直し忘れは気がついたらなおします。
優悟は綺麗な花畑の側を流れる川の前に立っていた。いまから川に浮かんだボートに乗る所だ。なぜだかわからないが、優悟にはそれをしなければいけない気がした。
船を漕いですぐに向こう岸がみえて来た。向こう岸には死んだはずの鮫島の飼い猫、ピーティが立って手を振っていた。
あれれ? おかしいぞ? 俺そこまでピーティに優しくしたことないのに。
そして思う。もしやここは三州の川なのか? だとしたらすぐに引き返さなくては。あちらの世界には、まだやり残したことがたくさんあるのだから。
と、突然首筋のうしろにとんでもなく嫌な気配を感じた。さらに辺りがスローモーションになった。
すかさず頭をさげると頭上を鋭利な刃物が横切った。おかげで髪の毛何本か切り落とされてしまった。
急いで後ろを振り返ると、そこには死神(のような姿をしたヤツ)がいた。
「逃がしはせぬぞ」
刹那も間をおかず死神はこのボートの原動力であるオールを川に投げ捨てた。そして鎌みたいなのを構えて優悟と向き合った。
このままだと向こう岸についてしまう。そうなれば俺の人生はゲームオーバーになってしまう。どうにかして向こうにつくのを阻止しなければ…
…ん?向こう岸につかなきゃいいんだよな?
だったら…。
「よっと!」
思うがはやいか優悟はボートを飛び降り川の中に入ってった。
ボートから逃げるように奥へ奥へと進んでいった。そろそろ息が続かなくなり水面にでようとする。も、なぜか下へとどんどんひきこまれていく。
く、くるしい…! た、すけ
そこで優悟の意識は途切れた。
◆
「はっっ!!?」
優悟の目が開いた。
…夢オチ?
そう思う優悟の目に映っているのは見知らぬ天井。そしてなぜかすっぱだかでベッドインしていた。
おまけに横を見ると見知らぬ少女がいた。それも裸で。
ちょ、、ちょっとおおおおおおおおお!?!? どうゆう状況だよ! 死んだと思ったら夢オチで、しかも起きたら見知らぬ女の子とベッドインしてるなんて! これは合意の上なんだよな!?
とりあえず優悟はなぜかきちんと干してあった自分の洋服を着てじっとしていた。もうこれ以上間違いを起こさないように…
少女の鎖骨や布団でいい感じに見えそうで見えない胸元は実にエロかった。思わず優悟は生唾を飲み込んだ。
そんなイケナイことを考えていると、ピンポンパンボ~ンと放送が入った。
「え~成瀬優悟さん、至急コチラまできてください。繰り返します…」
優悟は思った。嗚呼、そこの女の子とは合意の上での行為ではなかったんだ。俺が無理やりシテしまったのか。だからこうして今、名前をよばれて事情徴収されて、いくら弁解しようとしても証拠は揃っていて、俺の自由な人生は幕をとじてしまうのか。
そんなことを思いながらもいかない訳にはいかないのでとりあえずいくことにした。しかし、
「こちらってどこだよ……」
そういって辺りを見回した。するとご丁寧に[こちら]とかかれたドアがあった。
意を決してドアをあけた。
そこにはどこからみても優しそ~な男性が机を隔ててイスに座っていた。なんだか取り調べ室というよりも不動産屋みたいだった。
「さ、さ、座って」
言われるがままに優悟はイスに腰掛けた。そして座るや否や優悟はずっと考えていた謝罪の言葉を言った。
「この度は自分の欲望に走ってしまい誠に申し訳ございませんでした。しかしひとつだけ言わせてもらえるならあれは本当に事故といいますか、全くその、何をしたかを覚えてないんです。」
すると男の人は、
「……? 君はいったい何を言っているんだね?」
「え、」
変な空気が二人の間を流れる。
「えっと、あなたは警察の方で一方的に卑しい行為に及んでしまったこの俺に事情徴収をしにきたんじゃないんですか?」
しばしの間、男の人は考えこんだ。そしていきなり笑いはじめた。
「アッハハハハ!君は同じ部屋にいた少女のことを言っているのかい?」
「あ、はい…。まあ一緒の部屋といいますか一緒のベッドにいたもんですから」
「ハハハ。あの子は君と一緒で死んでしまった子だよ。そして君みたいにあの世に行くのを拒んで川に落ちたんだよ」
「え、それって夢の中の話じゃなかったんですか?」
すると男は再び笑い出した。
「本当に君は面白い事を言う子だな。君はあの子を銃弾から守って死んだんじゃないか」
「へ……?あの、あの子って?」
「だから君と一緒のベッドにいた子だよ」
「え……ちょっ、ええええええええ!? せっかく体張って助けたのに!」
「そりゃ残念だったな。まあそんなわけで僕はここの支配人なんだ」
男は腰を上げ椅子に座り直すと優悟に尋ねた。
「それでさ、君はどうしたいの?」
「……はい?」
「君はもう一度現世に行きたいかい?」