二年のクラスが発表され、掲示板に人が集まっていた。遼太も人をかき分けて掲示板を見上げる。
「あー……おっしゃ! 名前あった!」
「留年する気だったの?」
「A組だ! お前らは?」
二人に聞けば、凛は掲示板を見上げて、首をかしげたあとに、思い出したような声を上げ、また掲示板を見上げた。
「え? なに今の……どういう反応だよ」
「いや、たまに自分の名前忘れない?」
「忘れねぇよ!!」
「あ、みんな一緒のクラスだよ」
潤也の言葉に、遼太も確認してみれば、なぜかよく話すメンバーとも同じクラスになった。
「ジュン……」
「ツナたちは知らないよ」
「……ツナたちは、ねぇ」
それ以外は裏で回したということらしい。雲雀の名は、兄だろうが弟だろうが関係はないようだ。
教室に行けば、京子と花も既に来ていた。
「顔ぶれが随分変わらないわね」
「ラクでいいじゃん」
「まぁ、しかし、ロンシャンなんてうるせー奴と同じクラスになったよね」
「ロンシャン?」
花に指された先では、マフィアだとクラスメイトに公言しているロンシャンがいた。
「まぁ、巻き込まれない分にはいーんじゃない? 楽しそうで」
「そうだね」
「京子まで……」
ちらりと凛を見ると、また嬉しそうに笑う。
「?」
「凛ちゃん、最近楽しそうだから」
少しだけ目を見開いた凛は、花の方に目を向けると、
「楽しそう?」
「店員でスマイル増えたんじゃない?」
「子供相手にスマイル0円はしてないんだけどなぁ」
「私、絶対あんたのところでバイトできないわ」
「花、子供苦手だもんね」
始業式だけで、本来なら今日は疲れる予定はなかったのだが、
「つかれたー!!」
「同感……リボ山はもういいよ」
「というか、今日の場合、リボ山のせいじゃないよね」
初日から担任が休み、代理としてきたリボ山に、前の授業参観の悲劇がまた起きるかと思えば、今回はロンシャンたちのせいで、大変だった。
「あの彼女はないって。どう反応すればいいんだよ……バカって、若干照れながらあのタイミングとか、完璧すぎて、かわいく見えた」
「凛。落ち着いて。女は内面とかいうけど、さっきあの子、もう知らないとか言って、ロンシャンのこと着拒してたから」
「あぁ……女の闇が」
「待て待て。お前ら、アレ、オッケーなのか?」
「人を見かけで判断しちゃいけないんだよ」
「女を顔で判断するとか、気をつけろよ……?」
二人の言っていることは合っているが、圧倒的に何か間違っている。
「おーい。遼太。早くいこうぜ!」
「お、おう! 今行く!」
山本に呼ばれ、遼太も鞄を手に部活へ向かった。
***
さすがに、四時半ともなれば子供たちもあまり来なくなる。
「ちゃおっす」
「あれ? 珍しいお客さんだね」
リボーンは、まるで自分の家のように居間まで入ってくると、
「エスプレッソ」
「ないよ。ここは喫茶店じゃないし」
「軒下にいろいろあるじゃねぇか」
「……なんで、凛のコレクション知ってるの」
軒下には、変わった茶葉やコーヒー豆、酒が置いてある。酒に関しては、キドニーの物だが、他は全て凛の趣味で集めているものだ。炊事をよくやっているおかげで、買い出しとして、お小遣いとは別に金をもらい、それをうまく使い集めていた。
キドニーがいうには、結構いいものが集まっているらしく、勝手に飲んでいることも多い。
「最強のヒットマンだからな」
「やってることは泥棒と同じだよ」
一応、軒下を覗いてみれば、置かれているコーヒー豆をひとつ手に取って、見よう見まねでエスプレッソをいれる。
「雲雀の弟にしちゃ、ずいぶん普通だな」
「それ、よく言われる」
恭弥なら、誰かのためにコーヒーをいれるなんてまずしない。どちらかといえば、いれられる側だ。
「まぁ、ファミリーには情報戦ができる奴も必要だからな。お前はうってつけだぞ」
「やっぱり勧誘かぁ。あ、そうだ。じゃあ」
見上げるリボーンに、微笑みながら、
「凛を殺してくれたら、ファミリーになってもいいよ」
それは、偽りが全くない笑顔だった。