機動戦士ガンダム Mirrors   作:ウルトラゼロNEO

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ガンダムブレイカー4本日発売!


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デビルガンダムとの決戦に臨んだガンダムブレイカー・リスタート達。既に激しい攻防が繰り広げられており、一瞬の隙が命取りとなるだろう。しかしそれでも翔達の瞳に動揺や怯えはない。彼らに諦めという文字はないからだ。

 

「翔、あの中には……」

「ああ。恐らくだがかつてのレーアがいる筈だ」

 

拡散粒子弾による弾幕を避けながら、シーナは薄々と感じていた感覚を翔にぶつけると、翔は恐らくと言いつつも半ば確信したような面持ちで答える。

 

この世界にいる者が翔を起点にしているのならば、あのデビルガンダムの中にはかつての翔と共に戦っていたレーア・ハイゼンベルクがいる筈だ。

 

「ならば救い出せば良い。貴様にはその経験があるだろう」

「お前……」

「私が命を賭したレーアお嬢さんを託した相手だ。あの後の事を不安に思うことなどない」

 

確信めいたルスランの発言に翔は僅かに驚いたような様子を見せる。もしもルスランが翔達の未来を切り開いたその瞬間の記憶が最後ならばデビルガンダムとの決着がとうなったかは知る由もない筈だ。 

 

しかしルスランからすれば幾度となく刃を交え、そしてシーナが戦いに終止符を打つべく選んだ相手ならば憂いを抱く理由などないのか、どこか柔らかな笑みを見せている。

 

「父さんはどうすべきか分かるのか?」

「同じように行くかは分からない……」

 

デビルガンダムへの攻略法についていまだ何も解決策は出ていない。恐る恐る尋ねる奏に翔は慎重な面持ちで答える。仮に目の前のデビルガンダムがかつて打ち倒した相手でも、全く同じ方法で勝てるかどうかなど翔どころか誰にも分からない事だ。

 

「だが、この世界は可能性が集う世界だ。だったら……」

 

それでも翔の瞳に不安の色はなかった。

確かに同じようにはならないかもしれない。だが今、この場には翔にとって心強い存在達しかいない。怖気づく理由など何一つとしてなかった。

 

「なーに。勝因となるパーツは全て揃ってるんだ。後は勝利を完成されるだけでしょ」

「行きましょう、翔さん。俺達が(のぞ)む場所に……(のぞ)む空に辿り着く為にも」

 

アラタや一矢からすれば翔とルスラン達の会話は今一要領を得ないだろう。しかしデビルガンダムを打ち倒すという部分だけは共通しているのは変わらない。

 

「みんな、一瞬で良い。奴の動きを止めてくれ」 

 

これ以上、想いを言葉にして伝え交わす必要はないだろう。翔の言葉に頷いた一矢達はすぐさま動き出す。

 

ガンダムブレイカー達が動き出したのを対処する為、ふぐにデビルガンダムは拡散粒子弾を放つ。まるで近づく者全てを拒絶するかのような激しい弾幕を掻い潜っていくが、その間にデビルガンダムはメガビームキャノンの準備を整えていた。

 

「一矢っ!」

「ああ!」

 

だがそれで臆する者達ではない。

ミサの声かけに頷いた一矢は今まさに放たれようとするメガビームキャノンの射線上にいる他の機体を抜き去り、一番前に躍り出て真っ向から対峙する。

 

すると次の瞬間、全てを滅ぼす一撃が放たれた。

しかしそれに対峙するリミットブレイカーに動揺はなく、正面から受け止めたのだ。

 

いくらリミットブレイカーといえど流石に真正面から受ければ耐えきれるものではないだろう。しかし今のリミットブレイカーは違う。二人の覚醒の使い手とその二人がお互いを想い気持ちが生んだ二重の覚醒は奇跡を生み、リミットブレイカーの周囲に常に舞い続ける花弁達が一切の感情を許さず、その先の二人だけの世界を作り上げているのだ。

 

「白黒つける時だ。今更過去が立ち塞がろうと私達は未来への道を拓くッ!」

 

メガビームキャノンを受け止めたリミットブレイカーの背後から飛び出したブレイカークロスゼロ、ブレイカー0、ネメシスはエヴェイユの力を解き放ち、それぞれが構えた刃が渾身の一撃を振り下ろす。

 

「へっ、凄いよな、あいつ等」

「そうだな。こんなにも自分の知らない世界があったなんて」

 

規格外の活躍を見せるリミットブレイカー達にリュウマとアラタは素直にその実力を認める。しかしそれで引き下がる彼等ではない。

 

「けど俺達もそれで終わらねえ! なあ、アラタ!」

「ああ、誰に否定されようと……俺達のガンダムブレイカーは確かに存在するッ!」

 

二人の言葉に呼応するようにR-ブレイカーは覚醒を果たす。決して自分達の存在は消させはしないと言わんばかりに輝きを放ったR-ブレイカーは大きく飛び立ち、必殺の一撃たるボルケニックフィンガーを構える。

 

「そうだね、アナタ達は確かにここにいる!」

「そして俺達とはまた違う存在でもある……。お前達がNEW(新しい)ガンダムブレイカーだ!」

 

メガビームキャノンを受け止めきったリミットブレイカーもミサと一矢の声と共にR-ブレイカーに合わせて飛び出す。握られたカレトヴルッフの刀身には二重の覚醒の輝きが纏っており、全てを照らさんばかりに輝いている。そうして放たれたリミットブレイカーとR-ブレイカーによる渾身の一撃を受けたデビルガンダムはその動きを僅かだが完全に止めた。

 

「これで……終わらせる!」

 

一矢達は翔の望み通りに動き、結果を残してくれた。ならば後は翔が応えるだけだ。

最強のエヴェイユたるその力の全てを開放し、翔の目に映る世界全てを鈍重にさせるとそのまま一気にデビルガンダムへ突っ込み、胴体部をこじ開ける。

 

中にいたのはかつてのヴォルター・ハイゼンベルクとレーア・ハイゼンベルクであった。かつての光景が翔の頭を過るがレーアを最優先に助け出すと一気に離脱する。

 

「返せええぇぇぇぇぇーーーーっっっ!!!!」

 

レーアは意識を失っているようだが、レーアを奪われたヴォルターは……いや、デビルガンダムはさながら悪魔の如き姿に変わりながらブレイカーRに向かっていく。

 

本来ならばここでブレイカーRがトドメの一撃を放てば終わりだった。それがかつての出来事だから。しかしそうはならなかった。

 

「なにっ!?」

 

何とデビルガンダムコロニーが現れた空間の裂け目がどんどん大きくなり、やがて空間その物が割れたではないか。あまりの事態に翔は動揺するが、その一瞬の隙にデビルガンダムに捕らえられてしまう。

 

「……あのデビルガンダムの存在は予想外だった。そして今あそこにいるのは世界に干渉出来るレベルのエヴェイユ達……。その力が立て続けに解放されたから、この仮初の世界その物が遂に耐え切れなくなった」

 

その様子を遠くからずっと成り行きを見守っていたリーナは苦々しく呟く。

仮初の世界はじきに崩壊するだろう。このままではこの世界にいる者達全てが危険に晒されるだろう。

 

「……ルスラン」

「分かっていますよ、シーナお嬢さん」

 

その危険性はシーナも理解しているのだろう。

意を決したようにルスランに声をかけるとその意図を理解しているのだろう、ルスランは穏やかに頷く。しかし他の面々にとってそうではない。奏はすぐに声をあげる。

 

「どうするつもりなんだ!?」

「私達なりに責任を取るんだよ。この世界に来た時、今の翔の状態は奏から聞いているしね」

「私とシーナお嬢さんであの空間の崩壊を何とか押し留める」

 

今の翔の状態については過去の存在であろうとシーナ、そしてルスラン共々思うところはあるのだろう。

 

「……そんなことすればただでは……。私がこの事態のきっかけだ! その役目は私が!」

「ううん。言ったでしょ、責任を取るって。アナタは寧ろこの世界に来た人達を元の世界に戻すために力を使って」

 

奏自身もこの状況に責任を感じているのだろう。しかしその申し出をシーナは静かに制しながら遠巻きにいるリーナと風香の機体を見やる。シーナの意思は理解したのだろう。静かに頷いたウイングゼロ達はエヴェイユの力を使う。

 

「アナタに会えて良かったよ。元気でね」

 

やがて奏も諦めたように頷くとブレイカークロスゼロはエヴェイユの力を解き放つ。

その姿に頷いたシーナは視線をデビルガンダムへ向けるとエヴェイユの力を開放したブレイカー0とネメシスは飛び出すとブレイカーRを拘束するデビルガンダムの腕を切り落とし、そのままデビルガンダムを押し留める。

 

「力が……なにが起きて……!?」

 

するとブレイカーRとブレイカー0、そしてネメシスのエヴェイユの光が交じり合う。それぞれ異なる二つの光を受けた翔は身体に違和感を感じる。何と最強のエヴェイユたる翔の身体からその力が抜けていっているのだ。

 

「元々、お前に宿ったエヴェイユの力は元々の力から私とシーナお嬢さんから受け継いだものが強くなったもののだ。だからその分だけを返してもらうぞ」

「翔……。アナタを私達の世界に呼んでしまった時は元の世界に戻ってもアナタが負った私達の世界での爪痕の事まで考えられなかった。本当にごめん」

 

三つの光が絡み合う度にブレイカーRの光は弱まり、対してブレイカー0とネメシスの光はどんどん強まっていく。

 

「今更遅いけど……今度こそこの力に囚われず、アナタ自身の願いを叶えてね」

 

シーナのその言葉を最後に世界は強烈な光に包まれ、やがて翔も意識を手放してしまうのであった。

 

・・・

 

次に目を覚ました時は奏に誘われてバトルに臨んだ際に使用したガンプラバトルシミュレーターの中であった。重く感じる身体を起こし、翔はシミュレーターから出る。

 

「父さんっ!」

 

外に出た瞬間、奏が抱き着いてきたではないか。

驚くのも束の間、すぐに抱きとめる。

 

「あの後はどうなったんだ……?」

「分からない……。少なくともリーナさん達とあの世界に呼んだ全ての思念体を送り返したがデビルガンダムとシーナさん達については……」

 

途中で意識を失ってしまった翔は奏の説明を求めると一応、あの場にいた過去の一矢達を含み思念体は元の世界に戻れたようだ。一先ずは一安心と見ていいだろう。しかしシーナ達の顛末については翔達にとっては想像に任せるしかなかった。

 

「俺の中のエヴェイユの力が弱まっている……。俺が元々持っていた力だけに……」

「元の一人の人間に戻れたのか?」

「調べてみないと何とも言えないが……だが以前のように単独で世界を渡るような真似や思念体を呼び出すようなことは出来ないだろう」

 

最後、ブレイカー0とネメシスから放たれたエヴェイユの力が交じり合い、その際、翔の中でかつては受け継がれたエヴェイユの力が逆に元の存在の元に戻っていったのだろう。最強のエヴェイユは一人の人間と言う枠組みに戻っていったのだ。

 

「英雄殺し……お前はあの時そう言ったな」

「……父さんを一人の人間に戻すのが目的だったんだ。だからリーナさんに協力してもらってシーナさんとルスランさんを誘った」

 

英雄殺しの真意とはエヴェイユの力で奇跡を起こし続けた翔をそんな物とは無縁な一人の人間に、その奇跡の力を無くすことにあった。

 

「……もう嫌だったんだ。父さんが世界を渡るようになって……いつか私達の前から消えてしまうんじゃないかって。アナタは……私の父親なんだ。私達の傍にいてほしい」

 

それは偽りのない父親への願いだった。泣きそうな顔を隠すように奏は翔の胸に顔を埋める。

 

「……すまない。寂しい思いをさせたな。大丈夫、もう……お前を寂しがらせる真似はしない」

 

ありのままの真っ直ぐな想いを受け止めた翔は奏を抱きしめる力を強める。どの道、世界を渡る真似は出来ない。だがそんな事よりも目の前の娘をこれ以上悲しませるような事はしたくなかった。

 

「……父さんはどうするんだ?」

「……正直言えば分からない。こうなるとは思ってなかったしな」

 

感情の乱れも落ち着いたのか、震えていた奏の身体は少しずつ落ち着きを取り戻し、ゆっくりと翔の胸から離れた奏は問いかけると翔自身も困ったように笑う。

 

「心配するな。これまでの如月翔が破壊され、新しい如月翔をこれから創造していくだけだ。ゆっくりと今の俺だから見つけられるものを見つけていくさ」 

 

だが何も案じることはないと言わんばかりに翔は奏の頭を優しく撫でながら穏やかに笑う。例え奇跡の力を失ってもそれで翔の人生が終わる訳じゃない。そんな翔の言葉に奏は漸く安心したように笑う。

 

「──話は終わったかしら」

 

そんな如月親子に声をかける者がいた。聞き覚えのある声なのか、強く反応した翔は周囲を見渡すとそこには一人の女性の姿があった。

 

「……新人類と共に新しい旅路に同行していたら、こんなにも時間がかかってしまった」

 

奏は初めて出会う相手なのだろう。いまいちピンと来ていない様子だが翔だけは違った。

 

「久しぶりね、翔。漸くアナタに会いに来れたわ」

 

そこにいたのはかつて同じ日々を過ごしたレーア・ハイゼンベルクその人であった。奏からゆっくりと離れた翔はそのままレーアに近づくとそのまま二人は手を取り合い、再会を喜ぶのであった。

 

・・・

 

それから数か月が経った。可能性の世界での出来事も一つの思い出として消化されていくなか、穏やかな日差しを受けながら希空、一矢、ミサの親子はある家に訪れていた。

 

「お久しぶりです、皆さん」

「ゆっくりしていって」

 

雨宮親子を出迎えたのはラグナとレーアであった。軽い雑談を交えながら雨宮親子は訪れた翔の家にそのまま足を踏み入れる。

 

「……レーアさん、奏や翔さんは?」

「いるわ。いるのだけれど……」

 

しかし希空が来ているというのに奏がいつまでも姿を現さない。若干の寂しさを覚えながら希空はレーアに尋ねると、彼女はどこか苦笑した様子を見せ、そのままリビングへの扉を開ける。

 

そこにはソファーに身を預けながらお互いに持たれて眠ってしまっている翔と奏の姿があったではないか。

 

「ここ最近、ずっと遅くまで二人でガンプラを組んだりしていましたからね。いつの間に眠ってしまったようです」

 

眠る翔と奏の穏やかな寝顔にラグナは微笑ましそうにブランケットをかけながら答える。かつての一件があってから、翔と奏は今までよりも親子の時間を過ごしているようだ。

 

「それにしてもレーアさん、本当に久しぶりだね」

「ええ、戻って来るのに時間はかかってしまったけど、また翔のところに来れて良かったわ」

 

一足先にこの世界に訪れていたシュウジ達と違い、レーアだけは彼女なりの事情があり、ここまで遅れてしまった。しかし翔との再会を諦めていた訳ではないのか、翔を見つめるレーアの表情は本当に嬉しそうだ。

 

「そうだ、私がいない間の一矢達の話を聞かせてくれないかしら」

「……私も聞きたい、私の知らないパパ達の昔話」

 

30年以上が経過してしまった。そのあまりにも長い歳月を埋めるようにレーアはかつて自分達が去った後の一矢とミサがどんな時間を過ごしたのか気になるのか、何気なく尋ねるとすぐさま希空も興味津々と言った様子で食いつく。

 

「……そうだな。じゃあ、少し話すか。シュウジ達と別れた六年後の話を」

 

それは新星から語られる新しい破壊と創造を齎すガンダムブレイカーの物語。

破壊と創造の系譜は絶えず続いている。

 

一矢とミサの話をBGMに翔と奏は更なる眠りの中に落ちていく。かつての英雄は一人の人間に戻り、今ようやく穏やかな眠りが与えられた。だがそれでも彼がガンダムブレイカーである事には変わらない。英雄と呼ばれた如月翔から一人の人間如月翔としてこれからも彼は彼なりの破壊と創造で新しい未来を切り開いていくことだろう……。




完結記念
如月翔 雨宮一矢 ソウマ・アラタ

【挿絵表示】


漸く終わりました…。思った以上にかかってしまった…。
当時、この小説を執筆していた時、翔を後戻りできない程の存在にしてしまったのですが、その当時はそれで良いと思っていたものの年月が経つにつれ、どうしても翔を孤独な最強の存在から一人の人間に戻したくて今回の話を執筆した次第です。

さあ、今日からガンブレ4の発売! 私も本日届く予定なので全力で楽しみたいと思います!

何かこの話の最後にイラストを投稿しようと思ってますがどの組み合わせが良いでしょうか?(24/3/5まで)

  • 一矢&希望
  • 翔&奏
  • 翔&一矢&アラタ
  • リーナ&夕香&レイナ
  • 一矢&夕香
  • 夕香&シオン
  • 希望&奏
  • 一矢&優陽
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