骸たちは、復讐者に捕まったそうだ。他の脱獄した五人も。
もし、ツナたちが負けていたら、それはそれで大変なことになっていただろうけど、結果がよければいい。
病室に入ってすぐに倒れている人。
「病院って、けが人出す施設じゃないよ?」
「彼がゲームに負けたんだよ」
相変わらず、理不尽なゲームはしているらしい。前に、ツナも巻き込まれたと言っていた。
「それ、なに?」
「ナミモリーヌのプリン。食べるでしょ?」
プリンを食べている間にも、あまり会話はない。
怒っていることはなさそうだ。リボーンがいうには、骸を倒したあと、僕を探しに行こうとしたらしい。
「ごめんね。先に、こっち帰ってきてて」
「ジュンに助けられる方がイヤだよ」
「それは、そうかもしれないけど……」
プライドが高いから、弟に助けられるなんてもっての外だ。
「謝るくらいいいでしょ? そのケガの原因、僕にも少しはあるわけだし」
「……」
「こういう時ぐらいだしね。兄さんと何か、一緒に食べるのって」
見舞いのプリンを一緒に食べるくらいしか、最近は家族と何かを食べることはない。最後の一口を口に入れた瞬間、
「たまには、帰ってくれば?」
そんな予想外すぎる言葉に、咳き込みそうになった。どうにか、それを抑えて、もう一度聞き返そうとすれば、聞き覚えのある歌と共に、窓に止まった黄色い小鳥。
「バーズの鳥?」
「ヒバリ! ヒバリ!」
それはいったい、どちらの雲雀だろうかと思ったが、目が完全に兄さんに向いていた。
「え……?」
「ペットにした」
「あ、そ、そうなんだ」
人が飼っていた鳥だし、きっと人懐っこいのだろう。うん。きっとそうだ。
いや、なんていうか、バーズの鳥は懐いてるし、校歌歌ってるし、色々衝撃的で、なんかもうさっきの言葉を聞き返す空気じゃない。
「退院はいつごろなの?」
「今」
「え?」
「ジュンが来たら、帰る気だったし」
重症だったんじゃないのだろうか。いや、なんかもう学ラン着て、帰る気マンマンだし。小鳥も、兄さんの肩に乗った。
「また連絡する」
お見舞いに来たはずなのに、なぜ病室で別れることになるんだ?
「……うん。じゃあね」
病室には、僕一人だけになった。僕が来たら、帰る気だったって、結構破綻してる気もするけど、気にしちゃいけないのだろうか?
「……寂しくて、すねてた?」
いや、まさか。あの兄さんに限って、それはない。
「ない、よね……?」
ここに居続ける理由はない。店に帰ろうと、部屋を出ると、隠れるように座っていた遼太。
「あ……」
「驚かせる気なら、ちゃんと飛び出さないと意味ないよ?」
「う、うっせー! 喧嘩とかになったら、止めようと……」
言いにくそうに小さな声で何か言っていたが、いまいち聞き取れなかった。
「ありがとう。今度、またお見舞い持ってくるよ。この前のやつ、ちゃんとお湯もらって食べたんでしょ?」
「いらねぇよ! アレ、スゲー微妙な顔されたんだからな!」
持って帰ってくればいいのに、病院で食べるなんて、遼太は相変わらず律儀だ。
***
それから、数週間が過ぎ、
「驚異的な回復力……」
「あんだけナースさんに怒られるの、お前くらいだろ」
「いやいや! 先輩の方が後半ひどかったからな! リハビリって言ってんのに、普通にトレーニングし始めるから」
遼太は、野球部の秋の大会にレギュラーとしてでるそうだ。ちなみに、山本も。
「あいつら、人間なのだろうか……」
「百面相を見る限り、人じゃなさそう」
「人だよ!! もう、お前らの顔面にホームラン打ち込んでやる!!」
と言って、家をでていったのは数時間前。確かに、遼太はホームランを打った。
「顔面ホームラン宣言はどこにいったんでしょうねぇ?」
「あとでネタにしようか」
「ふ、二人共……」
せっかくホームランを打ったというのに、この扱いだ。綱吉が遼太に同情していると、また一人ホームランを打った。
「さすが山本!」
相手チームも、さすがに二本目のホームランに顔を歪めていたが、観客は盛り上がっていた。
「今年の並森、強いな!」
「おいおい! ピッチャーしっかり投げろよ!」
そんなヤジが飛ぶ中、隣にいる男が立ち上がると、
「てめーら! しっかりやんねーと暴動起こすぞ!」
「野球などやめてボクシングやらんかー!!」
獄寺と了平がそんなことを叫ぶものだから、他のヤジがかわいく見えてきてしまう。
それは、選手の方からも見えていて、山本も遼太も、綱吉たちがいる席が、異様な賑わいを見せているのに、苦笑いするしかなかった。
これにて、黒曜編終了になります。
一応、
日常編→遼太
黒曜編→潤也
が、主体になっているのですが、正直あまり関係ないですね…(笑)
過去やら心情やらが出てくるように書いて入るつもりです。
まぁ、つまり、次のヴァリアー編は最後の一人です。