ダンジョンに夢を求めるのは間違っているだろうか   作:虎神

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4話

「んー、少し早すぎたかな?」

 

あれから目がさめると朝になっていた。僕は童子さんエイナさんと約束した大通りにある広場で一人立っていた。

 

(にしてもやっぱりこれってデート....うん、そんなわけないかエイナさんのことだ、きっとそんなことは考えてないか)

 

はぁ、とため息をひとつ吐く。わかっていても女性とあまり...いや、皆無と言っていいほど二人っきりで出かけたことがないベルにとってはデートだろうがなんだろうが一種の試練に等しいのだ。

 

(女の人と二人で、出かけるなんて何年ぶりかな?....あ、確か昔お爺ちゃんと極東へ旅行行った時に出会った女の子くらいかな?)

 

よくもまぁ、そんな細かいこと覚えているなと自分でも思うが、それほどまでにこのような状況がないという証明でもあった。

 

「おーい、ベルくーん!」

 

「あ、エイナさん!」

 

そうこうしてるうちにエイナさんが来た。

服装はレースをあしらった可愛らしい白のブラウスに、丈の短いスカートそして、いつもかけている印象があるメガネは外していていつも見ているエイナさんよりも大人の雰囲気が感じられた。

 

「ベルくん早いね。そんなに新しい防具買うのが楽しみだった?」

 

「あ、その、それもですが....エイナさんとこうして二人で出かけるとは思いもしなかったのですごく緊張してるといいますかなんといいますか...と、とにかくとっても綺麗です!!」

 

自分でもわかるくらい緊張している喋り方だった。言葉も一気にいったので言い終わると使った息のぶんを吸い込む。

 

「あ、そ、そう...ありがとう...わ、私も楽しみだだったからお互い様だね?」

 

さすがエイナさんだ。こっちに気を使ってくれた。でもなんで顔が赤い...-鈍感-ん?今、童子さんの声が聞こえたような...気のせいかな?

 

「じゃあ、行こうかベルくん」

 

「は、はい!今日は、よろしくお願いします!!」

 

いったい何をよろしくするのだろうか言っていて分からなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで今日どこに行くんですか?」

 

「ん?あー、行ってないかったね。今日はダンジョンに行くんだよ」

 

....は?

 

「だだだだだ、ダンジョン!?ダメですよエイナさん!?エイナさん冒険者じゃないんですからそんなダンジョンなんて行ったら無事じゃ...「ご、ごめんごめん、言葉が足りなかったね。今日行くのはダンジョンの上にある(・・・・)バベルだよ」ふぇ?」

 

バベルそれは、ダンジョンの上にある大きな塔のようなものそこにはあの【ヘファイストス・ファミリア】などの大手ファミリアがしょうひんを出してたりする。たまに自分も買えないが何度も武器を見に行っていたりする。

 

(あぁー、きっとその中で安いとこに連れて行ってくれるのかな?)

 

そう思いエイナさんとおしゃべりをしながらバベルに入る。そして、着いたのが...

 

「さぁ、着いたよベルくん」

 

「....え?ここって...」

 

そう僕が連れてこられたのはあの高級と言ってもいい武具が並ぶ【ヘファイストス・ファミリア】の店前だった....って!?

 

「ええええエイナさん!?ボ、ボクこんなとこで買えるほどお金持ってないですよ!?」

 

今日持ってきたのは16000ヴァリス何度も見に来ているのでおおよそのここの武器の値段は、わかっているつもりだ。

そして、チラッと飾ってある剣の値段を見ると

 

3000万ヴァリス

 

一瞬立ちくらみがした。

3000万!?いったい誰が買うのさこれ!?てか、もうこれ買えるなら家買えるよ!!?

頭の中がいい感じに混乱してきた時エイナさんがいつの間にか先に行っているのが見えた。

 

「ベルくん置いてくよー?」

 

「ま、待ってくださいエイナさ「ウワッ!」わっ!」

 

「ベルくん大丈夫!?」

 

つい人とぶつかってしまった。エイナさんは、大丈夫?と言いながら駆け寄ってきた。

 

「あ、す、すいません怪我はないで...す...か...」

 

「イタタタ、大丈夫だよ。君こそ怪我はないか...い....」

 

ぶつかったのはこの【ヘファイストス・ファミリア】の従業員の服だろうか。髪を左右横に括りツインテールにしていて僕より背が低く綺麗な青い目をしている美少女がいた。

いや....というか

 

「か、神様!?」

 

「べ、ベルくん!?」

 

「「どうしてここに!!?」」

 

息がぴったりだ。

 

「ベルくんここで何をしてるんだい!?今すぐ帰るんだ!まだここは早い!!」

 

「いやいや、神様こそ何してるんですか!?最近よく疲れて帰ってきているのって新しいバイトを始めたからですか!!?僕言いましたよね最近進める階層が増えたからお金に少し余裕ができましたって!」

 

「ベルくん君は今何も見なかった。そして今すぐ帰るんだ!」

 

「だから無理ですって!?神様もこんなことやめてください!」

 

「神にだってやらなければならない時があるんだ!!」

 

「いや、神様がやらなければならないバイトってなんですか!?今まで時給40ヴァリスだったのに!」

 

「じゃが丸くんを馬鹿にするなーーーーー!!!」

 

エイナさんが目を丸くしてるのが見えたけど今はそれどころじゃ...

 

「おい!新入りサボってんじゃねーぞ!!」

 

奥から男の声が聞こえると

 

「あ、はーい!」

 

「か、神様ー!!...」

 

神様がそそくさと奥に消えていった。

 

「あ、相変わらず変わった神様だね」

 

エイナさんが苦笑いしながらそういった。

 

「お見苦しいところを...」

 

「い、いや、いいよ。さぁ、行こうか」

 

そういってエイナさんの後ろを歩いていく。

 

「ベルくんは、【ヘファイストス・ファミリア】が高級品ばかり扱ってると思ってるでしょ?でも、実のところそうじゃないんだよ?」

 

「え、そうなんですか?」

 

自分の中では【ヘファイストス・ファミリア】=高級という方程式ができていたので驚いた。

そして、連れてこられたのは奥の市場。なんでもこのファミリアの特徴で駆け出しの鍛冶師も同じように商品を出しているらしい。

様々な武器があるが値段は今の自分の所持金でも買えるぐらいだ。

 

「ベルくん今日は防具を買いにきたんだよー?」

 

「わ、わかってますよ。ただいろいろな武器があるなとおも...「ベル?」え?」

 

突然名を呼ばれ振り向くとそこには知っている顔があった。黒髪でエルフ腰には銀の剣をさしている女性、そう【ディオニュソス・ファミリア】のフィルヴィスさんがいた。

 

「フィルヴィスさん。ど、どうも」

 

「こんにちは、買い物ですか?」

 

「は、はい。フィルヴィスさんもですか?」

 

「いえ、私は剣を取りに...彼女はギルドで見たことが」

 

「あ、どうも、エイナ・チュールです。受付を担当してます」

 

「....【ディオニュソス・ファミリア】のフィルヴィス・シャリアだ」

 

エイナさんは、名を知っていたのかなぜか少し顔をしかめた。

 

「ところで何か買うのですかベル?」

 

「あ、はい!防具を買いに」

 

「そう...ベルもしよければ私もご一緒してもよいですか?」

 

「「え!?」」

 

「....すみませんいきなりダメなら私はこれで」

 

「え、ちょ、まってください!」

 

そういって帰りかけたフィルヴィスさんの手を掴む。

あ、やってしまった。また、叩かれるかと思いきや

 

「はい?」

 

なんと何もしなかった。

 

「あ、いえ...あ、手すいません!!」

 

「あ、いえ......やっぱりなにも感じない?」

 

今何か言った?声が小さくてよく聞こえなかった。

 

「あ、あの迷惑なんかじゃないです!僕より強いフィルヴィスさんに教えてもらったら勉強になると思うんです!ねぇ、エイナさん!!」

 

「え!?あ、そうだね」

 

心なしかフィルヴィスさんが少し笑顔になったかのように

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

「いえいえ、こちらこそ」

 

その後エイナさんの提案で各自、選んだ防具を持ってくるという約束でいったん別れた。

にしてもやはり、自分は軽装の方がいいな。

これは、ちゃんと理由があり自分の長所は敏捷だ。もし重いものを着てしまうとそれが死んでしまうかもしれないからだ。もちろん身を護るのは重装などがよいと思うがやはり自分の中では軽装が一番だ。

んー軽装でいいものは...

 

「ベル」

 

「ん、フィルヴィスさん?どうしたんですか?」

 

いきなりフィルヴィスさんに声をかけられた。

何か用かな?

 

「えっと...あの...その...」

 

ど、どうしたんだろうか...。なぜか顔が赤くなっていっているんだが具合でも悪いのかな。

 

「あ、あのフィルヴィ「わ、私と!」はい!?」

 

「わ、私と...と、とも...」

 

 

「私と友達になってくれませんか!!?」

 

「.....え?」

 

「や、やっぱりだめか...私のようなものは女らしくもないし」

 

「い、いえそういうわけではなくて...いえそのいきなりだったのでビックリしたというか...ぼ、僕でよければよろしくお願いします!」

 

「え....いい、んですか?私は、おそらく貴方が思っているような...」

 

「それは、前も言いましたが僕のなかでは、フィルヴィスさんはフィルヴィスさんですよ。その他何者でもありません!」

 

「で、ですが...「それに...」?」

 

「フィルヴィスさんは、すごく綺麗ですよ。きっと皆さんそう思ってますよ!」

 

「っつ!?え、あの...あ、ありがとうございます。では、ベル友達に...」

 

「はい!よろしくお願いしますね!」

 

「は、はい!それでは」

 

そういってまた商品を探しに行ってしまった。まさかフィルヴィスから友達になろうと言われるとは思わなかったな。でも、少し気を許してくれたってことかな?

そう思うと少し気分が良くなった。

何分か商品を見ているとある箱に入ったライトアーマーが目に入った。

 

なんというか目に入ったというか目を奪われた感じがしその商品を手に取った。

 

【ヴェルフ・クロッゾ】

 

製作者名にはそう書かれていた。

胸、肩、肘、小手、腰部といった最低限のところしか守られないがとても軽いおそらくつけてもそう変わらないはずだ。

値段は...9900ヴァリスもし買ったら残りは6100ヴァリス。

 

「おーいベルくんいいもの見つけたよ。プロテクターに革鎧値段は少し高いけどどちらか一つは買って...あれ、ベルくんも見つけたの?」

 

エイナさんが僕が持っていたライトアーマーに目を向ける。

 

「もしかして決まっちゃった?」

 

「はい、僕これ買います」

 

「はぁ、ベルくん本当に軽装が好きだね。せっかく選りすぐってきたのに」

 

「す、すいません」

 

せっかく選んでくれたのにと少し肩を落とす。エイナさんはそれを見て気にしてないと言ってくれた。

 

「まぁ、本音はもうちょっと身を守ってほしいけどベルくんが使う防具だからベルくんが決めたなら私はいいよ」

 

「はい、ありがとうございます!...そういえばフィルヴィスさんは...」

 

「あ、ベルくんそのフィルヴィス・シャリアさんについてなんだけどいったいどこで知り合ったの?」

 

いきなりどうしたんだろうか?

だが、すこしエイナさんの顔が真剣だったためそのまま答えるようにした。

 

「えっと、フィルヴィスさんとは【豊穣の女主人】っていうお店でたまたま知り合いましたけど...それがどうかしたんですか?」

 

「!!...いや、なんでもないよただベルくんがあんな綺麗な人と知り合いだったんだなぁーって思って」

 

うっ...確かに知り合ったのは偶然だったからなぁー。

そして、話しているとフィルヴィスさんがこっちに歩いてきた。手には...ペンダント?

フィルヴィスさんは僕の手にあるライトアーマーを見て

 

「ベルはもう選んだのか...」

 

「は、はい、すいません選んでもらっといて」

 

「いや、それについてはいい。これは私からベルへのプレゼントと思ってくれればいい」

 

「え!?」

 

「あ、私もはいこれ」

 

「ええ!?」

 

フィルヴィスさんが選んできたペンダントはなんでも敏捷がすこし上がるらしい。エイナさんが選んできたのはエメラルドの色をした細長いプロテクターだった。

 

「い、いいんですか?」

 

「私は別に構わない」

 

「もちろん私だって。それともベルくんは女の子からのプレゼントを返しちゃうような男の子なのかな?」

 

「えぇ!?あ、その、ありがとうございました」

 

そう言うと二人は笑顔を作ってくれた。

一瞬二人の美女の笑顔を見て顔が赤くなりそうだったのは秘密だ。

 

「でも....あ、ちょっと待っててください!」

 

「「?」」

 

そう言い僕は先ほど眺めていた棚に駆け出す。

そこにはエメラルド色の腕輪と紅色の髪留めを手に取り会計で払う。

 

「はぁはぁ、お、お待たせしました」

 

「何してたの?」

 

「いえ、お二人のこれを...」

 

そう言ってエイナさんに腕輪をフィルヴィスさんに髪留めを渡す。

 

「ベルこれは...」

 

「安いですけどお礼です。今日はありがとうございました!」

 

「べ、ベルくんいいの?」

 

「エイナさん達は男があげたプレゼントを返してしまう女性ですか?」

 

「うっ....もう、ありがとうベルくん大事にするね?」

 

「私からもありがとう贈り物をされるのもするのも本当に久しぶりで嬉しい」

 

「はい、そう言ってもらえるとこちらも嬉しいです」

 

気に入ってもらえてよかった。

そのまま今日は解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ、ベルくんからのプレゼントか」

 

家に帰ってきいろいろしてベットに飛び込み自分の腕にしてある腕輪を見る。自分の目の色と同じエメラルドの色をした腕輪を見てニヤニヤが止まらない。きっと同僚の友達が今の顔を見たらからかってくるだろう。

 

「にしてもフィルヴィス・シャリアか...」

 

実は彼女は有名だ。ある事件で....

 

「まったくベルくんは....でも、悪い人じゃなかったなー」

 

そう言って枕に顔を埋めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま戻りました」

 

「おう、おかえりフィルヴィス遅かったな」

 

「はい、ベルと会って買い物に付き合ってました」

 

「ふぅーんそうかい。で、どうだった」

 

そう、ディオニュソス様に聞かれ自分でもビックリするくらい楽しそうな声で

 

「はい!ベルと友達になれました!」

 

「お、おう、そうかいそれは、良かったね。今日はもう遅いからお眠り」

 

ディオニュソス様にそう言われ私は部屋を後にしようとすると...

 

「フィルヴィス」

 

「はい?」

 

「頭の髪留め似合ってるよ」

 

今日は本当にいい1日だった。

 

 

 

 

 

 

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