笑って、群れて、失った    作:こっここーまん

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 レオンの尻尾が切れてからというもの、いろいろなものにレオンが変身し続けている。

 

「だ、大丈夫なのかよ? それ」

 

 遼太も心配そうに、タコに変わったり、トーテムポールに変わったりしているレオンを見ていた。

 了平のことは聞いて、自分も怪我をしているというのに、様子を見に行こうとして、看護師に怒られたのは、つい先ほどで、今は大人しく座っていた。

 

「尻尾が切れて、形状記憶の制御ができなくなってるんだ」

「……えっと、どういうことだ?」

「わ、わかんない……」

 

 そもそも、カメレオンに姿形すら変化するという能力は無かった気がするが、目の前で姿を変えているレオンを見ては、そういう種類がいるのだと納得するしかなかった。

 

「それにしても、ここ随分、奥だよな。潤也の差し金か?」

 

 遼太の病室は、了平たちが寝かされている場所からは、少し離れていた。そのためか、野球部の人も遼太が入院していること知らない人も多かった。

 

「あぁ……ばあちゃんに心配かけたくないから、ジュンに頼んで、俺がケガしたら、まず店に電話行くように頼んでるんだ。たぶん、それで、気を使ってもらったんだと思うんだけど……」

「そ、そうなんだ……」

 

 並森では、雲雀の名は本当にすごいと、改めて驚きを通り越して、呆れそうだ。

 

「あ、そういえば、さっき、外で草壁さんたちが、雲雀さんが敵のアジト見つけたって言ってたよ」

「! ほ、ホントか?」

「うん」

 

 安心させるために言ったはずだが、遼太の顔は青い。

 

「大丈夫だって! あの雲雀さんだよ?」

「で、でも……あいつら……」

「遼太君?」

「信じてくんないかも知んねぇけど、あいつら、普通の不良とかじゃなくて……本物……っていうか、なんていうか」

 

 それに、息をのんだのは綱吉とリボーンだ。まさか、遼太からそんな言葉が出てくるとは思ってもみなかった。

 リボーンとの話だって、山本と同じく子供の遊びと勘違いしているはずなのだから。

 

「あ、アハハハ! 本物って、マフィアとかってこと? いくらリボーンがいるからって、そこまでしてくれなくてもいいんだよ?」

「え? あ、あぁ。そうだよな。ごめん……」

「それに、本物だったらなおさら、遼太君が襲われたり、お兄さんが襲われる意味が分からないじゃん!」

「あ、そ、そうだよな! 先輩、襲われてるんだもんな」

 

 ようやく、いつもの表情に戻った遼太に、安心していると、なにやらまた入口の方が騒がしくなっていた。

 ちょっと見てくると、綱吉が病室から出て、扉を閉めた瞬間、頭を抱えた。

 

「どうすんだよ! リボーン! 遼太君まで、マフィアなんて言い出してるじゃないか!」

「……」

「おい! 聞いて――うわっ」

 

 渡されるレオンを落とさないように、キャッチしていると、リボーンは運び込まれている担架に飛び乗ると、そこに横たわる草壁の口を開き、その本数を数えた。

 

「他に考えにくいな。喧嘩、売られてんのは、ツナ、お前だぞ」

 

 リボーンが見せてきたのは、一枚の紙。見覚えのあるランキングは、タイトルに並森中喧嘩の強さランキングと書かれていた。

 その二十四位までに書かれた名前と襲われ生徒が合致し、折られた歯の数はその順位と同じ本数だ。そして、先程、運び込まれた草壁は五本抜かれ、その前の了平は六本、その前の遼太は七本。

 

「ってことは、次は四位の人が襲われるってことじゃん!」

 

 慌ててランキングを確認するが、四位から上には、知っている名前以外書かれてはいなかった。それは、ランキングのコピーを持っていたリボーンもわかっていた。

 

「お前がいけ。俺は気になることを調べる」

 

 綱吉はすぐに学校へ走った。

 

***

 

 有り合わせで作ったボーリングのピンが、はじけ鈍い音が響く。

 

「なかなか当たりがでないものですね。君も強情だ」

 

 向けられた視線に、顔を上げれば、両目の色が違う男が笑っている。

 

「実の兄弟も、友人も簡単に見捨てたというのに、ボンゴレのことは教えないとは……」

「そうかな? 情報の相場として、間違ってはいないと思うけど。なんたって、ボンゴレ十代目の最有力候補の名前だよ?」

「クフフ……まぁ、いいでしょう。残りは三人。一位は君が呼び出してくれたおかげで、わざわざ足を運ばずに済んだことですしね」

 

 事は、一週間前に遡る。朝に弱い凛が、突然起き上がると、じっと外を見つめたあと、また布団に潜った。店長もいないから、一応確認しておくかと、店を出てみれば、この男が立っていた。

 

「キドニーは、いますか?」

「残念ながら、出かけてます」

「それは困った……彼も使えなくなってしまったし……ところで、君はキドニーの弟子か、なにかですかね?」

 

 最初から、想定はしていた。

 

「弟子ではないですが、多少ならお手伝いできると思いますよ? もちろん、お金はもらいますけど」

「……なるほど、いいでしょう」

 

 それから、この男、六道骸についてきた。さすがに、フゥ太までいたのには驚いたけど、周りにいた人は見覚えがあった。店長が調べにでた原因である、復讐者の牢の脱獄犯のオンパレード。

 ランキング自体は、すでに彼らの手にあった。あとは、二十四人についての情報を渡しただけ。

 

「でも、君はずいぶんと使える。これは、本当に君の最後の条件を飲みたくなってきますね」

「へぇ……僕、あんまり評価されることなかったから、骸さんのその言葉が嬉しいよ」

 

 いつだって、二番手だ。それが嫌というわけではない。ただ、必要とされていないような気がするだけ。

 

 

***

 

 店には、お休みの看板が看板がかけられていたが、入ってきた赤ん坊は居間で眠っている少女を、静かに見下ろしていた。その傍らにはエナメルバッグ。タオルや着替え、ボールが詰め込まれていたが、引っ張り出した荷物の奥、よく見なければわからないように細工された底が見えていた。

 小さな手を伸ばし、その底を剥がすように捲れば、分解された銃が入っていた。

 

「人の荷物、勝手に漁るなよ……」

 

 両肩を後ろから掴まれ、顔だけ振り返れば、先程よりまた顔色の悪くなった凛。

 

「遼太には、言ってねぇのか」

「言ってない。だから、言うなよ。あいつは、いい……普通で」

「……わかった」

 

 キドニーに一度、言われたことがあった。凛は、危険にいち早く気がつくと。ただ、その察知は、本人の体調の悪さとしてほぼ無自覚に現れるため、他人の方が気がつきやすいことも多いと。

 

「キドニーはいねぇのか?」

「二週間前に、どっかにいった」

 

 二週間前といえば、イタリアで事件があったはずだ。復讐者の牢から脱獄者がでたという、大事件。おそらく、それを調べに行ったのだろう。

 有力な情報源がないなら、別の方法で調べるしかない。

 

「そうか。起こして悪かったな。一応、毛布くらいかけとけ。女が腹冷やすもんじゃねーぞ」

 

 リボーンは押入れから、タオルケットを取り出すと、凛にかけ、店を出ていった。

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