ルティナの操るバーニングブレイカーとの交戦後、ガンプラバトルシミュレーターを出て、ルティナを探すも容姿も分からぬ存在を見つけることは難しく、奏達は途方に暮れていた。
「あの人の目的は……。少なくとも奏とバトルをする事が目的だと思えましたが……」
「分からない……。だが、アイツはあの時は……」
希空は近くの奏を見やりながら呟く。あの時、クロスオーブレイカーに襲いかかったバーニングブレイカーは傍から見ていても明確にクロスオーブレイカーを狙っているように見えた。とはいえ、奏も確かなルティナの目的までは把握できていないが、それでも彼女が言っていた言葉は覚えている。
「如月翔をやっちゃう……でしたか。どういう意味何でしょうか」
「少なくとも決して良い意味で言われたわけではないな……。何の恨みを買ってるんだ、あの人は……」
奏から聞いたルティナの去り際のやり取りを思い出しながら希空は疑問を投げかける。あの言葉にどういった意味が込められていたのかは判断しかねるが、それでもあの時の冷淡な様子から決して友好的なものではないだろう。
「ま、まさか……女性関係で揉め事が……!?」
「……一瞬、考えましたけど奏が言ったって知ったら絶対に悲しみますよ」
少なくとも翔があれほど明確に恨まれるような事は奏達に思い当たらない……が、一つ、突発的に思いついた事がある。ハッと顔をあげて答える奏だが、その言葉に何より奏が言ってはいけないでしょう、と希空は嘆息する。
「……なんであれあまり気分が良いとは言えませんね」
希空は苛立ちを表すように目を細める。僅かにバトルはしたが、あぁも話も通じず、簡単にあしらわれたのでは何も思わないわけではない。
「うむぅ……。まぁでも私はまたバトルしてみたいな」
希空の言葉が共感できるようで言葉を濁す奏ではあるが、希空にとって予想もしていなかった言葉が放たれたので驚いて奏を見る。
「奴は私と本気のバトルを望んでいた。ファイターとしてそんな事を望まれるなんて光栄ではないか」
驚いた希空に奏は晴れやかな笑みを浮かべて答える。
「それに私としても、あんな状態でのバトルでは満足できないし、やられっ放しと言うのもな。だからこそ万全の状態でバトルをして、そして勝つ!」
あの時の奏がガンダムブレイカー0との戦闘で自分でも自覚するくらいかなりの消耗をしていた。だからこそ万全の状態で、ルティナとの本気のバトルを望んでいた。
「……本当に眩しいですよね。見たくもないくらい」
再戦を心待ちにする奏のその底抜けに明るく晴れやかな様子に希空はか細い声で呟き、忌々しそうに目を逸らす。
「ん? すまない、なにか言ったか?」
「なんでもありません」
希空の呟きがはっきりと聞き取れていなかったのか、きょとんとした様子で希空に尋ねる奏ではあるが、今口にした事を再び話す気にはなれず、首を振って誤魔化す。
「まあでも、希空もあまりそんな顔をするな」
とはいえ、誤魔化しても希空が不機嫌そうな仏頂面をしているのは変わらず、それには流石に気付いた奏は希空の肩を抱きながら、観戦モニターを向き直る。
・・・
「ねっ、言ったでしょ? バトルその物が楽しいって!」
観戦モニターに映るのは市街地でのバトルであった。市街地の町中を明里のスラッシュエッジが駆け抜けていた。
「やるなっ……!」
蒼白く光るスラッシュエッジのビームサーベルを己のビームサーベルで受け止めたのは、RX-78-2 ガンダムをカスタマイズした進のガンダムリバイブであった。彼もまたイベントに参加して、明里のスラッシュエッジとエンカウントしバトルに発展したのだ。
「アカ姉の言う通りだなッ!!」
上空では涼一のエクシアサバイヴが光の翼を発生させながら、ビームライフルの引き金を引いて対象を追いつめようとする。そんな涼一は明里の言葉に心底同意するように口元に笑みを浮かべながら答えていた。当初こそ歴代ガンダムブレイカーと遭遇できないこと嘆いていたが、腕の立つファイターとのバトルはそれはそれで悪くはなかった。
「中々……! でも、進とのタッグだったら負けはしないよ!」
エクシアサバイヴが攻撃をしかけるのは大悟のZガンダムをカスタマイズしたZガンダムリバイブであった。エクシアサバイヴの鋭い攻撃を回避しながら、ウェイブライダー形態への変形を素早く行い、旋回するとバックパックに装備したマイクロミサイルランチャーを放ち、エクシアサバイヴへの反撃に出る。
・・・
「バトルはいつだって楽しんでしたいんだ……。今は苦しくとも、それも良かったと思えるようにしたい」
観戦モニターに映るエクシアサバイヴ達の戦闘には見ていてもファイターが楽しんでバトルをしているのが簡単に見て取れる。その姿に奏は隣にいる希空に笑いかける。奏は今、己の中の力に悩まされている。だが、それでもバトルは楽しんで行いたいという気持ちは強くある。
「だから希空も少しは肩の力を抜け。難しく考えないで少しは馬鹿になって一緒に楽しもう」
そのまま希空の肩を撫でながら奏は微笑む。奏とて何であるのかは詳しく知らなくとも希空が何かに悩んでいると言う事その物は察しているのだろう。
(……一緒にいるからから……傍にいればいるほど楽しめないんですよ)
奏に微笑まれる希空ではあるが、いまだその心に暗雲は立ち込めており、それが晴れる事はなかった。
・・・
「これ、お土産です」
その後、貴文達や明里達と共にGB博物館を後にした希空達は彩渡街に立ち寄っていた。別にこのまま帰ることは可能ではあったが、その前にGB博物館での土産を愛梨やサヤナ達に渡す。
「わぁっ、これ限定品だよねっ!? 欲しかったんだーっ!!」
「なんだか悪いわね」
希空から手渡されたGB博物館の土産であるガンプラを見て、表情を輝かせて喜んでいる愛梨とその隣では何だか気を使わせてしまった事にサヤナは若干、申し訳なさそうに話す。
「私達ももう帰りますので、ツバコにはよろしくお伝えください」
「ええ、勿論」
時間は過ぎるのもあっと言う間でもうそろそろ生活の拠点となっている場所へ帰らなくてはならなくなってしまった。今回、この場に訪れて会えなかった者もいるが、ならせめてと希空はサヤナに言伝を頼む。
「えぇっもう少し一緒にいようよっ!!」
「ごめんなさい、もう予約も取ってありますから……」
希空達が帰ることを渋る愛梨。久方ぶりに会ったのだから、もう少し長く一緒に居たいと思うのは仕方ない事だろう。それは希空も同じことなのか、名残惜しそうではあるがやんわりと謝る。
「今度はいつ来れそうかしら?」
「……それは何とも。気軽に来れるわけではありませんので」
愛梨を宥めながら希空達に今度、会える日を尋ねるサヤナではあるが、希空は難しい顔を浮かべながら首を横に振る。
「まあでも、近くに会える可能性はあるぞ」
寂しさが生み出す雰囲気が広がっていくなか、ふと奏が口を開き、全員の視線が奏に集まる。
「うむ、近く大会が行われる。私達も出場するつもりだし、もしかしたら本選で出会う可能性はある。まあ大会に出れば、の話だが」
全員の集まる姿勢に頷きながら、その理由について回答する。その言葉に希空達は成程、と納得する。
「だったら私、出るよ! 今はいなくともちゃんとチームを作ってみせるから!」
「ええ、楽しみにしてます」
希空に会う事が出来てバトルも出来る。最高ではないかと愛梨が再び表情を輝かせながら希空の手を取ると、希空もその時のことを楽しみにしているのか、愛梨に答えるように彼女も微笑む。
「ならば……」
「ええ、また近いうちに」
そろそろ時間も迫っている。奏と希空は互いに頷き合うと、愛梨とサヤナに別れの言葉を告げて、彩渡街を立ち去っていく。
「大会が楽しみだな」
「否定はしません。ですが、強くならなくてはいけない理由は増えました」
駅まで向かっていく道中、夕焼けに照らされながら奏と希空は談笑する。奏の口元には愛梨達だけではなく、どんな相手とバトルが出来るのかと言った高揚感から来る笑みが浮かんでいた。
(私は強くならなくていけない。“あの力”も手に入れる……手に入れなくてはいけないから)
ふと希空の表情に影が差し込む。力を渇望するその瞳はどこまでも妖しく揺らめいていた。だが不意に自身の腰が何かに触れられた感触に気づき、希空はそちらを見やれば、そこには此方を見つめるロボ助の姿が。
「……大丈夫。奏達が……何よりロボ助が支えてくれるから」
どうやらロボ助には僅かな表情の変化さえ見破られてしまうらしい。それ程までに自身を分かってくれているロボ助の身長に合わせて、希空は屈む。
「だからロボ助、これからもずっと私と一緒にいてね」
屈んだ希空はロボ助に手を指し伸ばす。例えどんなことがあっても自分を誰よりも分かっているロボ助が近くにいてくれるのなら自分の心は壊れる事はない。
「ありがとう、ロボ助」
ロボ助は言葉を発することは出来ないが返事として希空から差し出された手を取ると跪く。その姿はさながら姫に忠誠を誓う騎士のようだ。生まれた時からずっと一緒にいてくれたロボ助のその姿に希空は柔らかな笑みを見せながらロボ助を抱きしめる。
「あぁうむ、私も近くにいるぞー? 希空ー? 私もそれなりに近くにいると思うんだけどなー? 抱きしめたりなんかしちゃってくれないかなー?」
「時間に間に合いませんね、急ぎましょうか」
「希空ー? 希空ー!?」
抱きしめる希空の背中に手を回すロボ助。お互いの間に温かな空気が流れるなか、咳払いをしながら己の存在をアピールする奏ではあるが、希空はロボ助と手を繋ぐと駆け出す。置いていかれた奏が慌てて追い掛けながら希空の名前を叫ぶのが、聞こえながら希空は今はただ一緒に走ってくれる存在と今を駆けるのであった……。
・・・
「うーん……折角来たのは良いけど、やっぱり肩透かしかなぁ」
闇夜の下、光に溢れる街の中でビルの屋上で風に髪を自由に靡かせながら、退屈そうに呟くのはルティナであった。
「おねーちゃん、次はいつガチでバトッてくれるかなー。今度はルティナの心を満たしてくれるのかな」
奏がそうであるようにルティナもまたあのバトルには消化不良を感じている。早く、それこそ今すぐにでも全てを曝け出した全力のバトルがしたかった。
「やっぱり友達は欲しいな。あのおねーちゃんみたいな一目見た瞬間に心を躍らせてくれるような奴」
街並みを見下ろしながらルティナは無邪気な笑みを見せる。それは心の底から遊びたいと願う幼子のようだ。だが彼女の口にする友達という存在は誰でも良いと言うわけではないようだ。
「……まあ、あのおねーちゃんはもっと詳しく調べなきゃいけなさそうだけど」
携帯端末から開いた研究資料と思わしくデータに目を通す。そこに載っているのは決してこの世界には存在しないものばかりでその中にある一人の幼い少女のデータに目を細める。
「まあでも、どうせならこのガンプラって言うの? ルティナ好みのを作りたいな」
懐から取り出したバーニングブレイカーを見つめながらルティナは呟く。このガンプラは覇王の為の物。覇王の動きを考慮した作りになっているのだ。だからこそルティナに完全に合っていると言うわけではない。
「それにコレ……大事な宝物だしね」
手の中に納まるバーニングブレイカーのガンプラを見つめながら、ルティナはどこか寂しそうな笑みを見せる。その笑みの意味は彼女しか分からないものだ。
「よーし、じゃあ早速、作り方を教えてくれるような人に会いに行こうかな」
どうやら思い立ったら行動する性分らしく人知れずビルから立ち去ると、彩渡街と表示される看板の横を通り過ぎながら歩いていく。
「友達っ百人っでっきるっかなー♪」
純粋無垢な子供のように無邪気に歌うルティナは空に浮かぶ美しい月を見ながら心を弾ませて笑うのであった。
<いただいたオリキャラ&俺ガンダム>
トライデントさんからいただきました。
ガンプラ名 ガンダムリバイブ
元にしたガンプラ ガンダム
WEAPON ビーム・ライフル
WEAPON ビーム・サーベル
HEAD ガンダム
BODY ガンダムMk-Ⅱ
ARMS ガンダム試作一号機フルバーニアン
LEGS ガンダム
BACKPACK ガンダム試作一号機フルバーニアン
SHIELD ガンダム
拡張装備
ハンドグレネード(腰右)
ファンネルラック×2(バックパック)
腕部グレネードランチャー(両腕)
刀(左腰)
カラーリングはガンダムで統一
事の発端は父親が誘ったバトル。父親がストライクを使うならば自分は1stガンダムを使おうと軽い気持ちで選んだのだが、経験の差もあり大敗。意地になって使い込んだ結果がこれ
比較的シンプルな機体のため近距離戦がメインで、とくに捻った戦い方はしない(刀を投げて刀身でビームを反射させる程度)
ガンプラ名 Zガンダムリバイブ
元にしたガンプラ Zガンダム
WEAPON ビーム・ライフル(Z)
WEAPON ロング・ビーム・サーベル
HEAD Zガンダム
BODY Zガンダム
ARMS Zガンダム
LEGS Zガンダム
BACKPACK Zガンダム
SHIELD Zガンダム
拡張装備
碗部グレネードランチャー(右腕)
ビーム・サーベル
メガ粒子砲(頭に埋める感じ)
Cファンネルショート(両足)
マイクロミサイルランチャー(バックパック)
変形可能
カラーリングはZガンダムそのまんま
ほとんどZガンダムそのまんま。というのも、一回Zガンダムをどうにか改造できないものかと思いいじってみたら変形が出来なくなってしまい、いっそのことほとんどいじらないでオプション足した方がいいんじゃないかという結論に至りこうなった
変形しながらミサイルを打ちまくったりビームコンヒューズを実践したりすること以外とくに捻った戦い方はしない
素敵な俺ガンダム、ありがとうございます!