第1話
『ダンジョン』
それは、数多の階層に分かれる無限の迷宮。その中には、凶悪なモンスターがうじゃうじゃといる。自分の腕とその手にした剣で自分の欲しいものを手に入れる。それこそが冒険。
さて、話は変わるが男が一番好きなものとは一体なんだろうかお金?
富?それともお酒?
僕は女の子が好きだ。可愛い、綺麗などといった女の子が好きだ。
そして、僕はおそらく男の夢といって過言ではないハーレムを作るのが夢だ。そのために村を出てここオラリオに来た。
そして今僕は、おじいちゃんの教えてもらった、可愛い子を探すためにそのダンジョンに潜っていた...が、とりあえず結論だけ言おうか
『ヴヴォォォォォォォォォォォォォォォ!!』
「ほぁあああああああああああああああ!!?」
運命の出会い?なんだそれは。出会ったは全力で僕を殺りにきている人型で頭が牛のミノタウロスという化物だ。
まったくいい年して瞳を輝かせてギルドの冒険者登録書にサインしていた自分を横からブン殴ってやりたい。
『ヴォォォォ』
「っつ!!」
敵の攻撃が背後から来るも運よく当たらなかったが、土の地面を砕いてちょうど僕の足場も巻き込んだ。
足を取られダンジョンを転がる。
前を見るとミノタウロスが鼻息を荒くさせ近づいている姿だった。
転んだ状態で後ずさりをしていると背中に壁が当たった。
ああ、もうダメだ。僕はおとぎ話に出てくるような英雄達とはやはり違ったらしい。
でも...
『ヴヴォォォォォォォォォォォォォォォ!!』
「だからって諦めるのは嫌だ!」
僕はそういい腰にあったナイフを構える。敵わないのなんてわかっている。相手はLv.2のミノタウロス、自分は、ただのLv.1の最弱冒険者。
でも、諦める理由にはならない。
僕は、死を覚悟してミノタウロスに突っ込んでいった。相手も蹄を振りかぶる。
ごめんなさい神様
そう心の中で言った直後....ミノタウロスの体に一線が通った。
『ヴヴォ?』
「え?」
僕とミノタウロスは間抜けな声を同時に出した。
すると次は身体中から線が通り、先ほどまで自分が傷一つ付けられなかったミノタウロスがバラバラになっており、ミノタウルスが断末魔を叫び気づいたとき、そこにいたのはその傷から出た血を頭からかぶった血塗れの僕と今、ミノタウロスを斬り殺した女神のような金髪の美少女だけだった。
その少女は、駆け出ししかもLv.1の僕でも知っている人物【ロキ・ファミリア】に所属する第一級冒険者。このオラリオで女性の中最強の一角と言われる【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインだった。
「あの.....大丈夫、ですか?」
「あ、はい。今この頭からかぶった血を抜けば大丈夫です。助けていただいてありがとうございます」
僕はそういい立ち上がる。はっきり言って今すぐにでもここを逃げたい気分だ。こんな綺麗な人といたら、心臓が爆発しそうになる。おそらく血で隠れているが顔は今真っ赤であろう。
「..........」
「..........」
あ、もうダメだ....
「そ、それじゃあ、さ、さ、さよなら〜!!?」
この空気に耐えられなくなった僕は、その場を逃げ出した。彼女は、「あ...」と言っているのが聞こえたがそこは、聞こえないことにした。
いまだこの心臓が爆発しそうなほど鳴っている。
そして、僕はおじいちゃんの言葉を思い返しこう思った。
やっぱり、ダンジョンで出会いを求めたのは間違ってなどいないと
「エイナさぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「ん?」
私の名前は、エイナ・チュール。
ダンジョンを運営管理する受付嬢の一人だ。多くの冒険者がダンジョンに潜っていた昼下がり頃、受付役として暇を持て余していたところに、後ろから自分を呼ぶ声が聞こえてきその自分の名前をよぶ主を察する。
(今日も無事だったんだ)
あの少年がギルドで手続きを行い冒険者になってすでに半月が経った。
私がその少年の担当になったが、その少年の歳は十四だったのだ。
そして、何度も見てきたダンジョンに憧れる純粋な眼。そしてその中には...帰ってこなかった人も大勢いた。だから年端もいかない子供を危険地帯であるダンジョンに行かせるのは無論いい顔はできなかった。
しかし、今日も無事に生きて帰って来てくれた少年、ベル・クラネルの安否がわかり頬を緩ませる。かけている眼鏡をかけ直してベルの声がした方向を向くと....
「エイナさぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「うわあああああああああああ!?」
身体中血塗れの少年の姿が見えた。そして、勢いよくこういった。
「アイズ・ヴァレンシュタインさんの情報をおしえてくださぁああああああいっ!!」
「ベル君返り血を浴びたならシャワーを浴びなさい一瞬モンスターが出たのかもって思ったじゃない!」
「す、すいません.....」
僕はエイナさんに説教されていた。確かにあのような格好で街の中をよく突っ切ってきたなと自分でも思う。
エイナさんは、ため息を吐くと
「次からは気をつけてね?」
そういいながら僕の鼻をちょんと触った。
本当に綺麗な人だな」
「ふぇ!?」
「ん、どうかしましたか?」
「え、いやその.....ゴホンそれで、アイズ・ヴァレンシュタイン氏の情報だっけ。どうしてまた?」
どうしたんだろう急に...
「えっと、その...ダンジョンで助けてもらって」
そのあと僕は、ダンジョンであった出来事を一部始終言った。2階層から5階層まで行ったことやミノタウロスに遭遇してリアルな鬼ごっこをしたことなどを言うと...
「もぉ、どうして君は私の言いつけを守らないの!ただでさえソロでダンジョンに行っているんだから不用意に下層に行っちゃダメ!」
「はい、本当にごめんなさい...」
[冒険者は冒険しちゃいけない]
エイナさんの口癖だ。意味がわからないという人もいるだろうがつまりは[常に保険をかけて安全を第一に]ということらしい。
今日、その言葉の意味を体でわかったので、はいと俯向くほかなかった。
「はぁ...君はなんだかダンジョンに変な夢を見ているようだけど、今日だってそれが原因じゃないの?」
「あ、あははは...」
大正解。異性との出会いを求め冒険したくなりました!なんて言えば叩かれるな。
「あの、それでアイズ・ヴァレンシュタインさんのこと...」
「うーん...ギルドとしては、個人情報を漏らすのはダメなんだけど...教えられるのは公然となっているくらいだよ?」
本当にいい人だな。なんだかんだ言っていつも助けてくれる。今度お礼しなきゃ。
そして、そのあといろいろなことを聞いた。
Lv.5相当のモンスターの群れを一人で殲滅したとか美貌が美貌なわけで言い寄ってくる異性をつい最近千人斬りを達成したらしい。
「えーと、ほかにもいろいろあるけどそれこそきりがないよ。あの容姿であの強さだからね」
確かに聞いてる限り同じ人間とは思えない。
「なぁに、ベル君もヴァレンシュタイン氏のこと好きになっちゃったの?」
「いや、その...どうなんでしょうね。好きというか惚れ惚れするというか...よくわかりません」
「あはは、まぁ、しょうがないかな。同性の私でも彼女には溜息をついちゃうし...」
「そんな、エイナさんも負けないくらい綺麗ですよ!」
するとエイナさんの顔がみるみる赤くなっていく。どうしたんだろうか風邪かな?
彼女は、持っていた紅茶を置くといきなり僕のほっぺを引っ張ってきた。
「ひ、ひたいれふよえいなはぁん..」
「もぉーベル君大人をからかっちゃいけないよ。まったく......でも、ありがとうベル君」
そういい手を離してくれた。
「?どういたしまして」
「とりあえず換金していくでしょ?」
「はい、ミノタウロスが出てくるまでのモンスターは倒したので」
そういい僕たちは換金所に向かい本日の収穫を受け取る。モンスターを倒した時に手に入る『魔石の欠片』。すべて合わせて二千ヴァリスほどだった。いつもより潜った時間は、短いが得られた金額は、同じくらいだ。しかし、神様と僕の食事で使うし...対して残らないな。
「....ベル君」
「あ、はい、なんですか」
帰ろうとした時エイナさんに引き止められる。
彼女は迷いながらも口を開いた。
「ベル君がどう思っているかは、わからないけど女性っていうのはやっぱり強くて頼り甲斐のある男性に魅力を感じ...「わかってます。それは、おじいちゃんによく言われました。だから...きっと強くなります」!!そう...ならめげずに頑張ってね?」
本当にこの人は...
「エイナさん!」
「ん?」
僕は、ギルドの玄関まで行きそして振り返って
「エイナさん、大好きー!!」
「.......えうっ!!?」
「ありがとぉー!」
顔が真っ赤になったエイナさんを確認して僕は、笑いながらマイホームまで走る。
そうだよな。まず、強くなることからだよな!自分の目的を再確認し僕は胸がいっぱいだった。