バトルロワイヤル形式で行われていたバトルはデビルガンダムコロニーの出現で否応なしに中断されてしまった。しかし両陣営の総力を持ってしても全てを憎悪していると言わんばかりに蹂躙せんとするデビルガンダムコロニーには打つ手がなくジリ貧な状況に陥ってしまっていた。
「ブロォォォクゥンッフィンガァァァ──アッ!!」
デビルガンダムコロニーより生み出された無数のガンダムヘッドは全てを貪り食わんばかりに蹂躙する。それを止めようとシュウジの咆哮と共にバーニングゴッドブレイカーは必殺の一撃を持ってガンダムヘッドを破壊する。
「本体にすら近づけないとは……!」
しかしそれでもまだデビルガンダムコロニーへの道までは切り開けず、続けざまに生み出されるガンダムヘッドは猛威を振るい、ラグナは苦虫を噛み潰したように唸る。
「一矢、そっちは頼んだよ……!」
迫りくるガンダムヘッド達に対して無数の弾幕を張るEXブレイカー。いまだ終わりの見えない状況に優陽も苦々しい表情を見せるなか、それでも諦めずデビルガンダムコロニーの懐にいるであろうリミットブレイカー達の反応を横目に抵抗を続けるのであった。
……
しかし優陽の想いとは裏腹にデビルガンダムコロニーの中枢部近くにてコア部分とも言えるデビルガンダムと戦闘を行っている一矢達はいまだに優位な状況に持ち込めずにいた。
この場にいるのは世界最高峰と言っても過言ではない実力を持つ者達だ。しかし彼らの表情には余裕はなく、それどころかどんどん焦りの表情が色濃くなっていく。
「全然手応えがないよっ!」
「ああ。このまま闇雲に攻撃しては……っ!」
アザレアリバイブとリミットブレイカーによる鮮やかな連携攻撃も有効打にはならず、それどころかどんどん攻撃よりも回避行動などが目立っていく。
「って言っても何か方法はねぇのかよ! やられちまうのも時間の問題だぜッ!」
「Gガンダムでは生体ユニットであるレインを助け出したら弱体化したけど……ッ」
デビルガンダムの両肩の部位が変形したデビルフィンガーによる攻撃を紙一重に避けながらもリュウマは反撃の糸口を見つけようとするが、そうも出来ず半ば苛立ちを吐き出すかのように叫ぶとアラタはデビルガンダムコロニーが登場する機動武闘伝Gガンダムを視聴した際の記憶を呼び起こす。
「生体ユニット……」
アラタが口にした言葉に反応したのは翔であった。
何か思い出したかのように目を見開いた翔は何かを探るように目を閉じ、感覚を研ぎ澄ます。
「──ッ」
その時、翔にとって覚えのある人物の感覚が頭を走った。久方ぶりの感覚であった。しかしいかに時間が経とうとも、いくら人を超越しようともその感覚を、その人だけは忘れることはなかった。
「やはり、そこにいるのはレーアなのか……?」
この世界は翔を起点に広がった可能性が集う世界。
一矢達や世界を越え、アラタ達が翔という存在をきっかけに時間を越え、この世界に誘われたのであれば、その存在を打ち破り、翔に英雄の肩書を与えたとも言えるデビルガンダムコロニーがこの世界に現れてもおかしな話ではない。そしてかつてその生体ユニットとして使われたのは……。
『キャアアアアアアアアアアァァァ──アッ!!?』
「──ッ」
デビルガンダムから感じた感覚が誰なのか裏付けるようにデビルガンダムがリミットブレイカー達による攻撃を受けた瞬間、耳を劈くような悲鳴が翔の脳裏を走る。
間違いない。今、目の前にいるのはかつて打ち破ったデビルガンダムであり、その生体ユニットに使われいるのはレーア・ハイゼンベルクだ。
「──父さんッ!」
現実に引き戻すかのような切羽詰まった奏の声が聞こえる。我に返って目の前のモニターを見てみれば既にデビルガンダムが目の前に迫っていた。
衝撃……。息を呑むことさえ叶わぬままデビルフィンガーによる攻撃をまともに受けたブレイカーインフィニティはたった一撃で大破に追い込まれた。
それが一矢達、翔を知る者達にとってどれだけの衝撃があっただろう。ガンプラバトルにおける実力だけではない。トップクラスのガンプラ製作技術を誇る翔が手掛けたブレイカーインフィニティがたったの一撃で大破に追いやられたのだ。
「一矢っ!」
「アラタっ!」
咄嗟にリミットブレイカーとν-ブレイカーがブレイカーインフィニティが撃破されぬよう庇うような動きを見せようとするがデビルガンダムの標的は既にそんな二機に絞られていたのだ。
その事に気付いたアザレアリバイブとバーニングボルケーノはすぐさまデビルガンダムとの間に割り込む。
「ミサッ!」
「リュウマァッ!」
次の瞬間、デビルガンダムの攻撃を庇ったアザレアリバイブとバーニングボルケーノはたったの一撃で撃破寸前まで追い込まれてしまったではないか。
大切なパートナーが、何より自分達を庇って傷ついた事実に一矢とアラタは打ちのめされる。しかし状況は嘆き悲しむ時間を与えてくれない。それを表すかのようにデビルガンダムは下半身たるガンダムヘッドを展開して高出力ビームを放とうとしていた。
(終わる……のか……?)
翔の頭を冷たくもどうしようもない事実として考えが過る。ブレイカーインフィニティは満足に動けない。このまま放たれるビームに飲み込まれ、撃破を待つだけだろう。
(ここが可能性が集う世界ならば、この終わりもまた可能性が齎した結果なのか……?)
如月翔を起点にこの世界に集まった者達による束の間の時間、そして翔をきっかけに誘われた者の中には目の前のデビルガンダムがおり、今まさに破滅の一撃を放とうとしている。
(……それならば受け入れるしかないか)
翔は反撃の行動すら起こせなかった。
ずっと答えの分からない何かを探し求めていた。それこそ世界を越え、様々な場所を訪れ、そして出会いがあった。
しかし、それでもいつからか翔の心は摩耗していた。
自分は何を探しているのか、こんな存在となってしまった自分は果たしてどこに行き着くのか。考え出せばキリがなかった。
もしもきっかけがあるのなら、この歩みを止められるのかもしれない。それが今この瞬間なのならば受け入れるのに不思議と迷いはなかった。
「──それで良いのか?」
視界が暗くなっていくような感覚にさえ陥ってくる。だがそんな翔の視界に、心に光を差し込んできた者がいた。
モニターを見てみれば、そこには血塗れの復讐機・ネメシスがいた。
「ルスラン・シュレーカー……。やはりお前なのか」
「何故、私がここにいるのかは分からない。少なくとも私の記憶では今のような状況でデビルガンダムへ突っ込む刹那の記憶しかないからな」
奏が引き連れて現れたネメシス。ずっとNPCではないとは感じていた。何故ならばネメシスから発せられる感覚は覚えのある強烈なものだったからだ。だが過去の存在であるデビルガンダムがこうして翔をきっかけにこの世界に現れたのであればルスランが誘われるのもおかしな話ではないだろう。
「だから今一度言う。貴様は未来を掴めっ!」
デビルガンダムのメガビームキャノンが放たれる。
全てを滅ぼさんばかりの悪魔の一撃にネメシスはエヴェイユの力を全開放し、真正面からビームトンファーの肥大化したビームの刃で対抗する。
「駄目だッ! これでは前と同じ……ッ!」
「──大丈夫」
しかし拮抗するのも束の間、ネメシスはどんどん押されていく。その光景をかつて経験している翔は悲痛な叫びをあげるが、宥めるような女性の声が優しく耳に触れる。
導かれるように視線を向ければそこにはネメシスと同じく奏に引き連れて現れたブレイカー0がいたのだ。
「シーナ……なんだな」
「うん。私もこの可能性の世界に誘われた側だから詳しくは分からないけど、でも嬉しい。今までずっと翔に背負ってもらっていたのを、今こうして貴方と肩を並べられるようになったから」
ネメシスから感じていたルスランの感覚と同じく、ブレイカー0からはシーナの感覚を感じていた。
久方ぶりに聞くシーナの声は非常に穏やかであった。かつての異世界での戦いは翔と一体化して戦う時はあったものの、それでもシーナの中で負い目はあった。だからこそこうして共に並び立つ事に思うところはあるのかもしれない。
「だからこそ……!」
するとシーナもエヴェイユの力を全開放し、ブレイカー0は装甲を展開し、内部のサイコフレームを露出させ、鮮やかな光を発する。
「私も更なる可能性を拓くっ!」
一気に飛び出したブレイカー0はネメシスに加勢し、メガビームキャノンを共に受け止める。かつてはネメシスが散っていくのを見ていることしか出来なかった。だがこの世界では違う。かつての悲劇は繰り返さない。それを表すように少しずつだがメガビームキャノンをブレイカー0とネメシスが押し返していく。
「父さんっ!」
その光景を、そんな二機の背中を見つめていた翔だがふと奏の声が聞こえてくる。
「貴方は……貴方だけはこの言葉を見失っちゃいけないっ!」
デビルガンダムに拮抗するブレイカー0とネメシスを飛び越えてブレイカークロスゼロもまたエヴェイユの覚醒を見せ、光をまとったGNソードIIIを空に突き立てる。
「最後まで諦めるなッ!」
虹色の光を纏った光刃は荒ぶる一撃をデビルガンダムに放ったのだ。撃破に至らずともデビルガンダムを大きく仰け反らせれた。
「すっげぇ……」
「──おい、アラタ!」
その光景に歴戦のビルダーであるアラタも思わず感嘆の声を漏らしてしまう。だがそんなアラタを通信越しにリュウマの叫ぶような声が現実に引き戻してくる。
「うるっせえな、筋肉バカ。今のうちに離脱しなさいよ」
「それが出来たらしてるだろうが! こっちはまともに動けねぇ……。けど、あんな見せられて何にも出来ねぇってのも情けねぇ」
撃破寸前に追い込まれたレイジングボルケーノに撤退を促すが、どうやらそれすら出来ない程の損傷であるらしくリュウマの声はどこか苦々しい。
「だからよ……!」
「──ったく仕方ねえな」
するとおもむろにレイジングボルケーノはν-ブレイカーに手を伸ばす。それだけでリュウマの意図は分かったのだろう。自然と笑みを零したアラタは答えるようにその手を掴み、二機を淡い光が包み込む。
──リアルタイムカスタマイズバトル
それはかつて混沌の学園に終止符を打つべく、アラタ達が見せた創造の力。ν-ブレイカーをベースにレイジングボルケーノが合わさり、一つの存在となる。
その名はR-ブレイカー。新時代をもたらす創造の力を持った龍の名だ。
「「はあぁぁぁ!?」」
……しかし想定外な出来事もあった。
かつてのR-ブレイカーはあくまで操縦するのはアラタのみであった。しかしこの世界で誕生したR-ブレイカーはアラタとリュウマの複座式だったのだ。
「……言ってても仕方ねぇか」
「……お前とすんなり意見が合うのは癪だけどその通りだな」
思わずいつもの調子で言い合いに発展しそうになる二人だが状況が状況のため、その言葉を飲み込み、デビルガンダムへ視線を向ける。
「今の俺達は……負ける気がしねぇッ!」
「さあ、勝利を組み立てようかッ!」
何より二人の口元には笑みが零れている。
これ以上の言葉は必要ない。R-ブレイカーはデビルガンダムとの戦いに向かっていく。
「あんなこと出来るんだ……」
「以前にも見たことあるが、やはり俺達の使ってるシステムとは似て非なるものらしい」
アラタ達が見せたリアルタイムカスタマイズバトルに唖然とするミサに一矢も頷く。
「ねえ、一矢。私達も──!」
「そうだな、ミサとならどこまでもいける!」
損傷度合いからミサも機体を動かすことは出来ないようだ。アザレアリバイブのコックピットを展開し、リミットブレイカーに姿を見せたミサに一矢は頷き、同じくコックピットを展開するとリミットブレイカーにミサを乗せる。
「「行こうッ!」」
二人の声が自然と重なり、リミットブレイカーは覚醒を果たす。ただの覚醒ではない。二人の想いを乗せた覚醒はかつての奇跡を再び引き起こし、その周囲にアザレアの花弁が絶えず舞い続け、何者にも干渉させない二人だけの絶対的な空間を生み出している。
「これもまた可能性か……」
創造の力を解き放ったR-ブレイカーと奇跡の覚醒を果たしたリミットブレイカーが戦闘に参加する様を見ていた翔はポツリと零す。
先程まで抗えぬ絶望が心を支配していた。しか市今は心に温かい光が広がっていくのを感じる。
「この世界が俺を起点にした可能性の世界ならば……ッ!」
R-ブレイカーとリミットブレイカーを見て思うところがあったのだろう。翔はかつてクロノを頼って過去の存在であるガンダムブレイカー達を呼び出した要領でとある存在を探し出す。
「俺はもう一度進み出したい……。その為にも奴を再び倒さなきゃいけない……。だから応えてくれ、俺の……俺達のガンダムッ!」
エヴェイユの力を解放し、ブレイカーインフィニティは残った力を振り絞るようにビームサーベルを空に掲げ、あらぬ方向へ振り下ろす。
最後の足掻きか? 否、最強のエヴェイユの力を乗せた一撃は僅かにだが空間に干渉し、裂け目を生み出すと翔はその裂け目に精一杯手を伸ばす。
そこから現れたのは悪魔に終止符を打ったガンダムブレイカー。俺達ガンダムことガンダムブレイカー・リスタートであった。
まるで主を待っていたかのように無人のコックピットを展開してブレイカーリスタートに頷いた翔はブレイカーインフィニティから乗り換える。
「見つけ出す自分の可能性を……! そう、探していくんだ、無限の空の果てまで!」
もう迷いはない。
翔を乗せたブレイカー・リスタートは再び悪魔への終止符を打つべく、新たな可能性が生んだ仲間達と決戦に臨むのであった。
見返すと兎に角、やりたいことを詰め込んだ感がすごい
何かこの話の最後にイラストを投稿しようと思ってますがどの組み合わせが良いでしょうか?(24/3/5まで)
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一矢&希望
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翔&奏
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翔&一矢&アラタ
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リーナ&夕香&レイナ
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一矢&夕香
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夕香&シオン
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希望&奏
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一矢&優陽