ブレイカーインフィニティ、リミットブレイカー、ν-ブレイカーの三機のガンダムブレイカーとブレイカークロスゼロ、ブレイカー0、ネメシスによる戦闘の火蓋は切って落とされた。
各々が一線を画す程の実力を持つ者達によるバトルはすぐさま嵐のような過激なものへと様変わりしていくのにそう時間はかからなかった。
「
ネメシスとの近接戦を繰り広げる一矢はかつてのクロノとの戦いを想起する。
当時、クロノは翔、シュウジ、そして一矢を相手にネメシスとユーキディウムをNPCとして出現させ、けしかけてきた。NPCとはいえ、あの当時でもネメシスの戦闘力は戦慄したが今、目の前にいるネメシスはかつての比にもならないのだ。
激しい剣戟を繰り広げるリミットブレイカーとネメシスの近くではブレイカークロスゼロとν-ブレイカーによる戦闘が行われていた。
「どうだ、アラタ。ここにいるファイター達は!」
「最っっ高だな! 製作やバトルの技術だけじゃない、そんなものは関係ないっ! どれだけの実力差があろうとその上で自分のガンプラが一番だって思ってるのがそこかしこから伝わってくる!」
一進一退の攻防が続くなか、かつて奇妙な巡り合わせで出会った奏とアラタは熱の籠った言葉を交わす。
そんなν-ブレイカーに危険を知らせるアラートが鳴り響いた。接近警報にアラタが注意を向ければ周囲には既にブレイカー0のフィンファンネルが迫っており、このままでは一瞬のうちに蜂の巣であろう。
「ν-ブレイカーを舐めんなよっ!」
対してアラタは至極冷静であった。
G-セルフ パーフェクトパックを元に手掛けたν-ブレイカーに自信を持つアラタはすぐさまリフレクターモードを発動させる。
機体色が紫へと変化するなか、四方八方より放たれるビームを全て吸収し、ν-ブレイカーのエネルギーへと変換する。
「──相変わらず素晴らしいガンプラだな!」
フィンファンネルによる波状攻撃に対処するなか、ビームの雨を縫ってν-ブレイカーに迫ったのはブレイカークロスゼロであった。ソードモードに切り替えたGNソード3の切っ先をν-ブレイカーへと向け、そのまま弾丸のように迫ってきていた。
「っ!」
流石に対処する術もなくシールドを構えるν-ブレイカーであったが、そんなν-ブレイカーとブレイカークロスゼロの間に一閃が走る。奏が思わず機体を急停止させるものの次の瞬間、既に接近していたブレイカーインフィニティに蹴り飛ばされたのだ。
そのままビームサーベルを引き抜き、体勢を立て直し迎撃体勢を整えたブレイカークロスゼロに突進していき、そのまま鍔迫り合いに持ち込む。
「さて、そろそろ英雄殺しとやらの真意を聞かせて貰おうか」
この空間での時間はいつまでもいてしまいたくなる程、心地の良いものがあった。
しかしそもそもそのきっかけは奏の不可思議な行動だ。彼女が何かしらの意図をもって自分をこの空間に誘った。そしてガンダムブレイカー0とネメシスを引き連れて自分の前に現れたのだ。明らかな意図があるのは明白だ。
「ふむ……。その前に父さんが探すものは……答えほ見つかったか?」
特にひた隠しにするようなものでもないのか、あっさりとした様子の奏。しかしすぐに答えず逆に問いかけを返してきた。
しかしその問いかけに翔はすぐに答えることは出来なかった。自分は自分にさえ分からない漠然としたなにかを探しているのだ。
「父さん。私はあなたが可能性を求めているんだと考えている」
「可能性……?」
翔自身が分からぬもの探し物……。
奏はそれを可能性と予想した。
「アナタは既に人間、それどころかエヴェイユの枠組みさえ超えたどの人種から見ても他種の存在になってしまった」
かつての戦いで翔は最早エヴェイユという存在すら超えてしまった。その言葉そのものはかつてドクターからも言われたことだ。
「だが言い換えてしまえばアナタという存在も可能性だ。人間、そしてエヴェイユの枠さえも超えた未知の可能性……」
「俺自身が可能性、か……」
奏の言葉に視線を伏せる翔。
確かに人、そしてエヴェイユの枠を超えた翔という存在は可能性と評するのは間違いではないだろう。
「そしてだからこそアナタは可能性を求めている。ただの人でしかなかったアナタが可能性によって今の存在になったのなら、この世界には……いや、世界さえ越えてどれだけの可能性があるのか。それをその目で確かめるために」
そう、私は考えていると付け加えながら奏は翔の行動を推察したのだ。翔からしてもその言葉を否定する程の材料は持ち合わせておらず、どこか胸の中でストンと落ちるものさえ感じていた。
「……だが、だとしても何故このような舞台を用意した。世界も時間も越えてこんな大仕掛けを」
「確かに私だけの力ではこんな事はできない。だから、風香さんやリーナさん、不本意だがクロノさんの力を借りた」
この世界に誘われる前に行っていた奏とのバトルにリーナと風香が乱入して奏を含んだ3人のエヴェイユの力により、今の状況となった。
かつて自分も似たようなことをやったことがある分、例え更にクロノの手を借りたとしてもその負担がそれだけのものなのかも知っている。現に今、現実世界の奏の額には脂汗が滲んでどこか苦しそうだ。それでも奏はこの状況を作ったのだ。
「父さん、この世界にいる多くの者達は全てアナタが歩んてきた結果だ。アナタがガンダムブレイカーとしての歩みを進め、それがアナタから受け継いだバトンをシュウジさんは一矢さんに繋ぎ、そして世界さえ越えてアラタ達とも縁を繋いだ」
翔達の世界でも優陽やラグナのようにガンダムブレイカーの名を冠するガンプラを持つ者達は多く存在する。それは始まりである如月翔という存在があったからだ。
そしてそれは何かを求めて世界を巡り、アラタ達とも繋がりを作ったのだ。
「
言い方を変えれば如月翔という存在がいなければこの世界もなかったかもしれない。そして同時に本来出会う筈もなかった者達が一同に会するこの世界ならば、まさに何が起こるのか未知数。幾らでも可能性はあるだろう。
「……そうか。お前の考えは大凡分かった。だがまだ──!」
奏が口にした英雄殺しの真意が分からない。
そのことを追求しようとした瞬間、強烈な憎悪の如きプレッシャーが翔、そして奏達エヴェイユの脳を走ったのだ。
「なんだ……!?」
「空間が割れて……。ウィルスの類か……!?」
次の瞬間、広大なフィールドの空が割れたのだ。
そこから露出する淀んだ不気味な空間に戦闘の手を止め、アラタと一矢が反応する。
特に一矢に関しては似たような出来事をかつて経験しているからか、すぐに原因を探ろうとする。
「……違う」
しかし一矢達の困惑を他所に翔は静かに先程の一矢の言葉を否定し、今、警報の如く走るプレッシャーに顔を歪ませながらも翔は割れた空間の先を見つめる。
そこから姿を表したものを形容するのならば規格外の異形と言う他ないだろう。
誰もが息を呑むなか、フィールドを覆い尽くさんばかりの巨体を持つソレは空間の割れ目を更に強引に引き裂いてフィールドに顕現した。
その名はデビルガンダムコロニー。
かつて英雄たる如月翔が異世界における彼の物語にピリオドを打った最後の敵である。
「デビルガンダムコロニー……!? 私はあんな邪気を持つ存在は呼び寄せていないぞ!」
しかしこれは奏にとっても想定外だったようで目に見えて狼狽えてしまっている。
もしもこれがNPCとして出現したデビルガンダムコロニーなのであれば奏も然程驚きもしないだろう。
だが今、フィールドに現れたデビルガンダムコロニーが放つプレッシャーはNPCでは表現できない生々しくもドス黒い邪気なのだ。
「──一矢っ!」
エヴェイユでなくとも、その圧倒的な存在に言葉を失っているなか、一矢の名を呼びながらミサのアザレアリバイブが合流する。
「デビルガンダムコロニーなんてまたすげぇもん用意したもんだな」
「……あれだけのスケール、用意できるものなのか?」
続いて合流したのはリュウマのレイジングガンダムボルケーノであった。デビルガンダムコロニーを前に脳天気な様子を見せるリュウマにエヴェイユでなくともプラモによって作り上げたものではないその異質さにアラタは眉を顰める。
「……話はその辺にしろ。来るぞッ」
周囲の反応などお構いなしにデビルガンダムコロニーは動き出し、周囲への無差別攻撃を始めた。すぐさま一矢は周囲に促し、ガンダムブレイカー達は先程までの戦闘を止め、デビルガンダムコロニーへ集中するのであった。
……
「──ここは時間と世界を超え、可能性が集う場所」
デビルガンダムコロニーとの戦闘に臨むガンダムブレイカー達を見つめながら、静かに呟いたのはリーナであった。彼女自身はまだ戦闘に参加するつもりはないのか、彼女が操るウイングゼロは事の成り行きを見守っている。
「でも全てが善い可能性ばかりとは限らない。この空間へ繋がる扉を作った以上、招かれざる存在も引き寄せられる事は十分に考えられた」
奏と違い、この状況は想定の範囲内であったのか、デビルガンダムコロニーを前にしてもリーナに動揺は見られなかった。
「……でも、だからこそ意味がある。翔、ここはあらゆる可能性が集まる場所……。きっとこの戦いの中でアナタはさらなる可能性を掴めるはず」
傍らには風香のエクリプスも控えるなか、リーナはデビルガンダムコロニーを見つめる。この可能性の中で現れたデビルガンダムコロニーは謂わば負の可能性だ。だからこそリーナには意味があると思えたのだ。
何かこの話の最後にイラストを投稿しようと思ってますがどの組み合わせが良いでしょうか?(24/3/5まで)
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一矢&希望
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翔&奏
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翔&一矢&アラタ
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リーナ&夕香&レイナ
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一矢&夕香
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夕香&シオン
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希望&奏
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一矢&優陽