あのあと解散をしてメインストリートの端っこにあるこじんまりした路地裏を一人歩いていた。
まさか、二人からプレゼントを貰うと思わなかった。
自分の首にかけているペンダントと腰のところになおしているエメラルド色のプロテクターに目をやる。
「にしても...エイナさんはまだわかるけどフィルヴィスさんはなんでくれたんだろう」
私の友達になってください!...そうフィルヴィスさんに言われ多分僕たちは友達になったんだろう。
おじいちゃん、エルフの人と友達になれたよ。僕の周りの人達はいい人ばっかりだ。
「....ん、足音?」
ここは路地裏だ。そうそう人が通ることはない。しかし、その聞こえてくる足音は近ずいて横の曲がり角から一人の子供が飛び出してきた。
「いて!」
「キャッ!!」
「あ、ごめんなさい大丈夫!?」
僕は、すぐに立ち上がりぶつかった声からして女の子だろう。その子に手を差し伸べる。そして、改めて見て気づく彼女はパルゥムだ。
種族独特の小さな背丈もちろん体のパーツが一つ一つが小さい。
騒いだり踊ったりが好きな
僕が手を差し出したた時...
「やっと見つけたぞ、この糞パルゥム!!」
彼女が走ってきた道の奥から20歳くらいの屈強な男性が低い声を出して走ってきた。
「もうにがさねぇからな!」
....いったいこの男性はこの子に何をするつもりだろうか。そう考えると体が勝手に彼女の前に立っていた。
「テメェ!なんだそいつの仲間か!」
「...あなたいったい彼女に何をするつもりですか?」
「あ!?テメェに関係ないだろうがそこどかねぇとテメェごと叩っ斬るぞ!」
あぁ、余計ここを退くことができなくなった。
僕は彼女の前にそのまま立つ。それを見た目の前の男性と後ろのパルゥムが驚いている。
「ガキィ....マジで殺されたいのか?」
「い、一回落ち着いたほうがいいですよ」
「黙れ!テメェやっぱりそいつの仲間か!!」
「初対面ですけど」
「じゃあなんでそいつ庇うんだ!」
「...別に女の子ってこともあるけど」
「はぁ?」
「人が人を助けるのに理由がいりますか?」
「っつ!!?」
その言葉を聞きまたも両方が驚く。
「っち、じゃあお望み通りテメェから殺ってやるよ!」
そう言って目の前の男性は自らの腰にかけていた剣を抜く。僕もそれを見て護身用に持っていた《
「君...」
「え?」
僕は小さな声で後ろの彼女に声をかける。
「僕が時間を稼ぐからこのまま逃げてそこの曲がり角をまっすぐ行けば
「あ、はい!」
よし!なら...3、2、1...今!」
その合図で両方走り出す。
「んな!?テメェ待ちや「行かせませんよ」っつ!?」
男性はためらいなく僕に腕を振り上げてくる。
僕はまともな対人戦は初めてだが...僕はこれより断然早い剣を知っている。
「っふ!」
「ッグ!?」
ナイフを逆手に相手の剣を持つ手を上手く引っ掛け防ぎ腹に蹴りを一発入れる。
「て、テメェ...」
「まだ、やりますか?」
「うっせぇぇぇぇ!!」
またも斬りかかってくる...が、おそらくこの男性も対人戦は初めてに等しいのだろう。あまりに不恰好だ。
男は上から下に剣を振るう。
(思い出せあの時の技を...剣を!)
思い浮かべるのはあの銀の髪を持つ女性。全く手が出なかったあの剣技。
「死ねぇ!!」
剣をよく見てそして...
「んなぁ!?」
剣を受け流されその勢いで男は転がる。その隙を見逃さず後ろからナイフを向ける。
「もう一度言いますが...まだやりますか?」
「っく!こ、降参だ。」
そう言って男は手を上げる。僕はそれを見てナイフを腰になおそうとしたその時!
「馬鹿が!死ね!!」
「っつ!?」
男が飛びかかってきた。
「やめなさい」
その声がして僕と男性は動きを止める。その声は女性のものだったが何故か動けなくなった。
その声の持ち主は【豊穣の女主人】のエルフの女性リューさんだった。
「次から次となんだ!?」
「貴方が危害を加えようとしているその彼は私のかけがえのない同僚の伴侶となる方です。手を出すのは許しません」
うん、彼女の言葉の意味が僕にはわからない。
「どいつもこいつも訳のわかんねぇこ...「吠えるな」!!?」
この場の空気が冷える。
先ほどの声同様全く動けなくなった。
「手荒なことをしたくない
「く、クソが!」
男はそう言い引き返していった。
「大丈夫ですか?」
「あ、ありがとうございます。助かりました」
「いえ、見ていましたが見事でした。しかし、詰めが甘い」
っう...てか、見てるなら助けてほしかったというのも少しあった。
「リューさんはどうしてこんなとこに?」
「私は夜の買い出しをお客様が夜になると押し寄せるので」
確かにあれだけ美味しければ客もたくさんくるだろう。
「あなたはここで何を?」
「ただの帰り道に通っただけですよ。それでパルゥムの女の子が襲われていて...」
「それで助けたと...まったくあなたはいい人ですがもう少し自分の身を大切にしてください」
「はい、すいません...」
「私に謝られても....そろそろ私はこれで」
「あはは...本当にありがとうございました」
やがて僕とリューさんはお互いにお辞儀をして別れた。
「よし!」
朝目が覚めダンジョンに行くために自らの装備を見直す。新しく買った《
エイナさんに頂いたエメラルドの色をした《グリーンサポーター》左につけフィルヴィスさんに頂いたペンダント《アクセルペンダント》を首にかける。
武器も腰の後ろに《ラスト・オーダー》横に《ヘスティア・ナイフ》を付け準備ができた。
「神様行ってきまーす」
「う...んんーいってらっしゃい...」
神様は、まだ眠いのか半分ぐらい寝ぼけて返事をした。あれから話を聞いても何故あそこで働いてるかよくわからないままだった。多分神様の考えがあるのだろう。....多分
(いい天気)
外は晴れており綺麗な青空だった。
僕はダンジョンに向かうためバベル付近に来ていた。
(よし、今日も頑張...)
「お兄さんお兄さん白い髪のお兄さん」
「え?」
白い髪と言われ思わず振り向くがそこには誰もいなかった。
勘違いかと思い再び歩き出そうとするとちょうど服の腰部分を引っ張られた。
「お兄さん下ですよ。し・た!」
もう一度振り返り下を見るとおそらく身長は100Cくらいだろう。クリーム色のゆったりとしたローブをかぶり、深く被ったフードから栗色の髪がピョコっとはみ出している。何よりその背丈からは考えられないほどの大きなバックを背負っていた。
「お兄さんひどいですよ。無視しようとするなんて」
「ご、ごめんなさい...君は」
「
サポーター...それは、冒険者についていき戦闘のサポートや魔石集めなどをする同じ神から恩恵を預かった者。
僕自身「サポーターがいたらいいな」と思ったことはある。
「状況がわかりませんか?簡単ですよ冒険者様のおこぼれを預かりたい貧乏なサポーターが自分を売り込みに来ているだけです」
サポーターは、何故か同じ恩恵を受けた冒険者から迫害を受けていることが多いと聞いたことがある。
だが、しかしベルはこのことではなく先ほどの言葉に疑問を思っていた。
「初めまして...ねぇ、僕たちって会ったことなかったけ?」
「?...お兄さんリリとお会いしたことがありましたか?リリは覚えていないのですが」
可愛らしく首をかしげる彼女を見て昨日助けたパルゥムを思い出す。
周りは往来のど真ん中で何してんだ。と迷惑そうな顔が向けられる。
「.....」
「で、お兄さんリリを雇いますか?」
「あ、んー...じゃあお願いしようかな?」
「本当ですか!あ、自己紹介をしていませんでしたね。リリの名前は、リリルカ・アーデと言います。どうぞ、よろしくお願いします冒険者様」
「僕は、ベル・クラネルです。よろしくお願いします」
「リリルカさんは、無所属の?」
「いえ、リリはファミリアに入っていますよ」
ここはバベルの二階の簡易食堂僕達はテーブルを挟んで向かい合っていた。
そのあと聞いた話では彼女は【ソーマ・ファミリア】というファミリアに入っており、最近契約していたパーティーに契約を解除されてしまったらしく路頭に迷っていたとこを僕に声をかけたらしい。
何故違うファミリアの僕に話しかけたというとなんでも自分のような背格好なので誰もパーティーに入れてもらえないらしい。
「と、いうことでリリとは誰も組んでくれないのです。このままじゃ今住んでいる宿もお金が心なくなっていまして」
同じファミリアなのにそんなことがあるのだと聞いていて悲しくなっていった。
どうしよう....
「....わかったよ」
「いいんですか!?」
「でも、最後にもう一つそのフードを取ってくれないかな?」
やはり昨日のパルゥムの事が忘れられなくこのリリルカという少女の顔がよく似ているような気がした。
もしこれで嘘をついているなら悪いが信用できない。
「これでいいですか?」
そう言ってリリルカさんはフードを取る。
フードの中にあったのはピコピコ動く可愛らしい獣の耳....
「えぇ!?」
「うわ!?日、びっくりしますよベル様!!」
「ご、ごめんでもリリルカさんって....」
「はい、リリは
つまり昨日のパルゥムもは全く無関係!?リリルカさんって獣人だったってこと!?
そしてピコピコ動くその耳を見て...
「んっ...」
毛並みはフカフカで柔らかいリリルカさんは少し顔を赤くしている。
本物だ。まぎれもない獣耳だ。
「あ、あのベル様...」
「ああ、ごめんなさい。....わかったよ、リリルカさん頼める?」
「はい、よろしくお願いします。ベル様!!」
「えっと、さっきからベル様って...」
「ベル様はベル様ですよ。雇い主を上にするのは当たり前です」
「いやでもリリルカさん」
「リリとお呼びください」
「え、でも」
「リリとお呼びください」
「いや、だから」
「リ・リとお呼びください!」
「は、はいリリさ「さんもなしです」はい....」
すごい剣幕で言われ折れるしかなかった。あれ、僕って雇い主だよね...
そして契約をし僕達はダンジョンに向かった。
-この娘....はぁ、まったくベルはお人好しにもほどがあるじゃろ。まぁ、もしものことがあれば助けてやるかの-