笑って、群れて、失った    作:こっここーまん

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14 裏返し

 犬がやられた様子を、設置されたカメラから見ていた潤也は、驚いた様子で見ていた。

 

「山本やるなぁ」

「喧嘩ランキング三位ですか……」

 

 さすがの骸も少し驚いているようだ。ランキング一位の恭弥は既に倒され、捕まえてある。確かに強くはあったが、裏社会を生きていた骸には、それほど強くは感じなかった。

 獄寺にも、千種がやられながらも帰ってきて、今は眠っている。どうやら、四位から上になれば、千種は犬では、容易に勝つというわけにはいかなさそうだ。

 

「六道骸様」

「おや、目が覚めましたか」

 

 目を覚ました千種が、一度潤也を見て、ボンゴレのボスと接触したというと、潤也の持っていたパソコンを自分の方に引き寄せた。

 そして、ひとりの男を指さす。

 

「コイツです」

「ほぉ……彼、ですか」

 

 黒曜ランドに来ている中でも、特に弱そうな少年。彼ならば、喧嘩ランキングに入っていなくても、理解できる。

 

「食えない男だ。君も」

 

 それを知っていながらも、口を割らなかった潤也に、骸は笑いながら目をやり、潤也もまた笑って返した。

 

「あぁ、ほら、お友達きたよ」

 

 そういって、指さした先には、同じ脱獄犯である五人。

 

「適当なこと言わないでもらえる? 仕事だからきたのよ」

「あぁ。ごめんなさい。お金目的だったね」

 

 ボンゴレ十代目、綱吉の首を取ってこいという仕事に、五人はそれぞれ立ち上がると、部屋を出ていった。

 残ったのは、骸、千種、フゥ太、潤也の四人。潤也は相変わらず、カメラの映像で、綱吉たちの動きを見ていた。そして、恭弥の様子も。

 

「……見たいなら、こっちおいでよ」

 

 フゥ太に画面が見えるように、手招きすれば、ゆっくりと近づき画面をのぞき込んだ。

 

「ツナ兄……」

 

 助けを求めるように、そう漏らしたフゥ太は、隣でなんでもなさそうに画面を見ている潤也を見上げる。

 友達であるはずの、遼太が襲われても、兄である恭弥が襲われているところを見ても、平気な顔をしていた。

 

「ジュン兄は、平気なの……?」

「なにが?」

「みんなが、ひどい目に合ってるのに……」

 

 裏切った人間の心情は、わからない。フゥ太は、そういった人にはランキングを売ることはなかった。

 だが、もし、会うことがあれば、きっとこういう顔をしているのだろう。

 

「僕は、傍観者だからね。骸さんがくれた料金に応じて、情報を渡して、それ以上のことは別に条件を出してる、フゥ太も情報屋なんだし、こういうことは多いんじゃないの? どっちにつくって訳じゃない。強いてあげるなら、勝って、生き残った方につく」

「……」

 

 間違ってるとは言えなかった。

 

「雲雀潤也君。ちょっといいですか?」

「はい?」

 

 戻ってきたバーズに呼ばれ、フゥ太に画面を見やすく向けてから、部屋の外に出た。

 

「ボンゴレ十代目のお友達。できれば、女性がいいですね。紹介していただけますか?」

「……三、いや、四人かな? いますけど」

 

 そのうちの一人は、喧嘩ランキングに入っていたと伝えると、バーズは驚いたあと、

 

「彼女なら、君が一番よく知っているでしょう?」

 

 差し出されたのは、硫酸だった。

 

「骸さんと共に行きたいなら、君も参加してください」

「……嫌です」

「! それは、裏切りにも聞こえますねぇ」

「悪趣味に付き合って、死にたくはないし、かすれば殺せるような武器を貸してくれるならいいですけど」

 

 その言葉にバーズは少し怪訝そうに眉をひそめる。

 

「硫酸かけられてただれた顔で、黙々と殺しに来るような人だよ? そんなの嫌に決まってるでしょ」

「……なら、これもあげますよ」

 

 渡されたのは、銃だった。

 

「足でも肩でも撃てば、動けなくなりますよ。そのあと、硫酸をぶっかければいい」

「……」

 

 回転式の大口径。頭に撃てば、まず即死だろう。どこに撃っても、普通の人間なら動けなくなるほどの激痛が走るはずだ。

 

「使い方なんてものは、引き金引けばいいだけですよ」

 

 潤也がいなくなったあと、バーズは笑うのをこらえきれてはいなかった。

 彼が銃を使ったことがないのは、想像がついた。渡した時の表情も、普段隠していた彼の怯えたような表情が漏れ出していた。

 

「おっと、いけない……仕事はしないといけませんね」

 

 危うく垂れそうだったヨダレを拭き取りながら、綱吉たちの元へ向かった。

 

***

 

 綱吉たちが見つめる壁には、映像が映し出されていた。ひとつは京子と花、そしてシャマル。もうひとつにはハルと大人イーピン、大人ランボ。

 つい先程まで、京子とハルを襲おうとしていた、双子の悪魔から、二人をシャマルたちが助けてくれた。

 

「これで、人質はいなくなったな」

 

 獄寺がダイナマイトを構えると、バーズは慌てて、また新しい画面を映した。

 それは、先程よりもずっと見えにくいが、部屋の中で座布団を抱きしめながら寝ている凛だった。

 

「近衛さん!?」

「切り札というものは取っておくものですよ。最高に、スリルが味わえる」

 

 鼻血を吹き出しながら、画面に振り返れば、奥から、誰かの影が映る。

 

「脱獄は七人のはずだぞ。数が合わねぇ」

 

 犬、千種、M・Mを倒し、目の前にいるバーズ、シャマルとイーピンに倒された双子、残りは骸ひとりのはずだ。凛の元にいける人間はいないはずだ。

 

「ウジュジュ」

 

 画面にようやく銃を握った姿と共に映った少年を見て、目を見開く綱吉たちの顔に、バーズはまた鼻血を吹き出した。

 

「潤也君!?」

 

 そこに映ったのは、銃を寝ている凛に向ける潤也だった。

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