ダンジョンに夢を求めるのは間違っているだろうか   作:虎神

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第10話

「君があのモンスターを倒すんだ」

 

「ッ!?」

 

「ここで最後のステイタス更新をする。今から強化する君の力をアレにぶつけてやれ」

 

確かにこの背中に書かれているステイタスを更新すれば多少マシになるかもしれない。

 

でもーーー

 

「無理です。僕がステイタスを更新しても勝てないんです」

 

僕が今までの最高階層が6。しかし、シルバーバックは11階層に生息するモンスター。どうやっても勝ち目がない。

 

「なら、君は諦めるのかい?」

 

諦める?僕があれを倒せると言うのか神様は?...無理だ。

僕は弱い自分でもうんざりするくらい。

 

「でも...ここで諦めたら何もないよ?」

 

『ベルよ...ここで諦めてしまったら何にもないんじゃぞ』

 

!!...おじいちゃんも確か、僕が昔狩りがうまくいかず諦めかけていたとき同じことを言っていた。

 

『ベルよ諦めることが悪いとはワシは言わん。じゃがな?...何もせず諦めるより何かを成し得て(・・・・・・・)諦めるのも遅くはないんじゃないかの?少なくともベルが憧れるそう...英雄は決して諦めないから英雄になれたんじゃよ』

 

そうだよな...僕が憧れる英雄は...こんなことで諦めたりしない!

 

「神様」

 

「な、なんだい?」

 

「ステイタス更新お願いします」

 

「....うん!任せな」

 

そう、神様は笑って返事をしてくれた。

 

「その前にこれを渡しておくよ」

 

そう言い神様は背中に担いであった風呂敷を解くとそこには二つの大きさの違う箱があった。

その箱を開けると小さな方は、短刀...ナイフだった。先から先まで漆黒で鞘も黒。

もう一つは変わった形の直剣だった。片方のみに刃がつき、その刃の部分は焔のように紅い。

だが、手に持つとなぜか初めて扱うのにもかかわらず、これは扱えるとそう思った。

 

「その武器の名前は《ヘスティア・ナイフ》と《ラスト・オーダー》

君の新しい武器だよ」

 

自分の新しい武器...

その言葉に少なからず頬が緩む。

 

「気にいってくれてなによりだよ。さぁ、シャキッとしろよ。ボクの知ってるベル・クラネルは、あのヴァレン何某という怪物みたいな女を目標にしてるやつだぜ?あんな奴なんかけちょんけちょんにしてやればいい!」

 

そして真面目な顔で神様は言った。

 

「ボクが君を勝たせてやる」

 

「...はい!」

 

 

 

 

『いい?ヘスティアよく聞いて。この武器はいえば生きてるわ』

 

『生きてる?』

 

『そう、この武器は持ち主...つまりあなたのその子専用で、その子以外は扱うことはできなくそして、その子とともに強くなる武器よ』

 

『つまりベルくんが強くなればなるほど、この武器達も同じように強くなるってこと?』

 

『そういうこと。もう、本当鍛冶屋からしたら邪道だわ。使い手と一緒に強くなるなんて...もう作らせないでね』

 

ヘファイストスはそう言っていた。つまりこうして今ベルくんの手に渡ったこの武器は今やベルくんと一心同体ということだ。

 

(で、問題はステイタスだ)

 

こうなったら幻夢一途(ファント・フレーゼ)の成長に任せるしかない

 

「神様きました!」

 

「っつ!」

 

その言葉と同時に編纂が完了した。

 

 

ベル・クラネル

Lv.1

 

力:G230→E448

耐久:H150→G216

器用:F316→D502

敏捷:F371→D583

魔力:I0→H107

 

《魔法》

【】

 

《スキル》

 

幻夢一途(ファント・フレーゼ)

・早熟する。

・夢が続く限り効果継続。

・夢の丈により効果向上。

 

英雄色(ヒロイック・カラー)

・力を宿す

・各色にて能力の変化

・黒

・赤

・銀 クリア

・金

 

 

 

(....なんだこれは!?)

 

トータル600オーバー。さらに前に変化があった《(カラー)》というスキルが、またも変わって《英雄色(ヒロイック・カラー)》となっている。

それに効果もいまいちよくわからない。なんだこの色の種類は!?銀にだけなんでクリアって書いているんだ!?それに魔法を覚えてないのに魔力が上がっている?

ヘスティアが焦っているがステイタスだけで見ればーーー

 

(でも、これだけならいける!)

 

「行け、ベルくん!」

 

そう言い彼の背を押した。

 

「はい!」

 

だがその時、走り出そうとした瞬間何か時が止まったような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだろすごく暖かい何かに包み込まれているみたいにいったい...

 

『お前か我を呼んだのは』

 

そんな声が聞こえ、目を開けるとそこは銀世界だった。

自分は、さっきまでシルバーバックとーーー

 

『おい、聴いておるか?我を呼んだのはお前かと聞いておる』

 

先ほどから後ろから声がするので後ろを向く。

 

そこにいたのはこの風景と同じ銀色の髪を地面に散らばせ、あのアイズ・ヴァレンシュタインと同じくらいの美貌を持つ頭から角が生えた美女がってーーー

 

「つ、つのぉぉぉぉぉおおお!!?」

 

『な、なんじゃいきなり大声を出しおって!?食い殺されたいのか!!?』

 

「え、あ、すいません」

 

『まったく。で、三度目じゃが、お前が我を呼んだのか』

 

「え、いや、いったいなんのことを言っているのかわからないんですけど...というかここどこですか!?それに貴方誰ですか!!?」

 

『む、まぁ、名を名乗らなかったのは悪かったのう。久しく人と話してなどおらんかったのでな。我の名は茨木童子(いばらきどうじ)まぁ、ちと昔悪さをした鬼じゃ』

 

....ん?

お、鬼っていったよね。鬼ってあの極東での話によく出るあの鬼!?

力が強くて確か極東での悪者みたいな存在だったと認識している。

 

「で、でもなんか鬼って、かっこいいですね!」

 

『なに?』

 

ジロリと、鋭い目で僕を睨みつけてくる彼女。あれ?まさか言っちゃダメだった?と、後悔し始める。

 

(そりゃそうだよね、相手女性ですもんね!)

 

少し肩をプルプルさせている目の前の女性にビビりながらも、目をはなさい。そして、俯いていた彼女が顔を上げた。

 

『お前...いいやつじゃの!』

 

「...え?」

 

一瞬、何を言われたか分からなかった。

 

『いやぁ、かっこいいか。怖いや恐ろしいなどはよく言われたが、かっこいいと人間に言われたことはないのう。名はなんという人間』

 

「ベ、ベル・クラネルです」

 

『ほぉう、ベルか良い名じゃ。もうちとちこうよれ』

 

そう言われ彼女が寝そべる近くに座る。

 

『ふむ、お主さきほど我を呼んだのは自分じゃないと言ったが、近くに来て確信した。やはりお主が我を呼んだようじゃ』

 

「で、でも僕、貴方の名前は知りませんでしたよ?そ、それよりも神様は!?シルバーバックは!?」

 

『まぁ、落ち着けここは精神世界と言ってなここでの時間はあちらと流れ方が違うからの大丈夫じゃ』

 

よ、よかった...のか?え、精神世界ってなに!?時間の流れが違うってなに!!?

頭の中は既にパニック状態のベル。だが、目の前の女、茨木童子は話を進める。

 

『しかし、本人の自覚なしに我を呼び出すとは...ベル、お主面白いの』

 

「お、面白いですか?」

 

『ふむ、自分で言うのもなんじゃが、我はちっとは高い位の鬼でな。無意識で呼べるほど甘くないのじゃが』

 

むぅー、という風に顎に手を当てる彼女。近くに来てなお分かったが、やはりかなりの美人だ。

長いまつ毛に、分厚い服の上からでも分かる女性らしい肉体。こんな綺麗な人は、そうは見たことがなかった。

 

『ん?どうした』

 

「あ、いえ」

 

まさか、こんな綺麗な女の人が目の前にいるから見とれてた。なんて言えるわけがない。

だが、童子は何故か"ほぉ"と声を漏らした。

 

『ふむ、なかなか嬉しいことを言ってくれるの。かっこいいの次は綺麗か...おぬしはジゴロの素質があるようじゃ』

 

ジゴロってなに!?てか、声に出してた僕!?

 

『いったじゃろう。ここは精神世界、しかも我のじゃ。つまりおぬしの考えていることなぞ、知ろうと思えばわかるわ』

 

「うぅうう...ひどい」

 

『ははは!可愛い奴め。...よし気に入った!いろいろわからんこともあるが...ベル、おぬし我と契約せよ』

 

「契約?」

 

『簡単にいえば、力を貸してやると言っておる。あの外にいる猿はどうにかなってももう一体(・・・・)のやつは難しいからの』

 

もう一体?

いったいなんのことだ...でも、力を貸してくれると言った。

 

「その力は」

 

『ん?』

 

「その力は誰かを守れますか?」

 

その僕の言葉に、目の前の女性は一瞬キョトンとした顔をしたが、すぐに顔をうつむかせ、肩を震わせた。

 

『クククッ....クハハハハハハッ!!!もちろんじゃ!もちろんだとも!!我の力は弱きを守り強きを挫く力じゃ!友のため、愛するもののためというのなら、我は喜んで力を貸そう!』

 

女性は笑いながらそう答える。

その心からの言葉に、僕は静かに微笑む。

 

「...わかりました。えっと茨木さん?」

 

『童子でよい。さんもいらん。おぬしが主、我が子なのじゃから』

 

「い、いえ、でも童子さんで」

 

年上の女の人を呼び捨てなど、ベルにはハードルが高かった。

そんな僕の様子を見て、童子さんはクスクスと笑っている。

 

『契約は簡単じゃ、ベルよ目をつぶれ』

 

「は、はい」

 

そういい目をつぶると、いい香りが鼻に漂った。

 

『我、茨木 童子は汝ベル・クラネルを主としてここに認めよう』

 

そして自分の額に柔らかいものが当たった。

 

え?と思い目を開けると、そこには自分の前に童子さんが立っており、自らの唇を指で触っていた。

 

(ま、まさかさっきのって!!)

 

次第に顔が赤くなっていくのがわかった。

 

『ふふ、これで契約は完了した。さぁ、まずは外にいるあの猿を潰そうぞ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつの間にか元の場所に戻っていた。

 

「あれ?僕はいったい...「ベルくん!?何してるのさ!」え?」

 

神様の声で前を見ると、シルバーバックがもう目の前まで突進していた。

慌てて横に飛び、それをなんとか紙一重でかわす。おそらく前のベルなら確実に避けれてなかっただろう。

 

「うん、強くなってる。僕も...」

 

そう呟き手に力が入る。

シルバーバックはまたも突進しようとしているのか鼻息を荒くしている。

 

さぁ...来い!!

 

「はぁぁぁああ!!」

 

『ギュオオオオオ!!』

 

ベルが駆け出した瞬間シルバーバックも突進してくる。そしてあちらの手がギリギリ届く瞬間あちらが右腕で薙ぎ払いをしてきた。その時左に持っていた《ラスト・オーダー》を地面に刺しそれを足場にし跳躍し避けそれと一緒に地面から《ラスト・オーダー》を抜く。

シルバーバックは左手で握り潰そうとしたのか上に上げてきた左手を空中で回転し斬り刻む。

 

『グギャアアアア!?』

 

「もう片方!」

 

そう言い怯んでる好きに右腕をナイフと剣で連続で斬りつけるその数十回。またも雄叫びをあげるがそれに構わず僕は止めを刺そうとした時

 

「ベルくん危ない!」

 

「っつ!?」

 

横から赤い鞭のようなものが目の前を過ぎた。それをバックステップで避けその出所を見るそこには確か15階層に生息するレッドテイルがいた。

 

「くそ、こんな時に..」

 

いくら手を負傷してもこのレベルのモンスターを二対同時は難しい。

 

(もう少しだったのに!)

 

奥歯を噛み締め気分が悪くなる。

 

『む、もう危険か...まぁよい。さぁ、我を呼べ!』

 

「この声は...童子さん!夢じゃなかったんだ!」

 

『夢など申すな。我でも傷つく時はあるんじゃぞ主よ』

 

「あはは...すいません。でも、どうやって呼ぶんですか?」

 

生憎と、今の状況を全て飲み込み理解できるほど、頭は良くない。

僕は童子さんに、呼び方を聞く。

だがーーー

 

『...知らん!』

 

「はいぃぃぃ!!?」

 

「ベルくん危ない!!それよりも、さっきからなにブツブツ言ってるのさ!!」

 

レッドテイルの尾が飛んでき、それを避ける。

 

「ベルくんいったい何をボーとしてるんだ!」

 

「どどどど、童子さんどうしよう!?てかなんで童子さんがしらないんですか!?」

 

『そうは言うても、我とて人間と契約など初めてじゃからの。分からんこともある。正直悪いとは....ん?ベル、どうした?』

 

童子さんが申し訳なさそうにいうが、そういうわけではない。

何故か、言葉が頭の中に流れてくる(・・・・・・・・・)

 

(これはーーー歌?)

 

気づくと、僕はその頭の中の言葉を読んでいた。

 

「【世の理を覆し鬼よ

酒に酔いし我、友と共にこの世を否定せん

ひとつちぎれば恐れられ

ふたつ喰らえば逃げ出され

みっつ引き裂きゃ死合いを望まれたもう

我の名聞きたきゃ目を覚ませ】」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベルくんが先ほどから誰かと話しているみたいだった。

でも、こればかりはそうではなかった。短い文を言い、それが終わった瞬間ベルくんの雰囲気が一変した。

いや、雰囲気だけではない髪の色もよく見れば白から光る銀色になり、瞳の色は赤から青になっていた。

 

「ベルくん...君はいったい...」

 

 

 

 

 

 

 

 

「...っは!僕はいったい?」

 

『くはははは!!またも無意識で我を呼ぶとは、つくづく面白いのう!』

 

「いや、言ったのは覚えてるけど...」

 

『ふむ、まぁ話は後じゃ。くるぞ』

 

前を向くと、レッドテイルが尾を、シルバーバックがマシな左腕を叩きつけてきた。

 

「あまい!」

 

僕はレッドテイルの尾をラスト・オーダーで受け流すと、ヘスティアナイフを突き刺した後、シルバーバックの腕を避けるため後ろに下がった。

 

「硬いなあの鱗」

 

『ならこれを使うんじゃ』

 

すると、またもや言葉が頭のなかで聞こえた。先ほどとは違い短い文。

 

「【種は違えど命は等しく】オーガキラー」

 

それと共に、ヘスティア・ナイフとラスト・オーダーが赤黒く光りだした。

 

『それで全てに対し均等に(・・・)斬れるようになった。さぁ、やってしまえ』

 

僕はその声を聞き、二匹に走り出す。ヘスティア・ナイフをシルバーバックの顔面に投げつけ突き刺す。

レッドテイルの方は、またも尾で攻撃してきたのでそれを斬り裂いた。

 

『『グゴゴゴゴアアアアア!!』』

 

『止めじゃ』

 

「【全てを粉砕せし力我に宿れ】コンゴウリキ」

 

腕に力がはいるような感覚になる。

そして、レッドテイルを頭からラスト・オーダーで叩き潰し、シルバーバックが捨て身の突進をしてきたので、刺さったままのヘスティア・ナイフを跳躍しながら避けてにぎると、背中の真ん中にそって下に斬り裂いた。

 

「終わりだ」

 

その一言で後に残るのは二つの魔石だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




茨木童子のイメージ
・お姉さん
・優しそう
・銀髪
・巨乳

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