機動戦士ガンダム Mirrors   作:ウルトラゼロNEO

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お久しぶりです。
何で今更と思われると思いますが、ガンダムブレイカー4小説を書きたくなり、今回はその前日譚として今回のお話を書きました。よければお楽しみください。

そしてこちらは以前、描いたルティナです。供養ついで……。

【挿絵表示】

ルティナ「ひっさしぶりだねー。みんなも心弾ませてた?」


創造と破壊の物語 再び
新たな物語へ


 

「……イッチが行方不明?」

 

 覇王達がこの世界を去ってから間もなく6年近くの時間が経とうとしている。6年の時間は言葉にしてみれば長いが実際に駆け抜けてみればあっという間な気がした。穏やかな日差しが心地よく差し込む喫茶店の一角では雨宮夕香が怪訝そうに顔を顰めていた。

 

「ゆ、行方不明なんて大袈裟なもんじゃないよ! 全くって程じゃないけど連絡が殆ど取れなくなって……。住んでたアパートも引っ越したみたいで今はどこに住んでるのかも分からなくて……」

「いや、それでも結構なことじゃない?」

 

 対面しているのはミサだ。今はOLとして働いており、対して夕香も出版社に勤務して社会の一員になって忙しい日々を過ごしている。しかし今は中々ショッキングな二人の話題だろう。一矢が行方不明とはどういうことか。しかしミサは慌てた様子で否定するが、その言葉の内容に夕香は頭痛を感じる。

 

「前にGBフェスタってイベントでさ。イッチを恨んでた奴がハッキング事件を起こしてたよね。まさか他にもイッチが恨んでる奴が……?」

「恨む人はいないとは思うけど……。でも一矢ってクロノもそうだけど変なのに目を付けられ易いよね」

 

 夕香も話でしか聞いたことがないが、かつて全米大会で一矢に敗北したマハラ・ケンタロウという人物が逆恨みから一矢をGBフェスタというイベントに誘い出して復讐する為にミサが巻き込まれたりという話を聞いたことがある。事件そのものはミサやその場に居合わせたチーム。そして一矢の活躍によって無事解決したようだが、それでもこれまでの事を振り返って思わずミサは苦笑してしまう。

 

「でも二人の将来の為の共有口座には定期的に一矢からお金が振り込まれてるから、どこかにいるとは思うんだ。でも……」

「金だけ振り込み続けて本人の行方は分からない……。ある意味、らしいっちゃらしいけど……。あの馬ッ鹿」

 

 今なお一矢とミサの交際関係は続いているようだ。結婚も見据えているのだろう。将来のための準備も順調に進んでいるようだが、それでも肝心の一矢自身の行方が分からないという。昔から不器用な性分で口下手なのも理解しているが、いつまでもそれが通用する年齢でもないだろうと夕香は悪態をつく。

 

「GBBBのβテストが始まる前かな。一矢と最後に会ったのは。暫く連絡が取れないかもしれない。でも必ず戻ってくるからってこのガンプラを渡されたんだ」

 

 そう言ってミサが机に置いたのは女性らしい流線形のデザインを持つカスタマイズガンプラであった。一矢が作成したのだろう。それは夕香の目から見ても精巧に作成されており、このままガンプラバトルに持ち込んでも十分活躍できるだろう。

 

「GBBBB……ねぇ」

 

 GBBBB……GUNPLA Battle Blaze:Beyond Borders。6年前にお披露目された新型シミュレータをひな形に更に発展させたものだ。今は正式サービス開始に向けてのβテストが始まっているはずだ。夕香も名前こそ聞いていたが、改めてその名を聞いたとき、なにか引っかかりのようなものを感じた。

 

「あっ、もうこんな時間! ごめん、夕香! アタシもう行かなきゃ!」

「そういえばミサ義姉さんって今、プライベートでも大変なんだっけか」

 

 この6年近くの間にミサと夕香の関係も変化したのだろう。何やら時間を確認したミサは慌てた様子で荷物を纏め始める。

 

「ここはアタシが払うよ」

「えぇっ、悪いよ」

「うちの愚兄が迷惑かけてるしね。それにアタシとしても今のミサ義姉さんの環境は知ってるつもりだし、少しでも負担を軽くしてあげたいんだ」

 

 ミサが伝票に手を伸ばすが、その前に夕香はぴょいと伝票を取り上げ、そのまま手早く荷物を纏めるとレジへ向かう。ミサが慌てて止めようとするも夕香なりに思うところはあるのだろう。その意思を曲げない。

 

「イッチのことはアタシなりに調べてみるよ。それよりもミサ義姉さんも無理しないでね。何かあったらすぐに連絡しておくれよ」

 

 夕香もミサの人柄を好いているのだろう。会話を聞く限り、どうにもミサの今の環境は決して良いものではないらしい。だからこそ何かあればすぐ助けるつもりだ。そんな夕香のまっすぐな言葉に胸が熱くなるものを感じながらミサは夕香と別れるのであった。

 

 ・・・

 

「マイスターねぇ……」

 

 その夜、一人暮らしをしている夕香のラフな格好でベッドに寝転がりながらスマートフォンの画面を見ながら呟く。その画面には先程話題に出たGBBB周りの情報が書かれていた。先程からGBBBBという言葉に妙に引かれるものを感じている。そして調べているうちに知ったGBBBトップに君臨するマイスターと呼ばれる存在。GBBBはメタバースを舞台にしている為、そこで活動するのであればアバターを使用することになるが、このマイスターの存在とその何気ない言動、そしてバトルなど知れば知るほど夕香の中の違和感は強まっていた。

 

「……行くしかないか」

 

 このままGBBBBを無視しても夕香の中の違和感は消えないだろう。ならばいっそGBBBの世界に飛び込もうと決心したようだ。

 

「でも、ブランクあるんだよなぁ……」

 

 社会人となってから夕香もミサもガンプラバトルから離れてしまった。今、いきなりガンプラバトルを始めてもかつてのような動きは出来ないだろう。

 

「むぅ……」

 

 夕香は視界の端に観賞用のケースに収められているガンダムバルバトスルプスレクスのガンプラを見やる。夕香にとってガンプラを取り巻く大切な思い出を共に経験してきたガンプラだ。何か迷うように視線をさ迷わせた後、夕香はある人物に連絡をとる。

 

 ・・・

 

「はーい」

 

 後日、休日の夕香は家で一矢やGBBBについて調べていると不意にインターフォンが鳴る。誰だとばかりに対応してみれば……。

 

「お久しぶりですわね、夕香」

 

 そこにいたのは夕香のライバルであるシオン・アルトニクスであった。ナチュラルブロンドの髪が太陽に照らされてキラキラと輝いて見える中、相変わらずその表情は自信に満ちて夕香を見つめている。

 

「あ、アンタ……なんで……」

「貴女が一矢とGBBBBの相談で連絡してきたのでしょう?」

「いや、だからって日本に来る?」

 

 元々、シオンには夕香の現住所は教えているが、普段イギリスにいる筈のシオンがいきなり目の前に現れたとなれば普段は飄々としている夕香も面喰ってしまうのは無理ないだろう。だがどうやらシオンは夕香から一矢、そしてGBBBBについて話を受けているらしい。だがそれにしてもだからといって日本に連絡もなしに来るかとため息をつきながらもシオンを招き入れる。

 

「今度、仕事の関係でしばらく日本に滞在する事になりましたの。まあ今回はその下見もかねてってところですわね。それよりもGBBBBに参加する前にブランクがあるからバルバトスを今の自分に見合ったガンプラにカスタマイズしたい。そんな話でしたわね」

 

 どうやら仕事の関係でシオンはまたしばらくは日本に滞在するようだ。その話も夕香にとっては初耳だが、シオンはケースに飾られているバルバトスを懐かしそうに眺めながら呟く。シオンにとってもこのバルバトスは思い出深いものがある。

 

「貴女がGBBBBに参加するというのならばわたくしも参加しますわ」

「……いいの?」

「マイスターに会いたいのでしょう?」

 

 カスタマイズのアドバイスを受けたいと思ったところからシオンに連絡した夕香。シオン用に飲み物を用意したままソファーに座っていたが、思わぬ提案に驚いてしまう。

 

「貴女がこのタイミングでマイスターに引かれるものがあったのは意味のある事でしょう。ですがいきなりGBBBを初めてもマイスターに会えるものではありません。GBBBB内で遭遇する確率も低いでしょう。手っ取り早いのはクラン対抗戦などのイベントでマイスターとぶつかることでしょうね」

 

 夕香の勘は当たったり、意味のあることが多い。とはいえ今やGBBBBのトップに君臨するマイスターに会いたいと思って会えるものではない。ならば最短ルートを考えるのならばイベントなどを狙うことだろう。

 

「わたくしもここ最近、バトルをしていないのでブランクはあります。……が、貴女とわたくしが組めばどんな壁だって乗り越えられますわ」

 

 シオンはどれだけ時間が経ってもその気高さは決してなくなってはいなかった。最初こそいきなり現れた時は驚いたが、今ではこうして直接会えてよかったと思える。

 

「……ねえ、日本に滞在するならさ。ここに住みなよ」

 

 その言葉はもはや無意識に出たものであった。だからこそなのだろう。自分で放ったその言葉を脳が認識した途端、夕香の頬が赤く染まる。

 

「あっ、いや、その……そっちの方がGBBBBでのフィードバックとか楽だと思ってさ。そ、それに久しぶりの日本でしょ。知り合いが近くにいた方がいいと思うし……」

「素直にわたくしと一緒にいたいと言ったらどうですの? 仕方ありませんわねぇ? まあ、わたくしですしぃ? わたくしが罪な女である事は自覚しておりますので恥ずかしがらなくてもよろしくてよー?」

「あー、はっ倒したくなってきた」

 

 つらつらと言い訳を並べる夕香だが、その言葉を聞いたシオンは口角を吊り上げ、完全に弄りの顔になっている。その憎たらしい表情に一転して夕香は額に青筋を浮かべる。

 

 だが次の瞬間、夕香とシオンが吹き出したように笑い合う。定期的な連絡は取ってはいたが、やはり直接顔を合わせてのやり取りは心に欠けていたものがお互いの存在によって埋まり、満たされていくものを感じる。

 

「それじゃあ早速、カスタマイズの方向性を聞きましょうか。それによってはガンプラを買いに行かねばなりませんわ」

 

 思わず目じりに浮かんだ涙を拭いながらシオンは夕香の隣に座る。2人はそうして夕香のバルバトスの改修計画を立て、実際に作業を着手し始めるのであった。

 

 その夜、シオンが来たことでちょっとしたパーティーになっていた。お互い久しぶりの再会ではしゃいでしまったのだろう。かなり遅い時間になってしまっていた。

 

「……ちょっともう少しあっち行きなよ」

「一人用のベッドでなに言ってますの? これ以上、動けばわたくしはGBBBBにダイブする前にフローリングにダイブしますわ」

 

 疲労感を感じながらも今は普段、夕香が一人で使っているベッドにシオンと二人で背を向け合って寝転がっていた。とはいえやはり窮屈なものがあるのだろう。お互いの甘い香りが鼻をくすぐる。

 

「ねぇ、シオン」

「なにかしら」

 

 ふと沈黙が場を支配するなか、ふと夕香が呟くように話す。

 

「……ありがと」

 

 何れ仕事で日本に滞在するのは事実でも下見とやらは嘘で今回日本に来たのは夕香の為だけだろう。薄々そんなことを感じていた夕香は感謝の言葉を口にする。

 

「……もぅずるいよ」

 

 しかしシオンは何も答える事なく、何やらもぞもぞと物音が聞こえたと思えば背中越しにシオンに抱きしめられ、そのまま優しく頭を撫でられる。正直に言えばGBBBBという未知の世界に飛び込むのは不安もあった。だからこそなのだろう。まるで夕香は一人じゃないんだとばかりに背中越しに伝わるシオンの体温に夕香ははにかんだような笑みを漏らすと振り返ってシオンと向かい合う。

 

「改めてまたよろしくね、シオン」

「こちらこそ。GBBBB、どうせなら目一杯楽しみましょう」

 

 2人の道は再び交じり合い、新たなステージへの道が開かれる。それを予感しながら夕香とシオンは笑い合うのであった。

 

 ・・・

 

「さて、と……」

 

 一方、ここはブレイカーズ三号店。ブレイカーズの店舗拡大によってオープンしたこの店は4人目のガンダムブレイカー・南雲優陽が店長を務めていた。

 

「来たね」

 

 そして今、そのブレイカーズには1人の青年が来客していた。待っていたとばかりにその青年を出迎える優陽。ミサ、夕香とシオン、そして優陽と青年……。新たな物語の歯車は少しずつ動き始めるのであった。





という訳でガンダムブレイカー4を題材にした小説【ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak】を早ければ明日から投稿していく予定です!

現状、本小説のオリジナルキャラクターも一部登場する予定です。
今確定しているのは優陽、夕香、シオン、翔、そして一矢です。小説の執筆自体、久方ぶりではありますが、久しぶりに意欲が湧き出て止められなくなってしまいました。どうぞ筆者のガンブレ4小説の方もよろしくお願いいたします!

記念という訳ではありませんが、先行してガンブレ4小説でメインキャラの一人である優陽のキャラ絵を先行公開します。


【挿絵表示】


またキャラ募集も行う予定ですので興味のある方は活動報告までお願いします。では改めまして新小説の方もよろしくお願いいたします。
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