笑って、群れて、失った    作:こっここーまん

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02 イタリア某所にて

 イタリアでは、ボンゴレ連合軍とミルフィオーレの戦いが繰り広げられていた。しかし、数は圧倒的にミルフィオーレの方が多く、ボンゴレ連合軍はすでに壊滅状態。負けるまでは秒読みだ。

 

「フッ……」

 

 堪えきれなかった笑いが漏れ出す。

 

「どうした?」

「あ、いや。さすがにタイムトラベルと聞かされても……その、アニメみたいだと思って……」

「……まぁ、わからなくはないがな。事実だ。すでにγがやられた」

「あーあのブラックスペルの……ってことは中学生にやらてたってことっすか」

 

 白い服を着た若い男は、なんとも言えない表情で笑うだけだった。

 ミルフィオーレは確かに大きいが、その分いろいろな人間がいる。突然十年前の人間がこちらに来ていると言われて、信じられる方が少ない。

 だが、それは事実であるのだから、信じるも何もないのだが、本当であるなら、雷のマーレリングを持っているγは中学生にやられたことになる。

 

「所詮はブラックスペルだ。それより、モズ。それ、ちゃんと終わらせておけよ」

「はぁ~~……了解っす。俺も早くアニマルボックスがほしいんすけど……」

 

 ミルフィオーレは大きなファミリーだ。だからこそ、匣は大量に確保されているが、需要と供給が釣り合っていない。特に、アニマルボックスと呼ばれる動物の匣兵器は数が少なく、部隊長クラスでなければ配給されない。

 

「新人がろくな戦果もなく、アニマルボックスを持てると思うな」

「憧れなんすけど」

「なら白蘭様のために働け」

「はぁい……」

 

 モズが報告書をまとめていると、上司はワインを一口煽った。

 

「どちらにしろ、老害ファミリーも終わりだな。次の作戦で、総攻撃を仕掛けておしまいだ。たとえあのキャッバローネであっても巻き返すことなど不可能」

 

 笑っている上司は、小さくぽつりと、

 

「最強の暗殺部隊とかいうヴァリアーとやらと戦ってみたかったもんだ」

 

 そんなことを呟いた。

 

「激つよらしいですよ?」

 

 もはや都市伝説とも言われている、その存在。人とは思えない身体能力を持っているとかなんとか。

 

「名前だけの集団だよ」

「会ったことあるんですか?」

「ないが、中学生に負けたんだ。強いはずがないだろ」

 

 なるほど。と、モズは笑って頷いた。

 

「まぁ、俺も会ってみたいっすよねぇ」

「お前なんて見た瞬間に殺されてるんじゃないか?」

 

 ほろ酔い上司が、モズのことを笑った。

 

***

 

「はぁ~~着いたぁぁ……」

「おつかれさまです」

 

 もはや立場が逆転し始めている遼太とバジルはすでに、飛行機の中だった。結局、六回戦うことになり、バジルも随分未来での戦い方に慣れ始めていた。

 

「この付近に入ってから、妙に数が減りましたが、何かあったのでしょうか?」

「ミルフィオーレに一気に攻撃を仕掛けるって作戦があったから、たぶんそれ」

「我々は参加していないのですか?」

「元々は参加する予定だったんだけど、その集会に参加してた奴が帰ってくる前に、アジトが襲撃されてな」

 

 結局、潤也からの指示に従う以外なくなったのだ。

 

「とりあえず、飛行機の中なら少しは安心できるぜ」

 

 こんな人目に付く密室で、無茶をしてくる奴はさすがにそういないだろう。

 

「交代で休みましょうか」

「さんせー」

 

 数時間の休息。今まで気を抜けなかったのに比べれば、随分長い休みだった。

 

***

 

 城の中を、黒い影が飛び交い、その影が通り過ぎたあとには、人の死体だけが残った。

 

「あ」

 

 その部屋を開けた途端、声を上げた女に、スクアーロはすぐに目を向けるが、その部屋にあるのは椅子と机だけ。

 

「ボスが気に入りそうな椅子発見」

「ふざけんのかテメ――う゛ぉ!?」

 

 スクアーロを押しのけて部屋に入った、ザンザスはそのまま椅子に座ると、

 

「悪くねぇ」

 

 その一言だけ残して、目を閉じた。

 何も言わずに、スクアーロに向けられた女のピースサインに使われている二本の指を、今すぐにでも切り落としたい衝動に駆られたが、今は我慢する。ただでさえ少ない人材をこんなくだらないことで、削りたくはない。

 

「もうやだー! つかれたー!」

「なんだよ。こっからがおもしれーんじゃん」

 

 幹部が集まって、いつものように口喧嘩しているバルコニーに子供のように駄々をこねながら、現れた女は柵に座る。

 

「奇襲、急襲大好き。場所がバレてるディフェンス嫌い」

「あらぁ~~!! わかるわぁ! 女は攻撃してなんぼよね!」

「テメェ、女じゃねぇだろ」

「いやぁ……私、ルッスみたいなイケイケ乙女じゃないから、当たって砕けるのは好きじゃないけどね」

「凛もふっつーにこのオカマ、乙女とかいってんじゃねーよ」

「ミーも同感ですーそれが乙女だったら、アンコウだって乙女になっちゃいますよ?」

「別に本人が言ってればいいと思うけど……」

 

 本気で不思議そうな顔をする凛に、ベルもフランも呆れるように眉をひそめた。

 

「凛のそういうところ好きだけど、ママ心配になっちゃうわぁ。変な男に騙されないかしら……」

「ママ、安心して。ここ以上に変な人の集まりないよ」

 

 全員自覚があるのか、否定はされなかった。ようやくルッスーリアに促され、スクアーロが作戦を説明する。

 

「レヴィとルッスーリアは城で待機。何かあればサポート。俺と凛は東の抜け道を守る。南はベルとフランだ。雑魚は好きにつれてけ」

「はーい」

 

 返事をしたのは凛だけで、ベルとフランは不満だらけのようだ。任務中にフランを殺すとまで予告している。

 

「だいたい、ペーペーなら凛の方がペーペーだし。交代」

「ザケンナ! その二人合わせたらロクに仕事しねぇだろォがァ!!」

「最低限はしてますよー? ねー?」

「ねー」

 

 向けられた恐ろしい視線に、二人は一斉に顔を背ける。

 

「ほら、フラン。鮫隊長の血管破裂しちゃうから、素直に命令に従ったほうがいいって」

「少しくらい血が抜けた方がよくないですか?」

 

 拳を震わせているスクアーロの後ろで、レヴィとベルがなにやら画策していたようだが、ベルに拒否され、フランと凛に向かっていた怒りが、レヴィの脇腹へと吸い込まれていった。

 

「オラ! 分かったら行けェ!!」

 

 お互い顔を合わせて、舌打ちしたが、またスクアーロの怒鳴り声に、バルコニーから降りていった。

 

「いっぱい殺ってくるのよー!」

「がんばってねー!」

 

 二人に手を振れば、軽く手を挙げ返すベル。

 

「う゛ぉぉい」

「あ、はーい」

 

 スクアーロに呼ばれ、凛もすぐにあとを追いかけた。

 

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