笑って、群れて、失った    作:こっここーまん

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11 集合

 近づいてきた気配に、隠れていた全員が一斉に攻撃を仕掛けた。

 ザムザがザクロの動きを止め、直後黒狐が貫き、トドメに獄寺が攻撃を仕掛け、ザクロの体は上下に分裂した。

 

「ぐぁぁああ!!」

 

 しかし、その状態であっても叫び、リングをつけた腕は胸へと向かっていた。

 

「バケモノかよっ!!」

 

 すぐさま遼太が斧でその腕を切り落としたが、一瞬、遅かった。

 目の前に嵐の炎が渦巻き、雨雀が目の前で防御膜を張ってくれていなければ、これだけで分解されていただろう。

 

「仕留めきれなかったか……!」

 

 獄寺は背中を怪我しろくに動けず、ラルも戦闘するには厳しい体調だ。遼太も二人に比べればずっとマシではあるが、やはり怪我はしていた。最初で決められなかったのは、良くない誤算だった。

 現れたザクロは、動物ではあったが、かつて存在し、今は絶滅した恐竜のモデルの修羅開匣。

 

「トカゲはトカゲだろーが!! 恐竜とかいって、ただのトカゲ亜種じゃねーか!」

「バーロー。トカゲと一緒にしてんじゃ……ねェよ!」

 

 確かに背後から攻撃したつもりだったが、斧で完全に防がれた。しかも、その表情は嬉しそうに口端が上がっている。

 

「やっぱ、ただ力強いだけのトカゲじゃねーか」

「のわりには、顔引きつってるぜ!」

「――ッ」

 

 遼太を弾き飛ばし、追撃しようとしたザクロの視界に写ったのは、三つの匣兵器。

 

「チッ……」

 

 舌打ちと共に軽々と一撃の下、三匹を叩き潰すと、放ってきた二人へと足を向ける。

 ラルに爪を向けて駆け出した瞬間、目の前に落ちてくる斧。

 

「だよなぁ?」

 

 まるで分かっていたかのように、急停止し、ラルに構えていたはずの爪を遼太へと向け、切り裂いた。

 

「安い挑発に気づいてねぇわけねーだろ。バーロー」

「ガッ……!」

「遼太!」

 

 ラル、γと次々に倒され、獄寺がボンゴレ匣で対抗したが、ブルーベルの乱入によってザクロにトドメを刺すまでにはいかなかった。

 

「ブルーベルの大技見せてあげるわ」

「く、そ……」

 

 目の前に現れた巨大なアンモナイトに、ザクロの嵐の炎。

 それでも、最後まで抵抗しようと起き上がろうとした遼太の後頭部に、衝撃が走り、地面に顔面から突っ込むことになった。

 

「あ゛!?」

 

 凄まじい咆哮と爆発音に遮られてしまったものの、鼻先を抑えながら、後頭部に蹴りを入れた人物へと目を向けた瞬間、色々言いたかった文句が全て真っ白になって、なんともマヌケ面でその人物たちを見上げる。

 

「凛……?」

 

 そこにはヴァリアーの制服に身を包んだ凛が、昔と変わらない笑顔で立っていた。

 

「トカゲと貝に負けそうになるとか、ダッサ」

「しししっ情けねーの」

「う、うっせーよ! 化石だぞ! 化石! それにT-REX!」

「進化をやめた引きこもりと、進化できず凍え死んだトカゲだろ。どうせ作るならクマムシで作れっての」

 

 ベルに担がれていた獄寺は落とされた痛みを感じながらも、驚いた顔で凛を見上げる。遼太たちの言ったとおり、本当にヴァリアーの制服を着ている。傍らには雲の炎をまとった狼。

 

「ほ、本当にヴァリアーにはいってんのかよ……」

「? なんでそんな反応?」

「逆にこっちが聞きてーよ! ナイフ野郎と殺し合いしてただろ!」

「……あーベルとリボーンが私殺せなかった時の?」

 

 ほとんど覚えていないため、少し理解するまでに時間が掛かり、獄寺も遼太も表情が引きつってしまう。

 

「そんなんベルとリボーンをイジる時のネタ程度じゃん」

「なっ……」

「それよりも、スクアーロどこにいるか知ってるかしら?」

「……あいつはやられて、今、山本たちが捜索してる」

 

 獄寺が申し訳なさそうに言ったものの、帰ってきた反応は予想の斜め上のものだった。

 

「ハッ死んだか」

「ハッ死んだか!」

「てことは、次期作戦隊長は私かしら!」

「これでド突かれずにすむ♪」

「いやー静かになっていいね。サンドバックないのは心配だけど」

「やっぱこいつら普通じゃねぇ……」

 

 仲間意識なんて、ヴァリアーにはないのだろうかと、少し心配になってしまうが、獄寺が心配したところで意味はない。

 ヴァリアーが戦闘している場所から少し離れた場所に、獄寺たちは運ばれ、ルッスーリアに治療を受けていた。前にはライフルを撃っている凛の姿。

 

「んもぅ! やっぱり家事ばっかりなんて嫌よォ! ねぇ? 凛」

「変わる?」

「ライフルはあんたの方が得意でしょーが。掠らせたら私が殺されちゃうじゃない」

「ごめん。ミスった。じゃダメ?」

「それで許されるのはアンタくらいよ……」

 

 ルッスーリアがため息をつくと、近づいてくる気配に目を向ければ、草むらから現れた狼。

 

「あら?」

 

 凛の匣兵器だろうかと、目をやるものの炎がどこにも灯っていない。本物の狼のようだ。凛もルッスーリアの声が気になったのか、顔を上げて振り返ると、目の前に迫ったそいつ。

 

「うわぁっ!?」

 

 遼太との再会以上に興奮した様子で、全身をくまなく擦りつけるような激しいスキンシップ。

 

「痛い痛いっ! ニセー、すと、ストップ!」

 

 全身にこすりつけられ、時折脇腹にあたる痛みに凛が楽しげな悲鳴を上げていると、ようやく落ち着いたのか、長老に押し返されながら少し離される。だが、表情は誰がどう見てもまだまだ物足りなさそうだ。

 

「知り合い……? というか、マーキングされるんじゃない? 凛」

 

 名前からして、完全に長老の次かなにかの群れの長だろう。その証拠に、長老にも同様にスキンシップをしているが、凛に対してほど激しくないし、長老がひとつ唸れば頭を下げている。

 

「お前ら、軍用狼でも育ててたのか?」

「違う違う」

 

 ラルに聞かれても、遼太にはそう答える他なかった。

 

「あー痛かった……ん? 痛かった? ニセー。おすわり」

 

 ふと感じた疑問に、凛がそう命じれば、ニセーは大人しく座り、尻尾をバタバタを振る。その中、凛はニセーの体をまんべんなく触ると、首付近にかけられた硬い何か。

 

「……」

 

 手にとってみれば、無線と手紙のようだ。しかも、猫耳の付いた鳥のイラストが描かれている。

 

「もう危ないからここから離れてって、みんなにも言っておいて。いいね?」

 

 少しだけ不満そうに、だが頷いたニセーの頭を撫でると、

 

「いい子。あいつに頭突き食らわせていいから」

 

 そういうと、ニセーは森の中へと戻っていった。

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