笑って、群れて、失った    作:こっここーまん

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16 なにはともあれ、元通り?

 骸たちは、復讐者に捕まったそうだ。他の脱獄した五人も。

 もし、ツナたちが負けていたら、それはそれで大変なことになっていただろうけど、結果がよければいい。

 病室に入ってすぐに倒れている人。

 

「病院って、けが人出す施設じゃないよ?」

「彼がゲームに負けたんだよ」

 

 相変わらず、理不尽なゲームはしているらしい。前に、ツナも巻き込まれたと言っていた。

 

「それ、なに?」

「ナミモリーヌのプリン。食べるでしょ?」

 

 プリンを食べている間にも、あまり会話はない。

 怒っていることはなさそうだ。リボーンがいうには、骸を倒したあと、僕を探しに行こうとしたらしい。

 

「ごめんね。先に、こっち帰ってきてて」

「ジュンに助けられる方がイヤだよ」

「それは、そうかもしれないけど……」

 

 プライドが高いから、弟に助けられるなんてもっての外だ。

 

「謝るくらいいいでしょ? そのケガの原因、僕にも少しはあるわけだし」

「……」

「こういう時ぐらいだしね。兄さんと何か、一緒に食べるのって」

 

 見舞いのプリンを一緒に食べるくらいしか、最近は家族と何かを食べることはない。最後の一口を口に入れた瞬間、

 

「たまには、帰ってくれば?」

 

 そんな予想外すぎる言葉に、咳き込みそうになった。どうにか、それを抑えて、もう一度聞き返そうとすれば、聞き覚えのある歌と共に、窓に止まった黄色い小鳥。

 

「バーズの鳥?」

「ヒバリ! ヒバリ!」

 

 それはいったい、どちらの雲雀だろうかと思ったが、目が完全に兄さんに向いていた。

 

「え……?」

「ペットにした」

「あ、そ、そうなんだ」

 

 人が飼っていた鳥だし、きっと人懐っこいのだろう。うん。きっとそうだ。

 いや、なんていうか、バーズの鳥は懐いてるし、校歌歌ってるし、色々衝撃的で、なんかもうさっきの言葉を聞き返す空気じゃない。

 

「退院はいつごろなの?」

「今」

「え?」

「ジュンが来たら、帰る気だったし」

 

 重症だったんじゃないのだろうか。いや、なんかもう学ラン着て、帰る気マンマンだし。小鳥も、兄さんの肩に乗った。

 

「また連絡する」

 

 お見舞いに来たはずなのに、なぜ病室で別れることになるんだ?

 

「……うん。じゃあね」

 

 病室には、僕一人だけになった。僕が来たら、帰る気だったって、結構破綻してる気もするけど、気にしちゃいけないのだろうか?

 

「……寂しくて、すねてた?」

 

 いや、まさか。あの兄さんに限って、それはない。

 

「ない、よね……?」

 

 ここに居続ける理由はない。店に帰ろうと、部屋を出ると、隠れるように座っていた遼太。

 

「あ……」

「驚かせる気なら、ちゃんと飛び出さないと意味ないよ?」

「う、うっせー! 喧嘩とかになったら、止めようと……」

 

 言いにくそうに小さな声で何か言っていたが、いまいち聞き取れなかった。

 

「ありがとう。今度、またお見舞い持ってくるよ。この前のやつ、ちゃんとお湯もらって食べたんでしょ?」

「いらねぇよ! アレ、スゲー微妙な顔されたんだからな!」

 

 持って帰ってくればいいのに、病院で食べるなんて、遼太は相変わらず律儀だ。

 

***

 

 それから、数週間が過ぎ、

 

「驚異的な回復力……」

「あんだけナースさんに怒られるの、お前くらいだろ」

「いやいや! 先輩の方が後半ひどかったからな! リハビリって言ってんのに、普通にトレーニングし始めるから」

 

 遼太は、野球部の秋の大会にレギュラーとしてでるそうだ。ちなみに、山本も。

 

「あいつら、人間なのだろうか……」

「百面相を見る限り、人じゃなさそう」

「人だよ!! もう、お前らの顔面にホームラン打ち込んでやる!!」

 

 と言って、家をでていったのは数時間前。確かに、遼太はホームランを打った。

 

「顔面ホームラン宣言はどこにいったんでしょうねぇ?」

「あとでネタにしようか」

「ふ、二人共……」

 

 せっかくホームランを打ったというのに、この扱いだ。綱吉が遼太に同情していると、また一人ホームランを打った。

 

「さすが山本!」

 

 相手チームも、さすがに二本目のホームランに顔を歪めていたが、観客は盛り上がっていた。

 

「今年の並森、強いな!」

「おいおい! ピッチャーしっかり投げろよ!」

 

 そんなヤジが飛ぶ中、隣にいる男が立ち上がると、

 

「てめーら! しっかりやんねーと暴動起こすぞ!」

「野球などやめてボクシングやらんかー!!」

 

 獄寺と了平がそんなことを叫ぶものだから、他のヤジがかわいく見えてきてしまう。

 それは、選手の方からも見えていて、山本も遼太も、綱吉たちがいる席が、異様な賑わいを見せているのに、苦笑いするしかなかった。





これにて、黒曜編終了になります。
一応、
日常編→遼太
黒曜編→潤也
が、主体になっているのですが、正直あまり関係ないですね…(笑)
過去やら心情やらが出てくるように書いて入るつもりです。

まぁ、つまり、次のヴァリアー編は最後の一人です。
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