笑って、群れて、失った    作:こっここーまん

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13 霧中の嵐

 白蘭からボンゴレの主戦力に関しての武器、技などの情報は全て受け取っている。そして、攻略も全て終えている。ボンゴレ匣はあるが、それも対処が不可能というレベルではない。

 例えば、比嘉遼太。彼の武器は、斧。型にはまった技が多く、攻略は容易い。匣兵器は雨雀と晴アンコウ。基本的に自分の補助。戦い方は、

 

「正面から振り下ろすことが多い」

「ッ!」

 

 目の前に迫った斧を受け止め、背後に近づいてくる地面から生えた恐竜。

 確かに強いかもしれないが、それは一般人に比べての話だ。真六弔花には敵わない。

 

「まずは、ひと――」

 

 軽い音と共に遼太の背後にいた恐竜を全てなぎ払っていった、雷の炎をまとった多数の弾丸。また聞こえてきた音に、斧から手を離して体を後ろに倒すと、鼻先をかすめていく弾。

 

「サンキュー凛!」

「何捕まってんの? バカなの?」

「う、うっせーよ!」

 

 近衛凛。白蘭の情報では、武器は銃やナイフを主に使うもののそれほどこだわりがなく、手につけばなんでも使う。その割に匣兵器は、ただひとつ雷雲狼。技は特になく、最短で命を取りに来る。攻略はしにくいが、白蘭が言うには、『殺すのは簡単。本気で警戒するのは、殺した後』

 

「……」

 

 炎をまとわせた草を投げれば、青い炎に遮られた。遼太の雨雀だ。

 

「……できればそいつ、近づかせないで欲しいんだけど」

「助けてやったんだろ!? チュン太にお礼言えよ!」

 

 凛を殺すのなら、首を落としてもしばらく警戒しろと、トカゲの尻尾みたいに死んでもしばらく動くものだと考えておけだそうだ。

 一瞬だが、雨雀から目をそらした凛に遼太が怒鳴っている隙に、真下から恐竜が遼太を食らった。

 

「リョウ……?」

「ハハン。隙を見せましたね」

「……そうだね」

 

 あとは凛と遠くで援護をしている潤也。

 まったく情報はないが、元々戦うタイプではない潤也に、こうして目の前で戦うことになれば警戒する意味はほとんどない。

 

「ハハン……ここまで追い詰めた方は、あなたがたは初で、最後ですよ」

「おいつめ、た……?」

「凛、ツッコンだら負けだよ。まだまだ余裕だぜって感じなんだから、ただの皮肉だよ」

「解説するなよ……悲しくなるだろ」

 

 本当にこの三人は、話すことに夢中になるらしい。また凛に隙が生まれている。

 恐竜が凛の足を食らおうとするが、一匹の狼が足場になって避けられた。しかし、また他の恐竜が凛を食らおうと畳み掛ける。

 

「あなたほどの人間の女性は、初めてでしたよ」

「あーこれは……ムリだな」

 

 また一人。残りはあと一人。対した戦闘力がない、雲雀潤也。

 

「ハハン、これでおしまいですね。キドニーの弟子」

 

 潤也はただじっと桔梗を見上げると、自嘲気味に笑った。

 

「まだ僕は誰かのなにか、なのかぁ……嫌になるね」

「あなたは聡明だった。我々に与えられた情報に、あなたの情報はなかった。まさに情報屋として、キドニーと同レベルのものといえるでしょう。ただし、別世界でのあなたにおいて、の話ですが」

「別世界でもうれしいね。褒められるの好きだもん。僕」

 

 礼をいった潤也は、ふとその笑みを不敵なものへとすり替えた。

 

「僕も初めてだよ。戦ってる最中に、ママを何回も呼ぶマザコンなんてさ」

 

 桔梗の頬が微かにだが、震えた。それを見逃すはずも無く、潤也はなお嬉しそうに微笑む。

 

「ママン、ママンなんて、ランボみたいだよ」

「……最後の言葉はそれでいいですか?」

 

 返事は聞いていなかった。恐竜が潤也の目の前に迫ってくる。あと数センチ。開いた口の中がよく見えた。

 その口に光が届かなくなった時、潤也は声を上げた。

 

「リョウ!!!」

「おうっ!」

「なっ……!?」

 

 恐竜の頭から突き抜けるように顔を出している潤也。それに恐竜の腹から、打ち破るわけでもなくただ飛び出してきた遼太は、その斧を大きく振り上げ、晴の活性で威力を高めたまま、桔梗から伸び地面に突き刺さる全て匣兵器の束を叩き切った。

 その瞬間、炎の供給を失った恐竜は全て溶けて消えた。

 

「うっしゃぁぁあ!!!」

「コレが狙いか……!!!」

 

 桔梗の地下からの突然の攻撃は、ほかの仲間にも危険がおよぶ。だからこそ、最初にそれをなんとかしておきたかった。修羅開匣とはいえ、匣兵器。炎の供給が無ければ動かなくなるか消えるかのどちらかだ。

 

「ママは呼ばなくていいの?」

「……」

 

 見え透いた挑発にはのらず、桔梗は先程のことを思い出していた。潤也も遼太も、恐竜をすり抜けた。破壊するわけでもなく、もともとそこにそれらが存在しなかったように。

 答えは簡単だ。幻術。しかし、確かに骸に騙されてから警戒はしていた。自分の指示と違った行動を起こしていないか、注意していたはずだ。動きは指示通り、物体もそこにあったはずだ。

 

「なるほど。そういうことですか」

 

 一匹の狼へ攻撃をすれば、その背中に乗っていた幻術の霧がはれ、ヤマアラシが現れた。

 

「器用なことをするものですね。頭から先だけを幻術に操るとは」

 

 あのヤマアラシの針には、嵐の分解の炎が蓄えられているのだろう。その針を指すことで一部を分解、そしてその場所を幻術によって補完し、蝕まれていることに気付かせない。

 

「すげぇ……嵐の死ぬ気の炎見せてないのに気づかれた……ま、そういうことなら、小細工無しだよ」

 

 ナイフと斧の攻撃が始まろうとしたその瞬間、その場にいた全員が気がついた、戦いの中心に何かが来る気配。

 光が瞬くと同時に現れた、発光した白蘭のようなそいつ。

 

「なんだあれ!?」

「ゴースト……」

「ゴースト?」

 

 ゆっくりとユニのいる方へ歩き出すゴーストに、ベルやレヴィが攻撃をするが、炎だけが吸われ、ゴーストは無傷。

 

「ダメ……アイツは、ムリ……」

 

 獄寺、了平、バジルの複合属性の炎攻撃がゴーストに当たるその瞬間、

 

「逃げてッ!!!」

 

 凛の叫び声が響いた。






実はこの3人の真面目な戦いを書いたのは初めてなんじゃないかと…(笑)
基本潤也が戦わないですし……
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