えておけ」

 

 

 昔は将軍として、今ではリーダーとしてその統率力を発揮しているナジェンダ。しかし未だかつて、ここまで御しきれない男が居ただろうか。彼女は溜め息をつかずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

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