ダンジョンに夢を求めるのは間違っているだろうか   作:虎神

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小さなサポーター
1話


ザァザァと草が揺れる音、鳥のさえずりそして川の流れる音

ここは...たしか前にもここに

 

『また、会いましたね』

 

声が聞こえた。どこかで聞いたような声が。

僕は声の方向に振り向く。

そこにいたのは...なんだろう....いや違う、なんでだろうこの人を見ているのにボヤがかかったように顔が見えない。

 

『まだ、私は見えませんか...ですがそう遠くない内にまた会うでしょう』

 

何を言っているんだ彼女は...ん?僕は、今何故顔がわからない相手が女性だとわかったんだ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

あなたはいったい

 

『私は《#¥&%》また、いつか会うときまでそれでは...ベル』

 

そして視界が真っ白になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは...どこだ」

 

目が覚めると見たことがない天井があった。

周りを見渡してもあるのは棚と、すぐそこにドアが一つあるくらいだ。

すると階段から音が聞こえてきドアから女性が一人入ってきた。

 

「あ、目が覚めたんですねベルさん!」

 

「シルさん!?」

 

そこにいたのは【豊穣の女主人】で働くヒューマンの女の子、シル・フローヴァだった。

 

「シ、シルさんどうしてここに...」

 

「え?だってここは店の二階ですもん」

 

「え!?」

 

それから話を聞くと、どうやら僕はモンスターを倒した後倒れてしまったらしく、神様も何故か疲労で倒れたらしい。

しかし僕たちのホームを知っている人がいなく、僕たちを見つけたシルさんがここに寝かせてくれたらしい。

 

「神様は...」

 

「大丈夫です。横の部屋で寝ています」

 

よかった。本当に無事のようだ。

そして話を聞くと、今回の騒動の【ガネーシャ・ファミリア】では、団員に事情聴取があったらしいが何故か皆、何かに操られたかのように記憶にない(・・・・・・・・・・・・・・・・・)らしい。

 

いったいそこで何があったか知るものはいない。

 

「ベルさん...本当にごめんなさい!!」

 

するといきなりシルさんが頭を下げてきた。

 

「え?え?な、い、いきなりどうしたんですか!?」

 

「今回ベルさんがこんなふうになってしまったのは、私が財布を忘れたりしたからです。本当にごめんなさい!!」

 

「い、いえそんなことは...」

 

そういうがシルさんは頭を上げない。

どうしよう...

 

「....よし、ならシルさんに頼みがあります。もし聞いてくれたら許してあげます」

 

「は、はい!私どんなことでも聞きます!!」

 

ど、どんなことでもって...い、いやダメだ!僕はいったい何を考えているんだ!?

 

「では...シルさん、顔を上げいてください」

 

そういうと涙目のシルさんが見えた。

う...悔しいが泣いている顔さえ可愛い...がお仕置きだ。

そして、僕はシルさんの顔を引っ張った。

 

「ふぇ?」

 

面白い声出したな...。

触ってみると女の子独特の肌の柔らかさが伝わる。

 

「な、なにふるんふぇふか、うぇるさん」

 

「ほら、笑顔が一番シルさんに似合いますってさぁ、ニコッと」

 

僕はシルさんの口を笑っているかのように釣り上げる。

 

「シルさん...たとえシルさんがなんと言おうと、僕はシルさんに怒ったりしませんし大丈夫です。というか女の子をなかせたなんて言ったら、神様やおじいちゃんに怒られちゃいますよ」

 

そう言って僕はシルさんのほっぺから手を離す。

 

「だから、シルさんは笑ってください。笑っている方が女の子は可愛いですよ」

 

「ベルさん....はい!」

 

シルさんは返事をしながら今まで見た顔の中で一番の笑顔が見えた。

 

 

 

 

「では、私は仕事に呼ばれたので行きますね。ベットは好きに使ってください」

 

シルさんは一階に降りて行った。

 

さて、神様を...『おい、ベル。我のことは無視か?』

 

「ど、童子さん!?」

 

透き通るような綺麗な声が、頭の中に直接響いた。

 

『何をそんなに驚く我はベルの中にいるからあたりまえじゃろ』

 

「いや、当たり前なのかな?」

 

『それよりさっきの話を聞いていたがベルよ、お主天然か?』

 

「天然?なんのこと言ってるんですか」

 

そう答えると、何故か童子さんは深くため息を吐いた。

 

『もう良い、その答え方でわかった』

 

何故か、勝手に納得したんだけど。

ベルは首を少し傾ける。

 

『まぁ、とにかく我はこれから寝るが、我と会いたくなったら寝ろ。主が寝てる時にあってるから。ま、我の気が向けばじゃが』

 

「寝てる時に会う?いったいどうやって...」

 

『ん?まぁ、お主の夢に出てくるだけじゃ。何も苦はかけんよ。ではな、我は少しでも寝るぞ。今日はよく働いた』

 

「は、はいおやすみなさい」

 

『うむ、おやすみなのじゃ』

 

そして童子さんの声は聞こえなくなった。

いったい彼女はなんなのだろう。

 

『茨木童子』

おじいちゃんが書いた本の中で、見たことがある。鬼と言っていたけど、僕ではまだわからないな。

童子さんの事を考えていると、部屋のドアが開いた。そこにいたのは神様こと【ヘスティア・ファミリア】の主神ヘスティアだった。

 

「か、神様!大丈夫でしたか?」

 

「ああ、問題ないよ。ありがとうベルくん」

 

よかった顔色を見る限り元気そうだ。

 

「それよりも神様、過労で倒れたと聞きましたがいったいこの三日間何を...」

 

神様は一度うっ...と声を出し

 

「土下座だよ」

 

「ど、ドゲザ?」

 

「そう。この三日間、計三十時間ずっと縦に首を振らない頑固な女神のまえでしていてね」

 

きっと、そこにその女神がいたらきっと怒鳴り散らしたであろう。

しかし、そんな事は気にする様子もなくヘスティアは話し続けた。...主に、その三日間の地獄の様子を。

 

「計三十時間っていったいどんな拷問ですかドゲザって!!?」

 

「いや、土下座は最終奥義なんだよ」

 

確かに極東と呼ばれる島国では最強の謝罪、もしくは頼み事をする際に用いられるが。

 

(いや、その奥義効果出るの遅すぎでしょ!?)

 

土下座を知らないベルは少し違うことを想像していた。

 

「でも、パーティーに行くって言ってどうして」

 

そう。彼女はあの夜、パーティーに行くと言ってホームを出たのだ。にも関わらず、どういう事情でその奥義を出す事になったのだろう。

 

「....それ」

 

「えっ?」

 

神様が指さしたのは、ベットの横に立てかけていた鞘に収まった漆黒の直剣と、そこの棚に置いてある漆黒のナイフだった。

 

そういえば、僕はこの武器の説明をまったく受けてない。

そう思いナイフと剣を手に取った。

 

その時に気づく。

 

ナイフと剣の鞘に【ヘファイストス】の文字が【神聖文字(ヒエログリフ)】に酷似した刻印を見つけた。

ヘファイストス...これは説明がなくてもわかる。自分では一生手に入らないと思っていたあの、【ヘファイストス・ファミリア】の店頭に掲げるロゴタイプと同じだった。

 

「か、神様...これって」

 

「....ごめんね、心配かけて。でも....もう見てるだけじゃ...養われるだけじゃ...助けられるだけじゃ嫌なんだよ」

 

僕がナイフの柄を震える手で持っていると、神様が鞘を抜く。すると鞘と同じ漆黒の刀身が現れた。そこには【神聖文字(ヒエログリフ)】がビッシリと書き込まれておりもう一つの直剣の方も見るが同じように【神聖文字(ヒエログリフ)】が彫られていた。

 

「知っていたよ。君がヘファイストスの陣列窓に、いつも頬を引っ付けてみていたのは。君が欲しがっているものじゃないかもだけど、コレ世界で一つしかないんだぜ?すごいだろ」

 

「そんな...だって、ヘファイストスの武器はすごく高くて....お、お金は!!」

 

「大丈夫ちゃんと話をつけてきたから」

 

そして神様は疲労の濃い顔で、けれど穏やかそうな笑みを浮かべた。

 

「強くなりたいんだろ?」

 

「!」

 

「言ったじゃないか、手を貸すって。これくらいのお節介はさせてくれよ」

 

「っつ...」

 

「誰よりも何よりもボクは君の力になりたいんだよ。....だってボクは君のことが好きだから」

 

「....!」

 

ボロボロとついに目から涙が溢れ出す。

ヘスティアは頬を桜色に染め、満面の笑みを浮かべた。

 

「なんたってボクは君の神様だぜ?いつだってボクを頼ってくれよ」

 

僕はその言葉を聞いて神様の胸に飛び込んだ。

 

「か、神様....はい、はい...ありがとう...ございます」

 

「あはは、刃がむき出しで危ないよ」

 

神様はそう言いながら僕の頭を撫でてくれた。まるで母親のように。

本当に僕は幸せだ。

おじいちゃん、新しい家族はすごく優しい(ひと)だったよ。

そう思いながら今はヘスティアの胸を借りることにした。

 

 

 

 

しかし、一方のヘスティアは、

 

(これでボクとベルくんは相思相愛だ)

 

盛大な勘違いをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、あ、ベルくんこれ渡しておくよ」

 

「これは?」

 

武器と一緒に小さな袋を渡され中身は2000ヴァリス程度入っていた。

どうやら僕が倒したモンスターの魔石を近くを通ったあの、アイズ・ヴァレンシュタインさんが換金して届けてくれたらしい。

また、今度あったらお礼をしなくちゃ。

 

「ボクは先に帰るけどベルくんはここでご飯でも食べて帰るといい」

 

「え、でも...」

 

「ボク、今日はもう帰ってすぐ寝たいんだ。それにここの子に休ましてもらったんだ。お礼ぐらいしなよ」

 

そう言って神様はドアから出て行った。僕も上着を着て下に行く。

 

「あ、ベルさん。もうおかえりに?ヘスティア様なら先に帰りましたよ」

 

シルさんが声をかけてきた。

 

「いえ、神様が自分は早く寝たいからだと。僕はここでご飯を食べてきな、って言われまして...席は空いてますか?」

 

そう聞きまわりを見渡すが、結構満員だった。よく見ればシルさんも忙しそうだ。

 

「すいませんベルさん、今は席は空いていなくて...」

 

「い、いえ、しょうがないですよ。謝らないでください」

 

席が空いてないならしょうがない。今度また来る事にしよう。

そう思い、店を出ようとしたのだが。

 

「おーい、そこの君」

 

「え?」

 

突然、すぐ目の前に座っていた人が手招きで僕を呼んだ。

 

「席が空いてないんなら一緒にここを使いなよ。俺たちは構わないぜ」

 

「ちょっ!」

 

そう声をかけてくれたのはまさに大人な感じという美形な男の人と、エルフで長い黒髪のこちらも美形の女の人がいた。

今、女の人が何か言おうとしたが男性の声にかき消されたような気がしたが...。

 

「い、いえ、そんなご迷惑では」

 

「いいって、気にするなよ」

 

「ベルさん、こう言ってくださっていますし...」

 

シルさんがそう言い勧めてくる。ここで断るのも逆に失礼だろうと考えた。

 

「そ、それではお言葉に甘えて...」

 

そう言って、僕は一つ空いていた椅子に座る。

 

「いやぁ、悪いねいきなり声かけて」

 

「い、いえ、そんなこちらこそありがとうございます。あ、僕はベル・クラネルって言います」

 

「おぉ、えらいねちゃんと自分から名前を言うなんて。俺は、神ディオニュソスよろしくな。で、さっきから無愛想なのが...」

 

「誰が無愛想ですか...フィルヴィス・シャリアです」

 

「そうですか。よろしくお願いしま...」

 

神?え、今神って...。

 

「おう、【ディオニュソス・ファミリア】の主神だ」

 

その男性の言葉に、一気に血の気がサァーと引いていくのを感じる。

 

「か、神とは知らずご無礼を!!」

 

「あはは、いいっていいって。俺がちゃんと言わなかったんだからしょうがないって」

 

ディオニュソスさんはそう言い笑う。

僕はすぐにシルさんの方を向くと、小さくべッと舌を出して笑っていた。あの人確信犯だ!?

 

「あははは!どうやらいっぱい食わされたようだねクラネルくん。って、ん?なんだいこの子がどうかしたのかい?」

 

どうやら少し見すぎたらしい。

 

「す、すいません。すこしどこかで会ったような気がして」

 

あ、そうだ。シルさんを探している時にぶつかったあのエルフの人だ。

 

「え...あっ。あの時の」

 

「なんだい二人共知り合いか?」

 

「いえ、前にぶつかってしまって...あの...あの時は本当にごめんなさい」

 

僕はフィルヴィスと名乗った少女に頭をさげた。

 

「ど、どうしてあなたが頭をさげるんですか。頭をあげてください」

 

エルフの少女はいきなり頭を下げた僕の肩を持って、無理矢理に頭を上げさせる。

顔を見ると、かなり焦った顔をしていた。

 

「あ、す、すいません」

 

「アハハハ!!フィルヴィスがこんなに取り乱すのは久しぶりに見たな...それにフィルヴィス」

 

「はい?」

 

するとディオニュソスは指を指した。その指先は僕の方に向いている。

 

「それ、手」

 

そう、彼女はベルの肩を触っていた。

ディオニュソスはエルフであるフィルヴィスの性格を知っていたため、普通に話してはいるが結構驚いている。

 

「っつ!?」

 

バッと手を肩から離す。

ベル自身触られている事に気づかなかったが、勢いよく手を引かれエルフであっても少し傷ついたのは秘密だ。

 

「すいません、肩を持ってしまい」

 

「え?なんで謝るんですか?」

 

「そ、それは...いえなんでも」

 

フィルヴィスは顔を俯くそれを見たディオニュソスまたも楽しそうに話す。

 

「クラネル君やっぱり面白いね!それに聞いたよ?どうやら今日大活躍だったそうじゃないか!」

 

「え?」

 

「モンスター二体を倒し住民を守った!って結構噂になってるよ」

 

う、嘘ぉ。

 

「い、いえ僕なんかそんな。もう無我夢中だったので」

 

「それでもすごいよ。そういえば料理頼まなくていいの?」

 

あ、そう言われてみれば。

僕は近くにいたリューさんにスパゲッティを頼んだ。そして頼み終わるとディオニュソス様が少し微笑む。

 

「君は見た限り駆け出しだ。でも、巨大なモンスター二体を相手に戦って勝利を収めた。それはすごいことだよクラネル君...いや、ベル君と呼ばせてもらおうかな?」

 

「...はい、ありがとうございます」

 

ディオニュソス様はそう言って僕の頭を撫でる。すごく大きな手だった。

 

「まったく君は少し謙遜しすぎだよ...いや、君だけじゃなかったフィルヴィスもだった」

 

「私にいきなり振らないでください」

 

「いや、そうは言ってももう少し愛想よく...ねぇ、ベルくん」

 

「え、いやその」

 

「余計なお世話です」

 

そうきっぱりフィルヴィスは言った。

でもーーー

 

「で、でも」

 

「「?」」

 

しまった声に出てしまった。だが、ここでなんでもないというのも変な話だろう。そう思い、僕はそのまま言葉を繋げる。

 

「で、でもシャリアさんは、今でもすごく綺麗な人なので笑えばもっと綺麗に見えると思います...よ?」

 

一瞬静かになるテーブル。そして二人は少し停止し、シャリアさんは少し顔を赤く、ディオニュソス様はプルプルと震え出した。

 

「あははははは!!ベル君とはいい酒が飲めそうだよ!おーい酒を持ってきてくれ!グラス一つも」

 

何故か大笑いだった。

 

「もう、飲み過ぎですディオニュソス様...ベル・クラネルと言いましたね。貴方は私を知らないからそう言えるのです。もし私を知ったら」

 

「いえ、変わらないと思いますよ?」

 

「!」

 

「たとえどんなことがあるとしてもシャリアさんはシャリアさんです。まだ会ってすぐですけど、それだけ知っていればいいと思います。すいません会ったばかりなのに偉そうに...」

 

シャリアさんはまたも静かになる。

あれ?僕何かおかしなこと言ったかな?

 

「そう...ですか。ふふ、貴方は不思議な人ですね」

 

「!」

 

「どうかしました?」

 

「い、いえなんでも」

 

「いやぁベルくんはねフィルヴィスの笑顔に見惚れたんだよ」

 

「デ、ディオニュソス様ぁ!?」

 

いきなり何を言うんだこの(ひと)は!!?

そして、そうこうしてるうちに頼んでいた料理が来、それを数分のうちに食べ尽くした。

 

「いい食べっぷりだねベルくん」

 

「あはは...お腹が結構空いてまして」

 

「それでしたら、これも食べますか?」

 

シャリアさんはつまみの入った皿を出してきた。僕は遠慮なくそれを受け取った。

 

「ありがとうございます。シャリアさん」

 

「.......」

 

「どうかしましたか?」

 

「そのシャリアさんというのやめてくれませんか?」

 

あ、名前で呼ばれるの嫌だったのか....。

と、そう思ったのだがーーー

 

「フィルヴィスでいいです。私もベルと呼ぶので」

 

「へぇ〜...」

 

「え、あ、はい...えーと、フィルヴィスさん?」

 

「はい」

 

何故かその後、微妙な空気になったのを感じた僕は、一足先に帰らせてもらう事にした。

 

それにしても最後の笑顔、すごく綺麗だったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はいったいどうしたんだいフィルヴィス?気づかないとはいえ、肩に触ったり、名前で呼ぶのを許可したり、挙げ句の果てに彼を呼び捨てにするし、彼が気に入ったのかい?」

 

そうからかいながらフィルヴィスにディオニュソスは尋ねる。

 

フィルヴィスはかなりエルフというイメージと同じ考えだ。自身が認めた、認知した相手となければ喋らないほど。

そんな彼女が喋った相手。ディオニュソスは不思議でたまらなかった。

 

(され、いつもなら違いますや茶化さないでくださいというが)

 

しかし帰ってきたはーー

 

 

「そう...かもしれません」

 

まさかの肯定だった。

 

「最初は、ぶつかった時に手を叩いてしまった罪悪感でしたが、いつの間にか普通に話せていて...彼の肩に触ってしまった時にも何も感じなかったんです。ただ...大丈夫。そのような気がして」

 

「ふぅーん..」

 

短い言葉。だが、ディオニュソスの顔は面白いくらいににやけていた。

 

「フィルヴィス、君は友達はいるかい?いやいないね」

 

「返事を聞かず言わないでください。....いませんが」

 

「ごめんごめん。だったら彼と、ベル・クラネルと友達になってみたらどうだい?」

 

フィルヴィスは少し驚いた顔をした。

 

「ですが、私は...」

 

「周りの意見なんて気にするな。少なくても彼は...ベル・クラネルはフィルヴィス、君は君だと言ってくれたよ」

 

きっとこの言葉はフィルヴィスには嬉しい言葉だ。いろいろなことを言われ凶悪な二つ名までつけられた彼女にとってあの言葉は...いや、彼という存在はいい薬になるはずだ。

 

「...わかりました。私、ベルと友達になってみようと思います」

 

「うん、それがいいよ」

 

そう言い終わると、フィルヴィスは少し席を外すと言い立ち上がった。

ディオニュソスは酒の入ったグラスを手に取ってそれを眺める。

 

「まったくベル、くん俺が長い時をかけたのをたった一時間くらいでやってしまうとは...」

 

ああ本当にーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーこれだから下界(ここ)は面白いんだ

 

 

 

 

 

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